05. 金融・経済全般

2012年のノーベル平和賞

 

過去にも理解に苦しむ授賞はありましたが、
2012年の平和賞がEU(欧州連合)だなんて、
ノーベル賞委員会は何を考えているのでしょうね。

「EUとその前身機関は60年以上にわたり、欧州における
 平和と和解、民主主義、人権の進展に貢献してきた」

それはその通りでしょう。
しかし、それなら冷戦終結後とかドイツ統一後、
あるいは加盟国が増えた後など、相応しいタイミングは
何回かあったはずですよね。なぜ今年なのか。

ここ数年、連日のようにギリシャだスペインだと振り回され、
今月ようやくESM(欧州安定メカニズム)が発足したものの、
スペインは支援要請をせず、膠着状態となっているなかで
平和賞などチャンチャラおかしいという感じがします^^

もう少し冷静に考えてみても違和感が消えないのは、
ユーロ圏が揺らいでいるのは各国が対立しているからではなく、
ユーロ圏経済の抱える構造的な問題によるものであって、
これが解決に向かっているとは思えないなかでの授賞だからです。

せめて、先日ECB(欧州中央銀行)が発表したOMT
(債券買い取りプログラム)や、銀行同盟などが動き出し、
ユーロ崩壊ではなく、さらなる統合に向かっていることを
確認してからでも遅くはなかったのではないでしょうか。

まあ、委員の皆さんは政治のことはわかっても、
経済はよくわからないということなのかもしれませんね。

※写真は某高校の文化祭。軽音にダンス部です。

 

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ブランド・アンバサダー

 

NHKラジオ「実践ビジネス英語」をご存じでしょうか。
講師の杉田敏先生がPR会社の社長ということもあり、
扱うテーマは興味深いものばかりです。

9月最初のテーマは「ブランド・アンバサダーの活動」でした。
「アンバサダー」は英語で「大使」という意味です。
ブランド・アンバサダーは企業の代表者(大使)として、
企業ブランドの認知度を高め、ファンを育てる役割を果たします。

例えば、ミズノのブランド・アンバサダーには
多くのプロ野球選手が就任しています。
スポーツ選手がブランド・アンバサダーというのは
日本でも結構多いようです。

「ビジネス英語」では大学生がブランド・アンバサダーとなり、
新入生のサポートをしたり、歓迎会を主催したりする事例を
紹介していました。

企業は、広いネットワークを持ち、周囲から人気のある学生を
アンバサダーとして採用します。
採用されたアンバサダーは友人への売り込みなどはせず、
口コミなど自然な形でブランドの浸透を図るのだそうです。

採用された学生には、1学期に給与や特典、製品などの形で
数百ドルから数千ドル支払われるという話も出ていました。

「ビジネス英語」によると、米国では一万人近い大学生が
ブランド・アンバサダーを務めるのだとか。

ただ、単に大学のイベントでスポンサーが付くというのではなく、
ある種の誘導が行われるわけですよね。
マーケティング戦略と言われればそれまでですが、
ちょっと抵抗を感じます。日本でも行われているのでしょうか。

※写真は米カリフォルニア大学バークレー校です。

 

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社外取締役の義務化見送り

 

法制審議会の部会で会社法改正の要綱案が示され、
コーポレート・ガバナンスの向上策として検討されていた
社外取締役の選任の義務付けが見送られました
(18日)。

昨年12月の中間試案では、設置を義務付けるものでした
(A案は会社法の監査役会設置会社、B案は金商法の
 有価証券報告書の提出会社に義務付け)。

しかし、一転して今回の要綱案となった背景には、

「経営の適正な監督を行うことができるか否かは、
 社外取締役であるといった形式的な属性ではなく、
 個々人の資質や倫理観といった実質により決まる。

 また、監督を行うにあたっては、専門的な経営判断の妥当性をも
 見極める必要があるが、社外取締役であれば常にそうした能力を
 備えているとは限らない。(中略)

 そのため、社外取締役は、各社が適正なガバナンスを確保する上で
 有効な仕組みについて創意工夫を凝らす中で、それを有用であると
 判断した場合に、自主的に選任すべきものである」
 (経団連HPより引用)

といった経済界からの反対がありました。

他方、日本証券アナリスト協会のアンケート調査
(1月の勉強会で実施)によると、
回答者の69.7%が選任義務付けに賛成しており、

「特に企業統治の在り方については、内外から強く求められている
 コーポレート・ガバナンスの向上を図るため、中間試案で示された
 方向性に添って早急に議論を深めていただきたい」

というコメントを公表しています(1/31)。

日本証券アナリスト協会のメンバーは大半が日本人ですが、
それでもこのような結果が出ています。
株式市場で6、7割の売買代金を占める外国人投資家の目には、
今回の動きはどのように映っているのでしょうか。

法制審議会では社外取締役に関する実証研究も踏まえて
中間試案に義務化を盛り込んでいるようなのですが...
社外取締役に関する実証研究(PDF)

※右の写真は大多喜にあった現役の旅館です。
 一度泊まってみたいですね。

 

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超長期債市場の変化

 

超長期の負債を抱える生保のALMに関し、時々耳にするのが、
「日本では超長期債市場が十分ではない」というものです。

確かにそうかもしれませんが、10年前に比べると、
市場がかなり変化しているのをご存じでしょうか。

10年前(2002年度)の国債発行額(当初)は、
10年債が21.6兆円なのに対し、20年債は4.2兆円、
30年債は0.6兆円でした。
40年債の発行は2007年度からです。

2012年度の国債発行計画(当初)を見ると、
10年債が27.6兆円なのに対し、20年債は14.4兆円、
30年債は5.6兆円、40年債は1.6兆円となっています。

発行額が増えていることもありますが、
超長期債の発行はこの10年間で相当増えています。

40年債は年4回の発行で、かつ、1回あたり4000億円なので、
市場としてはまだまだ発展途上のように思いますが、
30年債は年8回発行、1回あたり7000億円ということで、
20年債には及ばないものの、徐々に育ってきているようです
(加えて「流動性供給入札」というものもあります)。

※ヨーロッパに行くと自転車の活躍が目につきますね。

 

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不良債権問題

「政府は11日、国内銀行の不良債権処理を加速する
 総合対策を決めた。不動産への融資債権について
 国内銀行に新たに約3兆円の引当金を積むよう求めるほか、
 不良債権化した不動産資産をバランスシートから切り離して
 管理する構想を盛り込んだ。大手銀への資本注入も正式に決定。
 市場から不安視される銀行部門の健全化を進める方針だ」

「国内銀の不良債権は約18兆円とされるが、市場では
 『実際はもっと多いのではないか』との疑念も強い」

「市場の見方は厳しい。総合対策発表後、株価指数は
 一時前日比3%下落。(中略)市場には『計画が実現できるのか』
 との懐疑的な見方から、先行きを不安視する声はなお多い。」

この記事、かつての不良債権問題に苦しむ日本のようですが、
実は本日(12日)の日経からの引用です。
「政府」「国内銀」「株価指数」の前に「スペイン」が入ります
(金額もユーロです)。

日本の話だと思ってもう一度読むと、不良債権処理の強化に
公的資金の活用、バッドバンク構想、大手銀行の公的管理など、
1990年代後半の状況、すなわち、いくら処理を進めても、
不良債権が減るどころか、むしろ膨れ上がっていた時期のことを
思い出します。

日本の公示地価は1987年から91年に約2倍に上昇し、
その後15年くらい下げ続け、もとの水準に戻りました。
地価が下がると建設・不動産業の経営悪化が進むうえ、
担保としている不動産の価値も減ってしまいます。

スペインでは、住宅価格の上昇は2倍どころではありません。
ピーク時(2007年)からの下げも、まだ2割強なのですね。
しかも、2011年3月時点の建設・不動産向け貸出は、
商業銀行で37%、貯蓄銀行で53%に達するとのことです。
内閣府のHPへ

日本では当時、海外の金融市場からの資金調達には
「ジャパン・プレミアム」が発生したものの、国債利回りは下がり、
銀行が国債保有を増やしても問題にはなりませんでした。

しかし、スペインの10年国債利回りは6%に上がるなど、
市場から不安視されています。

ECBが供給する資金等で国債を買えば大きな利ザヤがとれる
(実際にスペインの銀行はそのようにしているようです)とはいえ、
ギリシャのPSI(民間による自発的な債務削減)を考えると、
スペイン国債は銀行経営者として安心して買える対象なのか
非常に悩ましいでしょうね。

日本で不良債権が目に見えて減ったのは2004年度以降です。
不良債権処理スキームだけではなく、借り手サイドへの対応
(企業再生スキームなど)に加え、経済状況の好転がありました。

スペインは今後どのような経緯をたどるのでしょうか。

※写真は自宅マンションのツツジです。
 一昨日にひょうが降り、いまはボロボロになってしまいました。

 

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金融システムレポート

 

日本銀行が金融緩和策の強化に踏み切りました(27日)。
長期国債の買入れ額を10兆円程度増やすとともに、
買入れ対象の残存期間を3年まで延長しています。

日銀は2011年末時点ですでに日本国債の1割を保有しており、
今後さらに市場での存在感が高まるのかもしれません。

ところで、1週間以上経ってしまいましたが、その日本銀行が
「金融システムレポート」を公表しています(19日)。
このレポートは年2回作成されていて、
日本の金融の現状を知るうえで大変役に立ちます。
日銀金融システムレポートのHPへ

レポートを読んで、地域銀行が直面する経営環境の厳しさを
改めて感じました。

信用コスト率や不良債権比率が低い水準にとどまっているため、
地域銀行の経営は一見安定しているように見えます。

しかし、金融緩和の継続などから運用利ザヤが縮んでいるうえ、
主力取引先である中小企業の資金需要が低下しています。
大都市圏と比べ、地方圏の中小企業売上高は大きく落ち込み、
貸出残高も大都市圏と地方圏では動きが全く異なります。

地域銀行が残高を増やしてきた住宅ローンも明るくありません。
利ザヤが低下しているうえ、需要の頭打ちも近そうです。

つまり、地域銀行のビジネスの源泉となる市場が縮んでしまい、
それが徐々に顕在化する段階に入っているのですね。

他方、地域銀行の収益を補っているのが証券投資です。
レポートによると、金利リスク量(銀行勘定の100bpv)は
年々拡大しており、対TierⅠ比率は3割を超えています。

10年前は地域銀行の抱えるリスクの半分が信用リスクで、
残りが金利リスクと株式リスクで半々というイメージでした。
近年は全体の6、7割が市場リスク(金利と株式)となっています。

多くの地域銀行のALMがコア預金を踏まえた先進的なものに
進化しているとは考えにくいので、このリスクのとり方を
どう考えればいいのでしょうか。

地域銀行の経営を取り巻く現状が厳しいとはいえ、
金融危機のような目に見える厳しさに直面しているのではないため、
経営はなかなか思い切った手を打ちにくいのかもしれません。

いわば真綿で首を絞められつつある、あるいは「ゆでガエル」状態
(実際にやってみると、カエルは外に飛び出すそうです^^)
なのでしょうか。

このような顕在化しつつある「ビジネスリスク」に対応するには、
金融リスクの管理以上に経営陣の強いリーダーシップが
求められるのですが...

※写真は前回に続き勝沼です。桜が満開でした。

 

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追加金融緩和への期待

 

「円高・株安の流れが再び強まり、日銀が資産買い入れ基金の増額
 といった追加金融緩和に近く踏み切るとの見方が強まってきた」
 (4/10の日経)

「デフレ脱却に向けて、日銀はもはや緩和継続を辞めるわけにはいかない
 とのムードが金融市場で強まっている。日銀が追加緩和を見送った
 10日には、円高・株安で反応した」(4/11のロイター)

「米プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)調査では、
 前週末発表の3月の米雇用統計で雇用者数の伸びが予想を大幅に
 下回ったことを受け、連邦準備理事会(FRB)が量的緩和第3弾(QE3)
 の実施に踏み切るとの予想が大勢となっていることが、明らかになった」
 (4/9のロイター)

金融市場を見ていると、市場の緩和期待が強まっているというよりは、
中央銀行が追加策を出しても、すぐに次の政策を期待される、
という状況に陥っているようです。
日銀とFRB、ECBで追加策の競争を迫られているようにも見えます。

確かに、2009年からのQE1でFRBが住宅ローン担保証券などを
大量に購入していなければ、米国の住宅価格は下げ止まらなかった
かもしれません。
欧州でも債務危機の深刻化を受け、ECBが昨年末と今年2月に
3年もの資金供給オペを実施した結果、市場の不安が後退しました
(足元ではまた不安の兆しが見えつつあるようですが...)。

しかし、素人目に見ても、こうした政策を長く続けて大丈夫なのか、
中央銀行がバランスシートをどんどん拡大し、その行き着く先には
何があるのかと心配になります。

 

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コダックの経営破綻

 

米イーストマン・コダックが破産法11条の適用を申請しました
(19日)。

17日の日経コラム「一目均衡」は興味深い内容でしたね。
西條都夫編集委員による「コダックはなぜ躓いたのか」です。

写真用フィルムの王者だった米イーストマン・コダックが
経営危機に陥ったのは、デジタルカメラの普及によって
銀塩フィルムの市場が消失したのが直接の要因ですが、
それだけではないというものです。

西條氏はコダックの失敗として次の2つを挙げています。

・まだまだ写真フィルムが全盛だった1990年代に
 「選択と集中」の原則に沿ってフィルム以外の事業を
 次々と外に切り出し、将来の成長の種まで社外に
 流出させてしまったこと

・同じ時期に、最大のライバルの富士フイルムを
 政治力でねじ伏せようとしたこと

コダックは経営破綻に追い込まれてしまいましたが、
同じくフィルムを基盤とした富士フイルムは生き残りました。

両社を比較した英エコノミスト誌の翻訳記事も見つけました。
「『津波が来るのを目の当たりにして、何も打つ手がない』
状態に近い」と、コダックにやや同情的なことも書いてありますが、

「現状に満足する独占企業になっていた」
「完璧な製品を作るメンタリティーに捕らわれていた」
「自社のマーケティングとブランドに大きな自信を持っていた」

などの記述もあります。
JB PRESSのHPへ

日本の保険業界にとっても参考になりそうですね。

※写真は高知の桂浜です。

 

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日銀券が過去最高を更新

 

あけましておめでとうございます。
年末からのユーロ安の流れが続いているようですね。
引き続き不安定な金融市場を予感させます。

さて、日銀が30日に公表した12月実績速報によると、
年末の日銀券残高が83兆9970億円となり、
過去最高を更新したそうです。

超低金利の影響でいわゆる「たんす預金」が増えているほか、
東日本大震災を契機に、手元に現金を用意しておく
家庭や企業が多かったのではないかと見られています。

預貸率の低下もそうですが、日銀が資金を供給しても
経済活動に回らず、お金が滞ってしまっているのでしょう。

この日銀券の残高は、単に現金の動向を示すだけではなく、
日銀が保有する国債残高の上限ともなっています。

最近の国債保有残高は63兆円前後で推移しています。
日銀券の残高が増え続けていることもあって、
国債残高が増えているにもかかわらず、
今のところ上限まで約20兆円の余裕があります。

ただ、日銀による国債買い増しへのプレッシャーは
引き続き強そうですし、他方で、何らかの要因により
「たんす預金」が急減することも考えられます。

ちなみに、2001年の銀行券残高は60兆円程度、
国債保有残高は約45兆円でした。

上限までの余裕がなくなったとき、日銀はどうするのでしょうか。
難しい判断を迫られそうです。

中央銀行の国債購入と言えば、ECB(欧州中央銀行)が
国債引き受けの増額を市場から迫られていますね。

「財政規律を歪めるべきではない」という声(主にドイツ)と
「市場の安定化を優先すべき」という意見が対立していますが、
国債の大量償還を迎えるこの数カ月が最初の山場となりそうです。

※写真は鎌倉・鶴岡八幡宮です。
 正月にはこんな写真は撮れないでしょうね^^

 

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借金漬けの野田家

 

いろいろあった2011年もあとわずか。
東日本大震災の発生と原発事故、欧州ソブリン危機、
そして日本の財政問題。

いずれも深刻なものばかりで、かつ、解決はこれから。
特に財政問題は、市場のターゲットとなったイタリアが
2013年の収支均衡に向けて具体的に動き出したのに対し、
日本はほんとにこれからですものね。

24日の朝日新聞(時事通信)です。
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高齢の両親の医療費はかさむ一方。給料だけではやり繰りできず、
借金漬けのサラリーマン家庭、野田家はいまや破産寸前--(中略)

夫の年収は423万円だが、支出は903万円。消費者金融から
年収よりも多い442万円を借り(国債発行)、37万円のへそくり
(税外収入)で食いつなぐ瀬戸際の生活だ。

支出が前年度比20万円減るのは保険料(年金国庫負担の一部)を
長男に払わせるため。東日本大震災の義援金には次男の貯金
(復興特別会計)を使う。

危機の主因は伸び悩む年収と、年々増え続ける両親の医療費
(社会保障費)にある。しかし、社長も両親も「無駄遣いするからだ」
「へそくりがあるだろう」と取り付く島もない。
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それでは皆さま、来年も引き続きよろしくお願いします。

※鎌倉の瑞泉寺です。年末なのに紅葉がきれいでした。

 

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