先週(11/22)の日経ヴェリタス6面に
「不確実な夢は追わない?年末ジャンボが映す若者のあきらめ」
というコラムがありました。
年末ジャンボ宝くじは約2000億円もの売り上げだそうですが、
購入者の高齢化が目立ち、若年層は夢に財布を開かないとか。
コラムには、
「生活に余裕がなく、不景気の記憶しかない、夢が描けない世代
(早稲田大学・田村正勝教授のコメントに続く記述)」
「ただ、『どうせダメ』というあきらめや失望は何も生まないばかりか、
景気回復を遅らせかねない」
とありました。
しかし、コラムにもありますが、宝くじの売り上げの4割は
公共事業等に使われます。これが宝くじの本来の目的なのです。
このような還元率の悪い投資をしない若者に対し、
「夢が描けない」「景気回復を遅らせかねない」と言ってしまうのは
ちょっとひどいんじゃないんでしょうか。
私はむしろ、「2億円の夢」につられて行列を作る「庶民」のほうを
いつもながら心配してしまいます。まあ、余計なお世話ですが。
他方、11/21号の週刊東洋経済に掲載された
「草食化する若者は明日の日本を担えるか」という
中央大学・山田昌弘教授の論文には、思わずうなづいてしまいました。
創刊から30周年を迎えた旅行ガイド「地球の歩き方」の読者層は
本来のターゲットだった若年男性から、中高年男性と若年女性に
移っているそうです。統計的にも20代の出国率が落ちているとのこと。
山田教授はこれを、20代の経済力が落ちたというだけではなく、
自らの調査等を踏まえ、若者が保守化しているためと分析しています。
そして保守的な若者を作り出しているのは、われわれ大人社会の側であり、
・新卒一括採用システム
・そこから漏れて非正規になると再挑戦ができないキャリアシステム
・わが子に危ないことをさせようとしない親
これらはどれをとっても若者のチャレンジ精神をそいでいるという指摘でした。
成熟社会に共通の悩みなのかもしれませんが、難しい問題ですね。
※写真は私が学生時代、初めて行ったヨーロッパで撮ったものです
(ドイツ・マインツの市場)。
何を見ても新鮮だったので、あの時の旅のことはよく覚えています。
左が1989年、右が2005年です。
よく見ると、建物が増えているようです。