金融庁は国際会計基準(IFRS)を任意適用した企業の
実態調査を行い、そのレポートを公表しました(15日)。
金融庁のサイトへ
まず、日本におけるIFRS任意適用企業(予定を含む)が
すでに75社に達していることに驚きました。
米国会計基準からの移行が相次いでいる模様です。
業種別には、電気機器、医薬品、卸売業、サービス業、
情報・通信業、輸送用機器、化学といった業種で
適用企業が多いとのことです。
他方で任意適用企業が存在しない業種もあり、
このなかには「銀行業」「保険業」が含まれています。
保険業の場合、保険契約(IFRS4)がまだ策定中なので、
現時点で任意適用がないのは仕方がないかもしれません。
しかし、グローバル展開を志向する保険グループの場合、
IFRSの任意適用は時間の問題のようにも思えます。
レポートによると、任意適用を決めた理由としては、
・グループとして経営管理上のモノサシをそろえる
・同業態社との比較可能性の向上を目指す
などを挙げる会社が多かったようです。
そして、移行による実際のメリットをたずねると、
任意適用を決めた理由と概ね共通していますが、
・会計や財務報告のあり方について、経営層を含め
全社的に議論する良い機会となっている
・業績面での子会社との認識の相違を避けられる
といった回答も見られます。
「誰がIFRSへの移行を提案したのか」という質問への
回答も興味深い結果が出ています。
回答の半数が「経理部門」、半数が「CEO」「CFO」でした。
経理部門という回答、つまりボトムアップが過半数だと
想像していたのですが、トップダウンも多いのですね。
レポートでは移行によるデメリットも確認しています。
回答を得た46社のうち、27社が「実務負担の増加」を挙げ、
複数帳簿管理や開示量の増加などが聞かれたようです。
ちなみに、「のれんの定期償却がない(=日本基準と違う)」
「株式評価損がP/Lに計上されない(=日本基準と同じ)」
といったコメントはレポートには出てきませんでした。
※久しぶりに月島でもんじゃ焼きを食べました
(もんじゃ焼きの写真は撮り忘れました)