相互宝の運用終了

加入者どうしがリスクをシェアし、万一の際には助け合うという仕組みをネットの世界で実現したP2P保険の成功例として紹介されてきた中国の相互宝が、1月28日をもって運営を終了するそうです。詳しくは片山ゆきさんによるこちらのレポートをご覧ください。

2018年のサービス開始からわずか1年間で1億人の加入者を集めたというのもびっくりしましたが、中国当局がオンライン金融事業への規制を強めるなかで、運営終了に追い込まれてしまったというのも驚きです。
片山さんはレポートのなかで、中国当局が昨年になってオンライン金融事業についても既存の金融機関と同様の規制を適用する姿勢を示したなかで、相互宝が保険商品と同様の規制や、保険会社のような厳しい監督・管理を受けていなかった(そもそも当局が保険として認めなかった)ことを述べたうえで、「従来より官(主務官庁)と足並みを揃え、厳しい規制の中で成長した保険会社(民)と、莫大なユーザーを背景に異業種から参入したITプラットフォーマー(民)では、官(主務官庁)との協働関係のあり方に本質的な違いがあったのであろう」とコメントしています。中国ビジネスにおける政府リスクの存在を見せつけられた感があります。

最近のニッセイ基礎研レポートといえば、前金融庁長官の氷見野良三さんが総合政策研究部エグゼクティブ・フェローとして書いたこちら(「金融機関のシステム障害」)も興味深く読みました。
某社のシステム障害についてコメントしたものではなく、「剛構造主義」「ゼロ許容度」から「柔構造主義」「オペ・レジ主義」への転換について述べたものです。私もリスクマネジメントを検討するなかで同じことを時々考えますが、氷見野さんのおっしゃるとおり、社会全体で変わっていく必要があるでしょうね。前回のブログで示したように、そう簡単なことではなさそうですが。

※筑後川昇開橋です。なんと係のかたが橋を動かしてくれました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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