04. 保険商品、チャネル

特定保険募集人

 

ブログのネタは次々と出てくるのに、
なかなか更新が追いつかない状況です。

今回は自分の勉強を兼ねて、募集規制の話を。

18日に金融庁が新たな保険募集規制に関する
政府令・監督指針案を公表しました。
金融庁のサイトへ

このうち「規模の大きい特定募集人」を探してみると、
施行規則236条の2に規定があり、

・15社以上の生保会社を乗合、または、
 乗合かつ手数料等の総額が年10億円以上

・15社以上の損保会社を乗合、または、
 乗合かつ手数料等の総額が年10億円以上

・15社以上の少短事業者を乗合、または、
 乗合かつ手数料等の総額が年10億円以上

のいずれかに該当するものとなっています。
これを読んだかぎりでは、会社数も手数料等も
生損保通算ではないのですね。

特定募集人が作成を求められる「事業報告書」の
ひな型も示されていました
(施行規則案の最後に「別紙」として添付)。

注目の募集手数料は、保険種類別に直近3ヵ年度、
さらに取扱保険会社別・商品別に月次で報告する
様式となっています。

「保険会社から提供される手数料等支払明細書等」
に基づいて記載するとのことですが、保険会社から
月次で商品別に手数料明細が出ているのでしょうか?
(単に私が知らないだけかもしれません)。

ここだけ見ても、いろいろと意見が出てきそうですね。

※写真は松山です。

 

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テレマティクス保険

 

ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、
今週のinswatch(通常版のほうです)で、いま話題の
テレマティクス自動車保険を取り上げました。

盛り上がっているところに水を差すようで恐縮ですが、
大手損保が(価格面を訴求した)テレマティクス保険を
自動車保険の主力に据えるとは私には考えにくく、
日本での普及には時間がかかるのではないかという
趣旨の記事です(外れたらごめんなさい)。

まず、運転特性による事故リスクの一部は、
現在の等級にすでに反映されているはずです。
というのも、リスクの高い層は過去に事故を起こしている
可能性が高いためです。

このため、英国や米国ほど保険料が下がる余地は
大きくないのではないかと思います。

ダイレクト保険の普及率の低さもネックです。
ダイレクト自動差保険のシェアは、20年近くたって今も、
個人向け自動車保険の1割程度に達したところです。

保険会社にとって、テレマティクスの活用は極めて重要
という認識を持ってはいます。
商品開発に限らず、成熟市場における競争力の源泉と
なりうるからです。

とはいえ、多少保険料が下がったからといって、
今の日本でパイの拡大が期待できるわけではありません。

すでに膨大な顧客基盤を抱え、「いいとこ取り」が難しい
大手の場合、価格面を訴求したテレマティクス保険を
主力に据えると、リスクの低い層の保険料だけが下がり、
高い層の保険料はそのままという事態が起きてしまいます。

リスクの高い層の保険料を上げられればいいのですが、
事故の有無ではなく、運転特性を根拠にした引き上げは
顧客の納得感を得られるでしょうか。

ハイリスク層は流出してかまわないとするなら話は別です。
ただ、この戦略は全体のパイが拡大しないと厳しいかも。

もちろん、大手以外の会社のテレマティクス保険が普及すれば
大手も動かざるを得なくなるとは思います。
しかし、「テレマティクス保険」という語感だけでバラ色の夢を
語るのはあまり現実的ではないと考え、このような寄稿をしました。

※ソウルに来ています。写真は汝矣島にある金融監督院です。

 

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生命保険の加入経路

 

今回も、少し前の投資家・アナリスト向け説明会から。

生保市場の動向を知るうえで最も利用されてる統計は
生命保険文化センターが3年ごとに調査している
「生命保険に関する全国実態調査」だと思います。
ブログ「生命保険実態調査」へ

最も引用されているのは「世帯加入率」だと思いますが、
「直近加入契約の加入チャネル」もよく引用されていて、

・全体の7割近くが生命保険会社の営業職員から購入

という結果が示されています(例えば2012年調査)。

ところが過日、第一生命が実施したIR説明会で、
これとは大きく異なる数字が出てきました。

第一生命によるアンケート調査によると、
民保販売員による生保加入は、かつては6割超だったものが、
2011/3期以降は4割まで下がっているというのですね。
第一生命のプレゼン資料(P16が当該スライド)

統計に誤差はつきものですが、7割と4割ではだいぶ違います。

そこで、似たような調査結果を探してみると、
全国銀行協会が2010年に実施した消費者アンケートに、
「最近5年以内の加入チャネル」というものがありました。
全銀協の資料へ(当該スライドはP11、12)

アンケートによると、保険会社の営業職員からの加入は、
全体の49.1%となっています。内訳も示されていて、

 ・死亡保険では56.7%
 ・医療保険等では41.1%

とのこと。いずれにしても「7割」からは遠い数字です。

公表されている統計の説明だけではその差をうまく説明できません
(特に第一生命のアンケートは調査要領が出ていない)が、
「生保の加入経路の7割は営業職員」と言い切ってしまうのは
ちょっと危険かもしれません。

 

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営業職員の給与引き上げ

 

安倍首相の賃上げ要請を受けた動きなのか、
生保営業職員の給与引き上げという動きがあるようです。

「日本生命保険は今年4月から、約5万人の営業職員の給与を
 引き上げる方針だ。契約獲得数に応じて上乗せする『歩合給』
 部分を対象とし、販売の主軸である営業職員の士気を高める狙い」
 (1/31日経)

「住友生命は約3万1000人いる営業職員のうち、新人を対象に
 基本給を引き上げる。仕事を始めた当初は歩合給が少ない人も
 目立つ。基本給を手厚くして人材の呼び込みと定着をはかる」
 (1/19日経)

「明治安田生命は8月をめどに全営業職員3万人を対象に基本給と
 比例給を合算した給与を従来比で月平均1万円以上引き上げることを
 検討」(1/21産経)

「富国生命は営業職員1万人のうち、主任以上の中核職員約4000人の
 基本給を引き上げる。戦力となっている中核職員の待遇を良くして、
 やる気を引き出す効果も見込む。歩合給の部分も、翌月の給与に
 反映しやすい仕組みに見直す」
 (1/19日経)

あくまで報道ベースですが、各社の方針に違いが見えて興味深いです。
 ・全職員の歩合給部分が対象(日本生命)
 ・中核職員の基本給が主な対象(富国生命)
 ・新人の基本給が対象(住友生命)
 ・全職員の給与(基本給&歩合給)が対象(明治安田生命)

基本給の引き上げを打ち出そうとしている会社は、
新人層をはじめ、育成期間にある職員に注力する作戦なのでしょう。

明治安田生命は2008年に固定給を引き上げる改革を実施し、
大手他社も育成期間を延ばし(=固定給負担が増加)、
いずれも契約継続率の改善に成功しています。

ただ、確かに育成重視、既契約重視で短期解約は減ったものの、
月払い契約の推移をみると、新契約の獲得は相当細っているようです。
そこで歩合給の給与配分を増やし、生産性の高いベテラン層を
刺激するという作戦を検討している会社があるのかもしれません。

ちなみに、保険代理店や、ライフプランナーと呼ばれる
男性中心の営業職員チャネルは基本的にフルコミッションです。
他方、銀行員や保険ショップの社員は固定給中心と聞きます。

大手生保が中長期的に営業職員チャネルをどうしたいのか、
まだ将来像が描けていないのかもしれません。

※会社の近くに「中銀カプセルタワー」という変わった建物があります。
 黒川紀章設計の集合住宅で、カプセルは着脱可能なのだとか。

 

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乗り合い型保険ショップ

 

インタビュー記事のご紹介です。

27日の産経新聞・ビジネスアイに登場しました
(テキスト版しか見ていませんが、たぶん写真付きです^^v)。
「乗り合い保険店 転換期 規制強化で販売戦略に影響」
という記事に関連してインタビューを受けたものです。

保険ショップが台頭してきた背景や、金融審議会WGの
保険流通の新たな規制案についての解説や評価など、
一問一答の形でコメントをしています。

例えば...

Q:乗り合い型保険ショップへの規制が強化される方向だ。

A:従来の金融庁の監督は保険会社に対するものだったが、
 保険ショップなど保険販売者も新たに対象にしたことは
 意味がある。規制案は現状の保険流通を踏まえ、幅広く
 対応している印象だ。

Q:保険ショップは必ずしも公平・中立な立場で販売する
 わけではないと規制案では言及している。

A:無料で相談ができ、複数の商品を選べるというのは確か
 だが、数十社の商品から数社の商品に絞り込む過程など
 顧客にとって本当に公平・中立なのかという点で疑いが
 もたれる面はあるだろう。

こんな感じです。

「規制案」(本当は「報告書案」ですね)は保険ショップだけを
対象にしたものではなく、専属を含めたすべての募集人を
対象としたうえで、乗合には追加的な規制が加わる建て付けです。

大手の販売会社はすでに体制面の整備に力を入れているはず
(あくまで私の想像にすぎませんが...)。
それよりも、実質的には個人経営に近い代理店への影響が
大きいのではないでしょうか。

なお、先日ご案内した6/15(土)のRINGの会オープンセミナーで、
私が登場する第1部がまさにこのテーマとなっています。
3/20のブログへ

今回はすでに1000人もの申し込みがあったと聞いています。
まだ参加を受け付けているようですので、ご関心のあるかたはぜひ。

※写真は先日の火事で焼けてしまった井の頭公園の
 小さな神社です。弁天様のほうは無事でした。

 

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異変の投信・保険窓販

 

週刊金融財政事情(2013.3.11)を眺めていたら、
「投信販売が急回復し、保険には手が回らず」
という記事。

「いま現場では、保険販売に割く手間ひまがあれば、
 すべて投信の販売とアフターフォローに回したい」

「当行では、特定の担当者以外はこれまで投信を
 扱っていなかったが、販売の担い手を増やすことを
 検討している」

株式市場の回復を受け、個人営業の現場は
こんなことになっているらしいです。

少し前のニッキンにも、似たような記事がありました。

「投信を推進する個人営業の最前線にも活気が戻ってきた。
 本部からも手数料収入増のチャンスとして”檄”が飛ぶ」

平準払いの保険販売に腰を据えて取り組もうという銀行も
徐々に出てきているようですが、まだまだ少数派の模様。
多くの銀行は売りやすい商品を提供しているだけなのかも
しれませんね。

そういえば、銀行による追加型株式投信の解約率が
2010年以降、徐々に上昇しているという資料もありました。
金融審WG資料(PDF)

短期的な収益拡大志向では長続きしないと思うのですが...

※梅祭りで賑わう大倉山駅に「のるるん」が来ました♪

 

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保険最新ランキング

「プロ100人が選んだ!! 保険最新ランキング」というムックを
近所のファミマで見つけました。

「保険選びのポイントは『誰から、どこから』入るか」
という記事に販売チャネルごとの特徴がありました。

確かにいまは生保レディだけでなく、保険ショップから
ネットまで販売チャネルが多様化しています。
保険のプロに相談しながら選ぶことも、専門家に頼らず
全てを自分で決めて契約することも可能です。

記事をみると、銀行・証券会社のデメリットは
「保険のプロではないので、商品知識が乏しい」
訪問型代理店は
「担当者のレベルの差が大きい」
生保レディとライフプランナーは
「1社専属のため他社との比較提案ができない」

それでは保険ショップはどうかというと、
「立ち位置はあくまで保険会社寄り」

チャネルが多様化したとはいえ、相談できる保険のプロは
今でも保険会社の職員または代理店なのですね。

なお、メインコンテンツの「ランキング」をどう見るかですが、
保険ジャーナリスト森田直子さんの記事によると、
「最新の売れ筋を知る手掛かりとなる」とのことでした。

※写真は西銀座チャンスセンター1番窓口の行列です。
 日本でいちばん高額当選が出る窓口だとか。
 いちばん外れも多く出るということなんでしょうね^^

 

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月2千円の生保マーケット

 

保険ジャーナリストの石井秀樹さんによると、
代理店が運営する来店型店舗(=保険ショップ)は
全国で約2000店前後にもなるのだそうです。
このうち大手4社が約650店を占めるとのこと。

ちなみに次の会社が大手と言われているようです。
 ・「ほけんの窓口」(ライフプラザホールディングス)
 ・「保険クリニック」(アイリックコーポレーション)
 ・「保険見直し本舗」(ウェブクルーグループ)
 ・「みつばち保険ファーム」(VLフィナンシャル・パートナーズ)

保険ショップといえば、業界紙(インシュアランス)を見ていたら、
興味深い記述がありました。

以前は、月々の保険料が3000円くらいであればネットで加入し、
5000円くらいの場合には保険ショップで相談する傾向だったのが、
最近は金額のバーが下がり、2000円以下ならネットで加入、
2000円以上ならば保険ショップで相談という傾向なのだそうです
(結心会会長・上野直昭氏のコメント)。

月々2万円ではありません。2千円です。

そういえば、数日前に自宅で見た全国共済(全国生協連)でも、
基本コースの月掛金は2000円でした。

ネット専業のライフネット生命の平均月払保険料は、
直近のディスクロ誌によると3435円となっています。
ネクスティア生命は3550円、オリックス生命は4641円でした。
(いずれも個人保険の新契約平均保険料、月払契約)。

他方、日本生命の新契約平均保険料は15333円、
第一生命は11040円、住友生命は11239円、
明治安田生命は6420円となっていました
(いずれも個人保険の月払契約、年間保険料の場合は÷12)。

同じ生保でもマーケットが違うといえばそれまでですが、
保険料が月2000円、3000円といったマーケットのほうが
活気があるように見えますね。

もちろん、過度な料率等の競争になっていないかどうかも
気になるところです。

※写真は「獅子ヶ谷横溝屋敷」です。
 自宅から歩いて30分くらいのところにあります。

 

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営業担当者の評価

 

銀行で評判のいい保険会社の営業担当者とは
どのような人なのでしょうか。

「ファンド情報」2011.9.12号によると、

・販売現場に同席してもらい、営業推進に貢献してくれる
・帯同訪問したときの顧客の評判がよい
・当行の業績向上に熱心
・休日に実施するセミナーでもいやな顔せず、熱心に協力してくれる
・当行の販売員と同じ目線に立ってサポートしてくれる
・支店への訪問頻度がずば抜けている
・新たに参入した第三分野での実績に貢献した

などなど。

いまは銀行による保険販売が定着するまでの過渡期と
考えるべきなのかもしれませんが、これだけ見ると、
いわゆる二重構造問題そのものですよね。

販社の自立を図らなければ、高コスト構造のつけは
結局のところ契約者が負担することになってしまいます。

※写真は勝鬨橋です。

 

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損保代理店数の減少

日本損害保険協会によると、2010年度の代理店実在数が
20.2万店まで減ったことがわかりました(7月28日公表)。
12年連続の減少だそうです。

他方、損害保険の募集従事者数は増え続けています。
2010年度は217.3万人でした。
損保協会のHPへ

この統計で興味深かったのはチャネル別のデータです。
代理店数のうち約5割を占めるのは自動車関連業
(自動車販売業、自動車整備工場)で、
1店当り5.9人が損保に従事しています。

これに対し、募集従事者数で最大勢力は金融業で、
全体の3割、65.9万人を占めています。
このうち銀行等(銀行、信金、信組、農協)は47.5万人、
1店当り従事者数は403.9人となります。

同じ「損保代理店」でもずいぶん違いますね。

保険専業の代理店数は3.3万店、従事者数は32.7万人でした。
1店当りの従事者数は9.6人となります。
2008年度の代理店数は3.6万店、従事者数は20.2万人、
1店当り5.5人だったので、かなりの変化です。
特に従事者数の増加が目立ちます。

単に零細代理店が減り、大型化が進んだというだけではなく、
委託型の拡大や保険会社からの社員派遣などが
影響しているのかもしれません。

※明治大学で開かれている国際保険学会
 「APRIA2011」に出席しました(初日のみ)。

 

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