05. 金融・経済全般

低金利貸出の増加

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バーゼル銀行委員会による新たな自己資本規制は
2013年から2019年にかけて段階的に実施される方向となりました。
銀行は大規模な増資や資産圧縮に動く必要はなくなりましたが、
毎期の利益から内部留保を積み上げていかなければなりません。

しかし、長引く低金利の影響に加え、低迷する資金需要、
激しい金利競争などの結果、銀行の低金利貸出が増えています。
日本銀行の統計をみると、国内銀行の貸出に占める
金利1%未満の貸出は全体の25%に達しています。

10年前であれば、金利3%以上の貸出は全体の15%、
5年前でも全体の10%はありました。
それが、直近では全体の7%まで下がっています。

すでに調達金利はほとんど下がる余地はないでしょうし、
クレジットコストも無視できません。
日本の銀行はどうやって利益を上げていくのでしょうか。

※写真は金沢の歴史的町並みです。

 

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初のペイオフ発動

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日本振興銀行が経営破綻し、一定額(元本1000万円とその利息)
を超える預金者に影響が生じることとなりました。
保護されない預金者が出るのは現行制度になって初めてことです。

すべての破綻処理でペイオフが発動されるわけではないにせよ、
預金削減が現実に起こりうる世の中になったことが示されました。

もっとも、保険会社の破綻処理では銀行等と違い、
以前から契約者負担が基本となっています。

生命保険契約者保護機構の補償対象は保険金額ではなく、
破綻時の責任準備金(正確には全期チルメル式ベース)の
9割ですし、高予定利率契約ではさらに低い水準となります。

加えて、生保は満期や終期までの期間が長いことが多いため、
予定利率引き下げの影響を強く受けます。
特に高予定利率契約の場合、将来受け取る保険金や年金が
大幅に減ってしまいます。

損保も契約者負担がセットです。
自動車保険や個人向け火災保険など、当初3ヶ月間だけは
保険金額が100%補償される種目もあります(詳しくはこちら → 保護機構HPへ)。
しかし、100%補償の対象ではない種目も多いので要注意です。

もちろん、早期発見、早期対応の仕組みが機能することが
重要なのは言うまでもありません。

※写真は金沢です。こんなモダンな駅に生まれ変わっていたのですね。

 

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マイカー保有、初の減少

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7日の日経3面に、世帯当たりの自動車保有台数が
調査開始以来、初めてマイナスになったという記事が載りました。
大都市圏や若年層と40代の減少が目立つとのことです。

せっかくなので元データを見てみると、そもそもこの統計は
新聞にあるように自家用車の保有台数調査ではなく、
総務省が7/30に発表した「平成21年全国消費実態調査」の
「主要耐久消費財に関する結果」ということがわかりました。

総務省統計局HPへ

主要耐久消費財なので、自動車だけではなく、ルームエアコンや
携帯電話、テレビなど40数品目の所有状況を調査しています。
例えば、H16年よりも所有が増えているものとしては、
薄型テレビ(ちなみにブラウン管テレビは大幅に減少)、
携帯電話、ルームエアコン、パソコン、温水洗浄便座などです。

さて、自動車ですが、H元年以降の動きをみると、
軽自動車が伸び続ける一方、小型自動車が減少傾向、
普通自動車と輸入自動車は今回初めて減少となっています。

普通&輸入自動車の減少は景気低迷の影響が大きいのでしょう。
ただ、自動車を保有する世帯(単身世帯を除く)のうち、
約半数が2台以上を保有していることや、
地方や高齢世帯で保有が伸びていることを踏まえると、
自動車は地方の高齢世帯の必需品(おそらく一人一台)
という性格をますます強めているようです。

ちなみに横浜市港北区に家族4人で住んでいる私は
久しく車を所有していません(自転車は4台あります)。
子どもが小さいうちは不便に感じることもありましたが、
今では全くそのようなことはありません。

しかも、車がないと家計が年間70万円助かるという試算もあり
(私の場合)、よほど運転するのが好きでなければ
車を持つ意味はほとんどありません。
おそらくこのような消費者が増えているのでしょう。

 

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米国の住宅市場

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毎週公表される米FRB(連邦準備理事会)のバランスシートを見ると、
米国の住宅市場がいかにFRBに支えられているかがわかります。

21日時点のFRBの総資産は約2.3兆ドル。
このうち政府支援機関(ファニーメイ、フレディマック)が発行した
住宅ローン担保証券(MBS)が約1.1兆ドルです
(機関債を含めると約1.3兆ドル)。

MBS買取プログラムは2009年1月に始まり、
金融危機以降の住宅市場を下支えしてきました。

金融市場の回復に伴い、金融機関への政府支援は
AIGを除き、ほぼ解消しています。
しかし、このファニーメイ、フレディマックへの支援はそのままです。
支援規模もAIG関連とは比較になりません。
FRBは3月末でMBS買取プログラムを修了しましたが、
この先どう正常化していくのか、道筋は全く見えません。

ファニーメイ、フレディマックの存在は大きく、
残高ベースで全米の住宅ローン市場の約半分の規模があるそうです。
今回の米金融規制改革法にも住宅ローン関連については
盛り込まれませんでした。

バーナンキFRB議長が米景気の先行きについて
「非常に不確実」と懸念を表明するなかで、
大きすぎて手がつけられない状態とでも言うべきでしょうか。

※町内会主催の盆踊り大会に顔を出しました。
 いつもながら本文とは関係ない写真ですね(苦笑)

 

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変動金利ローンが9割超

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年金払い保険への二重課税を違法とする最高裁判決
(保険会社の事務・システム負担はどうなるでしょうか?)や、
大相撲名古屋場所のNHK生中継中止など、
ブログのテーマには事欠かない毎日ですが、
週末の新聞を見て驚いたので、こちらにしました。

3日(土)の朝日新聞によると、メガバンクの住宅ローンは
今年に入り、変動金利型が全体の9割を超えたそうです。

一般的な変動型の提携金利は1%を下回っています。
この水準では銀行もあまり儲かってはいないでしょう。

長期固定金利の住宅ローンの代表である「フラット35」の金利は
年2.5%程度と決して高くはないのですが、目先の負担が
月数万円違うとなると、顧客は変動金利型を選んでしまうのでしょうか。

確かに10年以上も低金利が続いており、しばらく上がりそうにも見えません。
仮に上がったら固定型に切り替えればいい、という判断
(あるいはセールストーク)なのかもしれません。

しかし、新聞に載っていたFP深田晶恵さんの
「上がったら固定型に切り替えるという考え方は非現実的」
というコメントに私も同感です。

35年返済の住宅ローン5000万円(元利均等払い)では、
毎月の返済額は金利1%で14.1万円、
2%では16.5万円、3%では19.2万円です。
変動型は固定型より月々3万円は返済額が少なくてすみます。

ただ、この14.1万円という返済額を前提に家計を固めてしまうと、
残高があまり減らないうちに少しでも金利が上がると
たちまち家計は苦しくなります
(返済期間が長いと残高はなかなか減りません)。

しかも、その時点で固定金利型に変えようとしても、
当然ながら金利は今の水準よりも上がっています。
もし返済額が月5万円も増えたら、家計は回るのでしょうか。

多額の借金を抱える日本政府は、長期固定金利の国債を中心に
資金を調達しています。それでも、金利が上がると利払い負担がかさみ、
苦しくなるのは必至です。

政府の財政も心配ですが、銀行のリテールビジネスの柱である
住宅ローンがこれでは心許ないですね。

※写真は地元・熊野神社の「星祭り」です。
 和楽器クラブの小学生が演奏を披露しました。

 

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収入構成と損益構成の違い

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生保の2009年度決算では、貯蓄性商品(主に銀行窓販)の販売動向が、
年換算保険料などの業績指標を大きく左右しました。
しかし、保障性商品と貯蓄性商品では当然ながら利益率は
かなり異なるはず。会社価値への貢献という点ではどうだったのか、
もっと情報がほしいところです。

銀行セクターに目を転じると、一部の銀行では
事業部門別に資本コスト控除後の純利益を開示しています。

例えば、きんざいでも紹介されていましたが、
千葉銀行では「貸出金の収益構造」を開示しています。
銀行ビジネスの中核的存在というイメージのある大・中堅企業向け
(貸出平残は全体の18%)が資本コスト控除後純益では赤字であり、
平残で33%の住宅ローンが、純益の5割を占めていることがわかります。

りそなホールディングスも「事業部門別管理会計の状況」のなかで
資本コスト控除後利益を公表しており、コーポレート事業の赤字を
コンシューマー事業(特にローン)と信託事業、市場部門で
補っていることが示されています。
業務純益の段階とはかなり姿が異なります。

このような部門別の情報があれば、経営活動の妥当性を
外部から評価しやすいでしょうね。

 

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V字回復とは言うものの

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※毎度のことですが、コメントはあくまで個人的なもので、
 仕事とは一切関係ありません。

大手銀行の決算が出そろいました。
新聞には「V字回復」とありますが(朝日、読売、東京など)、
同時に利益水準の低さにも注目が集まりました。

生保とは違い、歴史的低金利の恩恵を受けた銀行セクターですが、
さすがにこれだけ低金利が長引くと利ざやを稼げません。
預金金利はこれ以上下がらない水準にある一方、
資金需要が弱いなかで高い貸出金利は設定できません。

有価証券投資にも期待できません。
銀行が中長期債に傾斜すると、金利リスクを抱えることになります。

国内ではおそらく、投信や保険販売などの手数料ビジネスに
一段と力を入れる銀行が増えるのでしょう。
いよいよ保険のチャネル間競争が激しくなりそうです。

※砂浜に行くと、つい土木工事に走ってしまいます^^

 

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国内債券投信

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5/3(月)のMonday Nikkeiの特集記事
「財政悪化で金利が上がると、国内債券投信の価格はどうなるか」
について。

組み入れ債券の投資金額が償還までの残存年数ごとに
等金額になるようにするラダー型運用であれば、
償還資金で利率の上がった債券を補充するので、
金利上昇を過度に心配する必要はないという結論でした。

様々な金利上昇パターンでのシミュレーションもあり、
なかなか興味深いです。

ただ、過去には急激な金利上昇もありました。
「1年後に金利が5%に上昇」のシミレーション結果をみると、
金利上昇でまずは基準価格が15%くらい下がります。
その際にラダー型運用が維持できるのか気になるところです。

資金の流出入が大きく変わらなければいいのですが、
例えば解約急増や新規資金の枯渇により
新たな債券を購入する資金が不足することになれば、
基準価格の回復が遅れてしまいます。

保険アナリストとしては、このようなラダー型運用の投信では
将来キャッシュフローについてどの程度の変化まで想定しているのか
関心がありますね。

※GWの井の頭公園は大勢の家族連れでにぎわっていました。

 

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G20の正当性

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春休みが終わってしまい、社会復帰しつつあります。

さて、ベトナムの英字新聞を読んでいて、G20の正当性が
議論になっていることに(今さらながら)気がつきました。

金融危機の発生以降、世界的な経済問題を話し合う場が
主要8カ国のG8からG20サミットに移っています。
構成国は次の通りです。

G8=カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、英国、米国、EU
その他=豪州、メキシコ、トルコ、韓国
      アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、
      サウジアラビア、南アフリカ

次のG20サミット(金融・世界経済に関する首脳会合)は
6月下旬にカナダのトロントで開かれる予定です。

G20は世界のGDPの9割近くを占め、先進国だけだったG8よりは
世界経済を代表したものとは言えるでしょう。
また、昨年のサミットではASEANやAU(アフリカ連合)なども
参加しています。

それでも、例えば

「メンバーは選ばれたわけではなく自薦であり、他国の同意はない」
「低所得の国やアフリカの国はほとんどメンバーになっていない」
「G8なら『金持ち国』という定義が明確だが、G20にはそれがない」
「G20サミットではなく、国連がその役割を果たすべきだ」

といった声が出ているようです。

日本でこのような報道を目にしたことがなかったのは、
日本はG5の時代からメンバーだったので、
このような国際会議への参加は当然という意識
(むしろメンバーが増えると影響力が落ちる)
があるからなのでしょう。

※ベトナムの空港で三猿ならぬ四猿の置物を見つけました。
 4匹目はどういう意味なんでしょうか。

 

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海南島の不動産バブル

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テレビでニュースを観ていたら、中国・海南島の
不動産バブルについて報じていました。

中国最南端で「中国のハワイ」と言われる(?)海南島の
リゾート開発に投資資金が殺到し、不動産価格が急騰。
マンションの販売価格が1か月で2倍になったそうです。

2年前にたまたま国際会議で海南島を訪れた際、
何とも不思議なところだなあと感じました。

冬でも暖かい(ただし、泳ぐのは厳しいかも)ので
各種の会議が開かれるところのようですが、
日本の高度成長期のようなインフラ整備が進む姿と
道路を牛車が横切るのんびりした姿が同居していたうえ、
海岸沿いにはリゾートマンションが立ち並んでいました。

地元のガイドさんにく聞くと、リゾートマンションの大半は
上海などのお金持ちの中国人が買っているという話でした。

ただ、写真のようにビーチはきれいでしたが、
ハワイや沖縄というよりは、やはり中国を感じました。

ホテルの1Fにあるクラブでは夜中まで音楽がガンガンかかるし、
とてもリゾート気分を味わうような雰囲気ではありませんでした
(まあ、もともと仕事で行ったのですが)。
観光やショッピングのできる場所もほとんどなかったようです。

米国の不動産バブルの傷が癒えないなかで、
早くも今度は中国の不動産バブルが崩壊寸前とは。
背筋が寒くなります。

 

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