
保険代理店向けメールマガジンInswatch Vol.1336(2026.7.13)に寄稿した記事を当ブログでもご紹介いたします。写真は昨年ゼミで訪問した熊本地震の現場です。
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中小企業の地震保険加入率は低い
先日、私のゼミ(大学3年生と4年生の約20名)で、熊本に本拠を置く保険代理店の皆さんに熊本地震の体験を踏まえた講義を行っていただきました。その際に、2016年の熊本地震を受けて、熊本県では家計向け地震保険の加入率が急上昇する一方、中小企業の多くは地震をカバーする損害保険に加入していないという話になりました。
日本損害保険協会は21年から中小企業を対象に「リスク意識・対策実態調査」を行っています。直近の25年調査によると、企業を取り巻くリスクとして多くの会社が「自然災害(地震・風水災等)」を挙げ、約8割が地震危険補償特約を「知っている」「聞いたことがある」と回答したにもかかわらず、勤務先が地震危険補償特約に加入している割合は30.9%でした。しかも、調査のたびに加入割合が下がる傾向にあります。
参考までに、火災保険は58.6%、休業補償保険は11.3%、会社役員賠償責任保険は9.1%、サイバー保険は8.8%でした。
自分のところは大丈夫
調査では、地震をカバーする保険に加入していない理由も聞いています。回答の上位は「わからない・特に理由はない(38.2%)」「リスクが発生する可能性は低いと考えているため(26.0%)」「対策をする費用に余裕がないため(10.5%)」「リスクによって生じる影響・損失がわからないため(8.0%)」となっていて、火災保険と同じ傾向でした。
興味深いことに、21年調査や22年調査では「対策をする費用に余裕がないため」という回答が、「リスクが発生する可能性は低いと考えているため」を上回っていて、「保険料を他のことに使いたいから」という回答も上位を占めていました。当時は新型コロナ禍の影響で業況が悪く、当時に比べれば業況が回復したということでしょうか。
22年3月の福島県沖地震、24年1月の能登半島地震のように、その後も多額の保険金を支払うような地震が発生しています。「リスクが発生する可能性は低いと考えているため」という回答は、単に「自分のところは大丈夫だろう」というだけで、地震リスクをそれほど深刻に受け止めていないのかもしれません。
公助への過度な期待?
中小企業が地震リスクをそれほど深刻に受け止めない背景の1つとして、おそらく「何かあったら政府が助けてくれる」という意識もあるのではないかと見ています。
熊本地震では、被災した中小企業の施設・設備の復旧を支援するグループ補助金が提供されました。復興のリード役となりうる2社以上がグループを構成して復興事業計画を策定し、県の認定を受ければ、復旧費用の75%の支援を受けられる制度でした。能登半島地震でも、補助率75%の「なりわい再建支援補助金」があり、さらに、自己負担分に使える5年間無利子の特別融資もありました。
補助金申請には一定のハードルがあるとはいえ、こうした近年の事例が、結果として公助への過度な期待を生じさせている可能性はありそうです(チャリティ・ハザードと言います)。公助には限界があり、自助を促すような公助のあり方を模索すべきなのでしょう。
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※いつものように個人的なコメントということでお願いします。
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