昨年に続き、RINGの会オープンセミナーに参加し、今回はパネリストを務めました。
登壇は午前中の第1部で、損保問題を議論した金融審WGメンバーの柳瀬典由・慶應義塾大学教授、緻密な取材活動に定評のある朝日新聞の柴田秀並記者とともに、プロ代理店の経営者(ファシリテーターはRINGの会・矢島護会長)の質問に答える形でセッションを行いました。
今回も柳瀬先生と柴田記者に登壇いただけることになった時点で、私の仕事の半分以上は終わっていたのかもしれませんが、当日は限られた時間のなかで、保険業界ウォッチャーとして、できるだけ本質的なことをスパッとお話しようと努めたつもりです。
例えば・・・
・(規模は考慮されるにしても)保険代理店も「金融機関」である
・自立していない保険代理店の手数料は下がる
・保険会社はコモディティ化した商品に高い手数料を出せない(はず)
有識者会議報告書でもWG報告書でも、保険金不正請求事案への対応として「顧客本位の業務運営の徹底」、保険料調整行為事案への対応として「健全な競争環境の実現」という整理がなされています。しかし、考えてみれば、不適切な便宜供与が横行する不健全な市場で顧客本位の業務運営が徹底できるはずはなく、両者は表裏一体の関係にあります。
一連の問題発覚をきっかけに、いびつな業界慣行がなくなり、リスクと保険のプロフェッショナルが報われる世界に少しでも近づくことを期待しています。
なお、柳瀬先生がおっしゃっていた、規制の目線を「成績の悪い子」に合わせるのか、それとも成績に応じて目線を変えるのかというのは極めて重要な論点で、真の契約者保護とは何かという話だと思います。
全体として消費者のリテラシーを高める方向で進めていかないと、つまるところ消費者が負担する規制コストが膨大なものとなってしまいます。こうした議論は時間切れであまりできませんでしたが、代理店の経営にも関わる話だと思いました。