メットライフが当局を提訴

 

保険の国際規制改革に関連した動きとして、
米国では規制当局が大手銀行とともに保険会社を
SIFIs(システム上重要な金融機関)に指定し、
FRBのもとで厳しい規制を課す動きがあります。

そのなかで、昨年末SIFIに指定されたメットライフが、
決定を不服として連邦地方裁判所に提訴しました。
MetLifeのサイトへ

SIFI指定の理由は、メットライフの規模や業務の複雑さ、
他の金融機関との結びつき(連鎖破綻の恐れなど)、
資産売却時の市場への影響などのようです。

これに対し、当局の決定は「恣意的で不透明」であり、
かつ、これから規制の枠組みができる状況の中で
今回の指定は「致命的に時期尚早」としています。
すごいですね。

提訴にあたり、外部機関を使った調査を行い、

・過去に大手生保が破綻しても、他の大手生保への連鎖は
 見られなかった(1994年のカナダの例などを示しています)

・強いストレス時でも、解約に伴う流動性確保のための売却が
 金融市場に大きな影響を及ぼすような規模にはならない
 (4種類のシナリオでテストしています)

といった結果も示しているようです。ご参考 → メットライフの訴状

関連する記事などを見ると、生保の保有債券について
規制当局は投資規模と時価下落の影響だけに着目し、
生保のALMについて果たして理解しているのだろうかと
思わせるような記述もありました。

ちなみにメットライフは、リーマンショック後にFRBが実施した
ストレステストにおいて、保険会社で唯一の対象となり、
2012年には不合格となった経験があります。
2012年3月のブログ「FRBのストレステスト」

この時も「保険会社に対するテストとして不適切」と反発。
その後、銀行事業を売却し、銀行持ち株会社から脱却
(=ストレステストの対象ではなくなった)しました。

前回紹介したダイヤモンドの記事でも書きましたが、
銀行と保険会社では様々な違いがあるにもかかわらず、
銀行と同じ枠組みで規制しようという現在の潮流には、
確かに違和感があるのですが、裁判の行方はどうなるでしょうか。

ところで、先日ご紹介した「保険ERM経営の理論と実践」の
出版を記念して、損保総研で記念講演会を開くことになりました
(2月2日です。恥ずかしながら私も登壇いたします)。

前半がスピーチ、後半がパネルディスカッションでして、
ゲストスピーカー(金融庁の小野審議官)に続き、
研究会メンバーが何人か登場する予定です。

詳しくはこちら↓をご覧下さい。
損保総研のサイトへ

⇒ すみません、「好評につき締め切り」とのことです。

※左は琴平電鉄(かつての京急線の車両だと思います)、
 右は徳島駅で見つけた転車台です。現役とのこと。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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