先週のことですが、保険監督者国際機構(IAIS)が
国際的に活動する保険グループ(IAIGs)に適用する
リスクベースの国際資本基準(ICS)の市中協議文書を
公表しています。
このスイスからの素敵な「クリスマスプレゼント」は、
英文で159ページもありました(涙)
IAISのサイトへ
10月26日のブログで紹介した国際資本規制とは別に、
IAISは世界共通の保険監督の枠組み作りを進めており、
今回のICSはこちらの話です(参考:2013年10月14日のブログ)。
ちょっとわかりにくいですね。
対象となる「国際的に活動する保険グループ(IAIGs)」は
海外での保険料収入がグループ全体の10%以上を占め、
かつ、一定の規模(総資産または収入保険料)を満たす
保険グループと決められていて、日本勢としては、
3メガ損保グループと第一生命が該当するようです。
ただし、数値基準によらなくとも、行政当局の判断で
対象となる保険グループを決めることができるので、
最終的にどのグループが対象となるか、まだわかりません。
さて、市中協議文書をざっと眺めてみましたが、
肝心の資産・負債の評価方法については
「market-adjusted approach (市場整合的な手法)」と
「GAAP with adjustments approach (財務会計を修正)」
の2つが並存している状態です。
すなわち、米国との調整はこれからということで、
最終案にたどり着くにはまだまだ道のりが遠そうです。
ちなみに、2011年に採択された保険基本原則(ICP)では、
「資産・負債の評価は経済価値ベースである」
としたうえで、経済価値ベースの評価としては、
「市場整合的な評価」のほか、「償却原価による評価も
適切なものとなりうる」という決着が図られました。
ICSの最終化は2016年12月の予定ですから、
あと2年間しかありません。
今回はどのような決着が図られるのでしょうか。
日本への影響も大きいとみられるだけに、
引き続き注目していきたいと思います。
※いつものように個人的なコメントということでお願いします
※左の写真は日本テレビ、右は帝国ホテルです