04. 保険商品、チャネル

月2千円の生保マーケット

 

保険ジャーナリストの石井秀樹さんによると、
代理店が運営する来店型店舗(=保険ショップ)は
全国で約2000店前後にもなるのだそうです。
このうち大手4社が約650店を占めるとのこと。

ちなみに次の会社が大手と言われているようです。
 ・「ほけんの窓口」(ライフプラザホールディングス)
 ・「保険クリニック」(アイリックコーポレーション)
 ・「保険見直し本舗」(ウェブクルーグループ)
 ・「みつばち保険ファーム」(VLフィナンシャル・パートナーズ)

保険ショップといえば、業界紙(インシュアランス)を見ていたら、
興味深い記述がありました。

以前は、月々の保険料が3000円くらいであればネットで加入し、
5000円くらいの場合には保険ショップで相談する傾向だったのが、
最近は金額のバーが下がり、2000円以下ならネットで加入、
2000円以上ならば保険ショップで相談という傾向なのだそうです
(結心会会長・上野直昭氏のコメント)。

月々2万円ではありません。2千円です。

そういえば、数日前に自宅で見た全国共済(全国生協連)でも、
基本コースの月掛金は2000円でした。

ネット専業のライフネット生命の平均月払保険料は、
直近のディスクロ誌によると3435円となっています。
ネクスティア生命は3550円、オリックス生命は4641円でした。
(いずれも個人保険の新契約平均保険料、月払契約)。

他方、日本生命の新契約平均保険料は15333円、
第一生命は11040円、住友生命は11239円、
明治安田生命は6420円となっていました
(いずれも個人保険の月払契約、年間保険料の場合は÷12)。

同じ生保でもマーケットが違うといえばそれまでですが、
保険料が月2000円、3000円といったマーケットのほうが
活気があるように見えますね。

もちろん、過度な料率等の競争になっていないかどうかも
気になるところです。

※写真は「獅子ヶ谷横溝屋敷」です。
 自宅から歩いて30分くらいのところにあります。

 

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営業担当者の評価

 

銀行で評判のいい保険会社の営業担当者とは
どのような人なのでしょうか。

「ファンド情報」2011.9.12号によると、

・販売現場に同席してもらい、営業推進に貢献してくれる
・帯同訪問したときの顧客の評判がよい
・当行の業績向上に熱心
・休日に実施するセミナーでもいやな顔せず、熱心に協力してくれる
・当行の販売員と同じ目線に立ってサポートしてくれる
・支店への訪問頻度がずば抜けている
・新たに参入した第三分野での実績に貢献した

などなど。

いまは銀行による保険販売が定着するまでの過渡期と
考えるべきなのかもしれませんが、これだけ見ると、
いわゆる二重構造問題そのものですよね。

販社の自立を図らなければ、高コスト構造のつけは
結局のところ契約者が負担することになってしまいます。

※写真は勝鬨橋です。

 

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損保代理店数の減少

日本損害保険協会によると、2010年度の代理店実在数が
20.2万店まで減ったことがわかりました(7月28日公表)。
12年連続の減少だそうです。

他方、損害保険の募集従事者数は増え続けています。
2010年度は217.3万人でした。
損保協会のHPへ

この統計で興味深かったのはチャネル別のデータです。
代理店数のうち約5割を占めるのは自動車関連業
(自動車販売業、自動車整備工場)で、
1店当り5.9人が損保に従事しています。

これに対し、募集従事者数で最大勢力は金融業で、
全体の3割、65.9万人を占めています。
このうち銀行等(銀行、信金、信組、農協)は47.5万人、
1店当り従事者数は403.9人となります。

同じ「損保代理店」でもずいぶん違いますね。

保険専業の代理店数は3.3万店、従事者数は32.7万人でした。
1店当りの従事者数は9.6人となります。
2008年度の代理店数は3.6万店、従事者数は20.2万人、
1店当り5.5人だったので、かなりの変化です。
特に従事者数の増加が目立ちます。

単に零細代理店が減り、大型化が進んだというだけではなく、
委託型の拡大や保険会社からの社員派遣などが
影響しているのかもしれません。

※明治大学で開かれている国際保険学会
 「APRIA2011」に出席しました(初日のみ)。

 

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「代理店型」と「通販型」

 

20日(日)の日経13面「家計 ここを教えて」で、
FPの藤川太さんが自動車保険の加入方法について書いています。

記事によると、「代理店型」と「通販型」に分けた場合、
それぞれのメリット、デメリットは次の通りだそうです。

代理店型のメリット
 ・専任の担当者がいて安心感が得られる
 ・熱心な担当者なら、手厚い対応が期待できる

 デメリット
 ・通販型と比べると保険料が高い

通販型のメリット
 ・条件によるが一般的に保険料が安い

 デメリット
 ・担当者に対面で説明してもらえない

たぶん私が聞かれても同じように答えると思います。

ただ、そういえば「代理店型」のほうに「保険会社」が出てきませんね。
保険会社と代理店が良好なパートナー関係を築いていることが
前提となっているのでしょう。

それには代理店が対面のメリットを発揮できるように、
保険会社がサポートする(少なくとも足を引っ張らない)ことが
不可欠だと思います。

たまにプロ代理店の皆さんの話を聞く機会もあるのですが、
いろいろと考えさせられてしまいます。

 

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若いときに買うのが有利?

保険毎日新聞の海外ニュースで、
「生命保険 若いときに買うのが有利」
という記事がありました。カナダの話です。

日本でもしばしば、
「生命保険は若いときに入ったほうが得」
というセールストークを耳にします。

本当にそうなのか考えてみましょう。

1.若いときに入ったほうが保険料が安い

確かに同じ終身保険でも、25歳で加入した場合のほうが、
35歳で加入した場合よりも、毎月支払う保険料は安いですね。

しかし、当然のことながら、毎月の保険料を単純に比べても
意味がありません。
前者は25歳から保険料を払い続けるのに対し、
後者で支払いが始まるのは35歳からです。

どちらを選ぶかは、25歳から34歳までの保障が
必要かどうかという判断なのでしょう。

2.年をとると保険に入れない可能性が高まる

これはその通りだと思います。

ただ、健康状態が悪化し、保険に入れなくなるリスクが
高まるペースは年代によってかなり異なります。

手元に統計はありませんが、40代以降にもなると、
死亡率や病気の発生率は年々高くなるようです。
でも、35歳くらいまではそれほどでもありません。

もちろん、若くても健康状態が悪化することはあるので、
その可能性をどう受け止めるかによりますね。

3.保険には強制貯蓄効果がある

解約返戻金が貯まっていくタイプの保険なら、
保障を得つつ、自然にお金も貯まっていくことが期待できます。

とはいえ、貯蓄性のある商品の保険料は結構高いですし、
何より予定利率1%台の商品で運用先を固定してしまうのが
得策かどうか。

金利が上昇し、他の商品に乗り換えたくなっても、
解約したら保障がなくなってしまいます。

このようにメリットと言われる点を検証してみると、
若いときにも保障がほしいと考える人は別として、
「生命保険は若いときに入ったほうが得」
とまでは言い切れないように私には思えます。

※意見には個人差があります。念のため。

 

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比較サイトで競争自演

 

3日の朝日新聞1面に「バイク王、価格競争装う」
という記事が出ていました。

比較サイト上の業者が、実はすべて同一グループの経営
(各業者が同一グループとわからないようになっていた)
というバイクの比較サイトがあったそうです。すごい話ですね。
すでに閉鎖されているため、残念ながら?確認はできません。

保険をはじめ、様々な商品の購入を検討する際に、
比較サイトを利用するかたは多いのではないでしょうか。
最大手カカクコムのグループサイト月間利用者数
(ユニークユーザー数)は6703万人に上るとか。

しかし、比較サイトのビジネスモデルについて、
ご存じのかたはあまり多くないかもしれません。

私もそれほど詳しいわけではありませんが、
一般に、比較サイトの収入源は、販売実績や
顧客誘導実績に応じた手数料等の収入、
あるいは広告料、広告商品の販売収入などのようです。

比較サイトには「中立な第3者」というイメージがあります。
実のところ、その保証はありません。
例えば、手数料率の高い会社の商品に顧客を誘導することも
できてしまうような危うさがあります。
もちろん、そのようなサイトはほとんどないと思いたいです。

なお、保険の場合、募集代理店とは違い、
比較サイト自身には保険業法の規制は及びません。
保険の販売を行っているわけではないからです。

上場企業だからといって信頼できるとは限りませんが
(今回のアイケイ社は東証2部上場企業です)、
少なくとも実態が不透明な比較サイトは避けるべきでしょう。

そのうえで、比較サイトの情報を鵜呑みにせず、
最後は自分で判断するという姿勢が大事なように思います。
ネット時代の消費者も大変ですね。

 

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1社専属と乗合

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金融庁が先月公表した「平成22 検査事務年度検査基本方針」では、
検査重点事項として次のような記述があり、大きな反響を呼んでいるようです。

「最近では、経営の大規模化及び取扱保険商品の広範化が認められる
 保険代理店(生命保険募集代理店及び損害保険代理店をいう。)が
 増加していることを踏まえ、当該保険代理店については、所属保険会社に
 おける保険代理店に対する管理態勢を検証するのみならず、必要に応じて
 当該保険代理店に対する金融検査を実施し、適切な保険募集管理態勢が
 整備されているか検証する。」

金融庁HPへ

立場上、さすがにこれ以上のコメントはできませんが、
保険流通の変化がこんなところにも表れているのだと感じます。

ただ、個人的には「1社専属はだめで、中立的な乗合代理店がいい」
という保険マスコミによく見られる論調にはやや疑問を持っています
(そんなに単純な話ではないだろうという意味で)。

生保営業職員のような1社専属の募集人は、もちろん所属する
保険会社の商品・サービスしか提供できません。
これに対し、保険ショップのような何十社の保険会社の商品を
提供する代理店では、顧客が複数の保険会社の商品を比較検討し、
購入することができます。

一見すれば、後者のほうが消費者利益にかなっているように見えますが、
本当にそうなっているのか。

例えば、顧客は保険ショップ等で商品をきちんと比較検討できて
いるのでしょうか。
この点について、これまでブログでも何回か書いてきましたが、
私はかなり疑問を持っています。

また、募集人が特定の会社の商品を薦めることはないのでしょうか。
現場で耳を傾ければ、「1社に集中させないと手数料ランクが下がってしまう」
「ある会社から『○億円売ってくれたらボーナスとして×億円出す』と言われた」
といった話がしばしば聞こえてきます。

乗合代理店が中立的という保証は、残念ながらどこにもありません
(大半が顧客本位だと信じたいところですが...)。
だからといって、複数の1社専属チャネルに接触し、比較検討するのは
消費者にとって大きな負担でしょう。

やはり「比較情報の充実」がキーとなりそうですが
引き続きいろいろ考えてみたいです。

※いつものようにコメントはあくまで個人的なものですので、
 よろしくお願いします。

※写真は金沢・近江町市場で見つけた野菜たち。
 市場で見た食材が翌日の朝食に出ると、とてもうれしくなりますね。

 

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一時払い終身保険が人気

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24日の読売新聞に、
「銀行窓販の一時払い終身保険の人気が高まっている」
という記事が載りました。

「現在の低金利が続けば、結果的に銀行の定期預金より
 利回りが高くなる可能性もあり、貯蓄商品としても使える」
「法定相続人1人当たり500万円の相続税非課税枠を活用できる」

というのが人気の秘密だそうです。

「貯蓄商品としても使える」といっても、数百万円、あるいは
数千万円の保険料を一括で支払える契約者なのですから、
そもそも死亡保障が主目的ではないのでしょう。

ただ、貯蓄商品としてみた場合、どうなんでしょうか。

通常は10年程度たたないと、解約返戻金が払込保険料を
下回ってしまう商品が多いようです。その後も、
「結果的に定期預金より利回りが高くなる可能性がある」
くらいのリターンしか見込めないわけですが、
10年以上も資金を固定させる見返りが少ないように感じるのは
私だけでしょうか。

他方、相続税非課税枠は確かに保険ならではです。
とはいえ、5000万円+法定相続人1人当たり1000万円の
非課税枠を超えなければ、関係ありません。

記事にはありませんでしたが、特定の人にお金を残せる、
すなわち、特定受取人の生命保険金は遺産分割の対象にならない
というメリットが最も大きいのではないかと思います
(ただし、著しく不公平な場合には遺産分割の対象になるようです)。

※毎度のことですが、コメントはあくまで個人的なもので、
 仕事とは一切関係ありません。
 右の写真は「二ツ池」です。三ツ池公園のそばにあります。

 

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働く人への保険

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インターネット生保のライフネット生命が
2月下旬から新商品「就業不能保険」の販売を開始しました。

ライフネット生命のHPへ

以前、ニッセイ基礎研究所の明田裕さんが「共済と保険」で
「『ディサビリティ』こそ生保・共済事業のフロンティア」という
非常に興味深い論文を書かれていたのを思い出しました。

論文の「はじめに」から引用すると、

・狭義の「医療・介護」分野の将来は必ずしもバラ色ではない

・障害・就業不能のリスクは相対的に高まっていることから、
 「医療・介護」の幅を広くとらえてこれらを包摂し、
 消費者の認知度の向上を含めた対応を進めていく必要がある

と、障害・就業不能(ディサビリティ/Disability)市場の将来性に
注目しています。
ライフネット生命の新商品はまさにこの分野です。

ざっとHPを見ただけですが、確かに私にとっても就業不能のリスクは
大きそうですし、備えが十分とは言えません。

ただ、気になったのが、①就業不能給付金の支払事由、
②日本における就業不能データの存在、です。

約款(HPで公表されています)を見ると、給付金が支払われるのは

「就業不能状態が日本の医師の診断書によって証明されること」

「就業不能状態とは、傷害または疾病により、日本国内の病院もしくは診療所への
 治療を目的にした入院、または日本の医師の指示により在宅療養をしており、
 少なくとも6か月以上、いかなる職業においても全く就業ができないと
 医学的見地から判断される状態(死亡したら就業不能状態ではなくなる)」

となっています。

「いかなる職業」でも「全く就業できない」状態のイメージをつかめないと、
お客さんがついてこないようにも思います。

②については単に私が知らないだけなのかもしれません。
日本にはこのような就業不能状態の発生/消滅データがあるのでしょうか
(ちなみに明田論文では公的年金の「障害発生率」が紹介されています)。

新商品では米国など海外のデータをそのまま参考にしているのか、
あるいは公的データが存在するのか(損保にはデータがあるかも?)。
付加保険料を抑えたといっても、実は安全割増をものすごく大きく
とっているのかもしれません。
しかも、実績として示されるのはかなり先のことです。

詳細は企業秘密でしょうし、もちろん監督当局の認可を得ているのですが、
難しい分野なので、何かもう少し手掛かりがあると安心できますね。

とはいえ、開業以来初めての新商品が「働く人の保険」というのは
新しいライフネット生命らしい取り組みだと思います。
こうやって会社のブランドが形成されていくのでしょう。

※写真左は那覇市内のビーチ。なんと泳いでいる人がいました。

 

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年金保険 税改正で波紋

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2010年度の税制改正大綱に年金保険の税優遇廃止が
盛り込まれたという報道がありました(3日の日経です)。

数年前の逓増定期保険の税制見直しと同様、
節税目的で保険を売るビジネスの危うさが
浮き彫りになった格好です。

逓増定期のときには中小企業の経営者が顧客でしたが、
こんどは銀行や証券会社の富裕なシニア顧客でしょうか。
どのような売り方をしていたのかが問われますね。

もっとも、このところ銀行による保険商品の販売意欲が
再び高まっているという話をしばしば耳にします。
アフラックの決算をみても、四半期ごとに銀行チャネルの
新契約シェアが高まっています。

これで弊害防止措置が緩和されれば、プロ代理店にとって
いよいよ無視できない存在になるのでしょう。

※丸善に行ったらこんな本を見つけました↓
 何かの参考になるかもしれません。
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