保険会社と代理店

 

先日ご案内した「RINGの会オープンセミナー」の申込者が
今年も1000名を超えたそうです。

申し込みの締め切りは23日(火)なので、
参加を考えているかたはお忘れなきよう。

⇒ 24(水)まで大丈夫だそうです!

↓お申込みはこちらから↓
RINGの会 オープンセミナー

RINGメンバーの準備も着々と進んでいるようです。
連日のようにRINGメールが飛び交っています。

肝心のセミナーの中身ですが、第一部では先日、
登場メンバー(中崎さん、栗山さん、増島さん、私)で
打ち合わせ会を行いました。

パネルディスカッションの打合せはなかなか難しくて、
全体の流れを確認するのですが、多くの場合、
打ち合わせで話が盛り上がってしまうのですね

しかし、ここで盛り上がりすぎると、パネル当日よりも
打ち合わせのほうが面白かったということになりがち。
経験者ならおわかりになると思います。

そうかといって、文字通りの顔合わせだけでは、
何のために事前に集まったのかわかりません。

コーディネーターの役割は当日だけではなく、
もう始まっているんだなあと実感しました。

当日は多少アドリブを交えつつ、各パネリストから
できるだけうまく話を引き出したいものです。
会場の皆さんの期待を裏切らぬよう、頑張ります。

パブコメの結果もざっと読んでみました。

保険会社に加え、初めて募集人に対しても
規制をかけることになったので、両者の関係を
どう整理したらいいかは注目ポイントです。

しかし、例えば、募集文書の承認に関する質問が
(おそらく代理店から)たくさん出ているなかで、
回答は「一義的には私人間の契約上の問題」
というコメントだけだったりします。

保険会社の役割と代理店の役割をどう整理するか、
新しい募集ルールが実質的に確立するまでには
しばらく時間がかかるのかもしれません。

このあたりもパネルで議論してみたいと思います。

※父の日に娘からスイーツをもらいました^^v

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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銀行勘定の金利リスク

 

先週(8日)、バーゼル銀行監督委員会が
銀行勘定の金利リスクに関する市中協議文書を
公表しました。
金融庁のサイトへ

現在のバーゼル規制では、第1の柱として求められる
自己資本比率の計算に銀行勘定の金利リスクは
入っていません。

保険会社の健全性規制を見慣れた人からすると、
えっ、そうなの?という声も聞こえてきそうですが、
第2の柱で対応することとなっています
(アウトライヤー規制と呼ばれるものですね)。

第2の柱の場合、各国当局の判断に委ねられるため、
もし基準を超過しても、機械的に資本積み増しの
対象にはなりません。

公表された市中協議文書では、第1の柱に入れる案
(リスク量を計測し、自己資本比率の分母に反映)と、
現在の第2の柱を強化する案の二つが示されました。

バーゼル委員会ではパブコメを募集し(9/11締切)、
その後議論を再開するようなので、決着までには
まだ時間がかかりそうです。

「銀行の国債保有に新規制」との報道もありましたが、
確かに保有する国債の金利リスクが反映されるとはいえ、
これはちょっとミスリードのように思います。

今回の案は、国債の信用リスク(ソブリンリスク)を
反映させるような規制案ではありません。

また、金利リスク計測の対象は、資産として保有する
国債だけではなく、貸出金、負債の預金も入ります
(資産と負債の金利リスクが相殺されます)。

負債サイドでは、定期預金に加え、コア預金
(実態として長期間滞留する流動性預金)も対象です。

基本的な枠組みは財務会計ベースではなく、
経済価値ベースということになりますね。

さてさて、どのような案に落ち着くのでしょうか。

※アジサイがきれいな季節になりましたね。

 

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ガバナンスコード適用開始

 

コーポレートガバナンス・コードが6月から適用となりました。
すでに東証に報告書を提出した会社もみられます。

大手金融機関では、みずほフィナンシャルグループが
適用初日に報告書を東証に提出しました。
みずほFGのサイトへ

注目の「政策保有株式」(原則1-4)に関しては、
「その保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」
という基本方針が示されました。

同社では、個別銘柄ごとに定期的かつ継続的に
保有の意義を検証するのだそうです。

また、取締役会の実効性評価(補充原則4-11③)については、
「(ガバナンス改革について)順調にスタートできたものと評価」
「取締役会が自己評価を絶えず行い、(中略)現時点において、
 第三者評価は必要ないものと考えております」
という記載でした。

これだけでも前進とは思いつつ、期待外れの感も否めません。

今回のガバナンスコードは「基本原則」「原則」「補充原則」の
三層構造になっているのですが、東証の記載要領は、

 ・コードの各原則を実施しない理由
 ・コードの各原則に基づく開示

を新たに求めるだけなので、ガバナンスコードのうち、
明確に開示が求められているいくつかの項目
(1-4、1-7、3-1、4-1①、4-8、4-9、4-11①②③、
 4-14②、5-1)だけに対応すればOKという感じです。

しかし、コードを読むと、基本原則の具体的な項目として
原則や補充原則があるのではなく、いずれについても
実施していることを示さなければならないはずなのです。

例えば、基本原則3には、

「会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・
 経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務
 情報について(中略)主体的に取り組むべきである」

とあり、開示内容は限定されていません。
ところが、東証の記載要領は基本原則3ではなく、
「開示すべき」となっている原則3-1のみ意識しています。

このため、原則3-1に列挙された項目だけ開示すればOK
となってしまい。そもそもの基本原則3はどうなのか、
甚だ心もとない状況となっています。

コーポレートガバナンス・コード制定の趣旨からすれば、
開示項目だけ満たせばいいというのはおかしな話でして、
基本原則3の内容も実行する必要があるはずです。

ということで、これから出てくるガバナンス報告書に加え、
有価証券報告書やアニュアルレポートなどを見て、

「ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており
 付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある」
(ガバナンスコード第3章より引用)

が少しでも改善するかどうか、注目する必要がありそうです。

 

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生保資金はどう動いたか

 

日銀の異次元緩和(2013年4月)から2年。
生保の資産構成はどう変化したのでしょうか。

まず、大手生保4社の一般勘定資産に占める
国内株式のウエートは、この2年で2ポイントほど
上昇しました。

しかし、その大半は時価上昇によるものです。
株式を実質的に減らしたかどうかは微妙ですが、
生保資金が株式に向かったようには見えません。

他方、外貨建資産のウエートは年々高まり、
一般勘定資産の2割前後に達しました。
もっとも、異次元緩和を受けたものというよりは、
その数年前からの動きです。

同時に、為替ヘッジのないオープン部分も
徐々に増えているようです。
住友を除く3社の為替エクスポージャーは
一般勘定資産の1割強となりました
(2年前は3社とも8%程度でした)。

国債など国内公社債はどうなったかというと、
一部に残高を減らした会社が見られるとはいえ、
責任準備金対応債券を増やす動きが続いており、
かつ、第一と住友は残存期間を伸ばした模様です。

その他有価証券区分の国内公社債が多かった
第一と明治安田は責準対応債券への移行を進め、
その他有価証券区分の公社債が全体の2割程度
となりました(4年前には5割前後でした)。

ということで、2014年度決算をざっと見るかぎりでは、
異次元緩和後の生保資金は外貨建資産への投資が
やや目立つものの、大きな変化は見られないようです。

※今年も慶大で講師を務めました。

 

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生保の業績推移

 

生保の2014年度決算が公表されました(28日など)。

相変わらずの「保険料等収入は売上高に相当」
には抵抗があるのですが、特に今回は日本生命と
第一生命(連結ベース)の逆転があったので、
報道では保険料収入に関するものが目立ちました。

そこで保険料収入をはじめ、大手4社の業績を示す
いくつかの指標を10年前と比べてみました。

まず、主力の個人保険分野の保険料収入を見ると、
10年前(2005年3月期)を100とした場合、直近時点
(2015年3月期)は127となりました。

これは、10年前には4社合計で5000億円程度だった
銀行を通じた貯蓄性商品(大半は一時払)の販売が、
ここ数年は3兆円規模まで拡大しているためです。
銀行窓販を除くと、保険料収入は微減となります。

他方、個人分野の保有契約高は激減しています。
10年前を100とすると、直近時点は62です。
死亡保障市場の縮小には歯止めがかかっていません。

最後に個人分野の保有契約年換算保険料を見ると、
102という水準です。
死亡保障市場の縮小を銀行窓販による貯蓄性商品と
第三分野で補う構図が読み取れます。

第三分野シフトが進んだとはいえ、大手4社の場合、
年換算保険料の2割にとどまっています。
10年前とそれほど変わっていないのは意外でした。

 

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金融機関のガバナンス改革

 

保険募集規制改革の政府令・監督指針に関する
パブリックコメントの結果が公表されましたね。

「72の個人及び団体より延べ649件のコメント」だそうで、
コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方を
取りまとめた「別紙1」はなんと245ページもあります。
担当のかたはさぞ大変だったことでしょう。

パブコメの結果は後でゆっくり読むことにして、
保険会社のガバナンスに関する資料を見つけたので
ご紹介します。日銀のサイトへ

4月に開かれた金融高度化センター主催のセミナーでは、
主に銀行のガバナンスをテーマにしたいくつかの講演や
パネルディスカッションが行われたようです。

最近になって「パネルディスカッションの模様」が公表され、
金融庁の遠藤検査局長のコメントが載っていました。

そこでは取締役会に関する分析結果が紹介されていて、
保険会社に関しては、

「1年前は、正直なところ、取締役会は『厳粛な会議の場』
 ということで、あまり活発な議論が行われていない社も
 ありました。フォローアップを続けてきましたが、最近では、
 取締役会の運営はドラスティックに変わったという印象を
 受けています」

なのだそうです。

「3メガバンク、大手生損保、そして、いくつかの地域銀行と
 ガバナンス態勢に関する議論を行いました。具体的には、
 取締役会、監査役会、内部監査、外部監査に関する現状と
 課題について議論をさせていただき、比較分析を行いました」

とあるので、ここでの「保険会社」とは大手生損保なのでしょう。

おそらく昨年に続き6月頃に公表されるであろうレポートで、
ガバナンスに関する分析結果が示されるのではないでしょうか。

※写真は人気の武蔵小杉です。

 

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損保決算など

 

3メガ損保の2014年度決算が発表されました。
ざっと眺めた段階ですが、2点ほどご紹介しましょう。

主力の自動車保険は収支改善となりました。
ただ、おやっと思ったのは収入面です。

3メガ損保(主要4社)とも増収ではあるものの、
単価上昇が主因で、契約台数は伸び悩みが顕著です。
東京海上は前期比1.4%増(ノンフリート)ですが、
あとの会社は横ばいから微減といったところ。

2014年度は自動車保険の収支改善のほか、
久しぶりに大きな自然災害がなかったので
(2011、2012、2013と自然災害が続きました)、
国内損保事業が完全復活したかに見えます。

でも、自動車保険の台数が増えないとなると、
あまり安心はできません。

株高、円安の恩恵を大きく受けたのが、ある意味
今回の損保決算の特徴と言えるでしょう。

各社は来期の会計利益を1600~2400億円と
見込んでいるのですが、保有する有価証券は
2014年度にその数倍も増えているのですから。

損保の会社価値にとって、最も大きな要素は
保有する株式の時価動向という構図は
あまり変わっていないようです
(=すなわちリスクが大きいということ)。

そこで、政策保有株式の売却について見ると、
2014年度は3メガ損保で動きがやや異なりました。

東京海上は簿価ベースで300億円程度の売却を
2014年度も続けた模様です。
SOMPOは前年度ほどではないものの、売却を継続。
他方、MA&ADは数字を見るかぎり、売却は足踏みです。

コーポレートガバナンス・コードも策定されたことですし、
損保の政策保有株式に対するスタンスがどうなるか。
今後の動向に注目したいと思います。

ところで、最後に少しだけ宣伝です。

2014年度の生損保決算発表やIR説明会が一巡した
6月9日に外部セミナーの講師を務めることになりました。

「保険会社ERM経営の現状と今後の方向性」という題で、
日本版ORSAをはじめ、保険ERM経営に関する話をします。
合わせて決算絡みの話もするつもりです。

ご関心のあるかたは、ぜひお越し下さい。
セミナーインフォのサイトへ

 

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金融学会の春季大会に参加

 

この週末は日本金融学会の春季大会に参加し、
大塚忠義先生(早大)の報告の討論者を務めました。
生保の健全性規制のあり方をテーマにしたもので、
私にとっても規制を考えるいい機会になりました。
日本金融学会のサイトへ

同じ時間に「中央銀行パネル」があり、原田泰さんや
河野龍太郎さん、早川英男さんが登場するとあって、
会場が変更になるほどの人気だったようです。

特別講演では金融庁の細溝清史長官が登場。
「最近の金融行政について」という演題で、
金融庁の主な取り組みの紹介がありました。

近年の国際的な金融規制改革(主に銀行)について、
細溝長官はかつての日本の銀行危機の経験から、
「英米独はもっと冷静になってほしい」
と強調していたのが私には印象的でした
(講演レジュメが学会サイトに公表される予定とのことです)。

その日本の銀行ですが、メガバンクの決算が出そろいました。
3メガともに銀行単体(あるいは銀行+信託銀行)では
国内業務粗利益のうち、資金利益が減少しています。

国際事業のウエートが高いMUFGの場合、
業務粗利益の内外逆転も近いのではないでしょうか。

※写真は会場の東京経済大学です。

 

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「保険ERM戦略」

 

先日の「保険ERM経営の理論と実践」に続き、
保険ERMに関する書籍がまもなく刊行されます
(私も執筆者の一人です)。

今月下旬の発売ですが、手元に見本が届いたので
一足先にご紹介しますね
アマゾンで予約ができるようです)。

本書は、「様々な立場からERMに携わる気鋭の論客
による執筆」(終章)とあるように、保険会社のERMに
関わっている実務家が執筆陣となっています。

編者は保険学者の米山高生先生と、酒井重人さん
(現在は資産運用会社の在日代表)です。

読者としてのコメントですが、特に生命保険会社の
ERMに関する記述が充実しているように感じました。

例えば、第4章の「生保の主要リスクとERM」は
第一生命のリスクマネジャーである畑中秀夫さんが
大手生保のERM経営の実例を紹介しています。

また、「バンカシュランスの商品開発とERM」では、
明治安田生命に在籍する島村浩太郎さんが、
変額年金を中心にバンカシュランス商品の
ERM的なリスク管理について述べています。

メンバーがそれぞれの担当箇所を執筆するという
スタイルなので、統一感がないところもありますが、
随所に保険ERMに関する知見がちりばめられていて、
参考になりそうです。


 

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ベトナム人は写真好き

 

ハノイではクラシックなホテルに泊まったのですが、
ウエディングドレス姿のカップルが次々にやってきて、
記念写真を撮っていました。

ホテルで聞くと、ベトナムでは事前に写真を撮り、
結婚パーティーで披露するのが普通なんだとか。

休日だったためか、絵になるスポットの前では
結婚写真を撮るカップルを何組も見かけました。

二人のポーズもすごくて、新郎が片膝を立てて
新婦にブーケを渡す、なんてのは可愛いほう。
こちらが恥ずかしくなるようなポーズもしばしばでした。

結婚写真に限らず、ベトナム人は写真を撮る
(≒自分が写る)のが大好きなようです。

 

 

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