17日に日本銀行が「金融システムレポート」を公表しています。
日銀のHPへ
今回のレポートは「基本的に2013年3月末までの情報」
による分析とあるので、先般の量的・質的金融緩和については
織り込まれていません。
「はじめに」を見ると、
「この政策は、長めの金利や資産価格などを通じる波及ルートに加え、
市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる」
「この政策のもとで、金融システムにおける資金の流れや金融機関、
投資家の行動にどのような変化が生じていくかを分析していく」
と述べられていますので、次回以降に期待しましょう。
今回のレポートでは、金融機関の経営課題として真っ先に、
「収益力の向上を図る必要がある」と指摘しています。
とりわけ地域金融機関は収益環境は厳しさを増しているようです。
その一方で、銀行・信用金庫の金利リスク量(=金利上昇を想定)
が総じて増加方向にあることも示されています。
すなわち、地域金融機関は低下する収益力を補うために
債券投資を増やし、残存期間を延ばしている姿が伺えます。
そこにきて、今回の量的・質的金融緩和です。
人口の減少や高齢化の進行に伴う資金需要の低迷に対し、
金融緩和によって状況が改善に向かうでしょうか?
他方、日銀の思惑通りにイールドカーブが潰れれば、
地域金融機関の債券投資に伴う収益は確実に低下します。
収益を維持したければ、投資のボリュームを増やすか、
もしくは残存期間を一段と延ばすか、となるのでしょう。
いずれにしても、金利リスク量をさらに増やすことになりますね。
うーん。大丈夫でしょうか。
あるいは、レポートで「ひとつの選択肢となりうる」としている
合併などを通じた経営効率の改善が加速するかもしれません。
もっともレポートでは、1991年度以降に合併した信用金庫のうち、
合併後に基礎的な収益力が改善したのは6割だったという
分析結果が示されています。これをどう見るか...
なお、このところ保険会社の分析が充実する傾向にあったので、
楽しみにしていたのですが、今回はかなり控えめだったようです。
こちらも次回以降のお楽しみといたしましょう。
それにしても、日銀の発表によると、5月から超長期債の買入額が
さらに増える可能性があるようです。日銀HPへ(PDF)
いよいよ生保と日銀で超長期債の奪い合い、でしょうか?
※日比谷公園の松本楼でランチ。18日は20回目の結婚記念日でした。