IASBの円卓会議

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7/16のブログで書いた金融商品会計の見直し案について
IASB(国際会計基準審議会)が東京で円卓会議を開いたので
私も出席してきました
(FASB=米国財務会計基準審議会との合同開催)。

IASBのHPへ

現在の保有区分は主に「満期保有目的」「売買可能」「トレーディング」です。
これをIASBは「公正価値/純利益」「取得原価」の2区分に集約する案を、
FASBは基本的に「公正価値/包括利益(売買目的、株式は純利益)」にする案を
それぞれ出しています。

円卓会議は午前、午後の2回開かれました。
午前の参加者は20人程度で、このうちアナリスト関係が6人、
コンサルタントが3人程度、銀行・生保関係が4人、メーカーが2人、
ASBJ=日本の企業会計基準委員会から3人、といったところでしょうか。
海外からの参加者もいました(韓国、香港、シンガポールなど)。

加えて、オブザーバーがたくさん。50人くらいいたでしょうか。
これは私には想定外でした。

会議では参加者がIASB/FASBのメンバーに対し、質問やコメントをしました。
名札を縦にすると、順番に発言の機会が与えられるスタイルでした。

やはり一番多かったのが、いわゆる持ち合い株式の評価についての発言でした。
IASB案では例外として、公正価値でも包括利益でOKという案を出しています。
ただ、売却益や配当収入が純利益に反映されないため、
多くの参加者からこの点についてコメントがありました。

IASBからは「例外の例外を作ろうというのだから、単なる要望ではなく、
そうするべき明確な理由を提案してほしい」とのこと。
そうでなければ動けないという感じでした(あくまで個人的な印象ですが)。

私はと言えば、発言者のなかで最もつたない英語で次のようなコメントをしました。

・FASBの「公正価値/包括利益/売買損益を純利益に反映」を支持
 IASB案では現行の「満期保有」よりも自由度が高くなってしまうのが難点
・保険負債が公正価値になると、保険会社は資産・負債が時価・時価に、
 他方、銀行は資産・負債とも償却原価が大半となると見られ、
 両者を比べるのが難しくなる
・分析上、純利益をそれほど重視していない。ただ、多くの人が参考にしているので、
 「純利益に反映」ではなく、「包括利益/売買損益を純利益に反映」が妥当

2時間はあっという間でしたが、かなり疲れました(TT)

※写真は大倉山「ピオン」のケーキです

 

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ソルベンシー・マージン比率の見直し案公表(その2)

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今回もソルベンシー・マージン比率(SMR)の見直し案について。

見直し案が実現すれば、大手生保のSMRは現行の半分程度に
下がるとのことですが、自分でもざっと見てみました。

国内系生保では株式保有が多い会社ほど比率が下がるようです。
これはもともとの見直し案の通りです。

例の、「全期チルメル式責任準備金超過部分(全チルV超過部分)」
+「劣後特約付き債務」<「中核的支払余力」 という限度を設けた影響は、
少なくとも2009/6末時点では、それほど大きくなさそうです。

ただし、中核的支払余力の計算には「その他有価証券評価差損」
を含むのがミソとなっています(差益は含みません)。
つまり、内部留保の取り崩しだけではなく、有価証券含み損が拡大しても
中核的支払余力が減少し、全チルV超過額&劣後債務の算入限度が減り、
限度に達した会社ではソルベンシー・マージン比率が大きく下がる仕組みです。

また、新聞にコメントを出した段階では気がつかなかったのですが、
ソニーやオリックス、プルデンシャル、ジブラルタ、三井住友海上メットライフ
といった会社は、全チルV超過部分が中核的支払余力に比べて大きいため、
現状では比率がかなり下がるとみられます。

だからといって健全性に問題があるわけではありません。
おそらく経済価値ベースに移行した場合には、
また景色が違ってくるように思います。

※写真は地元・大倉山です。

 

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ソルベンシー・マージン比率の見直し案公表

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総選挙は自民党の歴史的な敗北となりました。
民主党政権になって何が変わるのでしょうか。
せっかく単独過半数をおさえたのですから、
単なる人気取りだけは勘弁してほしいです。

さて、金融庁は28日に保険会社の健全指標の一つである、
ソルベンシー・マージン比率(SMR)の見直し案を公表しました。

金融庁HPへ

もともと金融庁は2007年4月の検討チーム報告書を受けて、
2008年2月に見直し案を公表し、意見募集を行っていました。
しかし、その後の金融危機発生や大和生命破綻を踏まえ、
当初の見直し案を修正し、再度、意見募集を行うことにしたものです。

今回の修正見直し案は、概ね当初の案に沿ったものですが、
証券化商品や金融保証保険のリスク認識強化は当然として、
「全期チルメル式責任準備金超過部分」+「劣後特約付き債務」に
中核的支払余力の範囲内という算入限度が設けられたのは
ちょっと驚きました。

各社のSMRの内訳をみるとわかりますが、「全期チルメル式云々」は
かなりの金額を占めており、中核的支払余力の取り崩しが相次いだ
2009/3末時点では、いくつかの国内系生保で限度額を超えています。
何らかの要因でさらに中核的支払余力を取り崩すとなると、
同時に「全期チルメル式云々」も算入できなくなるため、
SMRが大きく下がることになりそうです。

今回の見直し案が実現すれば、大手生保のSMRは現行の半分程度、
大手損保は3割程度下がるとのことです。
ただ、国際的にはより厳しい規制見直しが進んでおり、
今回の見直しはそこに至るまでの暫定措置にすぎません。

朝日と日経に私のコメントが載っていますので、ご紹介します。

「今回の改定は、比率の信頼性を高めるための第一歩。
 上位生保の経営方針を変えるほどのインパクトはまだないが、
 金融危機で体力を失った生保ほど厳しい経営環境に
 なっていくのは間違いない」(朝日)

「保険会社はこれまで以上に身の丈に合った経営を迫られる」(日経)

※写真はアトランタです。噴水でちびっこたちが遊んでいました。

 

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個人年金市場への新規参入

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ソニー生命と、オランダに本拠を置くエイゴングループの合弁会社
「ソニーライフ・エイゴン生命保険」が生命保険業の免許を取得しました。
金融庁HPへ

準備会社の設立が2007年8月ですから、免許を取得するまでに
かなりの時間がかかりました。これも金融危機の影響なのでしょうか。

変額年金市場では、資産残高で上位5社のうち2社が撤退、
1社が主力商品の販売を停止するという異常事態が生じています。
他方、三井住友海上メットライフ生命やT&Dフィナンシャル生命、
第一フロンティア生命などのように健闘している会社もあります。

最低保証リスクの管理がきちんとできるのであれば(ここが重要)、
競争状況が緩んだため、残存者メリットがありそうです。
高かった代理店手数料の引き下げも可能でしょう。
この時期の新規参入は、実はそれほど悪くないのかもしれません。

日本ほどではありませんが、米国でも販売シェアがかなり動いています。
LIMRAによると、INGやAIG、ハートフォードがシェアを落とす一方、
メットライフやプルデンシャルは、むしろ昨年を上回る勢いです。

 

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米国便り(その6)

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出張報告の最終回。
米国で日本の存在感が小さくなったという声をしばしば耳にしますが、
そもそも一般の米国人は外国への関心があまり高くないように思います。

例えば、テレビのニュース番組。全国ネットの朝のニュースでは
セントラルパークに雷が落ちたことは伝えても、
海外関連のニュースはほとんど流れませんでした。

たまたま海外で大きなニュースがなかったからかもしれませんが、
日本のニュースよりもはるかに内向きという印象です。
もっとも、米軍のいるアフガニスタンやイラクのニュースはありました。

スポーツニュースも野球の大リーグとアメフトのキャンプ(?)ばかり。
米国選手が活躍していないからか、世界陸上は見かけませんでした。

※写真はセントラルパークです。
 以前よりもサイクリングをしている人が増えたように思います。

 

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米国便り(その5)

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日本に帰ってきました。

・AIGが米国内の生保・年金事業 (アメリカン・ジェネラルとサンアメリカ)
 の統合を発表
・メットライフが米国生保事業(個人保険部門、団体保険部門)の統合を発表

いずれも出張の少し前に発表されたニュースです。

AIGがアメリカン・ジェネラル、サンアメリカを買収してから
すでに何年もたっているのですが、同じ生保分野とはいえ、
それぞれ独立して運営されてきました。
メットライフも中核会社のメトロポリタン生命に加え、トラベラーズや
ニューイングランドなど、買収により事業を拡大してきました。

今回のグループ内再編は、普通に考えれば効率化を狙ったものと言えそうです。
ただ、日本とは違う、米国的な事情もあるようです。

日本の会社と比べ、一般に米国の会社では自分の仕事の範囲と責任が
明確に決まっています。担当者は組織全体に目を配るよりも、
まずは自らの責任を果たすことが求められます。

部門のトップであっても同じことで、他の部門と組んでシナジー効果を
求めるよりも、自らの部門で成果を上げたほうが評価されるようです。
ですから、日本の経営統合以上にシナジー効果が生まれにくいという
土壌があるように思います。

経営統合により少なくともCEOなど経営陣が一元化されるので、
グループ内でバラバラに運営していた時よりに比べ、
統一感のある経営を志向することができるでしょう。
もちろん、限界はあると思いますが。

※写真はブルックリンから見たマンハッタンです。

 

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米国便り(その4)

 

火曜日からニューヨークにいます。
観光地ということもあり、「どこが不景気なの?」という感じです。

米国政府が数ヶ月前に行った「ストレステスト」の公表以降、
金融機関への信用不安はかなり遠のいた感がありました。
ところが、どうもそうではないらしい、というのが当地で得た感触です。

金融機関は預金を積極的に増やす一方、依然としてかなりの
キャッシュを抱えています。あえて逆ざやに甘んじているわけです。
そして、個人向けローンや商業用不動産向けローンの焦げ付きが
本格化する兆しがあります。

他方、大手生保を見ると、「質への逃避」が顕著です。
しかも、昨年後半の「変額から定額」「伝統生保への回帰」とは違い、
大手生保の一部では変額年金の販売が好調です。
この資金はどこに向かわず、変額年金に行ったのでしょうか。

なかなか判断が難しい局面ですが、あまり楽観視しないほうがよさそうです。

 

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米国便り(その3)

 

今回の出張ではいくつかの地方都市に滞在し、
そこで生活する日本人の方々にお世話になりました。m(_ _)m

皆さんに共通したコメントに、「汗をかかない生活」というのがありました。
アトランタやコロンビアといった南部の都市では
夏はかなりの暑さになります。40度近いこともあるようです。
湿気もそれなりに多いです。

しかし、どこへ行っても冷房があり、移動はすべて車となると、
暑かろうがジメジメだろうがほとんど関係ありません。
外気に触れるのは建物から駐車場までのわずかな時間だけ。
これでは汗をかくことはありませんよね。

フィットネスセンターでトレーニングをするなど、自ら運動でもしないと
ほとんど汗をかく機会がないそうです。

仕事で会ったこちらの米国人女性も、
「東京に行くと暑くて大変よ。外を動くことが多いから」
と話していました。

もっとも、日本の地方都市でも似たようなものかもしれません。
ただ、これに当地の食生活が加わります。肉食中心で油や糖分が多く、
何よりボリュームがすごい。しかも、こちらの皆さんはペロッと平らげます。

一般に日本人は40歳すぎたら代謝が下がり太りやすくなりますが、
こちらではもっと早い段階から代謝を上回るエネルギーをため込んでしまうでしょう。
太っている人が多いのも理解できます。

※写真はミルウォーキー。シカゴの北にあります。
 ビールの町としても有名です。

 

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米国便り(その2)

 

米国には日本のような健康保険制度がありません(高齢者、障害者を除く)。
無保険者は全米で4570万人(国民の約15%)に達しています。
そこでオバマ大統領は公的保険制度を創設し、無保険者をなくそうとしています。

しかし、この医療保険改革に対する反対意見も非常に多いため、
オバマ大統領は全米各地でタウンミーティングを開き、
国民の理解を得ようという作戦を展開しています。
テレビでは連日ミーティングの様子が大きく取り上げられています。

国民皆保険が実現しない背景には、民間保険会社や医療サービス関係者の
反対もさることながら、「自分のことは自分で」という国民性、あるいは、
連邦政府が大きくなることへの不安感などがあるようです。

保険会社の監督が依然として州単位であることや、
あれだけ乱射事件が起きても、現在も銃を簡単に買えることなど、
米国は私の想像以上に「自由」と「自己責任」の国のようです。

基本的に政府への信頼感が強く、お上への依存心が強い日本とは
大違いですね。

※写真はチャールストン。独立戦争や南北戦争ゆかりの地です。
 18世紀の建物がたくさん保存されています。

 

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米国出張200908

 

世間はお盆休みですが、私はしばらく仕事で米国にいます。
前回は昨年11月だったので、約9ヶ月ぶりの訪米です。

日本で新聞やニュースを見るかぎりでは、米国は最悪期を脱した
という雰囲気ですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
現地でいろいろ見たり聞いたりできればと思っています。

今日は朝から午後3時すぎまでミーティング。
ランチも同じ会議室でサンドイッチをいただきましたが、
英語で話をしながらのランチなので、なかなか辛いです
(私はほとんど聞き役でしたが…)

米国の会社とのミーティングでは、お茶やコーヒーのほかに
甘いお菓子を用意してあることが多いですね。
飲み物もコーラやジュースなど、種類がいろいろありました。

 

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