コーポレートガバナンス・コードが6月から適用となりました。
すでに東証に報告書を提出した会社もみられます。
大手金融機関では、みずほフィナンシャルグループが
適用初日に報告書を東証に提出しました。
みずほFGのサイトへ
注目の「政策保有株式」(原則1-4)に関しては、
「その保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」
という基本方針が示されました。
同社では、個別銘柄ごとに定期的かつ継続的に
保有の意義を検証するのだそうです。
また、取締役会の実効性評価(補充原則4-11③)については、
「(ガバナンス改革について)順調にスタートできたものと評価」
「取締役会が自己評価を絶えず行い、(中略)現時点において、
第三者評価は必要ないものと考えております」
という記載でした。
これだけでも前進とは思いつつ、期待外れの感も否めません。
今回のガバナンスコードは「基本原則」「原則」「補充原則」の
三層構造になっているのですが、東証の記載要領は、
・コードの各原則を実施しない理由
・コードの各原則に基づく開示
を新たに求めるだけなので、ガバナンスコードのうち、
明確に開示が求められているいくつかの項目
(1-4、1-7、3-1、4-1①、4-8、4-9、4-11①②③、
4-14②、5-1)だけに対応すればOKという感じです。
しかし、コードを読むと、基本原則の具体的な項目として
原則や補充原則があるのではなく、いずれについても
実施していることを示さなければならないはずなのです。
例えば、基本原則3には、
「会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・
経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務
情報について(中略)主体的に取り組むべきである」
とあり、開示内容は限定されていません。
ところが、東証の記載要領は基本原則3ではなく、
「開示すべき」となっている原則3-1のみ意識しています。
このため、原則3-1に列挙された項目だけ開示すればOK
となってしまい。そもそもの基本原則3はどうなのか、
甚だ心もとない状況となっています。
コーポレートガバナンス・コード制定の趣旨からすれば、
開示項目だけ満たせばいいというのはおかしな話でして、
基本原則3の内容も実行する必要があるはずです。
ということで、これから出てくるガバナンス報告書に加え、
有価証券報告書やアニュアルレポートなどを見て、
「ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており
付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある」
(ガバナンスコード第3章より引用)
が少しでも改善するかどうか、注目する必要がありそうです。