4月23日公表の日本銀行「金融システムレポート(2025年4月号)」をざっと眺めてみました。
以下、個人的な注目点(備忘録)となりますので、全体像は日本銀行のサイトでご確認願います。
地域金融機関の預金シェアは下がり続けているのですね(40ページ)。人口減少や相続預金の移動のほか、「デジタル化が進むもとで、預金金利が高い傾向にあるインターネット専業銀行のシェアも高まっている」とのことです。
保険会社に関しては、従来通り生保の運用資産残高と評価損益、為替ヘッジ比率に関する図表・記述です。「平均ESR(経済価値ベースのソルベンシー比率)は200%以上の水準が確保されている」とは、金融庁フィールドテストのデータからの引用でしょうか?
24ページの注記に、金利上昇局面における財務の健全性について記述があり、「わが国の場合(中略)株式評価益が債券評価損を上回る資産構成となっている」「(責任準備金対応債券は)時価評価の適用対象外とすることが認められている」と、健全性と言いつつ会計しか見ていない残念なことになっています。
他方で、「金利上昇が意識されるなかで、時価評価しない満期保有目的債券を増やしたり、円債を裏付けとする貸出資産を増やす金融機関がこのところ増えている」(71~72ページ)ようなので、こちらは大丈夫なのでしょうか。
本来は「時価評価しないから大丈夫」という考えは健全ではないと、ビシッと記述してほしいところなのですが。
もう1つ注目したのは、本邦金融機関の海外プライベートファンド向けエクスポージャーというコラムです(87~88ページ)。注記に以下の記述があります。
「近年では、米国を中心に、プライベートエクイティによる生保の買収が増加するなか、本邦生保でもプライベートエクイティ傘下生保への出資・提携の事例が見られるほか、プライベートエクイティ傘下再保険(主にバミューダ拠点の再保険会社)への保険契約の移転(出再)を実施する事例も見られる。こうしたプライベートエクイティ傘下の生保・再保険会社は、流動性の低い資産への投資比率が相対的に高いこと等が指摘されている」
今後のさらなる分析に期待しましょう。
※春ですね。福岡・舞鶴公園にて。