報道によると、2027年4月に合併する三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の新会社の名前は「三井住友海上あいおい損害保険」となるそうですね。さらに、グループを統括する持株会社MS&ADインシュアランスグループホールディングスの名前も「三井住友海上グループ」に変更するとのこと。報道が正しければ、確かに持株会社のほうは2010年に「MS&AD」としたときには「ん?」という印象でしたが、それでも15年たつので、よく決断したと思います。
ちなみに会社は9月12日付けで「現時点で決定している事実はありません」としています。
拙著『保険ビジネス』のコラムで取り上げたとおり、保険業法の規定により、生命保険会社の名前には「生命保険」、損害保険会社の名前には「火災保険」「海上保険」「傷害保険」「自動車保険」「再保険」「損害保険」のどれかが必ず入っていなければなりません(外国保険業者を除く)。保険会社が合併すると、この条件を守ったうえで、新たな名前を考えることになります。
これまでの合併事例を見ると、いずれか片方の名前がそのまま使われたケースは吸収合併の時くらいしかなく、両社の名前が何らかの形で残っているケースが多いようです。かつては「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険」のように、非常に長い名前となってしまった会社もありました。
もっとも、同社は現在「SOMPOひまわり生命保険」ですし、グループの中核損保は「損害保険ジャパン」、持株会社の名前も「SOMPOホールディングス」なので、「安田」「日産」「大成」「日本」「興亜」「NK」などは入っていません。ただし、グループのブランドとしては「SOMPO」と「損保ジャパン」の両方ということになるのでしょうか。
その意味では、東京海上ホールディングスは当初の「ミレアホールディングス」を2008年に改め、ブランドとしては「東京海上」に絞っていますし、(報道のとおりであれば)持株会社の社名を「三井住友海上」にするというのもグループのブランド戦略としては理解できます。
上場する保険持株会社で中核会社の社名がそのまま使われていない事例としては「T&Dホールディングス」もあります。中核生保である太陽生命の「T」と大同生命の「D」ではなく、「Try」と「Discover」の頭文字をとったものです。「T&D」を使うようになってから早くも四半世紀が過ぎましたが、太陽生命と大同生命の社名はそのままなので、資本市場ではともかく、消費者へのブランド浸透という点ではなかなか難しかったのではないでしょうか。
※イスタンブールは猫の町でした!