法制審議会の部会で会社法改正の要綱案が示され、
コーポレート・ガバナンスの向上策として検討されていた
社外取締役の選任の義務付けが見送られました
(18日)。
昨年12月の中間試案では、設置を義務付けるものでした
(A案は会社法の監査役会設置会社、B案は金商法の
有価証券報告書の提出会社に義務付け)。
しかし、一転して今回の要綱案となった背景には、
「経営の適正な監督を行うことができるか否かは、
社外取締役であるといった形式的な属性ではなく、
個々人の資質や倫理観といった実質により決まる。
また、監督を行うにあたっては、専門的な経営判断の妥当性をも
見極める必要があるが、社外取締役であれば常にそうした能力を
備えているとは限らない。(中略)
そのため、社外取締役は、各社が適正なガバナンスを確保する上で
有効な仕組みについて創意工夫を凝らす中で、それを有用であると
判断した場合に、自主的に選任すべきものである」
(経団連HPより引用)
といった経済界からの反対がありました。
他方、日本証券アナリスト協会のアンケート調査
(1月の勉強会で実施)によると、
回答者の69.7%が選任義務付けに賛成しており、
「特に企業統治の在り方については、内外から強く求められている
コーポレート・ガバナンスの向上を図るため、中間試案で示された
方向性に添って早急に議論を深めていただきたい」
というコメントを公表しています(1/31)。
日本証券アナリスト協会のメンバーは大半が日本人ですが、
それでもこのような結果が出ています。
株式市場で6、7割の売買代金を占める外国人投資家の目には、
今回の動きはどのように映っているのでしょうか。
法制審議会では社外取締役に関する実証研究も踏まえて
中間試案に義務化を盛り込んでいるようなのですが...
社外取締役に関する実証研究(PDF)
※右の写真は大多喜にあった現役の旅館です。
一度泊まってみたいですね。