03. 保険市場の動向

米国の変額年金販売

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2008年の金融危機を受けて販売休止が相次いだこともあり、
2009年度は変額年金の販売が減少し、銀行窓販の主力が
定額商品(定額年金、一時払い終身保険)に移りました。
これは日本の話です。

米国ではどうなっているのか気になったので調べてみると、
変額年金の販売はやはり2008年、2009年と減っています
(LIMRAのHPより)。

ただ、2008年に急増した定額年金の販売が、2009年には
小幅ながら減少しているところをみると、必ずしも変額年金から
定額年金にシフトしているわけではないことがうかがえます。
しかも、2010年の1-3月には変額年金の販売が前年を上回りました。

なぜ日本とは異なる動きになるのかというと、
一つは販売チャネルの違いがありそうです。

日本では銀行が一時払い商品のメインチャネルとなっており、
変額/定額ともに銀行が販売しています。

他方、米国では主に銀行が定額年金を販売し、
変額年金は証券チャネルが積極的に扱う、というとやや言いすぎですが、
証券チャネルの存在が大きいのは間違いなさそうです
(他に年金制度の違いも大きいようですが、ここでは触れません)。

もっとも、米国でも販売上位の顔ぶれは変わっています。
変額年金ではプルデンシャル、メットライフの2大生保が上位を占め、
INGやハートフォードは順位を下げています。
AIGは変額年金で7位、定額年金で2位と善戦しているようです。

※保険会社の本社は風格のあるビルが多いですね
 (どこだかわかりますか?)。

 

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チャネルシェアの変化

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久しぶりに保険ネタです。あくまで個人的なコメントで、
仕事とは一切関係ありませんのでお含み置き下さい。

2010.3.29の週刊金融財政事情に
「保険会社の時価総額世界ランキング」という論文が掲載されています。

論文のなかにセグメント別の新契約年換算保険料推移の図表がありました。
伝統的営業職員のシェアが、01年:7割 → 09年:4割と激減する一方、
銀行窓販や独立代理店(個人向け)のシェアが着実に伸びており、
日本の生保市場は市場内のマーケット・シフトが激しいとしています。

確かに伝統的営業職員のシェアは落ちているとは思いますが、
保険料なので、どうしても貯蓄性商品を扱う銀行窓販のシェアが
大きくなります。

利益、あるいは価値(EVなど)という観点で見れば、
08年度以降の銀行窓販はプラスかどうかも怪しいわけで、
保険料シェアの推移からマーケット・シフトが激しいとするのは
ちょっとミスリーディングだと思います。

他方、独立代理店(個人向け)のシェア拡大は、
もっと注目されていいのかもしれませんね。

 

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保険に入らなくなった?

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土曜日(12/26)の日経「日本gene U-29」のテーマの一つが
「保険に入らなくなった?」でした。

記事の中身はご覧いただくとして、使われた図表のなかに
「20代の生保加入率は大きく低下」というものがありました。
このデータは以前もここで取り上げたことのある
「生命保険に関する全国実態調査」の一部です。
HPには過去3回分の調査結果が掲載されています。

生命保険文化センターのHPへ

調査によると、1991年には約90%だった29歳以下世帯の加入率が、
2009年には71.6%まで下がったことが示されています。

ただ、直近の調査から「生協・全労済」も含まれるようになりました。
従来の「民保、簡保、JA」だけの加入率をざっと計算すると、
おそらく65%程度まで下がっているようです。

興味深いのは、今回加わった「生協・全労済」の加入率です。
全年齢では28.8%なのに対し、29歳以下は29.6%でした。

生協・全労済の主力である「一律掛金、一律保障」商品は
若年層には本来、相対的に不利なはずですが
(リスクの異なる20代も50代も同じ掛け金なので)、
それでも29歳以下世帯の支持を集めているのですね。

若年層の生保加入率低下の原因として
「オフィスのセキュリティー強化(=営業員が職場に入れない)」
がしばしば挙げられます。

しかし、このような生協・全労済の加入率をみると、
これは従来のビジネスモデルを前提にした言い訳のように
聞こえてしまいますね
(他に「若年層の所得水準低下」という深刻な要素もあると思いますが…)。

 

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通販自動車保険の成長

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三井住友海上HDのIR資料を見ていたら、
「通販損保ランキング」という資料がありました
(三井ダイレクト損害保険のところですが、まだ更新されていないかも)。

三井住友海上グループホールディングスのHPへ

通販というと外資系のイメージが強いかもしれませんが、
上位6社(ソニー、三井ダイレクト、アクサ、チューリッヒ、
アメリカンホーム、そんぽ24)のうち、3社は国内系です。

6社の自動車保険元受正味保険料は1686億円(2008年度)。
市場全体の保険料が3.5兆円程度(AIUを含む)ですから、
通販6社のシェアは4.8%となります。

ただ、3.5兆円のなかには企業のフリート契約なども含まれるので、
個人向けを全体の7割とすると、シェアは7%近くに上がります。
通販社がメインターゲットにしている顧客層、例えば、
都市部の週末ユーザーであれば、すでにかなりのシェアを
通販社が確保しているのではないでしょうか。

しかも、通販6社の収入保険料は今も成長を続けています。
ややペースが落ちてきたとはいえ、年8%前後伸びていますし、
この上半期もソニーが前期比11.7%増、三井ダイレクトが同11.8%増、
そんぽ24が同19%増となっています。

収支面でも、ソニーはすでに発生ベースで
コンバインドレシオが100%を下回っています。
三井ダイレクトも100%割れが見えてきました
(成長している会社では正味ベースだと数値がかなり低く出るので
発生ベースをみる必要があります)。

英国のような爆発的な伸びはありませんでしたが、
いよいよ無視できない存在になってきましたね。

※写真は港北ニュータウンの緑道です。
 自転車での紅葉めぐりもいいですよ。

 

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生命保険の全国実態調査

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最初にお知らせです。
今週水曜日(30日)の午後、セミナーインフォ主催のセミナーで
講師を務めます。演題は「ポスト金融危機の保険会社経営」です。
少人数で3時間のセミナーなのでそこそこの値段ですが、
まだ席があるようですので、ご関心のあるかたはお越し下さい。
セミナーインフォのHPへ

生命保険文化センターによる「生命保険に関する全国実態調査」
の直近版が17日に公表されています(速報版)。
この調査は3年ごとに行われており、今回の調査は
2009年4月から5月にかけて実施されました。

全生保の世帯加入率は90.3%でした。
ただし、今回から都道府県民共済、コープ共済、全労済が
新たに集計対象となったので、従来ベースでは86.0%でした。

民間の生命保険会社だけでは76.2%と、3年前の76.4%から
ほとんど変わっていないように見えます。
しかし今回から、かんぽ生命(5.7%)が含まれているので、
単純に見れば、実質的には6ポイント近くも下がったことになりますね。

過去の統計では、数値がこれほど下がったことはありませんが、
前回を異常値とすれば、1994年度(82.5%)をピークに、
毎年1ポイントくらい下がっているトレンドとなります。

加入率の低下は、調査のたびに回収サンプルの世帯年収が減り、
かつ、高齢化が進んでいることが大きいようですが、
世代別の加入率(速報版では公表されていません)など、
もう少し細かいデータがあれば、さらに何かわかるかもしれません。

もう一つ注目したのは、生活保障に対する考え方です。
世帯主に万一のことがあった場合に期待できる経済的準備手段を
複数回答で聞いたところ、トップは生命保険となっているものの、
回答率は57.5%と調査のたびに下がっています。
ちなみに1997年度の調査では72.4%ありました。

預貯金等は43%で概ね横ばい。不動産も2割程度で横ばいです。
何が増えたのかといえば、「期待しているものはない」という回答で、
1997年度の12.6%から2009年度は21.3%に上がりました。

生保破綻や金融危機などを経験した結果、このような冷めた回答が
増えているのかもしれません。

※写真は米国で見た銀行ATMのドライブスルーと
 セルフ式ガソリンスタンドです。

 

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芸能人の年金制度廃止

 

出張で大阪にいるからというわけではありませんが、
今回は芸能人の年金制度廃止について。

芸団協が運営してきた年金共済制度がこの6月に廃止になった
というニュースが各紙(朝日、毎日、読売)に載っていました。
「法改正や景気悪化で運営が難しくなったため」(朝日)とのことです。
ここで言う「法改正」とは、無認可共済への規制を入れた保険業法の改正と、
公益性の認定を厳しくした公益法人改革です。

共済事業を運営している公益法人は現在1000近くあるそうですが、
一般法人に移行すると、事業は自動的に無認可共済になります。
ただ、保険会社となるにはハードルが高いため、今回のように
共済制度を廃止するところが大半と見られています。

朝日の記事には、
「掛け金を随時減らせるなど柔軟性の高い商品設計を
 そのまま引き継ぐのは無理、と保険会社に言われた」
とありました。

確かにそのような商品設計は難しそうですが、
互助会的な共済事業にも規制の網をかぶせた以上、
それに代わるような手段を保険会社に提供してもらわなければ
困りますよね。保険会社の商品開発に期待したいものです。

この「芸団協」には95000人の芸能人が所属しているそうですが、
年金制度の加入者は2859人、受給者は2158人とのこと。
所属数と制度利用者のギャップが大きいのがちょっと気になりました。

「全体の56%が年収400万円を下回っている」というデータには
なんとなく妙な納得感がありました。

※写真は大阪・淀屋橋です。

 

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参考純率の引き上げ

損害保険料率算出機構が自動車保険の参考純率引き上げを発表しました。
自動車保険参考純率説明資料

算出機構の資料によると、今後の自動車保険の収支を試算したところ、
対人賠償保険・搭乗者傷害保険を中心に保険成績が悪化したため、
全体で5.7%の赤字になる見込みとなり、同率の引き上げを行ったとのこと。
このうち、最も一般的な自家用乗用車の引き上げは2.4%だそうです。

参考純率の引き上げとともに、年齢や運転者区分の細分化も行っています。
年齢区分では、保険証券に記名された被保険者の年齢別に、
新たに6区分が設定されました(26歳以上補償のみ)。
運転者についても、従来の「家族限定」が、「本人・配偶者限定」「家族限定」
に分かれました。こちらも年齢が関係しているようです。

この結果、若年層と高齢者の参考純率は大幅な引き上げとなりました。
例えば車両保険を付けず、全年齢補償の場合には13.6%の引き上げ
(運転者家族限定、等級20等級)、同じく車両保険を付けず、
記名被保険者が60歳以上では10.9%の引き上げです。

参考純率の引き上げはやむを得ないとしても、年齢区分の細分化については
判断が分かれるところでしょう。
「リスクの高い人は料率も高くすべき」というのは正論なのですが、
リスク細分が進みすぎると弊害もあるように思います。
今回の発表を受けて、各社は年齢区分の細分化をどこまで進めるでしょうか。

なお、かつてとは違い、保険会社は参考純率を使う義務はありません。
実際のところ、各社の損害率にはかなりの差がありますよね。
例えば、統合を計画しているMS海上とあいおい損保の保険料率は
どうなっていくのでしょうね。

※出張で台湾に来ています。

 

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変額年金事業はどうなる?

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ハートフォード生命に続き、今度は住友生命が年金原資保証タイプの
変額年金(一時払い)の販売休止を発表しました。

もともと住友生命は変額年金事業でも大手でしたが、
昨年のAIGショックやハートフォードショック(=運用停止)、
三井生命の撤退といった競合他社の動きを受け、
市場シェアが数%から4、5割まで急激に高まってしまったとのこと。

他方で過去に販売した変額年金の最低保証対応として、
住友生命は2008年度決算で1638億円もの責任準備金を
積み増すわけですから、今回の決断は理解できる話です。

主に預金代替商品として急成長してきた日本の変額年金事業が
曲がり角にあるのは間違いありません。

「高い代理店手数料」と「最低保証」「値上がり期待」の両立は
もともと無理があったようにも思えます。
しかし保険会社の新規参入が相次ぐなかで、市場は銀行主導で動いてきました。
今回の金融危機は製販の関係を正常化するいいチャンスかもしれません。

私は、銀行が個人のライフサイクルに合わせたリテールビジネスを
確立するうえで、保険・年金商品は不可欠な存在だと考えています。
しばらくは悪い話ばかりが目立つと思いますが、
数年タームで見ていく必要がありそうです。

 

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全面広告

土曜日の朝刊に日本のAIGグループ生損保5社と、
アフラックの全面広告が出ていましたね
(「ご安心ください」というもの)。
AIGショックの大きさが伺えます。

聞くところによると、銀行での保険販売にも
少なからず影響がありそうです。

最近は「投信よりも変額年金」という銀行も増えていたようですが、
今回の件で、投信と違い保険には破綻リスクがあることが
改めて認識されたのかもしれません。

株価とともに、今後の販売動向には要注意ですね。

 

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