事務年度末が近づいているためか、
金融庁からの公表物が相次いでいます。
保険関係では、フィールドテストの結果や金融検査結果事例集が、
いずれも26日にアップされました。
保険監督者国際機構(IAIS)も資本上乗せ基準(HLA)と
国際資本基準(ICS)の導入スケジュール見直し
(実質的な延期でしょうか?)を25日に公表しました。
こちらは後ほどじっくり鑑賞するとして、
今回は地震保険制度の見直しについて。
「保険料がまた上がる」という話ではありますが、
財務省が24日に公表した「議論のとりまとめ」を見ると、
悩ましい選択をしたことがわかります。
もともとは、東日本大震災で明らかになった
「損害査定の簡素化」「損害区分の細分化」といった
地震保険制度の課題について検討するものでした。
例えば、現行の損害区分は全損(保険金を100%支払い)、
半損(同50%支払い)、一部損(同5%支払い)の3つです。
どの損害区分とされるかで支払割合が大きく異なるので、
低いほうとされた契約者から不満が続出したようです。
そこで、半損を2つに分け、区分間の格差を縮める案が
提案されました(大半損は60%、小半損は30%支払)。
ところが、2014年12月に政府の地震本部が予測地図を
大幅に見直しました。その結果、地震保険の保険料率を
28%も引き上げないと、制度が維持できなくなりました。
この「とりまとめ」ではわかりにくいのですが、
大半損と小半損の境目を動かし、大半損を小さくすることで
料率の引き上げを19%に抑える提案をしています。
つまり、これまでの半損は一律50%の支払いだったものを、
2つに分けることで、損害区分の細分化は実現するのですが、
料率引き上げの抑制と引き換えに、半損の支払(見込)総額を
減らすという苦肉の策なのですね。
補償を減らす方向での見直しは、初めてではないでしょうか。
※日本酒の会に参加。美酒をたくさんいただきました。
ただし、最後のほうはよく覚えていないような...