コロナと損保決算

最近発表された3メガ損保の決算資料やIR資料を眺めていると、損保グループでもコロナ関連の給付金支払いがかなりの金額で発生していることがわかります。

まず国内生保事業では、あんしん生命が約90億円、MSA生命が113億円、ひまわり生命が218億円の給付金支払いがありました。大半がみなし入院に伴う支払いだと考えられます。

これに加え、国内損保事業でも給付金支払いが発生しています。東京海上日動が220億円、三井住友海上が206億円、あいおいニッセイ同和が86億円、損保ジャパンが131億円です
(4社合計で643億円)。
種目別には「傷害保険」となっていますが、主に医療保険ではないかと。

さらに目を引くのは、台湾での損失計上です。東京海上グループは通期で960億円の関連損失、MS&ADグループは同200億円の支払いを見込むと発表しています。
台湾では2021年以降、損保業界によるコロナ保険の販売が広がっていたようです。ところが台湾政府は今年4月、それまでのゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に転換し、感染者数が急増したため、台湾の損保業界全体が多額の支払いを迫られることになりました。東京海上グループが49%分を出資していた新安東京海上も増資が必要な状況となり、9月末に株式を追加取得して子会社にしました。

なお、自動車保険の損害率が顕著に上昇している(特にEIベース)のは、コロナの影響(交通量の回復)のほか、ひょう災など自然災害による支払いが多かったためです。とはいえ、自然災害を除くベースでみても、MS&ADの2社の損害率はコロナ前の水準を上回るところまで戻っており、今後の動向に注目です。

※写真は朝の岡山城です。

 

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上場生保の決算発表から

上場保険グループの4-9月期決算が発表されましたので、このうち生保(上場生保と損保の生保子会社)の注目指標をざっと眺めてみました。

4-9月期の生保事業は、①コロナ関連給付金支払いの影響、②内外金利上昇およびヘッジコスト上昇の影響、③円安の影響などなど、久しぶりに注目材料が目白押しです。加えて、それぞれの影響がどこにどのような形で出てくるのかにも注目です。
とはいえ、上場保険グループの決算資料をまだざっと眺めただけなので(すみません)、ここでは2点だけコメントしておきます。

1つは①に関して。第三分野にあまり注力してこなかった大同生命とソニー生命を除き、損益計算書の「給付金」が前年同期の1.5倍程度に増えています。9月下旬に支払い基準の見直しを行わなかったら、通期ではすごいことになっていたでしょう。

もう1つは②のうち、内外金利上昇の影響で「実質純資産(実質資産負債差額)」が大きく減っていることです。
現行のソルベンシー規制において、金融庁はソルベンシー・マージン比率とともに実質純資産の確保を求めています。ただし、実質純資産は単純に時価ベースの資産から負債(資本性の高いものを除く)を差し引いて計算するので、金利リスク削減のために超長期債を保有していると、この4-9月期のように超長期金利が上昇すると、数値が減ってしまいます(負債はいわば簿価ベースなので)。
金利上昇によって、経済価値ベースでは健全性が改善しているはず(フルヘッジであれば横ばい)なのに、現行基準ではむしろ悪化するように見えてしまうということで、私はかねてからこの指標を速やかに廃止すべきと主張してきたのですが…金融庁やメディアが妙な反応をしないことを期待します。

今週中には非上場の生保決算が概ね出そろうのではないでしょうか。

※写真は福岡城址です。秋ですね。

 

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保険専門団体の年次大会

今週のInswatch Vol.1160(2022.11.14)に寄稿した拙文をブログでもご紹介します。
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保険産業に深い関わりのある専門団体として、「日本アクチュアリー会」「日本保険学会」があります。先週の飛び石連休に両団体の年次大会がそれぞれ開催され、私も参加してきました。

アクチュアリーとは

皆さんは「アクチュアリー」をご存じでしょうか。
保険販売の現場や損害査定の場面など、保険産業は総じて人と人との生々しいやり取りに満ちあふれています。でも、皆さんが提供している保険のしくみそのものは、確率・統計の技術を駆使して成り立っています。将来の保険金支払いを確実なものとするため、日々活躍しているのがアクチュアリーです。
一般的には、難関と言われる資格試験に合格し、日本アクチュアリー会の正会員・準会員となった人のことをアクチュアリーと呼びます。

例えば、保険会社の取締役会は、「責任準備金が適切に積み立てられているか」「保険事業の継続性に問題はないか」などを確認するため、アクチュアリー(正確には日本アクチュアリー会の正会員で、一定の業務経験があるアクチュアリー)を「保険計理人」として選任しなければなりません。
また、生命保険会社は法令により、政府が定めた標準死亡率をもとに責任準備金を積み立てる義務がありますが(標準責任準備金制度です)、この死亡率を作成しているのは日本アクチュアリー会です。

なお、アクチュアリーが活躍するフィールドは保険会社(商品開発や責任準備金の計算など)だけではありません。将来の不確実な事象を評価するのが専門なので、企業年金やリスクマネジメント、最近ではデータサイエンスの分野など、活躍の場面が広がっています。

日本保険学会とは

他方、日本保険学会は社会科学系では最も古い歴史と伝統のある学術団体の1つです。「保険に関する研究と保険研究者相互の協力を促進し、かつ、国内外の関係学会、関係団体との連絡および交流を図ること」を目的としています。

学会員には法律系の研究者と、経済・商学系の研究者の両方がいます。例えば、同じ「自動運転車の普及」をテーマに取り上げても、法律系の研究者であれば、「事故発生時の責任関係はどうなるのか」「被害者はどう救済されるのか」などに関心を持つでしょうし、経済・商学系の研究者は、「保険産業にどのような影響を与えるのか」「保険の役割はどうなるのか」などを研究します(あくまでイメージです)。

こう書くと、なんだか敷居が高そうに見えてしまいますね。実は学会員の7割近くが保険産業に関わる実務家でして、学会では大学研究者と保険実務家が広く交流し、活発な意見交換を行っています。
私自身も、2020年からは大学研究者に該当しますが、それ以前から保険実務家として年次大会のパネルディスカッションに登壇したり、機関誌『保険学雑誌』に寄稿したりしてきました。

気候変動リスクへの対応

先週開催された両団体の年次大会では、いずれも多くの興味深い報告・パネルディスカッションが行われました。そのなかで、比較的近いテーマもあり、私はその両方に参加してみました。
日本アクチュアリー会の「あしたのために、その一:気候変動リスクマネジメント アクチュアリーもやもや解消レシピ」という、ちょっと変わったタイトルのパネルディスカッションは、気候変動リスクに対応する際の「もやもや感」を解消しようというものでした。リスク評価の専門家でも、最近の気候変動リスクをめぐる世界的な動きについては、どこか釈然としないものを抱えているのですね。

他方で、日本保険学会のシンポジウム「社会課題の解決に向けた保険の意義と課題」では、実務家から気候変動リスク対応などに関する国際的な議論の説明と、保険会社・共済団体によるSDGsへの取り組み状況の紹介がありました。
話を聞いていて、「経営としてSDGsへの取り組みをどう位置付けているのか」「契約者や株主はこのような取り組みをどう評価しているのか」など、いろいろ考えることができたのは大きな収穫だったと思います
(「もやもや感」は残りますが・・・)。
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※写真は京都・真如堂です。

 

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「フクダイズム」に登場しました

なんと大学から取材を受け、FUKUDAism(フクダイズム)というサイトに登場してしまいました。
このところコロナの保険に関する取材が続き、大学の広報部門ともつながりができたので、その流れでこちらに登場することになったのではないかと思います。よろしければご笑覧ください。
サイトはこちらです。

取材を受けることになり、サイト内を眺めていたら、卒業生にNHKニュース「おはよう日本」でおなじみの気象予報士・近藤奈央さんが福大OGであると知りました(こちらです)。彼女は卒業してから気象予報士を目指し、見事合格。毎朝楽しく観ているので、卒業生だとわかってうれしかったです。

※写真は京都の南禅寺と永観堂です。
 紅葉がきれいでした。

 

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生保の下半期運用方針

1週間ほど前に、主要生保がメディア向けに下半期の運用方針説明会を開いたようで、それによると、「ヘッジ外債の投資妙味が薄れている」(ロイター記事より)ことからヘッジ付外債の残高を減らす一方、超長期債(円建て)への投資を増やすとのことでした。

ただし、コメントをよく見ると、超長期債の購入にあたり「負債コスト」(おそらく平均予定利率)を強く意識している会社がいくつかあるようで、どこか違和感を感じました。「個人保険も団体年金も同じどんぶり勘定?」ということではないでしょうけど、「平均予定利率を上回るから金利リスクの削減ができる」という考えが、私にはしっくりこないのですね。
というのも、円金利の上昇によって経済価値ベースのソルベンシーは増加しているはず。リスクへの耐久力が高まってからリスク削減を加速するというのはどうしてなのでしょうか。決算発表の際にはぜひご説明いただきたいです。

他方で、上半期の注目ポイントの1つは為替ヘッジコストの急上昇による影響です。ヘッジ付外債は円債の代替ではなく、海外の長短金利差などをリターンの源泉とした投資です。金融市場の動向次第でうまくいくときもあれば、失敗するときもあります。この上半期はヘッジコストが急上昇(ざっくり1%⇒4%)したため、同じ年限の円債よりも利回りが相当悪化したものとみられます。
もちろん、外部環境の変化を受けて、機動的な対応ができた会社もあったかもしれません。とはいえ、日銀の金融システムレポートによると、大手9社のヘッジ付外債は10年前から倍増し、2021年度末には30兆円を超えています。上半期に損失覚悟で売却を進めたとしても、全体として厳しい結果となった可能性があります。運用方針説明会で記者さんはそうした質問をしなかったのでしょうか?

※この週末は日本保険学会の年次大会でした。

 

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2022年版の生保・損保特集号

週刊東洋経済の臨時増刊『生保・損保特集』2022年版が出ました。
例年どおりの社長インタビューに加え、生保・損保ともに金融庁レポートの解説があり、もう少し中村記者の面白い(鋭い)記事が読みたかったというのが全体としての感想です。この媒体では難しいのかもしれませんが…

そのなかで、ややマニアックではありますが、今回のイチ押しは、トムソンネットの板倉さんによる「世界市場で進む標準化 再保険ビジネスの展望」でした。この20年間で世界の再保険ビジネスがどのように変化し、日本の損害保険会社(元受会社)が現在どのような状況に置かれているかということを、なんと8ページにわたって述べています。
例えばこんな記述もありました。

「(再保険市場で生じた詐欺事件に関連して)再保険のように保険のプロ同士が相手にリスクを転嫁することで自社の財務保全を図るシステムは、もともと逆選択リスクを取引するババ抜きゲームであることを肝に銘じるべきだ」(85ページ)

「日本の損保市場の縮小が続く中、再保険市場から見れば、十分な保険料を得ることができない割には、大規模自然災害で巨額の再保険金を払わされる市場という印象を持たれても仕方がない状況ともいえる」(89ページ)

「アジアにおける再保険を含む外国系損保会社の出先機関のハブは、ほとんどの場合、東京ではない。(中略)東京は、アジアの保険市場のハブとはなりえないということを見せつけられている現象である」(同)

他の記事では、生保の乗合代理店の評価制度を取り上げた「代理店業界の注目集める業務品質評価制度の行方」が、部外者(=私)にも読みやすい記事でした(44ページ~)。
そもそも「業務品質」を評価できるのかという疑問はさておき(業界の自主規制のようなものと考えればいいのでしょうか?)、評価基準を作るうえで契約継続率について保険会社と代理店で意見が分かれ、結果として「(継続率を)定期的に把握・分析し、解約理由・経緯等を踏まえ、必要に応じて改善策を実施している」という評価基準に落ち着いたとのこと。
代理店側の主張は「毎年数多くの新商品が発売される環境で、継続率を気にするあまり、保障内容が見劣りする商品の契約を放置しておくのは、顧客本位に反する」というものだそうですが、顧客からするとやや違和感があります。

例えば定額の保険料を支払い続ける終身医療保険の場合、若いうちはリスクが小さいので、いわば割高な保険料を支払っている状態が続き、保険期間全体でバランスがとれるようになっています。ですから途中で解約してしまうと、確実に損をすることになるはずです(特に解約返戻金がない場合)。顧客本位ということであれば、解約・新規ではなく、既存の商品に新たな保障を追加するのが本来あるべき姿だと思うのですね。
まずは商品を提供するメーカー(保険会社)の問題ではありますが、代理店がそこまで踏まえたうえで主張しているのか、議論のなかでそのような話はなかったのか、知りたいところです。

※キリンコスモスフェスタに行ってきました(先週の写真です)。

 

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金融リテラシー調査

日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会では、個人の金融リテラシー(お金の知識・判断力)の現状を把握するため、3年に1度のペースで金融リテラシー調査を行っています。
最新の調査結果(2022年版)は7月に公表されており、論文指導の関係でデータを確認する機会がありました(私のゼミでは金融教育に関心を持つ学生が多いのです)。改めて感じたのは、同じ若年層だからといって、大学生と若年社会人を一くくりにしてはいけないということです。

金融リテラシーの正誤問題は、年齢層が高いほど正答率が高くなる傾向がきれいに出ています。本調査での若年社会人は18~29歳、学生は18~24歳で、正誤問題の正答率はそれぞれ42.4%、40.8%でした(若年社会人 > 大学生)。
どこで差がついたのか内訳を確認すると、生活設計を問う質問と、金融知識を問う質問のうち「保険」「ローン・クレジット」「資産形成」の正答率に差があるとわかりました。当たり前といえば当たり前ですが、社会に出ているかどうかの違いがこの結果に表れているのでしょう。

他方でこんなデータもありました。正誤問題の正答率と金融知識についての自己評価をそれぞれ指数化して、「金融リテラシー・ギャップ」(客観的評価と自己評価を比較)として示したものを見ると、若年社会人が▲23.7、学生が▲13.0と、若年社会人の「自信過剰」が際立っていました。金融トラブルを経験したことのある割合も、若年社会人の9.0%に対し、学生は2.5%にとどまっています。
なかでも衝撃的だったのは、金融教育を受けた経験があると答えた若年社会人の金融リテラシー・ギャップが▲41.9と大きく(学生は▲5.2)、金融トラブル経験者の割合も大きい(17.4%)という結果です。自己評価だけが高まってしまうと、かえってトラブルを招いてしまいやすいのでしょうか。この調査だけで判断するのはやや乱暴ですが、形だけの中途半端な金融教育はむしろ害になりかねないことを示唆しているように思えます。

※二条城に行ってきました。歴史を感じますね。

 

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金融庁の「保険モニタリングレポート」

今週のInswatch Vol.1156(2022.10.17)への寄稿は先月に続いて金融庁ネタでした。ブログでもご紹介いたします。元の資料はこちらになります。
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保険行政に特化したレポート

先月の寄稿では2022事務年度の金融行政方針を取り上げ、保険に関する記述が少ないと悪態をついてしまいました。これに対し、9月30日に金融庁が公表した本レポートは、以下の目的を達成するために策定・公表したもので、全64ページすべてが保険に特化したレポートです。

・保険行政の透明性を高める
・保険会社との対話・モニタリングにより保険行政の高度化を図る
・保険業界が将来にわたり社会的役割を果たすための取り組みを促す

金融庁が考える保険会社の諸課題

レポートで金融庁は、保険会社にとって重要と考えられる課題について、昨年度(事務年度。以下同じ)に行政として何を行い、今年度はどのような方針で取り組むかを示しています。今回のレポートで挙がっている課題は以下の通りです。

【持続可能なビジネスモデル】
・ビジネスモデル対話
 ※中長期的な視点に立ったビジネスモデルの構築:植村注
・デジタル化へ向けた取り組み

【財務・リスク管理】
・グループガバナンスの高度化
・自然災害の多発・激甚化への対応
・財務の健全性の確保
 ※財務上の実態把握と対話、財務上の指標や規制のあり方の見直し
・マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策

【顧客本位の業務運営】
・営業職員管理態勢の高度化
・公的保険を踏まえた保険募集
・節税保険への対応
・外貨建保険の募集管理等の高度化
・保障内容の見直しに関する顧客視点に立った商品設計
・保険代理店管理態勢の高度化

【少額短期保険業者】
・財務の健全性及び業務の適切性の確保
・経過措置適用業者への対応

業界関係者には必読のレポート

金融行政方針の「実績と作業計画」に比べると、課題として挙がっているテーマ数はかなり多くなっていますし、昨年度に金融庁が何を行ったのかをより詳細に知ることができます。保険代理店に関する記述も多いので、関係のありそうなところだけでもご覧いただくことをおすすめします。

もっとも、昨年度版でも感じたことですが、本レポートは基本的には金融庁の活動報告であって、保険会社や保険代理店との対話やモニタリングを通じ、保険行政として現状をどう評価し、今後どうしていきたいのかという記述は控えめです。
例えばレポートによると、金融庁は自然災害リスク管理に関するモニタリングを一昨年度、昨年度と続けて実施していることがわかります。ところが今年度の方針でも「今後の大規模自然災害発生に備え、損害保険会社において、経営レベルでの論議も含め、自然災害リスク管理をどのように行っているか、引き続きモニタリングしていく」とあり、なぜ引き続きモニタリングしていく必要があるのか、これだけでは金融庁の意図がよくわかりません。保険会社には自然災害リスク管理を継続してモニタリングする理由を十分伝えているのかもしれませんが、行政の透明性という目的を踏まえると、今後はもう少し踏み込んだ記述を期待したいです。

なお、巻末のコラムでは「遺伝情報の取扱いについて」「新型コロナウイルス感染症による『みなし入院』に係る入院給付金等について」など、トピック的な行政対応が載っています。ただし、「生命保険会社の健全性と契約者配当について」だけは他のコラムと違い、金融庁が何かを実施したという記述がない「謎コラム」となっていて、秘かに注目しているところです。
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※キャンパスには秋のバラが咲いています。

 

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新型保険の加入率

お仕事の関係で、テレマティクス自動車保険と健康増進型保険がどの程度売れているのか調べてみたところ、次の資料を見つけました。備忘録代わりにこちらに記しておきましょう。

テレマティクス自動車保険

矢野経済研究所が「国内テレマティクス保険市場に関する調査」を実施していて、2021年度の個人向けテレマティクス保険の市場規模は2260億円。自動車保険料全体に占める割合は5.3%と推計したそうです。まだまだ普及率は低い状況のようですね。

気になる記述も見つけました。

「現在、テレマティクス保険の提供方法としては、大手損害保険会社を中心にドライブレコーダーを提供する形の商品が主流となっている。しかし、将来的にはコネクテッドカーの普及に伴い、OEM(自動車メーカー)側がコネクテッドカーに搭載したカメラや各種センサーを通じて直接データを取得する仕組みが整うことが想定される。そうした状況から、事故対応に必要なデータを損害保険会社側で直接収集できなくなる可能性がある」(プレスリリースより引用)

健康増進型保険

生命保険文化センターが3年ごとに行っている「生命保険に関する全国実態調査」のなかで、2021年度から健康増進型保険・健康増進型特約の加入率が公表されています。世帯加入率は4.2%です。医療保険・医療特約の世帯加入率が93.6%ですから、こちらも普及が進んでいるとはまだまだ言えない状況です。
世帯主年齢別の加入率を見ると、29歳以下の加入率がダントツで高くなっています。興味深い結果ではありますが、今回が初めての調査なので、次の実態調査を待ったほうがいいかもしれません。

※写真は東寺(教王護国寺)です。中には入れませんでした。

 

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健全性と契約者配当

9月30日に金融庁が2021事務年度のモニタリングの結果等について、2022年 保険モニタリングレポートを公表しました。すでに公表した「金融行政方針」を補足する資料という位置付けで、昨年から作成・公表しています。

詳細はレポートをご覧いただくとして、私が気になったのは巻末のコラムのうち、コラム④「生命保険会社の健全性と契約者配当について」です。コラムは全部で5つあり、他の4つはいずれも金融庁の取り組みを紹介しているのに対し、このコラムだけはそうした記述がありません。
あえて金融庁の意図を読むとするならば、「生命保険会社の健全性は十分な水準に近づきつつあると言える」「生命保険会社が適切に契約者配当を行っていくことが、より重要となっていく」という記述があることから、本事務年度の方針には挙がっていないとはいえ、有配当契約のあり方に強い関心を持っていることがうかがえます
(あるいは、すでに何らかのやり取りを業界と行っているのかもしれません)。

コラムでは各準備金の残高が年々増え続ける一方、毎期の配当準備金繰入額が概ね横ばいで推移している図表が載っています。ストックとフローの数字を同時に示されても困ってしまうと思いつつ、配当準備金繰入額の約8割は団体保険と団体年金の配当なので、個人契約者への還元はさらに低水準なのですから、金融庁の言いたいことは理解できます。
あとは、現行会計等の制約があるなかで、経済価値ベースの評価を踏まえた還元方針をどうしていくかでしょうね。

※宇治の平等院鳳凰堂です。

 

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