03. 保険市場の動向

IT関連2題

やや強引ですが、ITに関連した2つのテーマを取り上げます。

インシュアテックの未来

「わりかん保険」「コロナ助け合い保険」などで知られるジャストインケースの畑加寿也代表が9月29日に、インシュアテックのホワイトペーパーを公表しました。
ITを中心とした保険の発展の方向性を示したロードマップということで、今後10年間で保険市場がどう変わり、既存の事業者はどう対応したらいいかを述べています。

ペーパーでは、(日本の)保険会社は「他のディスラプトされてきつつある業界と比べると金銭的にも時間的にも猶予が残されている」としたうえで、「多くの保険会社は従来の運用モデルとレガシーシステムから離脱できず、新ビジネスの導入や規模の拡大が遅れたり、急速な市場の変化に追いつくことができないでいる」と指摘。今後ITインフラをどのように進化させるべきか、いくつかの選択肢を示しています。

「システムを作らせる技術」

先のペーパーによる、「IT予算の多くは既存のレガシーシステムの維持管理に使われている」「IT人材が不足するなか、レガシーシステムの維持・運用にIT人材が割かれている」「既存のレガシーシステムの全容を理解している人材がいない」といった指摘は保険会社の経営者にとって耳が痛いものだと思います。
しかし、システム変革の選択肢を示され、「パッケージソフトウェアの購入とクラウドベースとしたSaaS(Software as a Service)の利用のどちらにしますか」「サービスの接続方法はAPIですか、アダプターですか」などと言われても、困ってしまうのではないでしょうか(おまえと一緒にするなという声も聞こえてきそうですが…)。

たまたま最近手に取ったのが、白川克さん、濱本佳史さんによる「システムを作らせる技術~エンジニアではないあなたへ」です。著者のお2人はケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというITに強みを持つコンサルティング会社のメンバーですが、コンサルの書いた薄っぺらいハウツー本ではありません(確かにページ数も多いのですが、そういう意味ではありません)。
あるようでなかった、システムを作ってもらう人が身につけるべき技術、知っておくべきことを学ぶための本で、極めて実用的に書かれているばかりでなく、その根拠も記されています。

コラムの1つに「ITベンダーは品質など気にしていない!」というものがあり、私にはストンと落ちました。「品質」と「精度」は別の概念なのですね。

※羽田空港で楽しい自販機を見つけました。

 

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生命保険の加入状況

生命保険文化センターが「生命保険に関する全国実態調査」の最新版を公表しました(9月22日)。
最も注目される「世帯加入率」は89.8%と、前回調査(2018年)の88.7%から大きな変化はなく、簡保・かんぽ生命の加入率低下をかんぽ生命以外の民保と県民共済・生協等の上昇でカバーした形です。
かんぽ生命以外の民保では、配偶者の加入率上昇が目立ちます。ただし、配偶者の医療保険・医療特約の加入率(かんぽ生命を除く民保ベース)は下がっているので、なかなか解釈が難しいです。

直近加入契約の加入年次(民保)を見ると、調査年度およびその前年という回答が計14.9%と、前回調査の15.2%から大きく変わっていないので、ここにはコロナ禍の影響は見られません。
その一方で、2016年以降の加入契約の加入チャネルを聞いたところ、営業職員と地域金融機関、インターネットの割合が上昇し、保険代理店が下がるという結果でした。前回調査に比べると、保険ショップの勢いがやや落ちたのと、コロナ禍でも伝統的な対面チャネルが健闘しているということかもしれません。もっとも、今後の加入意向のあるチャネルのほうを見ると、郵便局の急落を踏まえれば、営業職員も保険代理店も実質的に横ばいと見るべきかもしれません。

コロナ禍の影響を強く感じたのは、加入意向のあるチャネルでインターネットという回答割合が高まったことのほか、「今後増やしたい生活保障準備項目(複数回答)」が軒並み上がっていることです。「特にない」という回答の割合は横ばいなので、もともと保障を増やしたいと考えている層が、より幅広く保障を増やしたいと回答しているようで、将来への不安心理が強いことがうかがえます。

中小企業のリスク意識

ところで、9月16日に日本損害保険協会が「中小企業のリスク意識・対策実態調査2021」を公表していますので、こちらもご紹介します。
企業が直面する深刻なリスクとして「取引先の廃業等による売上の減少」を挙げ、被害を受けた経験を持つ会社もそこそこいるにもかかわらず、5割以上の会社は「特に対策をしていない」のだそうです。企業向け損害保険の加入状況も、火災保険を除けば総じて低いですね。

 

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ファンドの保険会社買収

7月3日に初のオンライン開催となったRINGの会オープンセミナー。19日までの期間限定でダイジェスト版の動画(YouTube)が公開されています。

・第1部は「実践代理店!DX~デジタルシフトする進化系代理店に学ぶ~」
・第2部は「事業者の進化~DXの時代に生きる経営者に必要なもの~」
・第3部は「zoom展示会」※動画なし

保険流通の最新動向に関心のあるかた(あるいはRINGの会に関心のあるかた)は、どうぞご覧ください。

ファンドによる保険会社の買収

2日の日経「バフェット流経営に軸足(有料会員限定)」によると、米大手投資ファンドによる保険会社の買収が相次いでいるそうです。例えばブラックストーンは2021年に入り、オールステートやAIGの生保事業への投資を行っています。

投資ファンドにとって保険会社は長期資金の安定的な供給源に見えるのかもしれません。顧客からの預かり資産ではなく、保険金を支払うまで超長期にわたり返さなくてもいい資金だからです。
ただ、特に生保事業(変額ではなく、定額の保障)となると、過去の様々な失敗事例が頭をよぎります。例えばということで、韓国・大韓生命の事例を紹介しましょう。

韓国の大手生保であるハンファ生命は、20世紀末に経営危機に陥り、政府が救済した大韓生命を前身としています。大韓生命が経営危機に陥ったのは、韓国経済がアジア通貨危機という強いショックを受けたこともありますが、それ以上にガバナンス面の問題が大きく影響しました。要は財閥の会長が傘下の大韓生命をグループのために「活用」したのですね。

・海外に貿易会社を作り、大韓生命から資金を拠出
・返済見込みのないグループ会社を大韓生命が支援
・過大な本社ビル(大韓生命63ビル)への投資を実行
・大韓生命の資金で教会をいくつも建設
 (会長は熱心なクリスチャンだった)

ここまでひどい事例はなかなかないとは思いつつ、通常の事業とは違い、保険事業は先にお金(保険料)が入ってくるので、魅力的に見えてしまいがちです。投資ファンドの保険事業が、運用者にとって都合のいい貯金箱のようにならないといいですね。

※オリ・パラの記念切手を入手しました。

 

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日本生命のCM

先日訃報が伝わった作曲家の小林亜星さんは「モクセイの花」という曲も作っています。
そう、「ニッセイのおばちゃん」のCMソングです。

モクセイの花(動画)

このCMは1970年代から80年代にかけて長く使われたので、40代半ばくらいまでの人であれば、口ずさめるのではないでしょうか。
いま聞くと、しんみりとした名曲ですね。もちろん生命保険のCMなのですが、保険を前面に出さないのに、人生の節目にはニッセイのおばちゃんに相談しようという気にさせますね。

日本生命のCMは結構好きでして、例えば、谷川俊太郎さんの詩を使ったCMは、保険をうまく表現していると思いました。
この駅はかつての井の頭公園駅ですね。

愛する人のために(動画)

比較的最近のものでは、朝ドラのヒロイン清原果耶さん出演のこちら。
つい、うるうるしてしまいます(笑)

見守るということ(動画)

反対に、これは逆効果だと思ったのが、CMではありませんが、2011年放映の「JIN-仁-」です。
日本生命はあくまでスポンサーであり、脚本に影響を与えたとは思いたくないのですが、ドラマのなかで坂本龍馬に「保険」「保険」と叫ばせ、船中八策ならぬ「船中九策」まで登場(保険が加わりました)。原作にそのようなシーンは一切なかったので、かなりガッカリしました。

※手水のところが紫陽花で埋まっていてびっくりしました。太宰府天満宮です。

 

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大手保険代理店の業績動向

営業職員チャネルによる生命保険の販売シェアが5割前後まで下がっているにもかかわらず、営業職員以外の保険流通に関する公表データは限られています。業界紙の皆さん、ぜひ保険流通の全体像がわかるような報道をお願いします(データ付きで)。
いくつかの大手保険代理店が株式を公開し、業績動向を含めた経営情報を投資家・アナリスト向けに公表しているので、最近の数字などを確認してみました。

アドバンスクリエイト(2002年上場)

日本最大級の保険比較サイト「保険市場(ほけんいちば)」を運営し、コンサルティングプラザ「保険市場」での対面販売や提携代理店による協業販売、非対面チャネルによる販売などを行っています。かつてのような保険ショップで集客する事業ではなく、サイトで集客し、対面・非対面チャネルにつなげるビジネスモデルを確立しています。
同社の売上高の8割以上は保険代理店事業です。2020年4-6月期の売上高は前年より17.5%減りましたが、その後は売り上げが回復しています。3月からオンライン面談を導入したことのほか、サイトで集客するビジネスモデルがコロナ禍でプラスに効いていると考えられます。

NFCホールディングス(2014年上場)

ニュートン・フィナンシャル・コンサルティングとして創業し、日本最大級の保険コールセンターを持つ代理店のほか、買収により来店型保険ショップの保険見直し本舗、損保販売を中心とするE保険プランニングなどを擁する大型保険流通グループ。親会社は光通信です。
売上高の7割が保険サービス事業となっていて、2020年4-6月期も前年並みに売上高を確保しました(7-9月期、10-12月期は増加)。これは、2020年1月にE保険プランニングを子会社化したことが寄与しているとみられ、保険見直し本舗の新契約年換算保険料はこの時期大きく落ち込みました(10-12月期は前年並みに回復)。もっとも、経営者向け保険の税制見直しや外貨建て保険の予定利率の引き下げなど、コロナ禍以外の影響も大きいようで、業績トレンドをつかむのが難しいです。

アイリックコーポレーション(2018年上場)

来店型の保険ショップ「保険クリニック」を運営するほか、自社で開発した保険分析・検索システム「保険IQシステム」に強みを持つグループです。
売上高に占める保険販売事業は6割程度で、2020年4-6月期(前期比3.7%減)よりも1-3月期(同23.1%減)のほうが目立ちますが、NFCと同じく、経営者向け保険の税制改正や外貨建て保険の予定利率引き下げも影響しているようです(7-9月期、10-12月期の売上高はおおむね前年並み)。
このところ保険販売事業以外の売上高が拡大していて、システム販売やFC店舗の増加などが貢献しているとみられます。

いかがでしょうか。各社の売上高がコロナ禍でも総じて堅調に見えるのは、売上高の多くを占める手数料収入には、契約時に受け取る初回手数料のほか、次年度以降手数料などがあるからかもしれません。とはいえ、各社の開示情報をざっと見たかぎりでは、それぞれが独自のビジネスモデルを確立していることも大きいのではないかと思いました(ここから保険流通全体を語るのはちょっと厳しいかもしれませんが…)。

 

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保険会社が損失?

数日前にネットで次のようなニュースを見つけました。

東京五輪中止なら保険会社の損失30億ドルも、過去最大

いかにも見出しが独り歩きしそうな記事です。ロイターなので元は英語で、もし東京オリンピックが中止となれば、保険会社の支払額は30億ドルと見込まれ、イベント中止の補償としては過去最大規模という内容でした。英語の loss を「損失」と訳してしまったため、「五輪中止で保険会社が大赤字」といった見出しになってしまったのですね。
業界人であれば、損害率のことを「ロスレシオ」と言ったりするので、こうした失敗はしないと思いますが、一般的にはそうではないのでしょう。

ちなみに30億ドルは決して小さな額ではないとはいえ、2005年に米国を襲ったハリケーン・カトリーナによる保険金支払額は約800億ドル、2012年のハリケーン・サンディは約300億ドルでした。この分野に特化した保険会社であればともかく、保険会社の担保力が損なわれ、料率が急騰するようなことはなさそうです。

気になるメディア用語

今回のロイターは翻訳の問題ですが、NHKや日経をみていて気になる用語の使い方がいくつかあります。

例えばNHKの経済報道では、「前年」や「昨年」を「去年」と表現することが多いようです。NHKが「前年」という言葉を全く使わないのではなさそうですが、経済指標や決算発表のニュースで「去年比で・・・」とやられると、どうもしっくりきません。

日経は一般的な会計用語でも送り仮名を使うのが気になります。その代表例が「繰り延べ税金資産」です。「繰延税金資産」に送り仮名を使うと、なんだか別の話をしているように感じてしまいます。

※写真は福岡・姪浜です。振り返ると全く別の景色が広がっていました(下の写真)。

 

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団体年金保険の予定利率

コロナ禍で休退学、5千人超」というニュースが話題になりましたが、よく見ると、コロナ禍でも大学を休学したり退学したりする人は今のところ増えていないというニュースなのですね。
調査によると、前年同期に比べて退学者が減り、休学者は海外留学要因を除けばほぼ横ばいでしたので、コロナがなければこの「5千人超」が休退学しなかったかどうかは微妙です。ただし、コロナの影響が長期化するほど経済的に困難な学生が増えるでしょうから、文科省が大学等に対し、引き続き学びの支援を求めるのはよくわかります。

団体年金の予定利率で対応分かれる

NHKや読売新聞の報道によると、第一生命が団体年金保険(一般勘定)の予定利率を来年10月に1.25%から0.25%に引き下げる一方、日本生命、住友生命、明治安田生命の3社は顧客企業への影響を考慮し、来年度も利率を維持するとのことです。
NHKのサイトへ

第一生命がなぜこのタイミングで引き下げを決めたのかはわかりません(むしろ決断が遅かったようにも思えます)。ただ、個人向け保険の標準利率がすでに0.25%以下となっている時に、他社はどうして予定利率1.25%(解約控除がなければ0.75%)の団体年金保険を続けることができるのでしょうか。

なぜ利率を維持できるのか

1.25%/0.75%の予定利率を確保するには、それなりの資産運用リスクを抱える必要があります。例えば、団体年金区分(一般勘定)の資産構成を公表している第一生命は、2020年9月末時点で国内株式(全体の7.4%)や外貨建資産(同35.2%)などで資産運用リスクをとっていました(他社も一般向けに公表してほしいのですが…)。
他方、個人向け保険(特に保障性の強い商品)であれば、危険差益や費差益といった保険関係の利益の獲得が期待できます。しかし、団体年金保険はこれらが非常に小さく、しかも資産運用がうまくいけば顧客に配当として多くを還元するので、個人向け保険よりも収益性が高いとは言えません。

以上から、個人向け商品に比べ、予定利率が1.25%/0.75%の団体年金保険はリスクに見合うリターンが得られる商品とは考えにくいのですが、さらに問題があります。それは、負債の評価(特に契約期間の見込み)が難しいという点です。
顧客にとっては運用商品(もっと言えば、金利の高い現預金のようなもの)なので、金利水準が上がれば解約が増えるでしょうし、おそらく今の低金利が続けば、予定利率が1.25%/0.75%の商品はそのまま継続となりそうなので、保険会社にとってALMが非常に難しいと想像できます。

リスクに見合ったリターンが得られにくく、ALMも難しいとなると、各社は相互会社の社員に対し、予定利率が1.25%/0.75%の団体年金保険を続ける説明が必要だと思います。少なくとも「顧客に影響があるから」という理由では納得できないでしょう。

<12月21日追記>
明治安田生命が2024年度以降に引き下げる方向という日経報道がありました。(報道が正しいとして)2024年度とはだいぶ先ですが、何を基準にして決めようとしているのか興味深いです。

※神社の境内でマルシェをやっていました。

 

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パンデミックリスクの補償

今回の新型コロナウイルス感染症では、保険業界が社会的な役割を必ずしも発揮できていないと感じる関係者が多いかもしれません。
死亡保険金や入院給付金は新型コロナ感染症を支払い対象としていますが、生命保険協会によると、8月末現在で死亡保険金は897件(約81億円)、入院給付金は11,100件(約15億円)だそうです。件数があまり多くないのはいい話なのですが、保険が役に立ったと感じる人もあまり多くないということになります。
さらに、事業中断の補償など、損害保険の支払いはより限られているようで、事業停止に伴う損失の補償は専ら政府が担っています。ただ、どの補償スキームも事前の準備が少なかったためか、給付金や支援金が必ずしもスムーズに提供されているとは言い難いようです。

海外に目を転じると、日本よりも厳しい経済・社会活動の制限が実施された欧米各国で、今回のパンデミックの教訓を生かし、パンデミックリスクに備えた官民連携のスキームを検討する動きがあるようです。
損害保険事業総合研究所の機関誌『損保総研レポート』の2020年7月号は、欧州および米国でパンデミックリスクに備えた官民連携スキームを模索する動きを2つのレポートで報告しています。

牛窪主席研究員による「米国における新型コロナウイルスと事業中断保険を巡る動向」では、政府再保険を活用したパンデミックリスク保険制度を創設する法案が連邦議会で検討されていることや、米国損害保険協会(APCIA)などの業界3団体が、将来のパンデミックの際に事業者を支援する連邦プログラム(支払い責任はすべて政府が負担)の創設案を公表していることを紹介しています。
濱田主席研究員による「新型コロナウイルスの損害保険業界への影響」では、ドイツ保険協会が、補償を受ける可能性のある事業者が拠出し、政府も資金を提供するパンデミックリスクに備えた基金の創設を検討していることや、イギリスやフランスで、政府による再保険を活用したスキームを検討する動きがあることを紹介しています。

同様の動きは日本でもあるのでしょうか。
パンデミックのリスク特性を踏まえると、民間だけで補償を引き受けるのは簡単ではなさそうですが、普及活動や支払業務などオペレーションの面で貢献できると思います。例えば地震保険を参考に、中小企業向けの補償を念頭に置いた制度を検討する価値はあるかもしれません。

※先週末に訪問した「かっぱ駅」です。

 

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保険業の従事者数

この夏は執筆ものに追われていまして、確認のためにいろいろと調べることが多いです。
つい先日には保険産業の規模をつかむ一環として、保険業の就業者数を調べました。総務省統計局の経済センサス-活動調査という統計があり、2016年6月時点で668,466人と出ています。
内訳は生命保険業が361,623人、損害保険業が113,019人、保険媒介代理業が143,966人などです。

他方で、生命保険の募集従事者(営業職員と代理店使用人数)は約120万人、損害保険の募集従事者数は約200万人です(資料は「生命保険の動向」「日本の損害保険-ファクトブック」)。

経済センサスと募集従事者の差は、前者が主として保険業に従事している人なのに対し、後者は募集人として届出をしている人なので、銀行などの金融機関や自動車関連(ディーラーや整備工場)、不動産業などの副業代理店の募集人が数値を押し上げているのでしょう。

参考までに経済センサスによると、銀行業444,342人、協同組織金融業189,647人、郵便局286,945人、自動車小売業571,123人、自動車整備業243,301人、不動産業取引業323,508人、不動産賃貸業・管理業845,185人、税理士事務所140,283人でした。

生保の約120万人と損保の約200万人はかなり重複していると考えられるので、仕事として保険産業に関わっている人は300万人には達していないのでしょう。重複度合いを調べるのは難しいですが…とはいえ仕事として保険に関わっている人の数は結構多いと言えるのではないでしょうか。
なお、共済事業に関わっている人(JAや生協など)を含めると、数値はさらに膨らみますね。

※訪問の目的が胃カメラ検査というのがちょっと寂しい気もします。横浜ランドマークタワーです。

 

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前期の講義を終えて

大学教員1年目の前期講義が終わり、採点などをしています。

同僚の先生がたと情報交換してみると、オンライン講義は出席率が高く、かつ、下がらない傾向があったようです。確かに私の場合もそうでした。
ただし、ゼミ以外の授業では「音声をミュート」「カメラをオフ」にして授業に臨むので、本当に出席しているかどうかは確認しないとわかりません。前期の経験からすると、どうやら1割くらいの学生はその場にいなかったようです。

2回に1回は小テストを行い、時には感想を聞いたりしたところ、「ゆっくり丁寧でわかりやすい」という声と、「難しいのでもう少しゆっくり話してほしい」という声があり、どうしたものかと悩みました。
後期もいろいろと試行錯誤してみることにしましょう。

2つの保険の講義のうち、片方で保険会社の経営破綻に関する話を2回に分けて行いました。
感想を聞くと、保険会社が次々に破綻したという事実を知って驚いたというコメントが多かったですね。「自分は保険に入っているけど、保険会社の破綻など考えたこともなかった」「ビルの名前か何かで聞いたことがある生保が破綻していたなんて」などなど。
中堅生保の経営破綻が相次いだのは2000年前後なので、20歳前後の学生の皆さんがちょうど生まれたころに起きた事件です。社会科の授業で取り上げることもないでしょうから、知らないのも無理はありません(リーマンショックだっておそらくピンとこないでしょう)。

なるほどそうきたか、というコメントもありました。
例えば、「保険会社は破綻しても再出発できるのですね」というもの。保険会社の破綻の話しかしなかったので、比較のためにJALの話でもすればよかったのかもしれません。とはいえ、生命保険会社の場合、債権者の大半が保険契約者であり、既契約の存続が絶対命題としてあるので、特殊な処理なのは確かですね。

破綻生保の既契約を引き継いだ会社が設定する「早期解約控除」について、「うまいこと考えるなぁ」というコメントには、当事者には申しわけありませんが、思わずクスッとしてしまいました。二次破綻を避けるための苦肉の策だと思うのですが、興味深く映ったようです。

※今年は実家での会食をあきらめ、ケーキを切って実家に持っていきました。
 久しぶりに横浜に戻ってきています。

 

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