05. 金融・経済全般

不正なクロスセリング

 

本題に入る前に、コメント掲載のご紹介を。

14日の朝日新聞「保険『窓販』高い手数料」
(10月からの手数料開示を扱った記事です)で、
コメントが載りました。

「手数料が顧客の知らないところで上がって
 いくことは防げるだろう」

というものです。

日本の銀行窓販は複数の保険会社の商品を
銀行が取り扱うのが一般的なので、どうしても
手数料引き上げ圧力がかかりがちです
(もちろん手数料だけではありませんが)。

今回の手数料開示によって、水準を下げるのは
難しいとしても、引き上げ競争となるのを抑える
効果は期待できるのではないかと考えています
(甘いでしょうか?)

さて、米国大手銀行ウェルズ・ファーゴのCEOが
不正なクロスセリングの問題で辞任しました
(12日発表)。⇒ Wells Fargoのサイトへ

問題が表に出たのは9月8日です。
顧客に無断で預金口座やクレジットカードを
大量に作成していたということで、監督当局に
1.85億ドルの制裁金を支払うという内容でした。

ウェルズ・ファーゴの調査によると、2011年以降、
不正に開設した預金口座は150万件、
クレジットカードの発行は56.5万枚に上るとか。

金利水準が低いなか、預貸の利ざやで稼ぐのが
難しいのは米国も同じで、非金利収入のウエートが
高まる傾向にあります。
ウェルズ・ファーゴでは2015年の非金利収入比率は
47%に達しています。

なかでも同社は同一顧客への重ね売りに注目し、
20年ほど前からクロスセリングを推進してきました。
同社の顧客当りのクロスセル率は競合他社を
上回っている模様です。

ここまで不正な口座開設等が広がった背景は
まだよくわかりませんが、米当局(CFPB)によると、
「開設に伴うボーナス」「販売目標の存在」などが
挙がっています。

クロスセリングは日本の金融・保険業界でも
一般的な戦略です。

損保が設立した生保子会社のビジネスモデルは
損保代理店による生保クロスセリングでしたし、
日本の銀行でもクレジットカードや住宅ローン、
グループ会社の運用商品などを提供しています。

しかし、クロスセル戦略は顧客ニーズというより、
売り手のニーズが強く出た戦略だと思います。
多種目販売により顧客との関係を強めることが
できますし、何より顧客当りの単価が高まります。

もちろん、顧客にとって有利な場合もありますが
(例えば割引がある、まとめると便利、など)、
すべてがそうとは限らないでしょう。

もし顧客満足度を高めるようなクロスセリングが
できなければ、顧客との関係を強めるどころか
事業基盤を破壊してしまいます。
米銀の事例は対岸の火事ではありません。

※「鉄博ナイトミュージアム」に行ってきました!

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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イールドカーブの低下

 

日本銀行は16日の金融政策決定会合で
追加的な金融緩和措置の実施を見送りました。

ただし、今後とも「物価安定の目標」の実現のために
必要な場合には、「量」・「質」・「金利」の 3 つの次元で、
躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じるとのことです。

「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」により、
金利水準は大きく下がりました(特に超長期ゾーン)。

<財務省:国債金利情報から>
          2015.3.31   2016.3.31   2016.6.16
 10年金利    0.398% ⇒ -0.049% ⇒ -0.208%
                   (-0.447)    (-0.159)
 20年金利    1.133% ⇒  0.441% ⇒  0.103%
                   (-0.692)    (-0.338)
 30年金利    1.357% ⇒  0.547% ⇒  0.148%
                   (-0.810)    (-0.399)
 40年金利    1.464% ⇒  0.632% ⇒  0.194%
                   (-0.832)    (-0.438)

この結果、生保各社が公表するEVは、3月末から
さらに下がってしまいます(大手で▲数千億円?)し、
商品戦略も、もしかしたら抜本的な見直しが必要に
なるのかもしれません。

長期にわたり利率を保証するという点で大変なのは
年金も同じです。

確定給付企業年金の予定利率は2%以上のところが
多いようですから、予定利率を引き下げるところが
増えていくのではないでしょうか。

危うい金融商品なども出回っていそうですよね。

黒田総裁は同日の記者会見で、

「マイナス金利政策の効果は、実体経済面にも徐々に
 波及してきており、今後、より明確になっていくのでは
 ないかと思っています」

と述べ、イールドカーブの引き下げが実質金利を下げ、
実体経済を刺激する効果があるとしています。

これに対し、全国銀行協会の國部会長は16日の会見で、

「足元では、設備投資など企業の前向きな動きは
 まだ出てきていない」

「企業が設備投資をするときには、もちろん金利も一つ
 のファクターであるが、国内で設備投資をする場合は、
 日本経済の期待成長率がある程度見込めないと
 設備投資をしないということだと思う」

とコメント。そもそもマイナス金利政策の波及経路は

「円安あるいは株高という経路によって消費であるとか
 投資を刺激し、実体経済の拡大を狙うものと思っている」

という見方なので、今の円高・株安基調のなかでは
実体経済へのポジティブな影響は期待できないという
ことなのでしょう。

また、金融庁の人事情報を探していたら、麻生大臣が
14日の会見で次のようなコメントをしているのを発見。

「(ヘリコプターマネーに関する質問に対し、)今現在でも
 問題なのは、お金があるないという話ではなく、実体経済に
 おける需要の絶対量が不足しているところが問題なのですから、
 そういった意味で金利を安くしたからといって特に需要がなければ、
 そのお金は生きてこないというのは、これまでで既に証明は
 終わっていると思いますけれども」

失言の多いかたではありますが、これは強烈です。

そうはいっても、2%の物価目標から程遠い現状を見れば、
日銀による「金利も」「量も」という緩和政策は今後も続くのでしょう
(=やめる理由がありません)。

長期の保障を提供する主体にとって非常に厳しい政策だと
いうことを、日銀はどこまで認識しているのでしょうか。

※築地の青果市場です。スイカがたくさんありました。

 

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創業家による経営支配

 

日経「私の履歴書」と王将フード「調査報告書」が
あまりに対照的だったので、今回はこの話を。

3/31まで「私の履歴書」に登場していたのは
アイリスオーヤマの大山健太郎社長です。
記事のなかで次のように語っています。

「私にとって大事なのは、事業内容よりも『創業の理念』
 がきちんと引き継がれることだ。そのためには血の
 つながった人間による『株式非公開の同族経営』が
 一番いいように思われる」 (3/29付)

「本来会社は従業員のためにある。利益はなるべく
 従業員と分け合いたいと考えた。」 (3/30付)

「経営学や経済論壇は米国型の資本主義を見習えと
 説く。しかし『社外取締役』など表面的な部分だけ
 米国式をまねても結局は機能せず、長続きもしない
 のではないか」 (3/31付)

なかなか刺激的なコメントばかりですが、
成功した創業者の考えがよく表れています。

他方、王将フードサービスの第三者委員会による
調査報告書(3/29に公表)をご覧になったでしょうか。

報告書によると、創業者の長男・次男が代表権を持つ
まさにその時期に、創業者の知人(A氏)やその関係会社と、
経済合理性の明らかでない貸付や不動産取引等が行われ、
会社から合計200億円超の資金が流出したそうです
(このうち約170億円が未回収とのこと)。

その原因は、当時の同社は大株主かつ創業者の子息である
両代表者への遠慮や、意見を言っても無駄という企業風土から、
次男による独断専行を取締役会が牽制する体制がとられて
いなかったことにありました。

その後も会社は他のステークホルダーとの信頼関係よりも
創業家への配慮を優先し、合理性の明らかでない役員人事、
法的責任追及の回避といった対応を繰り返しました。

報告書では、王将フードのガバナンス上の失敗は、
「独断専行ないし密室経営」「創業家との関係」
「A氏との関係」という3つのリスク要因が組み合わさり
引き起こされたもので、それは決して過去のものではない
と指摘しています。

創業の理念が引き継がれなかったと言えばそれまでですが、
同族経営の悪い面が表面化した事例とも言えそうです。

※右の桜は「オオシマザクラ」です。

 

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景気ウォッチャー調査

 

「景気ウォッチャー調査」というものがありまして、
いわば生活実感としての景況感をつかむために
内閣府が毎月実施しているアンケート調査です。

実際の調査から公表までの期間が短いのも特徴で、
例えば2月の場合、2/25~月末に調査した結果が
3/8に公表されています。

2月の調査結果は、景気の基調判断が下がり、

「景気は、円高、株安といった金融資本市場の不安定な
 動きの中、消費動向等への懸念により、このところ弱さ
 がみられる」

「先行きについては、春物商戦やローン金利低下への
 期待等がある一方で、引き続き、先行き不安や金融
 資本市場の動向が企業、家計のマインド等に与える
 影響に留意する必要がある」

というまとめでした。内閣府のサイトへ

アンケート調査なので、各地の景気ウォッチャーによる
様々なコメントが載っています。

そこで、調査結果(全体版)から、マイナス金利政策に
関連するコメントを拾ってみました。

<家計動向関連>
○突然のマイナス金利と、消費税率 10%への引上げ前の
 駆け込み需要が重なり、若い世代の顧客の動きが非常に
 良い 【東北、住宅販売会社】

●日銀のマイナス金利導入以降、百貨店友の会への入会
 希望者が明らかに増加している。預貯金の金利低下を懸念
 しての行動であり、消費者の生活防衛意識が高いことへの
 表れである【東北、百貨店】

●マイナス金利政策の副作用を含めた効果も不透明である
 など、外的環境が悪く、マインドの改善が望めない
 【近畿、百貨店】

●マイナス金利の影響で、住宅ローン金利の低下は更に進んで
 いるが、経済環境の先行きに対する不安感が高まっている。
 そのため、モデルルームへの来場者数が減少し、購入決定に
 移行する割合も低下している 【近畿、その他住宅[情報誌]】

*客からの問い合わせで新築物件の早期建築を要望するケース
 が増加している。その理由としては、マイナス金利政策による
 金融機関の金利優遇や消費税率引上げを見越した早期契約を
 要望している客が増加しているためである
 【中国、住宅販売会社】

<企業動向関連>
●今回の日銀のマイナス金利は、地方銀行にとって最悪である。
 この政策が資金需要の増加につながるとは全く思えない。
 これは景気に悪い影響を与えると思う 【南関東、金融業】

○日銀のマイナス金利の反響は大きく、住宅メーカーの景気は
 好調である。企業への貸付も緩和されて良いムードになりそう
 である 【南関東、税理士】

●特にマイナス金利の影響として、企業の立場からするといくら
 金利が低くても設備投資などの実需がなければ借入はしないし、
 個人の立場からも住宅ローン金利が低くなっても、個人所得の
 増加傾向が期待できない限り、将来の返済見込みが立たず、
 借入はしないと考える
 【北陸、一般機械器具製造業】

●マイナス金利や海外の不安定な原油価格相場、株価乱高下
 など、経営環境の不安要素の影響で設備投資が積極的には
 行われておらず、受注高も前年割れが続いている
 【中国、通信業】

*日銀のマイナス金利導入以降、顧客より新規融資案件や既存
 貸出金についての金利引下げ要請が増加している
 【四国、金融業】

●株価、為替、マイナス金利による銀行経営へのインパクト等、
 環境変化の乱高下が激しいニュースが相次ぎ今後どう動くのか
 全体的に様子見している感じがする。消費行動も当面慎重な
 動きになるのではないか 【沖縄、食料品製造業】

<その他>
●マイナス金利など先行きの不透明感が客の意識のなかに広まっ
 ており、購入マインドが少し弱まっている 【東北、家電量販店】

●マイナス金利政策による景気の先行き不安から、消費の冷え込
 みにつながる可能性がある 【近畿、家電量販店】

●将来に不安を持っている経営者が非常に増えている。世界経済
 の悪化、日銀のマイナス金利の導入、来年の消費税増税等で、
 経営者が設備投資に消極的になっており、景気は悪化しつつある
 【四国、公認会計士】

引用が長くなってしまい恐縮ですが、いかがでしょうか。

NHKニュースでは、「日銀のマイナス金利政策については
見方が分かれました」とあるのですが、ポジティブなコメントは
住宅関連だけで、どうもネガティブなコメントが目立つようです。

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※越後湯沢の先にある貝掛(かいかけ)温泉に行きました。
 目に効く温泉なのだそうです。

 

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社長人事

 

先週に続き、持株会社(純粋持株会社)関連の話です。

東京海上グループはグループ経営体制(人事)を見直し、
持株会社の社長が中核子会社(東京海上日動)の社長を
兼務する人事を改めることにしました。

日本の持株会社グループを見ると、

・純粋持株会社の傘下に大きな中核子会社があるケース

・経営統合に伴い設立した純粋持株会社の傘下に
 複数の中核子会社があるケース

の2つに分けられます。

もっとも東京海上グループやSOMPOグループのように、
設立当初は後者だったものが、その後子会社が合併し、
前者となったケースも目立ちますね。

前者の場合、実質的に「グループ ≒ 中核子会社」
ということが多いためか、持株会社と中核子会社の
社長が同じであることが多かったように思います。

ただ、持株会社の社長はグループ事業ポートフォリオを
いかにマネジメントするかが主な役割であるのに対し、
事業子会社の社長の役割は当該事業のマネジメントです。

東京海上の場合、海外子会社が東京海上日動の傘下に
あるとはいえ、さすがに「グループ ≒ 東京海上日動」
ではなくなっているのでしょうから、今回の経営体制の
見直しは私には理解できる話です。

参考までに、他の保険・金融グループを見てみましょう。
まずは保険持株会社グループから。

MS&ADは、持株会社の社長が中核子会社の一つである
MSIの社長を兼務しています。
ちなみにADIの社長は持株会社の会長を兼務しています。

SOMPOグループは、持株会社の社長が中核子会社の会長、
中核子会社の社長が持株会社の会長という体制です。
しかし、4月から中核子会社の社長が代わり、兼務人事でも、
SJとNKの統合に伴う「たすき掛け人事」でもなくなります。

T&Dは持株会社、中核子会社で社長の兼務はありません。

ソニーフィナンシャルでは、少し前まで持株会社の社長が
中核子会社(ソニー生命)の社長を兼務していましたが、
2015年4月からは兼務を解消しています。

大手銀行グループはどうでしょうか。

MUFGは、持株会社の社長が中核銀行のトップを
兼務しています。
報道によると、近いうちに兼務が解消される模様です。

SMFGとみずほFGは現在、いずれも持株会社の社長と
中核銀行トップの兼務はありません。
SMFGは2011年4月から、みずほFGは2014年4月から
現体制となっています。

三井住友トラストは持株会社の社長が中核銀行の会長、
中核銀行の社長が持株会社の会長という「たすき掛け」。

りそなGは持株会社と中核銀行のトップが兼務です。

全体としては、トップ人事の兼務やたすき掛け人事が
解消に向かっているように見えますね。

※暖冬のためか、大倉山公園の梅がもう咲いていました。

 

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金融グループの経営管理

 

昨年末(12/22)公表の金融審議会報告書
「金融グループを巡る制度のあり方について」
を遅ればせながら読んでみました。

何となくFinTech絡みの話だと思っていましたが
(新聞報道ではそのような取り上げ方だったので)、
金融グループの経営管理のあり方を議論したうえで、
各論としてFinTech関連の規制緩和を求めていました。
金融庁のサイトへ

報告書では、金融グループの持株会社が果たすべき
経営管理機能の内容について明確な規定がないため、
法令上明確にしておくことが適当としています。

そして、グループの経営管理として、あるべき姿は
営業基盤・規模・リスク特性・経営戦略等に応じて
区々であるとしたうえで、例えば、

・グループの経営方針の策定
・グループの収益・リスクテイク方針、並びに資本政策等の策定
・グループの経営管理体制の構築・運用
・グループのコンプライアンス体制の構築・運用と利益相反管理
・グループの再建計画の策定・運用(特にG-SIFIs)

などを行うのが適当としています。

「リスクテイク方針」が挙げられているということは、
グループとしてのリスクアペタイトを明確に設定し、
それに沿って収益・リスクテイク方針や資本政策等を
策定することが想定されているのでしょう
(そうでないとリスクテイク方針を立てられないので)。

報告書はメガバンクグループや地域銀行グループなど
銀行を中心とした金融グループを念頭に置いていますが、
保険グループについても基本的な考え方は同じでしょうから、
この報告書の影響は大きいのかもしれません。

※吹屋の町並みです。赤い町並みが印象的でした。

 

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東芝の第三者委報告書

 

金曜日(24日)は「日経」「明治安田生命」と続けて
海外M&Aのニュースが飛び込み、驚きました。

今回はこの話ではなく、東芝の不正会計について。

21日に公表された第三者委員会による調査報告書を
私も一読してみました。
東芝のサイトへ

新聞報道をはじめ、すでにいろいろと書かれているので
中身の紹介は省略して、個人的な感想を2点ほど。

報告書を読むと、利益かさ上げの手法として、
工事損失引当金の計上に関する恣意的な判断や、
期末の押し込み販売による数値かさ上げなどが、
何回も出てきます。

これらは、社内では適切ではないと認識しつつも、
「粉飾」「違法」とまでは認識されていなかった模様です。

3日間で120億円の利益改善を求めたという話も、
「社長月例」「着地見込会議」などでの議論も、
根底には、「決算は作るもの・コントロールできるもの」
という意識があることがうかがえます。

もちろん、うかがえるというだけで、証拠はありません。
ただ、この点を含め、できればもう少し掘り下げて
いただきたかったなあという印象を持ちました。

「なぜトップは工事損失引当金計上を認めなかったのか」
「なぜトップは利益かさ上げの解消に難色を示したのか」
「なぜトップの圧力が組織的な不正という結果になるのか」

といったところはモヤモヤしたままなのですね
(時間的に厳しかったのだとは理解します...)。

300ページもある報告書を一読したかぎりでは、
「責任の自覚が必要」「経営トップ等の意識改革」
という提言が果たして本質的な再発防止策なのか、
私にはわかりませんでした。

もう一つ、会計監査人は会社にダマされっぱなしだったのか、
あるいは共犯だったのか、本調査の目的ではないとはいえ、
やはり気になるところです。

例えば、別紙3(報告書の最終ページにあります)として
PC事業月別売上高・営業利益推移のグラフがあり、
リーマンショック後の推移はかなり異様な動きに見えます。

もちろん、会社は監査人に何らかのストーリーを示し、
納得させようとしたはずです。
ですから、監査人は被害者なのか、そうではないのか、
今後の調査で解明されることを期待しています。

※写真は成田山新勝寺と門前町です。

 

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生損保のガバナンス報告書

 

先日ブログでみずほフィナンシャルグループの
ガバナンス報告書についてコメントしましたが、
大手保険グループの報告書が徐々に出てきているので、
ざっと比べてみました。

現時点でコーポレートガバナンス・コードを反映した
報告書を公表しているのは、第一生命、MS&AD HD、
SOMPO HD、そして住友生命の4社です。

最後の「住友生命」はあれ?っていう感じですよね。
相互会社形態なのでコードの適用対象外なのですが、
コーポレートガバナンスは会社形態に関わらず
共通のものという認識のもと、任意対応したそうです。

同じく相互会社形態の明治安田生命も7月下旬に
ガバナンス報告書を公表する予定としています。

中身のほうも見てみましょう。

東証の記載要領には、コードの各原則のうち、
実施しないものがある場合には理由を記載すると
なっています。

4社のうち、SOMPOは「全てを実施」とあり、
第一生命は記載なし(おそらく「全てを実施」なのでしょう)。

他方、MS&ADは補充原則4-11③(取締役会の実効性)
について、「今後実施します」とありました。

住友生命も4-1③について「現時点では実施していない」
「結果の概要の開示等について検討を行う」とありました
(住友生命は4-1③についても記述あり)。

ちなみに第一生命は「ホームページにて開示」とあり、
確認すると、自己評価アンケートが公表されていました。
第一生命のサイトへ

第一生命は他の開示項目も「ホームページにて開示」と、
報告書そのものにはあまり記述が見られないのですが、
この自己評価アンケートはなかなか興味深いです。

政策保有株式(原則1-4)についても確認しました。
損保の場合、みずほや三井住友トラストのような、
「原則として保有しません」という記載は見られません。

 「発行体の財務状況、ガバナンス、株価、株式の流動性、
  取引状況等を総合的かつ慎重に判断します」
 「保有する銘柄の投資効率及び信用・市場リスク等を
  適切に管理します」
 【MS&AD】

 「毎年、取締役会において保有を継続する経済合理性が
  あるかどうかの検証を行います」
 「検証に際しては、保険取引やアライアンス強化など
  保有目的に基づく将来性、株価上昇による含み益形成や
  株式としての長期的展望に加え、保険引受および株式の
  リターンとリスクを定量的に評価する指標も活用しています」
 【SOMPO】

と、政策株式の保有を前提にした記載でした。

なお、第一生命と住友生命も「政策保有を行う」ですが、
第一生命が制定したガバナンス基本方針によると、

 「業務提携による関係強化等、純投資以外の
  グループ戦略上重要な目的を併せ持つ株式」

とあり、有価証券報告書の開示内容も踏まえると、
保有株式の多くは純投資という位置付けのようです
(住友生命は不明)。

コードを反映したガバナンス報告書の締め切りは
12月なので、東京海上HDをはじめ、他社の報告書も
しばらくしたら公表されるものと思います。

※成田のソフィア保険事務所を訪問しました。
 駅前広場に面した好立地で、オフィスから新勝寺が見えます。

 

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ガバナンスコード適用開始

 

コーポレートガバナンス・コードが6月から適用となりました。
すでに東証に報告書を提出した会社もみられます。

大手金融機関では、みずほフィナンシャルグループが
適用初日に報告書を東証に提出しました。
みずほFGのサイトへ

注目の「政策保有株式」(原則1-4)に関しては、
「その保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」
という基本方針が示されました。

同社では、個別銘柄ごとに定期的かつ継続的に
保有の意義を検証するのだそうです。

また、取締役会の実効性評価(補充原則4-11③)については、
「(ガバナンス改革について)順調にスタートできたものと評価」
「取締役会が自己評価を絶えず行い、(中略)現時点において、
 第三者評価は必要ないものと考えております」
という記載でした。

これだけでも前進とは思いつつ、期待外れの感も否めません。

今回のガバナンスコードは「基本原則」「原則」「補充原則」の
三層構造になっているのですが、東証の記載要領は、

 ・コードの各原則を実施しない理由
 ・コードの各原則に基づく開示

を新たに求めるだけなので、ガバナンスコードのうち、
明確に開示が求められているいくつかの項目
(1-4、1-7、3-1、4-1①、4-8、4-9、4-11①②③、
 4-14②、5-1)だけに対応すればOKという感じです。

しかし、コードを読むと、基本原則の具体的な項目として
原則や補充原則があるのではなく、いずれについても
実施していることを示さなければならないはずなのです。

例えば、基本原則3には、

「会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・
 経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務
 情報について(中略)主体的に取り組むべきである」

とあり、開示内容は限定されていません。
ところが、東証の記載要領は基本原則3ではなく、
「開示すべき」となっている原則3-1のみ意識しています。

このため、原則3-1に列挙された項目だけ開示すればOK
となってしまい。そもそもの基本原則3はどうなのか、
甚だ心もとない状況となっています。

コーポレートガバナンス・コード制定の趣旨からすれば、
開示項目だけ満たせばいいというのはおかしな話でして、
基本原則3の内容も実行する必要があるはずです。

ということで、これから出てくるガバナンス報告書に加え、
有価証券報告書やアニュアルレポートなどを見て、

「ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており
 付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある」
(ガバナンスコード第3章より引用)

が少しでも改善するかどうか、注目する必要がありそうです。

 

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資金循環統計から

 

資金循環統計(2014年第4四半期速報)の参考図表には
興味深い情報がいろいろ載っていますので、ご紹介です。
日本銀行のサイトへ

最も注目されたのは、個人金融資産が1694兆円と
過去最高を更新したことかもしれません。
資金の流入(主に投信)と時価上昇(株式と投信)で、
9月末と比べて40兆円増加しました。

「部門別の資金過不足」の推移もあります。
資金余剰主体である家計が、資金不足の一般政府を
賄っているという構図に変化はありません。

ただ、資金余剰が続いていた民間非金融法人企業が
この四半期は資金不足となっていました。
今後のトレンドに注目です。

「国債等の保有者別内訳」にも注目しましょう。
中央銀行(=日銀)の構成比が25%となりました。
異次元緩和を続けているので当然の動きですが、
現在の政策が続くかぎり、構成比は一段と高まります。

なお、「日銀が国債をどこまで買えるか」というタイトルの
面白い記事を見つけましたので、ご参考まで。

※久しぶりにつくしを摘みました。春ですね。

 

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