07. 規制・会計基準

ORSAヒアリング

 

金融庁が「統合的リスク管理態勢ヒアリング」の結果を
HPで公表しました(6月30日)。
金融庁HPへ

ヒアリングの中身もさることながら、今回はORSAレポート
(≒ERMに関する自己評価)の試作と提出を要請し、
そのレポートに基づいてヒアリングを実施したことが特徴です。

しかも、対象となった保険会社・保険持株会社25社を見ると、
大手保険グループだけではなく、朝日火災、オリックス生命
といった中堅生損保や、かんぽ生命も含まれています。

注目される「ORSAレポートの提出義務化」に関しては、
「検討を引き続き行って参りたい」としかありませんでしたが、

・監督当局として各保険会社のERM態勢を、業界横断的に
 横串を通して把握するツールとして有用であることが確認できた

・多くの会社から社内・グループ内におけるリスク文化の醸成・
 ERM態勢の浸透に有用なものであるとの声が多く聞かれた

といった前向きなコメント。

今回はレポートの試作にあたり、予め項目を示した模様です。
この記載要領をどこまで示すべきかは悩ましいところでしょう。

自己規律という点を重視するのであれば、大項目だけを示し、
不足分はヒアリングでカバーすればいいと思います。
ただ、レポートを検証する行政当局は大変です。

他方、記載要領を細かく規定すればするほど、当局としては
横串を通しやすくはなるものの、記載要領に当てはめる作業が
ORSAレポート作成の中心になってしまいがち。
それでは何のためのORSAだかわからなくなってしまいます。

個人的にはあまり細かくしないほうがいいと考えていますが、
いかがなものでしょうか。

さて、内容についての詳細はHPでご覧いただくとして、
私が興味深く感じたのは次の2点です。

まず、ORSAの定義として広義と狭義の2つを示していることです。

狭いほうは、

「自らが抱えるリスク量と、リスクに対する備えとなる資本を比較する
 ことにより、自らの健全性を評価するもの」

と、文字通り「リスクとソルベンシーの自己評価」を示すのに対し、

「保険会社・グループが現在及び将来のリスクと資本等を比較し、
 資本等の十分性の評価を自らが行うとともに、リスクテイク戦略等の
 妥当性を総合的に検証するプロセス」

「ORSAは統合的リスク管理(ERM)における中核的なプロセス」

など、金融庁は広い意味でのORSAの定義も示しており、
ORSAレポートはこちらのORSAについての記載を求めています。
すなわち、「リスクテイク戦略等」を含むレポートです。

もう一つは、次のくだりです。

「損害保険会社に加え生命保険会社においても、リスク選好に基づく
 ERM フレームワークの具体的な整備を実施ないしは検討を開始する
 社があり、ERM 態勢の改善・充実が進展していることが確認できた」

前回のヒアリング結果には、「損害保険会社が進んでいる」という
記載はなかったので、興味深く読みました。

※今年も慶大で講師を務めました。質問は少なめでしたが、
 熱心な学生さんが多かったようで、うれしいですね。

 

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標準利率の見直し

 

少し前になりますが、金融庁が1日に改正案を公表し、
5月1日まで意見募集をしています。
金融庁のHPへ

生保の保険料は保険会社がそれぞれ設定できます
(ただし、金融庁の認可が必要です)。
他方、将来の保険金等の支払いに備え、保険会社が
用意しておく「責任準備金」の計算基礎となる利率は
法令で決まっているので、保険会社はこの利率から
かけ離れた保険料を設定することはできません。

今回の見直しは、一時払終身など貯蓄性の高い商品には
平準払いとは異なる利率を適用しようというものです。

「10年国債利回りの3年平均と10年平均のいずれか低い方」
を参照し、年1回だけ見直すという現行の枠組みのままでは、
金利が上昇に転じても利率がなかなか反映しないので、

・超長期国債の流通量が増えた
・ALMの高度化が進んだ

などを背景に、貯蓄性の高い商品の利率決定方式を

「10年国債利回りと20年国債利回りの和半」
「過去3か月平均と過去12か月平均の低いほう」
「年4回判定」

といった仕組みに見直そうというものです。

確かに反映が現行よりも早くなるとはいえ、金利が上がるにつれ、
「安全率係数(=掛目)」が小さくなる点はそのままなので、
例えば10年国債や20年国債の利回りが4%水準だった場合、
一時払終身保険の標準利率は2.65%にとどまります。

しかも、安全率係数の対象レンジが見直されているため、
例えば5%水準では標準利率が2.9%と、さらに差が広がります。
高金利になるとALMが難しくなると考えているのでしょうか?

「10年国債利回りと20年国債利回りの和半」というのも不思議です。
対象は一時払終身保険ですよね。
いくら銀行窓販で高齢者が多いといっても、どうしてなんでしょう。
「超長期国債の流通量が増えた」「ALMの高度化が進んだ」のに。

なお、今回の見直し案について、s_iwkのブログ
s_iwkさんが詳細な解説とコメントを記しているのを見つけました。
4回にわたる大作ですので、勝手ながらご紹介させていただきます
(私も大変参考になりました)。

※写真は阪堺電車です。初めて乗りました。

 

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監督指針等の改正案

 

金融庁は先週、「保険会社向けの総合的な監督指針」と
「保険検査マニュアル」等の改正案を公表しました。
今事務年度の監督方針で予告のあったORSAの概要が
示されたことになります。
金融庁のHPへ

改正案はIAIS(保険監督者国際機構)が2011年に採択した
ICP16、すなわちERMと、リスクとソルベンシーの自己評価
(ORSA)の実施を受けたものです。
特に監督指針は全面的な見直しとなっています。

詳しい内容はHPをご覧いただければと思いますが、
よくわからないのは監督当局の関わりかたです。

ICPには「監督者はORSAのアウトプットを活用すべき」
とあります。

統合的なリスク管理態勢の整備は「特に、大規模かつ
複雑なリスクを抱える保険会社にとって重要」とあるものの、
ORSAそのものは全社が対象です。
米国ORSAのように一定規模の会社だけではありません。

ところが、指針案には「リスクとソルベンシーの自己評価を
定期的に実施し、取締役会に報告することが求められる」
とあるだけで、それを当局に提出するとは書いてありません。

指針案では、新たに「統合的リスク管理態勢ヒアリング」が
設けられています。
ですが、これまでのERMヒアリングは20社強が対象でした
(しかも、グループベースのヒアリングでした)。

もしかしたら、しばらくは任意のアンケートとして提出を求め、
義務化はしないということかもしれません。
ただ、これでは第三者に説明するのが難しそうです。
当局向けにはサマリー提出という手もあると思うのですが。

もっとも、全社のアウトプットを受け取ると規定した場合には、
受け取った内容を誰がどう確認し、どう対応するのかなど、
それはそれで大変だとは理解できます。

※せっかく青山に行ったのに、イチョウ並木はこんな感じでした。

 

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「生命保険料 下げやすく」

 

2日(土)の日経に標準利率見直しに関する記事が出ています。
一時払いの貯蓄性商品について、現在よりも標準利率を
市場動向に連動しやすくするようです。

まだ金融庁からの公表はなく、あくまで観測記事ですが、
朝日新聞による観測記事(1月)よりもかなり具体的なので、
ようやく内容が固まったということなのでしょう。

標準利率は「生命保険料算出の基準」とありますが、
正確には(標準)責任準備金を計算する基準であって、
保険料の基準となる予定利率は各社が独自に決めています。

今年4月からの標準利率引き下げを受けた各社の対応は
結構ばらついていましたよね。

ただ、例えば標準利率よりも予定利率を高く設定すると、
責任準備金を積み立てるのが難しくなります。
このため、保険会社が標準利率から大きく乖離した予定利率を
設定することはなく、価格競争の歯止めとなっています。

確かに現行の規制では金利上昇時に標準利率がついていかず、
生保の貯蓄性商品の競争力は相対的に落ちてしまいます。

とはいえ、標準利率が金利上昇についていきやすくなることと、
各社がどのような予定利率を設定するかは別の話です。

超長期に固定利率を保証することの難しさは、現在も抱えている
高予定利率契約の負担で身にしみていると思います。
ALM(資産・負債の総合管理)の重要性が一段と高まりますね。

「いざとなったら保障性商品の利益で補填すればいい」
などと言っている人はいませんか?

なお、新たな予定利率が適用されるのは新契約だけです。
すでに販売した予定利率の低い終身保険が、金利上昇時に
どうなるかという問題は残ります。
予定利率の高い保険に「転換」なんて手があるのでしょうか?

※写真は「京の台所」として知られる錦市場です。

 

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新しい金融検査・監督

 

金融庁検査が何かと話題になっていますが、
1週間前の週刊金融財政事情(2013.10.21)に
森信親検査局長のインタビュー記事が載っていました。

タイトルは「金融検査の見直しの真意」。
もちろん「金融モニタリング基本方針」に関する内容です。

森局長は金融検査見直しの方向性として、

1.個別金融機関の検査間隔ごとの定点観測から、
  常時対話をして金融機関の動向を「リアルタイム」で
  把握する方法へ

2.ミニマムスタンダードを満たしているかの検証に加え、
  「ベストプラクティス」を業界にフィードバックするなど、
  金融業全体のレベルアップという観点からのモニタリング

3.重要なテーマについて「業界横断」的に実態を分析・把握し、
  改善策を検討するという観点からのモニタリング

の3つを挙げています。

「リアルタイム」「ベストプラクティス」「業界横断」が
キーワードなのだそうです。

暴力団融資の問題で金融検査も批判にさらされていますが、
改革を進め、オン・オフ一体のモニタリングに期待したいです。

もっとも、きんざいの記事でのなかで、保険会社に関する部分は
限られていました(媒体が「きんざい」だからかもしれません)。

「保険会社のモニタリングも変わるのか」という問いに対し、

「業界共通の課題について横断的にみていくことになる」

とあるのですが、課題として挙げられた内容は、
生保が「少子高齢化に伴う市場の縮小にどう対応」
損保が「海外展開に伴う課題」という例示。

公表されている水平的レビューの検証項目には
2ページにわたり検証候補が挙げられているとはいえ、
もう少し具体的なコメントがあってもよさそうなものですね。

「保険でも同じようなモニタリングチームを編成していきたい」
すなわち、個社別業態別のモニタリングチームに加え、
「リスクカテゴリー別の専門チームを編成」という記述もありました。

銀行と保険会社では事業・リスク特性が違うので、
例えば同じ「市場リスク」でも、銀行の専門チームが
同じ目線で保険会社を見ることはできないと思います。

ですから、同じようなモニタリングチームを作るとなると、
業態別チームに加え、保険独自の専門チームが必要ですね。

※京都では紅葉が始まっていました。

 

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保険の国際規制

 

今月は保険代理店向けメールマガジン「inswatch」に
出稿する月でして、今回は10日の日経1面に載った
国際的な保険規制の流れについて書きました。
inswatchのHPへ

記事はinswatchでご覧いただくとして、
保険の国際規制の動きがわかりにくいのは、
2つの話が同時進行しているからだと思います。

銀行では、もともとバーゼル規制があるところに
金融危機が発生し、金融システムが大きく動揺
(米国や英国などでは公的資金が使われましたね)、
バーゼル規制を強めるとともに、金融システム上
重要な金融機関を対象に、追加的な規制ができました。

「大きすぎるから潰せない(=だから税金を使う)」から、
「大きくても税金を使わずに潰す」への転換です。
金融危機後に設立されたFSB(金融安定理事会)が
規制作りを進めています。

保険では、銀行のバーゼル委員会にあたる
IAIS(保険監督者国際機構)は存在するものの、
バーゼル規制に相当する国際的な資本規制はありません。

AIGの経営危機で当局どうしの連携が難しかったこともあり、
IAISは世界共通の保険監督の枠組み作りに着手しました。
これが「コムフレーム」で、対象となる国際的な保険会社を
「IAIG」と言います
(10日の日経はこちらの話でした)。

他方、「大きくても税金を使わずに潰す」は銀行だけではなく、
保険会社も対象です。AIGに公的資金が投入されたことが
強く影響していると思います。

FSBは金融システム上重要な保険会社を対象にした、
銀行と同じような規制作りに取り組んでいます。
この対象となった保険会社が「G-SII」です。

このように、保険では2系統の国際規制作りが同時に
進んでいることを知らないと、10日の日経を見ても、
何のことかさっぱりわからないと思いますので、ご参考まで。

※この週末は肉体労働でした。腰にきますね。

 

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金融モニタリング基本方針

 

4日に「ERMヒアリングの実施とその結果概要について」、
6日に「平成25年度 金融モニタリング基本方針」と、
金融庁HPが盛り上がっています。

今回は「金融モニタリング基本方針」についての印象を。
金融庁HPへ

もともと金融庁のモニタリングはオンサイト(=立入検査)と
オフサイト(=監督による情報収集)から成っていて、
「オン・オフ一体」「両局の協働」がうたわれてきました。
ですから、今回もその延長線上にあると見ることができます。

ただ、今回の金融モニタリング基本方針をみると、
担当検査官と専門チームが実施する「水平的レビュー」
(大手生損保も対象です)では、確認票に基づく指摘を行わず、
検査結果を踏まえた監督局による報告徴求も実施しないとか。

「模擬金融庁検査」を実施した某銀行には気の毒^^ですが、
従来の立入検査とはかなりテイストが異なりますね。
検査局がオフサイト・モニタリングを手がけるように読めます。

他方、同じ日に「平成25年度 監督方針」も公表されていて、
こちらは前年度から大きく変わっていません。

保険会社等向け監督方針をみると、重点分野の1つには
今事務年度も「リスク管理の高度化の促進」とあり、

「高度化促進に当たっては、保険会社によるリスク管理態勢
 に関する自己評価やERMヒアリング等の実施により(後略)」

とのこと。金融モニタリング基本方針の「水平的レビュー」の
検証項目にも「統合的リスク管理及び資産運用」とあるので、
両者の関係がどうなっているのか気になるところです。

横断的な分析は有益ですが、広く浅くで終わってしまったら、
これまでよりも問題把握が遅れてしまうこともありえます。
個別テーマについてどこまで深掘りできるかどうか
(さらに言えば、個別テーマをどう設定するか、でしょうね)。

今回の新たな試みに注目しましょう。

※京都は町のあちこちに歴史の痕跡が残っていますね(写真)

 

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破綻か再建か

 

6月に慶応大学理工学部・経済学部で行った
生命保険の講義のなかで、次の課題を出しました。

「あなたが金融庁で保険行政に関わっているとします。
 担当している会社の経営内容が悪化し、
 経営破綻に陥る可能性が高まっています
 (ただし、当社の経営危機は表面化していません)。
 担当者として次のどちらを選びますか。

 (1) 再建の可能性があるかぎり、ギリギリまで再建の道を探る。
 (2) 再建の可能性が小さくなったので、速やかに破綻させる。」

学生の皆さんの回答はどうだったかというと、
(1)が37人、(2)が32人、その他が4人となりました。

講義で過去の破綻事例の話をしたので、
(2)の早期破綻を選ぶ人が多いと予想したのですが、
結果は見事に分かれました。

(1)を選んだ主な理由
 ・破綻させると契約者だけでなく、経済全体への影響が大きい
 ・過去の破綻事例を見ると、当局の支援で再建する道はある

(2)を選んだ主な理由
 ・早いうちに破綻させたほうが損失が少ない
 ・この時点からの再建は、当局支援があっても非常に困難

現実の世界では、「早いうちに対応したほうが破綻コストが少ない」
という考えに基づく枠組みではあるものの、金融システムへの
影響を考慮し、破綻前に公的資金を投入した事例もありました
(今は「大きくても破綻させる」仕組みを作っていますね)。

過去の事例を見ると、延命を図ったばっかりに
傷口を広げたケースが散見されます。

他方、ある行政OBに聞いたところ、○○生命が経営破綻した後、
株価が上がらないことを祈ったとか。
「どうして破綻させたんだ」という話になってしまうからです。

つまるところ、経営破綻に陥る可能性が高まってからでは
遅いのかもしれません。

それにしても学生の皆さんは、私の講義を聞きながら、
一生懸命考えてくれたようですね。読みごたえがありました。

※夏休みが終わり、築地市場に賑わいが戻ってきました。

 

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保険とシステミックリスク

 

19日の保険毎日新聞に、システミックリスクに関する
ジュネーブ協会による調査結果が紹介されていました。

この調査は、ジュネーブ協会がシステミックリスクに関する
銀行と保険会社を比べたものです。
日本勢は日本生命、第一生命、東京海上が入っていました。
調査結果(PDFファイル)

ジュネーブ協会は世界の主要保険会社をメンバーとする
非営利のシンクタンクです。
世界の保険関係者が意見交換を行う場にもなっています。
ジュネーブ協会のHPへ

リーマンショックを受けて、銀行についてはG-SIBs
(グローバルにシステム上重要な銀行)が選定され、
自己資本の上乗せが求められることになりました。

保険会社についてもG-SIIs、すなわちグローバルにシステム上
重要な保険会社への規制が検討されています。

これに対し、「保険会社が破綻してもシステミックリスクを
もたらさない」というのが保険業界の主張です。

確かに今回のジュネーブ協会の調査結果を見ても、
保険会社がシステミックリスクを引き起こす可能性は
銀行に比べるとかなり小さいことがわかります
(Level3資産の割合は意外に大きいのですね)。

ただし、システミックリスクがないのかと言われると、
そのような主張が受け入れられるのは難しい情勢です。

例えば日本銀行の白川総裁は昨年のIAIS総会で、

「保険会社の経営不安や破綻は、貯蓄性保険商品の解約や
 市場の心理的動揺などを通じて、金融システム全体の
 不安定化につながる可能性は否定できません」

という講演を行っています。

金融審議会WGでも、

「伝統的なシステミック・リスクはなくとも、マーケット型の
 システミック・リスクにより、連鎖的に金融市場の混乱を
 もたらすことはありうる。特に、金融商品を大量に保有している
 金融機関は、市場における金融資産の価格の変動を通じて、
 市場において新しいシステミック・リスクを引き起こす可能性がある」

といった議論が行われているようです。

 

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健全性規制の動向

 

ニッセイ基礎研究所の荻原邦男さんが
「生保会社の健全性規制の動向(1)」というレポートを出しています。
(1)とあるので、何回か続くのかもしれません。
ニッセイ基礎研HPへ

第一回目のテーマは、
「日米欧の健全性規制で現在何が問題となっており、
 それはどのような歴史的経緯によるのか」
でした。

詳しくはレポートに譲りますが、EUでは
・ソルベンシーⅡが円滑なスタートを切れるかどうか
・ソルベンシーⅡの同等性評価による他国への影響
に注目とのこと。

他方、米国では「ORSA(Own Risk and Solvency Assessment)」
というリスクとソルベンシーの自己評価制度の導入について
紹介しています。

荻原さんが米国ORSAに注目する理由は、次の通りです。

・米国の監督規制は基本的にルール・ベース(細則主義)色が強い。
 ORSAはプリンシプル・ベース(原則主義)の規制であり、
 どのように運営がなされるのか。

・リスクの自己評価は、つまるところソルベンシーⅡにおける
 経済価値的評価につながるもの。
 「従前路線の踏襲」とどのように併存していくのか。

・どの国にも共通するが、ORSAの実施は民間だけでなく、
 監督サイドに相当な資源が必要になるものと考えられ、
 米国がどのように対応するかも焦点のひとつ。

さすが荻原さん。鋭いコメントだと思います。

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※日本の郵便制度は英国を参考にしたそうですが、
 ポストの色まで参考にしたのかどうかは不明です。
 最初(1871年)の日本のポストは黒かったようですし、
 英国で赤いポストが登場したのは1874年とのこと。

 

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