出版記念講演会

 

ブログでご紹介した「保険ERM経営の理論と実践」
出版記念講演会は無事終了しました。

会場となった損保会館のサイトを確認すると、定員は225名。
ところが参加希望者が非常に多かったので、机を取っ払い、
何とか300人まで入れるようにしたのだそうです。

それでも、「申し込もうとしたら、もう締め切られていました」
という声を複数のかたからいただきました。

ということで、ご参加いただけなかったかたのために
勝手ながら私の印象に残ったところをご紹介します。

金融庁・小野審議官の基調講演「高まるERMの重要性」では、
ERMの各要素について、「先進的な社」「態勢整備を進めている社」
「検討に着手している社」「限定的な取り組みの社」の事例を挙げた
スライドがあり、当局の見方の一端がわかって興味深かったです。

座長の家森先生からは、
「MM理論を適用すると、企業が保険に入る必要はない」
「同じように考えると、ERM活動をしても企業価値に影響はない」
といった趣旨の発表がありました。

もちろん話には続きがあって、ERM研究の紹介となるのですが、
会場の皆さんは一瞬、目を丸くしたのではないでしょうか。

本書のERM経営の実践編である第3章・第4章については
執筆者を代表して東京海上の玉村さんがスピーチ。

会場には経営者や行政官も出席していましたが、
「ERM経営の推進には経営者のリーダーシップが不可欠」
「保険監督への期待(と不安)」
といった話にも触れていただきました。さすがです。

「行政への期待(と不安)」はパネルでもテーマとなりました。

講演とパネルで2時間という非常に限られた時間でしたので、
議論を深めるというよりは、講演会に参加された皆さんが
自分の業務を振り返ったり、何らかの考えるヒントを
持ち帰ったりしていただく、そんな機会になったのであれば幸いです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

長期収支分析の新設

29日に日本アクチュアリー会が、長期収支分析に関する
「生命保険会社の保険計理人の実務基準」改正案を公表しました。
日本アクチュアリー会のサイトへ

保険計理人は法令で、責任準備金が将来にわたって
不足が生じないよう、健全な保険数理に基づいて適切に
積み立てられているかどうかを確認することとなっています。

この確認に関する将来収支分析(1号収支分析)において、
現行の「将来10年間の分析」に加え、すべての保険契約が
消滅等するまでの期間(=全期間)にわたる分析を、
新たに導入するというのが今回の改正案です。

アクチュアリー会のサイトには導入の背景等の説明はなく、
いまどうして長期収支分析の導入なのかわかりませんが、
おそらく関連する話として、FSAP JAPANをご紹介しましょう。

IMFは2011~2012年に日本の保険セクターの評価を行い、
その結果を2012年に公表しています。
IMFのウェブサイトへ

これを見ると、26の評価項目のうち、大半が「Observed(O)」か
「Largely Observed(LO)」という高い評価だったものの、
いくつかの項目は「Partly Observed(PO)」という低い評価でした。

POとなった項目の1つが「Valuation」です。

日本の責任準備金はいわゆる経済価値評価ではないし、
償却原価+キャッシュフローテストという手法としても、
10年間のテストしかしていない、という趣旨のコメントがあり、
IMFは「全期間の将来キャッシュフローを考慮すべき」
「評価方法を見直すべき」という指摘をしています。

生保の責任準備金は全期間のキャッシュフローを反映して
計算されているのですが、1号収支分析で「不足」と判断する時点は
5年後なので、これを「短い」と言われると反論は難しいでしょう。

今回のアクチュアリー会の動きがIMFの要請を受けたものなのか、
今のところ明らかにされていません。

ただ、今回の改正案は、全期間の分析を行うというだけで、
アクションを伴うものではなさそうですし、IMFが求める
「全期間の将来キャッシュフローを考慮した」となるのでしょうか
(ちなみにオープンモデルでもOKと読めますね)。

他方で金融庁は、経済価値ベースのソルベンシー規制の
導入に向けた準備を進めているので、こちらを進めれば
IMFの基準をクリアできるはず。

米国保険会社とは違い、日本の上場保険会社の大半が
ESR(経済価値ベースの資本十分性)を公表するなかで、
経済価値ベースも償却原価も、というのはどうなんでしょうか。

※銀座の中央通りに不思議な路地を見つけました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ECBが量的緩和を決定

 

22日に欧州中央銀行(ECB)が量的緩和の導入に
踏み切ることを決めました。
3月からEU各国の国債などを買い入れるようです。

日本でもこのところ長期金利の低下が目立ちますが、
ドイツでも長期金利が下がっています。
国債利回りは10年で0.3%程度。30年も1.0%程度です。
ECBの量的緩和によって、日本のように当面は
金利水準が低く抑えられるのではないでしょうか。

日本の大手生保は元々保有する株式リスクのほか、
為替リスク、あるいは海外の金利リスクをとることで
超低金利に対応しようとしているように見えます。

これに対し、欧州の保険会社は「為替」「金利」といった
マーケットリスクではなく、引き続きクレジットリスクを
主な収益源と考えているようです。

ネットで見つけた欧州保険アナリストのコメントによると、
保険会社が不動産やオルタナティブ、インフラ投資など
流動性の低い資産に投資する動きがあるとのこと。

もっとも、これらは高い専門性を求められるうえ、
保険会社の投資ニーズを満たすほどの案件はなく
そう簡単には増やせない模様です。

米国の長期債や新興国の高クレジット債への投資が
増えるという見方もありました。

ただし、為替や金利のリスクを避け、あくまで信用リスクで
リターンを上げようというもの。
日本の「ヘッジ外債」とはちょっと違うみたいです。

同じ欧州でも、国によって保険市場の中身はそれぞれです。
「超長期に予定利率が固定」「資産・負債のミスマッチ」という
日本の視点からすると、やはりドイツの今後が気になります。

※横浜中華街にかつての船員宿を見つけました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

AIGの経営危機

 

前回に続き、システム上重要な保険会社の話です。

保険会社がシステム上重要とされる一つの根拠として
2008年のAIGの経営危機が挙げられます。

ただし、AIGの危機は保険本業によるものではなく、
デリバティブ事業の失敗が主因という反論も根強いです。

確かにAIGは、傘下のAIGFP社が証券化商品関連の
保証(クレジットデフォルトスワップ)を行っており、
金融危機の発生によって追加担保の拠出を迫られ、
資金不足に陥った結果、公的管理下に置かれました。

危機の原因がこれだけだと、保険本業とは別の事業と
言い切ることができそうです。

しかし、当時のAIGでは別の流動性問題も発生しました。
セキュリティーズ・レンディング(証券貸借)に伴うものです。

AIGは保有する債券を貸し出し、貸出料を受け取るほか、
担保として預かった現金を再投資していました。
言い換えれば、AIGは保有債券をもとに調達した資金を、
再投資していたことになります。

AIGは、流動性の低い証券化証券に再投資していたため、
レンディングの借り手から現金担保の返還を求められ、
資金不足が深刻になったというわけです。

保有する証券をもとに調達した資金を再投資することは
保険本業とは別の事業と言い切れるかどうか。
当時、セキュリティーズ・レンディングを行っていたのは
AIGだけではなく、他の大手保険会社も行っていました。

日本では、証券貸借=手数料収入かもしれませんが、
レバレッジ投資も可能という視点は重要かもしれません。

※写真は雪の新橋演舞場です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

メットライフが当局を提訴

 

保険の国際規制改革に関連した動きとして、
米国では規制当局が大手銀行とともに保険会社を
SIFIs(システム上重要な金融機関)に指定し、
FRBのもとで厳しい規制を課す動きがあります。

そのなかで、昨年末SIFIに指定されたメットライフが、
決定を不服として連邦地方裁判所に提訴しました。
MetLifeのサイトへ

SIFI指定の理由は、メットライフの規模や業務の複雑さ、
他の金融機関との結びつき(連鎖破綻の恐れなど)、
資産売却時の市場への影響などのようです。

これに対し、当局の決定は「恣意的で不透明」であり、
かつ、これから規制の枠組みができる状況の中で
今回の指定は「致命的に時期尚早」としています。
すごいですね。

提訴にあたり、外部機関を使った調査を行い、

・過去に大手生保が破綻しても、他の大手生保への連鎖は
 見られなかった(1994年のカナダの例などを示しています)

・強いストレス時でも、解約に伴う流動性確保のための売却が
 金融市場に大きな影響を及ぼすような規模にはならない
 (4種類のシナリオでテストしています)

といった結果も示しているようです。ご参考 → メットライフの訴状

関連する記事などを見ると、生保の保有債券について
規制当局は投資規模と時価下落の影響だけに着目し、
生保のALMについて果たして理解しているのだろうかと
思わせるような記述もありました。

ちなみにメットライフは、リーマンショック後にFRBが実施した
ストレステストにおいて、保険会社で唯一の対象となり、
2012年には不合格となった経験があります。
2012年3月のブログ「FRBのストレステスト」

この時も「保険会社に対するテストとして不適切」と反発。
その後、銀行事業を売却し、銀行持ち株会社から脱却
(=ストレステストの対象ではなくなった)しました。

前回紹介したダイヤモンドの記事でも書きましたが、
銀行と保険会社では様々な違いがあるにもかかわらず、
銀行と同じ枠組みで規制しようという現在の潮流には、
確かに違和感があるのですが、裁判の行方はどうなるでしょうか。

ところで、先日ご紹介した「保険ERM経営の理論と実践」の
出版を記念して、損保総研で記念講演会を開くことになりました
(2月2日です。恥ずかしながら私も登壇いたします)。

前半がスピーチ、後半がパネルディスカッションでして、
ゲストスピーカー(金融庁の小野審議官)に続き、
研究会メンバーが何人か登場する予定です。

詳しくはこちら↓をご覧下さい。
損保総研のサイトへ

⇒ すみません、「好評につき締め切り」とのことです。

※左は琴平電鉄(かつての京急線の車両だと思います)、
 右は徳島駅で見つけた転車台です。現役とのこと。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

週刊ダイヤモンドに寄稿

今週の週刊ダイヤモンドは保険特集号でして、
私は保険の国際規制改革について執筆しました。

時々このブログでも紹介していますが、
金融規制改革の波が保険分野にも迫っていることや、
「激しくなる銀行規制」「保険規制はリスクベース(?)」
といった規制動向の違いなどを書いています。

だんだん「対岸の火事」ではなくなりつつあるので、
この特集号を読むであろう現場の方々も意識して
できるだけわかりやすく書いたつもりです。
機会があればご高覧下さい。

特集そのものは、生損保業界の動向に関する記事
(日生vs第一など)や保険商品ランキングに加えて、
乗合代理店向けなど保険流通規制の進展を踏まえ、
代理店の特集にも多くのページを割いているようです。

掲載誌をまだ読んでいないので、楽しみにしています。

それにしても、イールドカーブのフラット化は
どこまで進むのでしょうか。
30年国債利回りが1%に接近するなんて。

「金利はこれ以上下がらない」とみて
ミスマッチを続けてきた生命保険会社の場合、
会社価値を損なってしまったことになるのですが、
経営としてどのような総括をされるのでしょうね。

※義父からお年玉(お酒)をいただきました。
 この齢になってもいただけるとは、ありがたいですね。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

少額短期保険の現状

 

この年末に、普段あまりフォローしていなかった
少額短期保険業についてまとめる機会がありました。

まず会社数に驚きました。新規参入が続いた結果、
80社に達しているのですね(2014年11月現在)。
このうち7割が関東財務局の登録となっています。

「少額」「短期」なので保険料規模は約600億円ですが、
契約件数はすでに600万件を超えています。
収支の面では3分の2以上の会社が黒字化したとのこと。

もっとも、分野別には「家財・賠責」が圧倒的に大きく、
保険料の7割以上、契約件数の約9割を占めていました。

生損保の兼営が可能で、多種多様な保障(補償)を
提供できるのが少額短期保険の特長と言われるものの、
賃貸住宅入居者を対象とした家財・賠責分野のほかは
まだまだこれからのようです。

少額短期保険は事業内容がシンプルなはずなのに、
経営内容をつかむのが意外に難しいこともわかりました。

一つは再保険の活用です。

収入保険料が年50億円を超えると、保険会社の免許が
必要になります。そこで、収入の一部を再保険に出すことで
対応している会社が多いようです。
なかには保険料の半分近くを出再する会社もありました。

制度上しかたがないとはいえ、リスク移転の実態や
収支への影響、特定先への偏りなど、いろいろ気になります。

もう一つは情報開示の問題です。

会社の経営方針や財務内容を調べようとしても、
ディスクロージャー誌をウェブに掲載していなかったり、
決算公告で貸借対照表しか出していなかったりと、
情報開示の点で問題のある会社がそこそこ見られました。

規模が小さいとはいえ、不特定多数の加入者から
保険料を受け取り、保障(補償)を提供している業態なので、
これはあまりよろしくない話ですね。

・参考:日本少額短期保険協会

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※写真は北前船で栄えた富山港(岩瀬)の町並みです。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

コンパクトなまちづくり

 

あけましておめでとうございます。
いいお正月休みを過ごされたでしょうか。

私は原稿書きに追われる年末年始となってしまい、
先ほど紅白のDVDをダイジェストで観ました(笑)

新年最初のブログは保険ネタではなく、
年末に訪れた富山の話です。

富山市は「コンパクトシティ構想」と言われる
中心市街地の活性化に取り組む市として有名で、
そこでは鉄軌道網をフル活用しています。

トラム好きにもかかわらず訪れる機会がなく、
このたび短時間ながらようやく実現しました。

富山市の「公共交通を軸とした拠点集中型の
コンパクトなまちづくり」の詳細はこちらをご覧下さい。
 
現在のところ、富山駅の高架化とともに廃止も
検討されたJR富山港線のライトレール化
(市街地は路面を走り、郊外は普通の電車に)と、
富山駅と中心部を周回する市内電車「環状線」
の整備はすでに実現しています。

左の写真は富山ライトレールの岩瀬浜駅で、
バスとの乗り換えが簡単な構造となっています。
右の写真は環状線です。
最近の路面電車は本当にスマートですね
(レトロな電車も走っていました)。

もっとも、北陸新幹線の開業が3月なので、
富山駅周辺はまさに工事ラッシュ。
南北が分断され、駅前も歩きにくい状態でした。

完成すれば南北の通り抜けが簡単になり、
ライトレールと市内電車もつながります
(今は北と南で分かれています)。

実際に乗ってみると、たまたまかもしれませんが、
どちらも利用者が結構多くて驚きました。

地方で車を使わない層というと、高校生以下、
あるいはシニア層というイメージですし、
確かにローカル線の客層はそんな感じです。
でも、そのような乗客の偏りはありませんでした。

環状線は観光客の利用も多かったみたいです
(とりあえず一周乗ってみようという人も)。

富山市のコンパクトなまちづくりについて、
評価するのはまだ早いかもしれません。
本来は財政面も合わせて見るべきでしょう。

参考までに、富山市が2011年に公表した中間報告
によると、

・路面電車の乗車人数は増えた(ただし目標は未達)
・中心商業地区の歩行者通行量は全体では減少
・中心市街地の居住人口は減少

となっています。中心市街地には高齢世帯が多く、
自然減が足を引っ張る結果となっているようです。

駅の整備が進み、公共交通がより使いやすくなると
結果はもう少し違ってくるのかもしれません。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

保険の国際資本基準

 

先週のことですが、保険監督者国際機構(IAIS)が
国際的に活動する保険グループ(IAIGs)に適用する
リスクベースの国際資本基準(ICS)の市中協議文書を
公表しています。

このスイスからの素敵な「クリスマスプレゼント」は、
英文で159ページもありました(涙)
IAISのサイトへ

10月26日のブログで紹介した国際資本規制とは別に、
IAISは世界共通の保険監督の枠組み作りを進めており、
今回のICSはこちらの話です(参考:2013年10月14日のブログ)。
ちょっとわかりにくいですね。

対象となる「国際的に活動する保険グループ(IAIGs)」は
海外での保険料収入がグループ全体の10%以上を占め、
かつ、一定の規模(総資産または収入保険料)を満たす
保険グループと決められていて、日本勢としては、
3メガ損保グループと第一生命が該当するようです。

ただし、数値基準によらなくとも、行政当局の判断で
対象となる保険グループを決めることができるので、
最終的にどのグループが対象となるか、まだわかりません。

さて、市中協議文書をざっと眺めてみましたが、
肝心の資産・負債の評価方法については
「market-adjusted approach (市場整合的な手法)」と
「GAAP with adjustments approach (財務会計を修正)」
の2つが並存している状態です。

すなわち、米国との調整はこれからということで、
最終案にたどり着くにはまだまだ道のりが遠そうです。

ちなみに、2011年に採択された保険基本原則(ICP)では、

「資産・負債の評価は経済価値ベースである」

としたうえで、経済価値ベースの評価としては、
「市場整合的な評価」のほか、「償却原価による評価も
適切なものとなりうる」という決着が図られました。

ICSの最終化は2016年12月の予定ですから、
あと2年間しかありません。
今回はどのような決着が図られるのでしょうか。

日本への影響も大きいとみられるだけに、
引き続き注目していきたいと思います。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※左の写真は日本テレビ、右は帝国ホテルです

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

ERM経営の本が出ました

久しぶりに自分が関係する本の紹介です。

「保険ERM経営の理論と実践」が無事出版となりました
発売は22日と聞いていますが、すでにアマゾンでは
購入できるようです。

著者である「ERM経営研究会」は、昨年、損保総研が
立ち上げた、実務家と保険研究者の合同研究会です。

3メガ損保のリスクマネジャーをはじめとする実務家と、
金融・保険学者メンバーで、ERM経営のあり方について
議論を重ねてきました(各会の詳細は本書に掲載)。
その成果をまとめたものです。

保険ERMに関する本は、どうも規制の解説になりがちです。
本書はそうではなく、メガ損保のリスクマネジャーとして
ERM経営の現場で日々奮闘するメンバーが執筆しており、
参考になるところも多いのではないでしょうか。

また、第6章では保険会社のERMに関する学術研究を
取り上げています。ERM研究は萌芽期とのことですが、
学会でも急速に関心が集まりつつあるそうです。

私は第2章を執筆しました。自分の担当もさることながら、
今回は他の章をいかに充実したものとするかに注力しました。
おかげで、メンバーから相当嫌われたかもしれません^^

保険会社のERM経営(あえて「ERM経営」としています)は
発展途上の分野であるだけに、研究会でも議論が足りない
テーマがまだまだあると思います。
例えば、「グループベースのERM」「日本的ガバナンスとERM」
あたりは、さらに議論が必要かもしれません。

とはいえ、行政や格付会社への対応というのではなく、
自らが主体的・能動的に実践するERM経営について
本書が考えるきっかけになればいいなあと願っています。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。