03. 保険市場の動向

自由化後の自動車保険

直近の「損害保険研究」(第79巻第4号)に「損害保険自由化20年目の検証」という、自由化後の自動車保険の推移に関する論文があり、興味深く拝読しました。筆者は元損害保険料率算出機構職員の大島道雄さんです。

自由化で保険料は下がらなかった

本稿で大島さんは、各種統計資料データから自由化後の自動車保険の推移を調査した結果、期待された事業費率の低下や保険料単価の低廉化は認められず、両者はむしろ上昇傾向にあることを指摘しています。

大島さんによる主な考察結果は次のとおりです。

<事業費率>
・自動車保険の事業費率は算定会料率時に比べ一時的であっても低下することはなく、2005年以降は逆に上昇している(損害調査費率の上昇が主因)。
・損保事業全体の事業費率の低下は、もっぱら保険会社の人件費削減によって賄われ、代理店手数料費率の低下には及んでいない。

<損害率>
・自動車保険の特約部分はどの年次においても極めて高い損害率を示し、全体の損害率の悪化を招いている。

<保険料単価>
・自由化以降、保険料単価を切り下げる競争が展開されたが、下押し効果は全体で見れば数%と推定される。
・他方、特約が多数販売され、自由化による保険料低減額以上の収入が得られている。
・年齢構成や車齢の伸びなど、自由化とは関係なく参考純率を押し下げる要因も長期にわたり認められる。

とりわけ、「インシュアランス統計号(=特約を含む保険料・保険金)」と「損害保険料率算出機構統計集(=参考純率に対応する保険料・保険金)」の差に着目することで、特約部分の単価や収支を分析しているのが素晴らしいと思います。

ダイレクト自動車保険の普及ペースが緩やかだったこともあり、単純な料率競争による収支悪化よりも、むしろ特約競争による収支悪化を招いたというのは、私の認識とも同じです。
しかし、特約競争による収支悪化も、本来必要な保険料をとれていなかったという意味では実質的に料率競争と同じですし、(大型再編もあって)人件費や物件費を引き下げたからこそ、この程度の料率引き上げで済んでいる可能性もあるので、保険料単価が自由化直後と同じ水準に戻ってしまっても、自由化の効果が全くなかったということではないかもしれません。

ただし、ここ数年にかぎれば、事故あり等級の導入によって、かつての自動車保険とは違い、実質的に少額損害をカバーしない保険に変わっています。自由化後の市場で担保範囲の半強制的な縮減が起きたことをどう捉えるか、という議論はありそうです。

企業代理店の存在

ところで、本稿では日本の損害保険販売網についても分析し、「根幹をなす大規模乗合代理店をはじめとする大規模代理店の存在が、代理店手数料費率の低下の阻害要因となったと考えられる」としています。数では全体の1/4弱にすぎない乗合代理店が、扱い保険料で70%を占めていることから、主に企業代理店(いわゆる機関代理店)であるとしているのですが、ここはちょっと違和感を感じました。

例えば、販売チャネル別営業成績を開示している損保ジャパン日本興亜(決算データ集を参照)では、企業代理店の収入保険料は全体の19%、自動車保険だけだと13%にすぎず、他方で専業プロが29%、自動車保険だけでは39%を占めています。市場全体でも「根幹をなす」と言うほど機関代理店の存在は大きくないかもしれません。

自動車保険では企業代理店よりもディーラー代理店が気になるところですが、何かを語れるほど公表データがないのが残念です。

※写真は井の頭公園です。池の水を戻しているところでした。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

金融機関窓販マーケット

日本生命によるマスミューチュアル生命の買収が発表されました(3月2日)。
三井生命を含む3社により、「金融機関窓販マーケットにおけるお客様からのご要望に幅広くお応えする体制構築を目指してまいります」ということで、日本生命はマスミューチュアル生命の富裕層向け商品供給力や証券会社・メガバンク等へのサポート体制を評価した模様です。
日本生命のサイトへ

現在の主力は外貨建て

その金融機関窓販マーケットでは、2007年12月の全面解禁から10年(銀行の場合)たったとはいえ、依然として販売の中心は一時払の貯蓄性商品となっています。
中核となる商品は、2008年のリーマンショックころまでは最低保証のある変額年金、その後は円建ての定額商品に移行しました。さらに、2012年あたりからは外貨建て商品の販売が目立つようになり、最近では、マイナス金利政策などによる円建て商品の退潮を受け、外貨建て商品が窓販マーケットの主力を占めています。

顧客の中心が預金を持つ高齢の「資産活用層」だとすると、ニーズが変わったというよりは、保険会社がその環境で供給できて、かつ、やはり金融機関が販売しやすいものが提供されているのでしょうか。
(資産活用層ではなく)資産形成層向けの商品に急に切り替えるのは無理だとしても、アベノミクス以降、ある程度株価に連動するような商品がもう少し売れてもよさそうなものですが、外貨なのですね。

2強の強みは何か

この市場は金融機関という第三者の有力チャネルが販売を担うことから、保険会社が市場シェアを確保し続けるのが難しいマーケットでもあります。実際、過去にはトップシェアの会社が毎年変わるようなこともありました。
しかし、ここ数年は「第一フロンティア生命」「三井住友海上プライマリー生命」が2強として、高いシェアを継続的に確保しているようです。

いずれも国内系なので、外貨の運用能力を販売会社向けにアピールするというのは無理がありそうですし、それぞれ「第一生命」「三井住友」の存在があるとはいえ、市場全体で2、3割のシェアを確保し続けるには、特定の親密先だけでは難しいでしょう。
ただ、両社は金融機関窓販に特化した保険会社という点で共通しており、商品開発力の早さとか、意思決定のスピードとかいった、専門会社であることのメリットを最大限活用できているのかもしれません。

会見によると、日本生命はグループ3社を無理に統合せず、それぞれの強みを生かしていくとのことで、その点は理解できますが、マスミューチュアル生命がいろいろな意味でユニークな会社ということもあり、せっかくの買い物をどう生かしていくか、今後の取り組みに注目です。

※築地市場で古い線路を再利用した柵がいくつもあるのを見つけました。当時の貨物線で使っていたものでしょうか?

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ヘルスケア会社の立ち上げ

月末から月初にかけてサーバーの不具合があり、このブログにアクセスできない状態となっていたようです。ご迷惑をおかけしました。

さて、楽天による朝日火災の買収や、米GEの保険事業による多額損失の発生、三井住友銀行による外貨建てトンチン年金の販売など、このところ興味深い保険関連ニュースが相次いでいます。
私が関心を持ったのは、アマゾンなど3社が社員とその家族向けに米国でヘルスケア会社を立ち上げるというニュースです。

ネットの巨人アマゾン、バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイ、そして大手金融グループのJPモルガンという、いずれも米国を代表するような3社が立ち上げる新会社は、米国内の従業員とその家族向けに、シンプルで高品質、かつ、透明性の高いヘルスケアを合理的な価格で提供することを目指すとのことです。

まだ計画の初期段階とのことで、具体的な事業内容は公表されていません。しかし、この顔ぶれ(特にアマゾン)ですから、AIの活用をはじめ、新しいことを手掛けてくるのでしょう。
事業が軌道に乗れば、3社内だけの話でなく、事業の広がりも考えているのかもしれません。

ただし、米国でヘルスケア事業というと、民間の保険会社が大きな存在感を持っていることを踏まえておく必要があります。
というのも、以前のブログでご紹介したように、米国の健康保険は主に民間が担っているからです。国民皆保険を目指したオバマケアも、民間保険会社の力を借りて成り立っています。

保険会社は単に医療保険を提供するだけの存在ではなく、病院や薬局を組織化するなどして、医療サービス全般に大きな影響力を持っています。
しかも、相次ぐ再編で寡占化・巨大化しており、これ以上の再編には連邦当局が待ったをかけるような状況です。

また、米国では医療費がものすごく高いというのも、よく知られた話だと思います。多くのアメリカ人は企業を通じて医療保険に加入しており、企業がその一部または全部を負担しているため、医療費の高騰は企業経営の負担となっています。

こうした背景のなかで、加入した保険によって受けられる医療サービスの中身が大きく異なるというのが米国の健康保険の現状です。日本のような、全国どこの病院でも保険が使え、誰でも給付内容が同じといったものではありません。

ですから、3社が立ち上げるヘルスケア事業が、単純に既存の保険会社を脅かす存在になると見るのは時期尚早かもしれません。

※沖縄の勝連(かつれん)城跡です。海外貿易で栄えていたそうですが、15世紀に琉球王国に滅ぼされました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

遺伝情報と保険

null null

報道によると、生損保33社の保険約款などに、遺伝や家族の病歴が保険内容に影響しうると解釈できる記載が見つかり、金融庁が削除を求めているそうです
(遺伝情報の利用についてはいずれの会社も否定)。

今回の件は単に「誤解を招く表記」というだけで終わるのかもしれません。しかし、昨年3月のブログでご紹介した、弁護士の吉田和央さんの論文「遺伝子検査と保険の緊張関係に係る一考察」のとおり、日本には、保険会社による遺伝情報の要求や活用を制限する法律等はありませんので、遺伝子解析の技術が進むなかで、保険会社は動きがとりづらい状況です(倫理上問題と指摘されてしまうので)。

※本論文はこちら(PDFファイル)でご覧いただけるようになりました。

米国では2008年に「遺伝情報差別禁止法(連邦法)」が成立し、医療保険における遺伝子差別が禁止されています(生命保険や就業不能保険は対象外)。
ただし、米国の医療保険は、日本における公的な健康保険制度の役割を担っていますので、日本の医療保険とは社会的な位置付けがかなり異なります。そもそも日本の公的な健康保険では危険選択を行っていませんよね。

吉田論文によると、ドイツでは医療保険のほか、一定金額以下の生命保険や就業不能保険などでも遺伝子の活用が禁止されています。裏を返せば、一定金額以上の生命保険等では、遺伝情報の活用が可能ということです。ちなみに、ドイツでは民間医療保険を公的な健康保険の代替として活用することが可能な制度となっています。

こうしてみると、民間保険の危険選択に遺伝情報を活用することの是非は、公的保険と民間保険がどのように役割を分担しているかによるところが大きいと考えられます
(もちろん、文化的背景をはじめ、他の要因も大きいと思います)。

「生保が遺伝情報を活用するのはケシカラン」と倫理上の観点から切り捨てるのは簡単ですが、それが顧客本位とは必ずしも言えないでしょう。
遺伝子検査が普及し、例えばがんになりやすいとわかった人が率先してがん保険に加入するようになると、保険会社はこうした逆選択に苦慮するでしょうし、加入者間の公平性も確保できないからです。

日本でもそろそろこの問題について議論を進めるべきではないでしょうか。

※左は帝国ホテル、右はGINZA SIX(銀座シックス)です。
 銀座の歩行者天国はすごい賑わいでした。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

オバマケアの見直し

null null

米国の医療保険制度(いわゆるオバマケア)では、個人に民間医療保険への加入を義務付けたうえで、一定の条件の下で政府が補助金を支給しています。
オバマケア撤廃に執念を燃やすトランプ大統領は、この補助金を打ち切ると発表したそうです。

1月のブログで書いたように、米国ではオバマケアの導入で無保険者の数は減ったものの、制度の担い手である民間保険会社の収益性が厳しくなり、最大手のユナイテッドヘルスをはじめ、この事業から撤退する保険会社が相次いでいます。
そのようななかでの補助金打ち切りは、保険料率の引き上げや給付対象の制限強化、さらには事業の担い手となる民間保険会社の消滅につながるかもしれません。

そもそも米国の民間が担う医療保障は、オバマケア以前から、日本の健康保険とは中身がかなり異なるようです。

香取照幸さんの著書「教養としての社会保障」では、アメリカで売られている民間医療保険のことを、「リスク細分化型・制限給付特約付き」だと表現しています。
所得階層・社会階層によって受けられる医療保障が天と地ほども違い、まともに機能する保険に入れる人はごくわずか。さらに、前述のように、頼みのオバマケアも大きく揺らいでいます。

日本の医療保険制度では、国民皆保険のもとで、保険証さえあれば誰でも医者にかかれますし、保険がカバーする範囲も広く、所得階層・社会階層が違っても受けられるサービスは平等です。
私たちはこれを当然のようにとらえていますが、米国では全く状況が異なるようです。

なお、公的な制度が優れているということは、民間保険会社の事業機会が限られるということでもありますが、日本に住む個々人としては、この制度ができるだけ続いたほうが幸せですよね
(医療従事者の長時間労働など解決すべき課題は多々ありそうですが)。

その意味では、このところ保険会社が前向きに取り組んでいる「健康増進促進」という流れは、個々人の健康寿命を改善するばかりでなく、医療保険制度の持続性を高めることにも貢献できると思います。

※写真は浜松城と遠州鉄道です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

生涯未婚率の上昇

 

4月3日に国立社会保障・人口問題研究所が
2017年版の「人口統計資料集」を公表し、
そのなかで2015年の国勢調査をもとにした
生涯未婚率の上昇が話題となりました。
人口統計資料集のサイトへ

生涯未婚率は50歳で結婚経験がない人の
割合を生涯未婚として計算しています
(正確には45~49歳と50~54歳の平均値)。

近年の推移は次のとおりです。

     2005年  2010年  2015年
男性  15.96%  20.14%  23.37%
女性   7.25%  10.61%  14.06%

日本では嫡出でない子(婚外子)の割合
2%程度で低位安定しているので、
未婚率が高まると少子化が進みます。

他方で核家族のうち「夫婦と子ども」世帯は
この5年間でわずかながら減っていました。
全体に占める割合も26.8%にとどまります
(1990年には37.3%の最大勢力でした)。
いま増えているのは単独世帯です(34.5%)。

さらに、機関誌「人口問題研究」の論文
わが国の結婚と出産の動向」によると、
出産後も就業を継続する女性の割合が
初めて5割を超えたことが示されています。
「人口問題研究」のサイトへ

以上のように、日本の結婚や家族構成に
これだけ大きな変化が生じているのですから、
かつてのような規模で遺族のための保障
(死亡保障)が売れるわけはありません。

ただ、生涯未婚率が高まると、例えばですが
純粋に長生きのリスクだけを保障する保険商品
(遺族がいなければ死亡保障は不要でしょう)
があれば、貯蓄と社会保険だけで備えるよりも
無駄なく対応できそうですね。

※地元・大倉山の桜です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

オバマケアの見直し

 

トランプ米大統領が就任して最初に署名した
大統領令は、オバマ前大統領が国民皆保険を
目指して実行した医療保険改革法(オバマケア)
の修正に関するものでした。

オバマケア撤廃を訴えて当選したのですから
見直しに着手するのは自然な流れだとはいえ、
代わりにどうしたいのか明らかではないですし、
就任後の動向を見ていても、やはり大変な人が
大統領になってしまったのだと思い知らされます。

ただ、そのオバマケアですが、無保険者の数は
確かに減ったものの、導入後わずか数年で
運営が不安定になっていたことを知りました。
ニッセイ基礎研究所のサイトへ

この松岡博司さんのレポートによると、
保障を提供する民間の保険会社に危険選択を
禁止したため、収益性が悪化し、最大手をはじめ
この事業からの撤退が相次いでいるそうです。
州によっては参加する保険会社が1社になって
しまったところもあるとか。

オバマケアは、国が罰則や補助金によって、
全ての国民(既往症のある人を含む)に対し
医療保険の加入を促すものです。
事業の担い手は民間の保険会社となります。

しかし、日本の自賠責保険のようなノーロス・
ノープロフィットの制度ではなく、危険選択も
できないとなると、民間ベースでの事業運営は
なかなか大変です。

実際、2014年の制度導入後、健康状態の悪い
低所得の加入者が増えてしまい、保険会社の
経営を直撃しているそうです。

そもそもの医療費が日本に比べて非常に高く、
保険料の水準も安くはないのでしょうから、
補助があるとはいえ、低所得者向けの保険料を
引き上げるにも限界があると思います
(それでも料率引き上げが続いているとか)。
提供するサービスの下限も定められているので、
民間会社としては、あとは撤退となるのでしょう。

レポートではそこまで触れていませんが、
これでは、トランプ大統領が登場しなくても、
制度が持たなかったのかもしれません。

※ソウルの北村という、古い町並みが残るエリアです。
 右の「壁」はドラマのロケ地なのでしょうか?

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ざっくり30年史

 

ニッセイ基礎研究所の安井義浩さんによる
「日本の生命保険業績動向 ざっくり30年史」
という連載は、バブル期以降の日本の生保業界を
概観しようというもので、改めて勉強になります。

1日に発表された第2回では、過去30年間の
新契約や保有契約の推移を追っています。
ニッセイ基礎研のサイトへ

個人保険の保有契約高が1996年度をピークに
減少傾向となっていることはよく知られていますが、
団体保険は1997年のAグループ問題による急減の後、
概ね横ばいで推移しているのですね。

例えば、個人保険は10年前の77%水準なのに対し、
団体保険は98%とほぼ同水準なのです。

ちょっと気になったので内訳を確認してみると、
いわゆるグループ保険である団体定期保険は
10年間前の85%水準とそれなりに減っています。

他方、団体信用生命保険は10年前の105%水準です。
つまり、住宅ローンを借りる条件として加入する保険が
保有契約の下支えとなっていたというわけでして、
個人保険からグループ保険へのシフトが起きたのでは
なさそうです。

最後に、メディア登場のご案内を2つほど。

1.月刊BOSSのインタビュー記事

かつての「経営塾」だと思いますが、直近の月刊BOSSで
生保特集があり、そこで私のインタビュー記事が出ました。
テーマは生保のM&Aです。
月刊BOSSのサイトへ

日本生命の筒井社長、明治安田生命の根岸社長の
インタビュー記事も掲載されています。

2.週刊金融財政事情の書評

12月7日号に書評が載りました。
今回は「ガイトナー回顧録 金融危機の真相」です。

ティモシー・ガイトナー氏はニューヨーク連銀総裁
および財務長官として、金融危機の発生・対応から
再発防止の改革まで関わっています。

600ページ超もある大著ですが、興味深く読めました。
冬休みにいかがでしょうか。
ガイトナー回顧録(アマゾンのサイトへ)

※どちらも茨城ゆかりの鉄道です
 (左は関東鉄道。右はつくばエクスプレス)。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

火災保険と地震保険

 

大手損保各社が公表した9月の営業速報によると、
火災保険の増収を主因に、各社とも前年同月に比べて、
2割前後の増収となりました。

10月から火災保険の保険料率が上がるとともに、
地球温暖化で長期のリスク評価が難しくなったため、
保険会社が10年超の契約を取り扱わなくなりました。
この影響から、9月に駆け込み需要が発生した模様です。

参考までに、各社の9月単月の火災保険の業績は
次のように約2倍の水準となっています。

 東京海上     前年同期比  89%増
 三井住友海上&あいおい 同 120%増
 損保ジャパン日本興亜   同 108%増

もちろん消費者にとっては残念な話ではあるのですが、
自然災害が多発するにもかかわらず、30年を超える
長期の自然災害リスクを民間の会社が引き受けるのは、
そもそも難しいことなのだと思います。

地震保険の話もありました。

損害保険料率算出機構が地震保険の基準料率を
全国平均で5.1%引き上げると金融庁に届け出ています。
2017年1月からの実施予定です。

本来は19%引き上げるべきところを、急激な上昇を避け、
3段階に分けて引き上げることになりました。

この件で私は共同通信の取材を受け、いくつかの地方紙に
私のコメントが載ったようです。

 保険アナリストの植村信保氏は、「加入率が低下する
 事態になれば、大幅な制度変更が必要になる可能性
 もある」と警告し、十分に消費者の理解を得た上で
 保険料を引き上げるよう求めた。

十分に消費者の理解を得た上で保険料を引き上げる
ことを求めるようなコメントはしていないのですが、
確かに値上げ後の加入率の推移は気になるところです。

ただ、値上げによる地震保険離れを懸念するのであれば、
現行の家計向け地震保険は半官半民の制度とはいえ、
財源は全て加入者が負担していることを伝えたうえで、
このような制度でいいのかを問うべきなのでしょうね。

今の制度であれば、今回のように震源モデルを更新し、
以前考えていたよりも地震のリスクが高いと判断した場合、
あとは保険料を上げるか、給付水準を下げるかしかありません
(今回は前者だけではなく、後者も実施しています)。

※大連ではトラムが活躍していました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

外資系生保の市場シェア

 

最近、外資系生保について調べる機会がありました。

2013年度末の市場シェアは、保険料等収入で3割弱、
総資産で14%(かんぽ生命を除くと19%)です。

意外に小さいと見るか、あるいは、大きいと見るかは
人により違うとは思いますが、銀行や損保に比べると、
生保では外資系の存在感がかなり大きいと言えそうです。

日本の生保市場で外資系の存在感が高まったのは
2000年代前半のこと。それ以前の外資系の存在感は
非常に小さなものでした。

外資系生保の会社数(支店形態を含む)は、
1999年度末の9社から、2001年度末には17社に増加。
総資産シェアは1999年度末の4.0%から、2001年度末に
10.5%、2004年度末には14.7%となりました。

その後も外資系生保の総資産シェアは上昇基調ですが、
当時に比べると緩やかです(会社数は横ばい)。

2000年代前半に外資系生保の存在感が高まったのは、
経営不振・停滞に陥っていた既存生保の買収のほか、
国内系生保への不安感や不信感、チャネル規制の緩和
(銀行窓販の解禁など)などがありました。

現在、日本勢による海外進出の機運が高まっています。
過去の日本の例を見ると、外資(先進国)系だからといって
市場シェアを獲得できるわけではなく、環境要因も大きい
ということがわかります。

※写真は井の頭公園です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。