
保険代理店向けメールマガジンInswatch Vol.1344(2026.9.14)に寄稿した記事を当ブログでもご紹介いたします。
後期の授業が始まりましたが、来週は前半がお休みです。もっとも、大学は祝日が授業日となることも多く(特に月曜日)、今年の後期は11/23に授業があります(勤労感謝の日なのに・・・)
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生命保険会社の販売動向をつかむうえで、新契約年換算保険料(ANP)は保険料収入や新契約高よりも役に立つ指標です。保険料収入は既契約からの保険料を含むうえ、一時払いの貯蓄性商品の販売動向にも大きく左右されます。新契約高は保障金額の合計なので、死亡保障を主力とする会社以外ではあまり役に立ちません。
新契約ANPも一時払商品の販売動向に左右されるという弱点がありますが、法令の改正によって、今年のディスクロージャー誌(2025年度決算データ)から内訳が開示されるようになりました。これまでの「個人保険」「個人年金保険」「第三分野(医療保障・生前給付保障等)」というくくりだけではなく、「平準払」「一時払」それぞれについて保険種類ごと、かつ、主要通貨別のANPの開示が始まりました。
開示からわかること
例えば、6月28日の個人ブログでご紹介したとおり、大手生保4社(日本生命、第一生命、住友生命、明治安田生命)の新契約ANPは総じて好調に見えます。しかし、平準払に限ると増収だったのは第一生命と住友生命だけで、日本生命・明治安田生命の2社は円建ての一時払商品が急増したことが全体の増収につながりました。
業界全体で見ても、平準払が伸び悩む一方、ここ数年は一時払の増収が続いています(こちらのデータは生命保険協会のサイトで公表しています)。特に25年度は円建て一時払商品の増収が目立ち、コロナ前は全体の3割に過ぎなかった一時払の割合が、平準払とほぼ同じ水準に達しました。
つまり、もともと存在していた貯蓄ニーズが、円金利の上昇を受けて顕在化したとともに、保障性商品(第一分野・第三分野)の販売はコロナ前の水準を回復できていないという姿が見てとれます。
同じ損保系でも・・・
損保系生保3社(あんしん生命、MSA生命、ひまわり生命)のデータも確認してみましょう。3社とも生損保クロスセルと、生保プロ・保険ショップといった一般代理店チャネルを中心に展開していますが、新契約ANPの動向にはそれぞれ違いが見られます。
あんしん生命は変額保険が平準払の5割弱を占め、第三分野と2本柱になっています。このところ第三分野の新契約の減少が目立つ一方、25年度には円建ての一時払商品が全体を下支えしました(あくまで新契約ANPの数字についてです)。
MSA生命は変額保険も一時払商品もなく、平準払の第三分野と第一分野(定額)を主力に据え、総じて大きな変動がないという印象です。兄弟会社のMSP生命が一時払商品に特化しており、こちらでは25年度は円建て商品の増収が目立ちました。
ひまわり生命も一時払商品を手がけず、平準払の第三分野と第一分野が中心です。第一分野では近年、定額だけではなく変額保険も提供しています。もっとも、あんしん生命ほど変額シフトを進めてはいないようです。
金融庁は初年度手数料に注目
保険販売に関わる皆さんにとっては代理店手数料が会社の売上高なので、新契約ANPではなく手数料(特に初年度手数料)を見ているのではないかと推測します。
これに関して、金融庁が8月6日に公表した「2026年保険モニタリングレポート」に、医療保険の初年度手数料水準(新契約ANPに対する初年度手数料の割合)と販売量の関係を見たグラフが載っているのをご存じでしょうか(39ページ)。金融庁は「このグラフからは、初年度手数料水準を高くすれば販売量が多くなる(逆に、初年度手数料水準が低ければ販売量が低調にとどまる)という関係性が類推される」と述べ、「さらなる分析を行い、『代理店手数料と比較推奨販売の関係性』について、引き続きモニタリングを継続していく」としています。
直近調査では、初年度手数料水準の平均は150%程度でした。皆さんには当然のことかもしれませんが、顧客は自分の支払った保険料の1年半分が代理店手数料として使われているとは想像もつかないでしょう。しかし、近年明らかになった数々の不祥事を踏まえると、こうした手数料体系の見直しが近づいていると認識したほうがよさそうです。
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※写真は福岡大学です。

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