AIGの経営危機

 

前回に続き、システム上重要な保険会社の話です。

保険会社がシステム上重要とされる一つの根拠として
2008年のAIGの経営危機が挙げられます。

ただし、AIGの危機は保険本業によるものではなく、
デリバティブ事業の失敗が主因という反論も根強いです。

確かにAIGは、傘下のAIGFP社が証券化商品関連の
保証(クレジットデフォルトスワップ)を行っており、
金融危機の発生によって追加担保の拠出を迫られ、
資金不足に陥った結果、公的管理下に置かれました。

危機の原因がこれだけだと、保険本業とは別の事業と
言い切ることができそうです。

しかし、当時のAIGでは別の流動性問題も発生しました。
セキュリティーズ・レンディング(証券貸借)に伴うものです。

AIGは保有する債券を貸し出し、貸出料を受け取るほか、
担保として預かった現金を再投資していました。
言い換えれば、AIGは保有債券をもとに調達した資金を、
再投資していたことになります。

AIGは、流動性の低い証券化証券に再投資していたため、
レンディングの借り手から現金担保の返還を求められ、
資金不足が深刻になったというわけです。

保有する証券をもとに調達した資金を再投資することは
保険本業とは別の事業と言い切れるかどうか。
当時、セキュリティーズ・レンディングを行っていたのは
AIGだけではなく、他の大手保険会社も行っていました。

日本では、証券貸借=手数料収入かもしれませんが、
レバレッジ投資も可能という視点は重要かもしれません。

※写真は雪の新橋演舞場です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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