生命保険の全国実態調査

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最初にお知らせです。
今週水曜日(30日)の午後、セミナーインフォ主催のセミナーで
講師を務めます。演題は「ポスト金融危機の保険会社経営」です。
少人数で3時間のセミナーなのでそこそこの値段ですが、
まだ席があるようですので、ご関心のあるかたはお越し下さい。
セミナーインフォのHPへ

生命保険文化センターによる「生命保険に関する全国実態調査」
の直近版が17日に公表されています(速報版)。
この調査は3年ごとに行われており、今回の調査は
2009年4月から5月にかけて実施されました。

全生保の世帯加入率は90.3%でした。
ただし、今回から都道府県民共済、コープ共済、全労済が
新たに集計対象となったので、従来ベースでは86.0%でした。

民間の生命保険会社だけでは76.2%と、3年前の76.4%から
ほとんど変わっていないように見えます。
しかし今回から、かんぽ生命(5.7%)が含まれているので、
単純に見れば、実質的には6ポイント近くも下がったことになりますね。

過去の統計では、数値がこれほど下がったことはありませんが、
前回を異常値とすれば、1994年度(82.5%)をピークに、
毎年1ポイントくらい下がっているトレンドとなります。

加入率の低下は、調査のたびに回収サンプルの世帯年収が減り、
かつ、高齢化が進んでいることが大きいようですが、
世代別の加入率(速報版では公表されていません)など、
もう少し細かいデータがあれば、さらに何かわかるかもしれません。

もう一つ注目したのは、生活保障に対する考え方です。
世帯主に万一のことがあった場合に期待できる経済的準備手段を
複数回答で聞いたところ、トップは生命保険となっているものの、
回答率は57.5%と調査のたびに下がっています。
ちなみに1997年度の調査では72.4%ありました。

預貯金等は43%で概ね横ばい。不動産も2割程度で横ばいです。
何が増えたのかといえば、「期待しているものはない」という回答で、
1997年度の12.6%から2009年度は21.3%に上がりました。

生保破綻や金融危機などを経験した結果、このような冷めた回答が
増えているのかもしれません。

※写真は米国で見た銀行ATMのドライブスルーと
 セルフ式ガソリンスタンドです。

 

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連休中の読書

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体調がいまいちだったこともあり、連休は自宅でだらだらとすごしました。
連休中に読んだ2冊の本について簡単にコメントします。

1.「プロジェクトファシリテーション」関尚弘・白川克 日本経済新聞出版社

最初にお断りですが、著者の一人である関さんは昔からの友人なので、
中立的な立場からのコメントではないかもしれません。
その点を割り引いても、まさに迫真のノンフィクションです。

副題に「クライアントとコンサルタントの幸福な物語」とある通り、
本書は実際に古河電工で行った業務改革プロジェクトについて
立場の違う二人が交互に語っています。

タイトルをはじめ、カタカナがたくさん出てくるので、
最初はやや抵抗がありました。
でも、関係者が実名で登場するので非常に臨場感がありますし、
コンサルタントの書いたノウハウ本を読むよりも、ずっと参考になりそうです。

保険業界とは直接関係ないかもしれませんが、
普通のミドルが外部の力を借りてプロジェクトを成し遂げた記録は
私たちに勇気を与えてくれるのではないでしょうか。

2.「尊敬される保険代理店」千田琢哉 マネジメント社

「セールスよりもマーケティング」
「凡人でも売れてしまう仕組みを構築すること」

筆者の主張はよく理解できますし、私もそう思います。
保険代理店の依存心の強さや、「俺がやれば売れる」は
組織作りにはタブーという考えにも同感です。

ただ、代理店経営のあり方に触れた第一章、第二章と、
全体の7割近くを占める第三章「保険業界に愛をこめて、六〇のメッセージ」が
私にはどうもうまく結びつきませんでした。
具体的なノウハウと言うよりも、精神的な話が多いようです
(ターゲットとした読者には好感されるのかもしれませんが)。

また、凡人でも売れてしまう仕組みをどう構築するのかという点は、
見たところ本書ではあまり触れられていないようです。
ここが読者には一番知りたいところだと思うのですが。

 

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日系生保の中国ビジネス

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日本生命が中国での合弁生保のパートナーを変更したと発表しました。
これまでのパートナーだった上海広電が経営危機に陥ったこともあり、
中国農業銀行(中国4大銀行の一つ)系の金融サービス会社である
長城資産管理公司を新たな合弁相手として再出発するそうです。

合弁相手の経営危機がきっかけですが、合弁相手の変更により
従来のエージェントを通じたビジネス中心から銀行窓販中心へと
ビジネスモデルも大きく変わるのではないでしょうか。

中国の保険市場の規模はまだまだ小さいものの、
経済成長とともに高成長が続いています。

ただ、外資の実質的な参入規制はかなり厳しいです。
例えば生保の場合、外資の出資制限は50%となっており、
外資系企業として50%出資の合弁会社を設立するか、
あるいは中国系企業に部分出資するかしかありません。

地域制限や種目もあります。外資系企業への免許は通常、
地域限定免許かつ種目制限付きです。
もっとも、今回の日本生命のリリースには、
「中国全土における事業展開を目標」とあるので、
もしかしたらハードルを越えることができているのかもしれません
(あくまで想像ですが…)。

参入規制が厳しいのは、商品・サービスで見劣りする
中国系企業を守るためと言われています。
最初に上海に進出したAIG(100%出資)が短期間のうちに
市場シェアを獲得したため、という話も耳にしたことがあります。

他方、東京海上や住友生命のように、部分出資で中国企業として
参入したケースでは、成長は速いものの、今度は当初の出資比率を
維持できないという問題が発生するようです(一般論として)。

中国は日本の大手として無視できる市場ではありませんが、
成長の果実を得られるのはいつになるのでしょうか。

 

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民主党政権のはずが…

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郵政・金融担当大臣に国民新党の亀井静香氏が就任し、
消費者・少子化担当大臣には社民党の福島瑞穂氏が就任しました。
金融・保険セクターに関係の深い大臣はいずれも民主党ではなく、
連立相手からの選出です。
民主党は金融を重視していないのでしょうか?

欧米ではいまだに金融危機の火がくすぶっていますし、
規制強化の動きはまさに佳境に入っているところ。
日本からも意見を言っていかなければなりません。

「今の金融は極めて異常で金融機関は反省しなければならない」
「金融機関は社会的使命をもっと考えるべきで今の状況はそれとかけ離れている」
(17日付日経の亀井大臣のコメント)

なかなか大変なことになってきましたね。

※写真はパリのカフェです。

 

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ヨーロッパ便り(その5)

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ヨーロッパの都市に行くたびに、路面電車と自転車の存在感が
高まっているなあと感じます。

最近の路面電車はLRT(Light Rail Transit)と呼ばれています。
昔ながらののんびりした乗り物ではなく、最先端の交通手段です。
低床車なので乗りやすく、スピードもかなり出ます。
写真はアムステルダムのトラムですが、最近ではパリにも
LRTが登場したようです。

そのパリを歩いていて目立つのが、VELIB(ヴェリブ)というレンタサイクルです
(右の写真)。
町のあちこちに無人のステーションがあり、クレジットカードなどを使って
自転車を借りる仕組みになっています。
パリの道路は車が多く、自転車レーンの整備もまだまだですが、
おそらく何年か経てばもっと走りやすくなるでしょう。

オランダやドイツの都市ではもっと自転車が目立ちます。
特にオランダでは自転車が都市交通の重要な乗り物とされていて、
主な道路には必ず自転車レーンがあります。
市内を走る自動車が少ないので、おそらく制限しているのでしょう。

いずれにしても、自動車中心の都市交通から脱却しようという
取り組みなのでしょう。

 

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ヨーロッパ便り(その4)

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日本に帰ってきました。
昨日は夜の飛行機だったので、ビュルツブルクにちょっと寄り道。
人気の観光ルートであるロマンチック街道の起点の町です。

観光客ばかりかと思いきや、土曜日の中心部は買い物客がたくさん。
日曜日は基本的にお店が休みなので、土曜日は買い物の日なのですね。
大きな荷物を持った家族連れがたくさんいました。

ドイツには小売店の営業時間に関する法律があって、
数年前までは、平日は午後6時ころまで、土曜日は午後2時までしか
営業できませんでした。日曜日は営業禁止です。
労働者や規模の小さい小売店を保護するのが目的だったように思います。

ただ、近年は徐々に営業時間の制限が緩められています。
数年前には平日も土曜日も午後8時まで営業できるようになり、
さらに、今ではかなりの州で平日の24時間営業や日曜日の営業が
可能となりました(州によって違います)。

ビュルツブルクのあるバイエルン州の現状は確認できていません
(ネットによると、他州よりも緩和されていない可能性が高そうですが…)。
ただ、見たところ「土曜日の買い物」という習慣は続いているようです。

 

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ヨーロッパ便り(その3)

 

オランダ、フランス、ドイツと移動してきましたが、
通貨がどこもユーロというのが非常にありがたいです。
それに鉄道でも飛行機でも出入国審査がないので、
国内旅行の感覚です(これは通貨統合以前からだと思います)。

加えて言葉の問題。
フランスのアクサやドイツのアリアンツといった国際企業では、
本社でも半数近くが外国人という部署が珍しくないようです。
ドイツ人とイタリア人、イギリス人がみんなで話をするときに使う言葉は
英語なんだそうです。

そこまでいかなくても、英語の国際語化は一段と進んだように思います。
「フランス人は英語を知っていても知らないふりをする」
という有名な話がありますが、もはや伝説でしょう。

基軸通貨のドルを持ち、英語を母国語とする米国と、
通貨統合でユーロを立ち上げ、英語を共通語とするEU圏。
二大勢力のなかで日本が存在感を発揮するには
どうしたらいいのでしょうか。
ルールに従うだけではなく、ルールを作る側にまわったほうが、
たぶん幸せですよね。

 

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ヨーロッパ便り(その2)

 

ホテルのネット接続がうまくいかず、更新が遅れてしまいました。
以前もヨーロッパ出張ではネット関連で苦労したことがあります。
このあたりは米国のほうが進んでいるようですね。

かつてはヨーロッパでもチップは必須だったように記憶しているのですが、
いまやホテルでもレストランでもチップなしで大丈夫のようです。

ホテルでもボーイさんが部屋まで荷物を運んでくれても、さっさと帰っていきます。
タクシーも基本的にチップ不要です(渡せば受け取るのでしょうけど)。
米国のように、チップを渡し忘れると待っている、あるいは請求する、
なんてことはありません。

ガイドブックには「請求に『サービス料』が入っていればチップ不要」
などとありますが、周りを見ると、そうでなくてもチップを置いていないようです。
ただ、高級店は違うのかもしれません…行っていないのでわかりません^^。

米国ではホテルやレストランからの収入が極端に低いので、
どうもチップが収入の重要な部分を占めているという話を聞きます。
「いいサービスのためにはチップが必要」という考えも根強いです。

ただ、チップの習慣がない日本の旅行者にとって、
15%ものチップを払うのは苦痛ですよね(少なくとも私には)。
ヨーロッパの変化を見ると、固定給をもっと上げたほうが
サービスの底上げにつながるでは、などと感じてしまいます。
経済学ではどうなっているのでしょうね。

保険アナリストとしては、何となく生保営業職員の給与制度の話に
通じるものがあるように感じました。

 

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ヨーロッパ便り(その1)

 

金融市場混乱の影響は米国の金融機関だけではなく、
ヨーロッパの金融機関にも大きな影響を与えました。

日本では米国の金融機関については大きく報道されるのですが、
ヨーロッパの動向は断片的にしか伝わってきません。
英国やオランダをはじめ、各国政府は自国の金融機関に
公的資金を何度も投入したり、リスクの高い不動産関連資産の
保証をしたりといった支援を行っています。

もちろん、支援を受けた金融機関では、コスト削減やリスク圧縮、
事業見直しなどの再建計画を立て、実行しているところです。
決算発表等でリストラ計画の進捗状況を公表し、
「計画を上回るペース」などと報告する金融機関も見られます。

ところが複雑なのは、欧州連合(EU)の存在です。
欧州連合の執行機関である欧州委員会はこの8月、
政府の支援を受けている金融機関に対し、
改めて大規模なリストラを求めました。
競争条件の公平さを保つため、個人・法人向けを問わず、
売却などによる事業再編を促しているようです。

自国政府とは別に、国際的な上位組織からリストラ計画の
見直しを求められるとは、日本ではなかなか考えにくいことです。

ただ、今週発表になった、中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ
(バーゼル銀行監督委員会の上位機関)のリリースでも、
規制の強化とともに、「国際的な調和」が何回も出てきます。

ポスト金融危機の世界では、国際的な組織や会合の影響力が
これまで以上に大きくなっていくのでしょう。
日本も国際的な場でいろいろ主張していかないと、
他人が作った規制を単に受け入れるだけになってしまいます。

※写真はアムステルダムです。自転車が目立ちます。

 

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ヨーロッパ出張

このところテレビによく出ている「鳩山さんのそっくりさん」が
私に似てると、妻と息子から言われました。
鳩山さんに似ているのではなく、そっくりさんのほうです(笑)。
自分ではあまりそのように思わないのですが...

自分でも似てるなあと思ったのは、オメガトライブのカルロストシキさん
(わかりますか?日系ブラジル人です。ちなみに今は似ていません)。
20年前の話ですが、彼が出ているテレビを観て、
自分が歌っているのではないかと思いました^^

ところで、このブログは成田空港で書いています。
7月の台湾、8月の米国に続き、今回はヨーロッパです。
もともと、この出張が最初に決まっていたところ、
次々に新たな出張が入り、毎月どこかに出かけるはめになりました。

G20がロンドンで開催されたばかりですが、
日本にいると、ヨーロッパの経済・金融情勢はいまひとつよくわかりません。
うまくブログを更新する時間があれば、
米国のときのように、いろいろとコメントしたいと思います。

 

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