15日に開催された金融審議会「損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ」(第4回)では企業内代理店のあり方について議論が行われ、資料として金融庁による企業内代理店の実態調査の結果(の一部?)が示されました。調査対象は損保大手4社の委託先のうち、収入保険料で上位300社とのことです。
・名寄せベースの代理店数:736社
・うち企業内代理店:256社
・うち旧基準適用対象:173社
・規制見直しの対象(広義):73社
特定契約比率規制を見直した場合、規模の大きい企業内代理店のうち、少なくない数の代理店が影響を受けるという結果が示されました。
金融庁はこうした数量的な把握だけではなく、取引実態を把握するため、企業内代理店やその親会社の担当者等に対してヒアリングを行ったそうです。
これらを踏まえて出てきた金融庁の考え方が、「一定の実務能力を有し、企業にとってなくてはならない保険リスクマネジメント分野に貢献している代理店もある」「企業内代理店の多様な実態を鑑みれば、当該規制を一律に適用するのは適当とは言えない」「代理店としての『自立』の確保および『保険料の割引の防止』に問題がない企業内代理店は規制の適用除外とする」だそうです。
所用につきワーキンググループでの議論を傍聴できていないのですが、納得できる考え方ではありません。
代理店としての自立というのは、保険募集を行う組織として適切かどうかという話であって、どうしてこれが特定契約比率を適用するかどうかの判断基準となるのか理解できません。自立していない代理店は企業内代理店であってもなくても、そもそも廃業させるべきでしょう。
「保険料の実質的な割引の防止」というのも同じです。保険会社から見て、代理店として対価を払うべき仕事をしているかどうかという話が、どうして規制適用の判断基準になるのでしょうか。
そもそも企業のリスクマネジメントは本来、企業自身のコストで行うものですし、リスクへの対応手段は保険だけはありません。いくら企業内代理店がその企業の(保険)リスクマネジメントに貢献しているとしても、そのことを踏まえて規制の適用除外を認めるのであれば、企業のリスクマネジメントにかかるコストを保険会社が代理店手数料という形で負担することになり、理屈に合いません。
むしろ、こうした適用除外を設けてしまうと、他の保険代理店やブローカーとの競争が妨げられてしまい、ゆがんだ市場が続いてしまうのではないかと危惧しますが、いかがでしょうか。
※先週末も東京で登壇してきました。
※いつものように個人的なコメントということでお願いします。
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