04. 保険商品、チャネル

がん保険 いる?いらない?

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26日の朝日新聞「がん新時代」に医療保険の記事がありました。
「十分な貯蓄あれば不要」「年齢・加入期間で赤字も」という見出し。
著名FPの内藤眞弓さん、藤川太さんのコメント付きでした。

保険が得意とするリスクヘッジは、
「滅多に起きないけど、起きたら経済的に大変」
というリスクです。
自動車保険の対人賠償や火災保険、死亡保険などがそれにあたります。

これに対し、病気のように、
「それほど珍しくはなく、経済的にはそこそこの負担」
というリスクに対しては微妙なところです。
どのように備えるかは個人の好みが大きいように思います
(貯蓄が基本だとは思います)。

ただ、がんの場合、治る病気になっってきたとはいえ、
闘病生活には直接的な医療コストのほかにも
何かと費用がかさむようです(個人的な経験から)。

しかも、週刊東洋経済2010年1月23日号によると、
他の病気では死ななくなり、高齢化が進んだ結果
最後にがんで亡くなるケースが拡大しているとのこと。

入院リスクをカバーするだけなら貯蓄で十分と思えますが、
一時金を手厚くしたがん保険にはちょっと心が動きますね。

※写真は横浜の定番スポット
 「港の見える丘公園」「外人墓地」です。

 

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損保協会の比較サイト

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日本損害保険協会が最近、自動車保険商品の比較サイトを開設しました。

損保協会・自動車保険比較サイトへ

最初は「保険料の比較ができないサイトなんて利用価値がない」
とも思ったのですが、価格以外にどの項目を比べればいいのかを
知るうえでは参考になりそうです。

例えば、人身傷害保険や車両保険の選択パターンが示されています。
主な特約や割引制度も示されていて、便利です。
主なサービスや商品の特徴も簡潔に記されています。

もちろん、リスク細分がどのような条件設定で行われているか
(年齢、運転者の範囲、免許証の色、使用目的、走行距離など)
という情報もあります。

数年前に開催された「比較討論会」では、業界団体に比較情報の提供を
期待する声が多く、私などは非常に違和感を覚えたものですが、
様々な制約があるなかで、損保協会の取り組みは評価したいと思います。
価格情報はないですが、リンク先で見積もりを出すことはできそうですし。

あとは生保と第三分野ですが、今のところ具体的な動きはなさそうです。
このままですむとは思えないのですが。

※渋谷で待ち合わせをしたら、モヤイ像がなくなっていました。
 なかなか面白い企みですね。

 

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JA共済の推進活動

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NPO法人学際領域研究所の「保険販売チャネルに関するフォーラム」で
JA共済の話を聞きました。
JA共済ならではの面白い話を伺うことができました。

東洋経済の共済特集で原稿を書いた関係で、
JA共済には何回かインタビューをしたことがあります。
その時もいろいろと興味深く感じたことを覚えています。
以下はその時に伺った話です。

そもそも、JAの共済事業は協同組合活動の一つなので、
「販売する」「営業する」とは言いません。
「普及活動」「推進活動」と言うのだそうです。

JA共済の推進活動の担い手はJAの職員です。
1994年度からライフアドバイザー(LA)制度を導入し、
今では全国に2万人以上のLAがいます。
LAによる生命・建物共済の推進実績は全体の7割に達しています。

ただ、LAは共済推進に特化した人材ではなく、
数年で異動することも多いようです。
生保の営業職員のイメージでとらえてはいけません。

おそらく共済連は共済に特化した人材を増やしたいはずですが、
なかなか難しいのでしょう。

2007年から組合員・利用者の満足度向上を目指して立ち上げた
「3Q訪問プロジェクト(全戸訪問活動)」も、
大手生保の全件訪問活動に表面的には似ていますが、
実際はかなり異なるようです。

大手生保では自社の営業職員に号令をかけ、
給与体系も顧客を訪問すればポイントが付くように見直し、
短期間で大半の契約者を訪問しました。

しかし、JA共済の場合、組合員・加入者を訪問するのはJAの職員です。
訪問活動の進捗率は、JAによりかなりばらつきがあると聞きます。
むしろ共済連とJAの連携を強め、共済事業の存在感を高めることが
訪問活動の目的の一つなのかもしれません。

※七五三はわが家ではすっかり過去の話になってしまいました。

 

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入院期間の短期化と医療保険

直近の「生命保険経営」(第77巻第6号)に
「入院期間の短期化と医療保険」という論文が掲載されています。
第一生命経済研究所の丹下博史さんによるものです。
知っているようで知らなかった話がたくさん出ていて、大変勉強になります。

医療技術の進歩や医療政策上の後押しにより、
平均在院日数の減少が進んできたのはよく知られた話です。

ただ、「患者調査」「病院報告」といった代表的な統計には
転院や再入院が考慮されていないため、実際の平均在院日数は
統計上の数値よりも10~15%長いと考えられるそうです。
なるほど。

米国の6.5日、英国の7.0日、ドイツの10.2日、フランスの13.4日
(いずれも2005年のOECDデータ)に比べれば、
日本の平均在院日数は35.7日、一般病床だけでも19.8日と長く、
まだまだ減少の可能性があるとのこと。

丹下さんは、「そもそも短期入院であれば貯蓄でも対応可能」
「長期的視点で考えると、入院期間に応じて入院給付金を支払う
医療保険はその意味がますます問われることになる」
と述べていますが、私もその通りだと思います。

それからもう一つ。
医療保険に関するデータベースを作れないものでしょうか。
かつては生保協会で集めていた時期もあったようなのですが…
厚生労働省にも医療データがたくさんありそうです。

生命保険経営学会のHPへ
・残念ながら論文は掲載後2年たたないと閲覧できません。
・「生命保険経営」は生命保険経営学会の機関誌なので、
 年会費(3000円)を払えば購読できます。

※写真は横浜・みなとみらい地区のマンション群です。
 ようやく人が住む町になってきた感じですね。

 

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世界の保険市場レポート

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前回(10/13)ご紹介した「World Insurance Report 2009」では、
販売チャネルの多様化が保険成熟市場での成功要因としたうえで、
実際に多様化戦略をとる際の課題や教訓について探っています。

もっとも、私には同レポートの2008年版のほうがより興味深く感じました。

「World Insurance Report 2008」

2008年版では、CapgeminiとEFMAが約11000名の保険顧客
(欧米8カ国と中国、インドで日本は含みません)
へのアンケート調査に基づき、保険市場の動向や顧客の行動特性、
販売ネットワークの利用状況などを分析しています。

成熟国では顧客1人当たり5.2件(生保1.5件、損保3.7件)の
保険に加入しているそうです。
すでに浸透率が十分高く、潜在需要は概して頭打ちです。

ただ、国によっては取引先を変えようとする顧客が増える兆しがあり、
なかでも英国の自動車保険は、平均継続期間が3.4年
(成熟国の平均では8.4年)なのだそうです。

販売ネットワークの利用状況についての調査もあります。
なかでもインターネット販売ネットワークの拡大は
主導的な保険会社も無視できない潮流になっているとのこと。
アンケートによると、損害保険だけではなく、生命保険でも
多くの顧客が将来(=今後3年以内の保険購入)のオンライン購入を
予想しています。

これに対し、向こう3年間で販売シェアを維持できそうなのは
総合代理店/ブローカー/IFAだけで、あとはシェアを失うという結果でした。

もちろん、国によって顧客のニーズや商品の用途、法規制、競争状況が
異なるので、販売ネットワークの利用状況もこれらに影響されるのですが、
一つの見方として参考になりそうです。

※写真はトレッサ横浜です。
 ユニクロは相変わらずのにぎわいでした。

 

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都市部の生保営業

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「大手生保、都市部で営業部門増強」(7/20日経)
「生保レディー 土曜も訪問 日生、選択出勤で営業強化」(7/15産経)
「明治安田生命が『保険難民』開拓 サイトと営業職員連動」(7/14 FujiSankei)

かつて生保レディーといえば、昼休みなどに職場に入り、
その会社の社員と親しくなって保険を売るのが当たり前の姿でした。
私が昔勤めていた職場にも、大手生保の営業職員が出入りし、
同僚たちと仲良く雑談していました(私には不思議でしたが)。

そんな光景も今は昔。今でも大企業で出入りが認められている職場は
どのくらい残っているのでしょうか。
バブル崩壊後の生保の販売不振は可処分所得の低迷や
少子化、晩婚化といった需要サイドの問題だけではなく、
職域営業が壊滅的な状態に陥ったことも大きいと見ています。

上記の記事のように、固定給職員による説明会を通じた販売や
土曜出勤の許可、比較サイトと営業職員の連携など、
大手生保は訪問営業が難しくなっている都市部での営業を
何とか立て直そうと試みているようです。

ただ、大勢の見込み客を抱えることのできた職域セールスと違い、
「説明会」や「土曜出勤」で見込み客を確保できるのでしょうか
(「比較サイトとの連携」は興味深いです)。

※写真はこの週末のイベントです(親バカですみません)。

 

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終身医療保険

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ある会社が販売する終身医療保険のうち、売り上げの3割以上が
かつて同じグループが販売した医療保険(終身医療保険を含む)
からの乗り換えという話を耳にしました。解約&新規です。

終身医療保険は依然として第三分野商品の中心的な存在です。
アフラックの「EVER」やオリックスの「CURE」をはじめ、
無配当かつ解約返戻金のないものが大半を占めているようです。

解約返戻金がない商品の場合、基礎率に「解約率」が含まれています。
つまり、一定の解約を前提におき、保険料を安くしているのです。
前提を上回る解約が発生すると保険会社が儲かることになります。
しかも解約返戻金も配当もないので、差益が還元されることはありません。

既契約者向けに新たな特約を提供するというのであればいいのですが、
解約&新規と聞いてちょっと心配になりました。

 

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個人賠償責任保険

日曜日(11/2)の日経に「個人賠償責任保険」の記事を見て、
かつての上司が「損保で最も役立つ保険」と言っていたのを思い出しました
(損保で勤務していた時代の話です)。

この保険は、法律上の賠償責任を負ってしまった場合の備えです。
例えば自分や自分の子どもが誰かに損害を与えてしまったときなどに
保険金が支払われます。

ただ、個人賠責に単独で入るケースは少なく、たいていは、
火災保険や自動車保険の「おまけ」みたいに付いています。
もちろん、その分の保険料を払うので「おまけ」ではないのですが、
年間1000円程度の負担です。

そのような保険なので、自分が入っていると認識している人は
少ないのかもしれません。したがって保険金の請求も少なく、
この程度の保険料ですんでいるのかもしれません。
あくまで推測ですが。

ただ、米国のような訴訟社会とまではいかなくても、
損害賠償を求められることが増えるような流れがありますので、
子どもがいる人などは入っておいたほうがよさそうですね。

私にしてはめずらしく商品の話でした。

 

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変額年金の運用停止

すでに一部のメディアでは報道されていますが、
変額年金最大手のH社が2007年2月から販売した商品の一部で、
運用資産が目標の下限に抵触し、特別勘定での運用を停止するという
事態が発生しているようです。

契約者は一括受け取り(=受取額は一時払い保険料の8割)、または、
期間15年の年金(=受取総額は一時払い保険料と同額)を選ぶことになります。

この商品はもともと3つのメリットとして
「(バランスファンドによる)安定的な資産の成長」
「(目標金額に到達した場合)運用成果の確定」とともに、

「基本保険金額相当額の最低保証」が挙げられていました。
そして、

・積立目標金額に到達しなかった場合 → 10年確定年金へ移行
・積立金額が基本保険金額の80%以下となった場合
 → 自動的に運用を中止し基本保険金額相当額の年金受取総額を
    最低保証した確定年金へ移行

と明示されていました。

ただ、銀行や証券会社は顧客にきちんと説明していたのでしょうか。
おそらく顧客には高齢者が多いでしょうから、トラブルが多発しないか心配です。

ちなみに、たまたまこのタイミングなのかもしれませんが、
H社の看板的な存在だったS氏が退任したというニュースが流れています。

 

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