2016年版の生保・損保特集

 

2016年版の週刊東洋経済臨時増刊
「生保・損保特集」に寄稿しました。

タイトルは「未曽有の利回り曲線平坦化に
生保経営はどう対応するのか」です。

ご参考までに見出しを引用すると、

・イールドカーブ平坦化で生保の健全性は
 実質悪化

・保障性商品を提供すれば低金利の影響は
 軽微だが…

・販社として品ぞろえ重視か、引受会社として
 規律重視か

ということで、だいたいの中身は推察して
いただけるのではないかと思います。

「保険は相続の際に受取人を指定できるので
 預貯金とは違う役目があるのに、売り止めって
 ありえない! 頭にきています」
 (41ページの覆面座談会から引用)

といった声があるなかで、引受会社としての
規律を維持できるかどうか注目しています。

今回の特集号は、第一特集がマイナス金利、
第二特集が保険デジタル革命でした。

確かに保険デジタル革命は、保険業の
ビジネスモデル自体を変えてしまうほどの
強烈なパワーを秘めているのかもしれません。

ただ、今のプレーヤーにとっては、現在の
逆境を乗り越えなければ、未来はありません。

「数年はマイナス金利が続き、それが終わっても
 低金利が続くシナリオは考えておくべきです。
 商品、資産運用、財務基盤の三つで構造を
 変える必要があります」
 (26ページの日本生命・筒井社長)

「貯蓄性分野では利率保証型は縮小し投資型が
 大きくなります。さらに貯蓄性から保障性商品に
 ポートフォリオを大幅にシフトします」
 (34ページの明治安田生命・根岸社長)

「マイナス金利が長期化するほど業界の破壊は
 進みます。(中略)業界にとってはよくないこと
 ですが、当社にはむしろ成長のチャンスです」
 (101ページのメットライフ生命・シャー社長)

トップがここまで発言するのですから、経営を
過去とは違う形に大きく変えていこうとしている
のでしょう。
「資産運用の高度化」「商品開発力の強化」
といった次元の取り組みではなさそうです。

会社ごとの戦略の違いが、来年の特集号が
出るころには見えてくるのかもしれませんね。

※写真左は「新田橋」、右は「平久橋」です。
 どちらも橋の近くに波除碑がありました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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健康年齢

 

バイタルデータ(生体情報)、すなわち、BMIや血圧、
コレステロールといった健康状態に関連する指標を
使った保険商品・サービスが注目されています。

20日には、第一生命グループの一員である
ネオファースト生命が「健康年齢」を活用した
生活習慣病保険を12月に発売すると発表しました。
ネオファースト生命のサイトへ

ノーリツ鋼機グループの日本医療データセンターが
保有する約160万人の健診データ等の医療情報を
もとに健康年齢を判定し、更新時の保険料を決める
という仕組みです。

日本データ医療センターの医療情報を保険料算出に
活用した商品は、すでにノーリツグループが設立した
健康年齢少額短期保険会社で販売されています。
健康年齢少短保険のサイトへ

1年更新の医療保険で、5大生活習慣病(がん、
脳卒中、心筋梗塞、高血圧、糖尿病)で入院したら
80万円の給付金を受け取れるというものです。
毎年、「健康年齢」を算出し、保険料が決まります
(ネオファースト生命の「健康年齢」とは別の基準)。

試しに健診データを入力してみたところ、
実年齢よりかなり若い結果が出て、思わずニッコリ。

ただ、考えてみれば、どうしてこの健康年齢に
判定されたのか、〇歳という総合評価だけなので、
見当がつきません。

これまでのバイタルデータを使った保険では、
例えば「ノンスモーカーかどうか」などのように、
ある程度の納得感がある指標で割引が決まります。

これに対し、「健康状態が良好であれば、保険料が
安くなる(または、割引がある)」のはわかるものの、
何となくブラックボックス感が強いという印象です。

総合評価だけでなく、判定についての説明があると
いいのかもしれませんね。
更新時までの生活の参考になるかもしれません。

あるいは、健康年齢が低いと生活習慣病に
どの程度かかりにくいのかというデータを示すのも
一案ではないでしょうか。

リスク細分型の保険では、もちろん、信頼できる
客観的な指標を使うことが大前提ですが、
それをどう示し、顧客にいかに納得してもらうかも
普及のカギとなるように思います。

※写真は金山の大堰と小学校です。

 

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街並みづくり100年運動

 

「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」ですか。
超長期債利回りの極端な低下はなくなったようにも
思えますが、そもそもこれは金融緩和なのでしょうか?

さて、少し前になりますが、夏の終わりに山形県の
金山(かねやま)という町を訪ねました。
かつては羽州街道の宿場町として栄えたところです。

金山町に入ると、写真のような切妻屋根に白壁の家を
あちこちで見かけました。
中には数百年の歴史を持つ建物もあるようですが、
多くはそれほど古い建物ではありません。

歴史ある町の取り組みというと、古い建物を保存し、
観光客を集めようというものが多いようです。

しかし、金山町の「街並み(景観)づくり100年運動」は、
普段の暮らしや風景を重視しています。

例えば、古い建物を保存するのにとどまらず、
切妻屋根に白壁の「金山型住宅」の建築を奨励し、
風景と調和した街並み(景観)づくりを行っています。

金山型住宅を建てると、町から助成金が出ます。
助成件数は約1500件に達しているとのことです。

とはいえ助成金の金額は50万円が限度ですから、
住民が100年運動に共感し、金山型住宅を選び、
建てているのでしょう。

金山型住宅によって美しい街並みをつくるとともに、
地元の木材を使い、地元の職人が建てるので、
地域振興にもつながります。

町内には金山型住宅のモデルハウスもありました。
「若い世代が住みたくなる家とライフスタイルの提案」
がコンセプトです。

金山町では「ドイツ研修」も継続的に行っています。
行政関係者だけではなく、地域の若手リーダーや
関係業界リーダーなど100人以上が、金山町に
よく似たスケールの街々を視察するのだそうです。

「街並み(景観)づくり100年運動」の「100年」とは、
100年かけて美しく住みやすい町を作ろうという
息の長い取り組みなのですね。

 

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金融庁のレポート

 

15日に金融庁が公表した2つのレポートについて
ごく簡単にコメントします。

1.平成27事務年度 金融レポート

金融庁が1年前に公表した「金融行政方針」の
進捗状況や実績等の評価をまとめたものです。
金融レポート(金融庁サイト)

報道では地域金融機関のビジネスモデルのあり方
(6割以上の地銀が赤字となる試算結果を掲載)が
目立ちましたが、家計における金融資産の動きを
分析した「貯蓄から資産形成へ」も充実した記載です。

保険会社の主なモニタリング結果は、
「M&Aにおけるガバナンスの発揮状況等」「ERM評価」
「保険金等支払管理態勢」だけで、やや寂しいかと
(このうち「ERM評価」は後述のレポートを別途公表)。

生保の資産運用高度化に関する記述(p.74~)も
非常にあっさりしています。

ただし、「貯蓄から資産形成へ」のところに、
銀行等による貯蓄性保険商品の提供・販売について
検証結果が載っていて、

「このパッケージ商品を構成する外国債券と投資信託、
 (掛け捨ての)死亡保険を別々に購入・契約することでも、
 このパッケージ商品と同等の経済効果を得ることができる。
 (中略)今回の検証においては、金融機関代理店の中で、
 このような代替策を提案しているところは見られなかった」

「(販売手数料の上乗せキャンペーンや販売員向けの
 インセンティブ供与について)付与競争の様相を呈しており、
 最終的に、顧客が支払う保険料を上昇させる要因の一つ
 となっている」

といった問題提起がなされています(p.65~)。

全部で100ページ以上ありますが、金融行政の方向性を
知るうえで参考になりますので、連休中にでもぜひ。

2.ERM評価の結果概要について

「保険会社におけるリスクとソルベンシーの自己評価に
 関する報告書(ORSAレポート)及び統合的リスク管理
 (ERM)態勢ヒアリングに基づくERM評価の結果概要
 について」

というのがレポートの正式名称です。
保険会社のERM評価(金融庁サイト)

事実関係を整理すると...

・2015年度から保険会社がORSAレポートを作成し、
 金融庁に提出することになった。

・金融庁はORSAレポートをもとにERMヒアリングを
 行い、保険会社56社のERM評価を実施した。
 
・ERM評価は5段階(プラス/マイナスは不明)あり、
 多くの保険会社がレベル2か3だった(5が最高)。

格付アナリスト経験者からすると、何はともあれ、
評価目線の概要公表は素晴らしいと思います。

保険会社が高評価を取得するのが目的ではなく、
評価を通じて保険会社のERMが実質的によくなる
方向に促すためのツールなので、この「目線」は
おそらく継続的に見直していくのでしょう。

一つ気になったのは、4つの評価項目のうち
「リスクコントロールと資本の十分性」の内容です。

この項目では態勢だけでなく、健全性の充足状況
そのものも評価対象であるように読めます。
ここでいう「健全性の充足状況」が何を示すのか、
保険会社自身の判断でいいのか、あるいは、
金融庁として何らかの目線があるのでしょうか。

今月締切のORSAレポートは日銀によるマイナス金利
政策後の新たな金融環境を反映したものでしょうから、
次のERM評価では、このあたりがより明らかになると
いいですね。

※写真はいずれも新庄で見つけたものです。
 「戦友共済生命保険」は実在した会社でして、
 設立してわずか14年後の1932年に第一徴兵保険
 (1999年に破綻した東邦生命の前身)に吸収され、
 消滅しています。 

 

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建設的な対話

 

日本価値創造ERM学会のシンポジウムで、
オムロンのIR担当役員である安藤聡さんと
京都大学・川北英隆教授の対談を聴いてきました。

オムロンはIR優良企業として知られています。
対談といっても、専ら川北さんが安藤さんに
問いかけるスタイルでしたが、安藤さんのお話は
なかなか刺激的なものでした。

投資家には日本版スチュワードシップ・コードが、
上場企業にはコーポレートガバナンスコードが
それぞれ入り、企業と投資家の「建設的な対話」が
期待されています。

しかし、安藤さんによると、長期視点を標榜する
投資家であっても、対話を通じて有益と感じるのは
わずか1割程度とのことでした。

なかには、「会社がスチュワードシップ・コードを
採択したので、対話をしなければならない」から
対話を希望する不勉強なアナリストもいるとのこと。

セルサイドのアナリストへの目線も厳しく、
レポートがショートターミズム(短期志向)のもの
ばかりで、本源的価値を見ようとするアナリストは
ごくわずかという話でした。

もっとも安藤さんは、建設的な対話のためには
企業による情報開示が必要とも話していました。

同じ趣旨のコメントを、最近読んだ、
「点検 ガバナンス大改革」(格付投資情報センター編)
でも見つけました。

「2つのコードが機能し始めた状況のなかで、
 筆者は『投資家の行動は確実に変わりつつ
 ある』と実感しているが、一方で劇的に変化
 したとはいえないことも事実である」

「建設的な対話やその先にあるエンゲージメントを
 行うためには、まず企業がESG(環境、社会、
 ガバナンス)を含めた、さまざまな経営情報を
 自発的に開示することが必要条件だからである」

 ※いずれも同書から引用

もちろん、機関投資家が長期視点で分析・評価し、
企業価値向上のために有益な提案を行うことを
求められているとはいえ、それは十分条件であり、
まずは企業による情報開示が必要ということです。

コードを制定し、社外取締役を入れたからといって
それだけで攻めのガバナンスが実現するのではなく、
むしろここからがスタートなのでしょう。

※写真は山形新幹線「つばさ」です。
 いまはこのようなカラーなのですね。

 

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解約返戻金の推移

 

生保の四半期開示を時系列でみると、いくつかの会社で
2013年頃から解約返戻金が高水準で推移していました。
ただ、昨年後半から減少に転じ、ピークは過ぎた模様です。

解約返戻金が多かったのは、オリックス(ハートフォード)、
エヌエヌ(旧アイエヌジー)、三井住友海上プライマリー、
東京海上日動フィナンシャル、マニュライフ、などなど。

この顔ぶれは、かつて銀行チャネルで変額個人年金の
販売上位だった会社ですね。

第二次安倍内閣が発足した2012年末の少し前からの
株価上昇で、2000年代前半に購入し、元本割れしていた
変額年金の時価が元本を上回るまで回復したのでしょう。

最低保証があるのに解約するのは、預金代替として
変額年金を購入していた契約者が、再び元本割れとなる
事態を嫌ったのかもしれませんし、あくまで想像ですが、
銀行に勧められ、他の商品に切り替えたのかもしれません
(変額年金を買うときも銀行に勧められたはずですし…)。

このあたりの現場情報がわかれば、手数料開示などの
議論をするに際し、参考になりそうですね。

それでは、高水準だった変額年金の解約返戻金が、
昨年後半あたりからなぜ落ち着いたのでしょうか。

2万円だった日経平均株価が16000円まで下がったように、
変額年金の時価が再び下落した影響はありそうです。

直近の2016年4-6月期は、その前の期に比べると
株価下落の影響はマイルドだったはずなのですが、
解約が落ち着いているにもかかわらず、変額年金の
資産残高は前の期並みに減っています
(時価下落以外の影響も考えられますが…)。

あるいは、時価が回復したら現金化したいという契約者は
概ね解約してしまい、年金として受け取ろうという層が
残っているという可能性もありますね。

このあたりの契約者行動は、おそらく日本の変額年金の
輸入元である米国とは同じではないように思います。

※築地市場の正門にあった移転案内が撤去されていました。
 環状2号の工事はどうなってしまうのでしょう(写真右)。 

 

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銀行窓販の販売手数料(2)

 

8月22日から26日にかけて、大手銀行が相次いで
生命保険の代理店手数料の開示を公表しました。

<各社のニュースリリース>
みずほフィナンシャルグループ
三井住友銀行
三菱UFJフィナンシャル・グループ
りそなホールディングス
三井住友信託銀行
新生銀行

各社の公表文を確認すると、手数料開示とともに、
受領方法の変更についても例外なく触れています。

すなわち、一時払い保険料の代理店手数料を
契約時に一括して受けとっていた従来の方法を見直し、
契約時のコンサルティング等の対価(=販売手数料)と
契約後のアフターフォロー等の対価(=継続手数料)に
分けて受け取るというものです。

継続手数料にどの程度の重点が置かれるのか、
手数料総額が変わるのか、変わらないのか、
そして、これらの取り組みが保険販売にどう影響するか、
などが今後の注目点でしょう。

手数料開示についても、ほぼ横並びの書きぶりです。

「資産運用分野における顧客本位の取組」「2016年10月」
「保険会社の同意が前提」「特定保険契約が対象」
という内容になっています。

ただし、三井住友信託は、「特定保険契約商品をはじめ
とする保険会社各社の同意を得られた商品」だそうです。

横並びの記述が目立つ中で、三井住友銀行だけは
日経報道の通り、営業拠点の評価基準の見直しに
言及しています。

実際の手数料水準にかかわらず、商品区分ごとに定めた
一律の料率で評価するとのことで、投資信託に続き、
保険でも今年度からそのような運営としたそうです。

大手銀行による自主的な開示は、おそらく主な地銀にも
広がるのではないかと思います。

保険会社としては、全体としての手数料水準の高騰を
抑える効果が期待できる一方、手数料テーブルが
最も高いところに張りついてしまう気もしますね。

さらに、これが他のチャネルにも及ぶのか、あるいは、
特定保険契約以外の貯蓄性商品にも広がるのかは、
金融審議会WGでの議論次第なのでしょう。

※写真は築地の場外市場です。鳥藤の弁当を買いました。

 

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鉄分の濃さを感じるとき

 

前回のブログ(マイナス金利政策の副作用)は
いつもよりアクセスが多かったようです。
果たして9月の日銀「総括的な検証」はどうなるか。

さて、今回は一転して夏休みモードですみません。
鉄分といっても栄養素ではなく、鉄道のほうです。

時々ブログに鉄道関連の写真を載せるので、
私が電車好きであることがうかがえると思います。

とはいえ、本物の鉄道ファン(?)に比べると、
知識も行動力もまだまだだと思います^^

それでも、自分で「鉄分の濃さを感じるとき」が
時々あります。

1.電車の走行音に反応してしまう

最近の新しいビルだと、すぐ隣りを電車が走っても
ほとんど何も聞こえず楽しくないのですが、
少し古い建物だと、電車の走行音が聞こえますよね。

電車の音が聞こえると、ついそちらを見てしまい、
周りの人に怪訝な顔をされてしまいます
(ちなみに音だけではなく、姿が見えても反応します)。

身近なところで思いつくスポットは、淡路町にある
某協会(損保ですね)のビルでしょうか。

先日もセミナーの講師を務めるため伺いましたが、
隣りに中央線や総武線がゴトゴトと頻繁に走る、
楽しいところです。

もちろん、電車が通るたびにスピーチが途切れたりは
しませんでしたので、ご安心ください。

2.窓側の席に座りたがる

通勤電車のベンチシートではなく、新幹線のような
座席配置の場合、私は好んで窓側の席を選びます。
窓からの景色をボーっと眺めるのが好きなのです。

数週間前に京急線の快速特急に乗る機会があり、
関東では珍しい、新幹線のような座席配置の電車でした。
これなら三浦半島からの長距離通勤も苦になりません。

ごくたまに困ったことが起こります。

日本の新幹線には、座席ごとに窓がありますよね。
ところが、古いタイプの特急や海外の新幹線などでは、
2列の座席で窓一つという配置も結構多いのです。

普通の人にとって、鉄道は単なる移動手段なので、
皆さん、かなりの確率でブラインドを下げようとします。

景色を眺めていたい私には、前(または後ろ)の人が
いつブラインドを下げようとするか、ドキドキものなのです。

前後の人がブラインドを下げようとしたら、どうするのか?
...ご想像にお任せいたします。

3.車内を見渡す

最近まで自覚していなかったのですが、あるとき指摘され、
気が付いた習慣です。

私は電車に乗ると、無意識に車内をチェックしているようで、
いつも乗る東横線の車両と、座席の特徴や窓の大きさ、
網棚の形、製造年や製造した場所、あるいは広告の傾向
などの違いを見つけては、喜んでいるように思います。

同じ4つ扉の通勤電車でも、よく見ると結構違うものです。

例えば、東京メトロの古い車両(東横線でも走っています)
の窓は、私の目線よりも低く、かつ、小さくて嫌いなのですが、
当時は地下鉄の窓は小さくていいという考えだったのかも
しれません。

珍しい車両に乗るとうれしくなります。
所要のため相鉄線に乗ったら、「パワーウィンドウ」「鏡」
のある電車が健在で、思わずニンマリしました
...これは鉄分がかなり濃いコメントかもしれませんね。

自覚しているだけで、これだけ思い当たるのですから、
無自覚な行動はもっとあるのでしょうね。

※写真は函館の市電です。

 

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マイナス金利政策の副作用

 

けさ(13日)の日経1面「マイナス金利、3000億円減益」
という記事をご覧になったでしょうか。

あくまで報道ベースですが、マイナス金利政策により
3メガバンクの損益が3000億円の悪影響を受けるという
調査結果を金融庁がまとめたということです。

この記事の最後にさらっと次の記述がありました。

「長期運用で影響が表れにくい保険会社も、マイナス金利に
 入った長期国債などの変動影響を時価で評価したところ、
 1年間で自己資本比率が半分に減った社もあった」

ここでいう「自己資本比率」の分母・分子の定義は
記事ではわかりませんが、減益(でも黒字)どころか、
「自己資本比率が半分に減った」ですからすごい話です。

記事の「保険会社」は、普通に考えれば生保でしょうね。

ちなみに、最近発表された2016年4-6月期の生保決算
を確認しても、マイナス金利の副作用を示すような結果は
見当たりません。

ただ、いくつかの上場生保の投資家向け資料には、
この調査結果を裏付けるようなデータが載っています。

例えば、第一生命のEV(エンベディッド・バリュー)は
マイナス金利政策の影響のない2015/3の約6.0兆円から、
直近の2016/6には3.7兆円に減っています
(いずれも超長期金利の補外に終局金利を用いた方法)。

T&Dグループは四半期ごとにEVとともに、ESR
(経済価値ベースのソルベンシー比率)を公表しています。
分母のリスク量に対し、分子の時価資本がどの程度あるかを
示した指標です。

これを見ると、T&DグループのESRは、2015/12月末の210%から、
直近の2016/6末には130%に下がったことがわかります
(終局金利を採用した場合には162%)。

ソニー生命のESRも、2015/12末には173%だったものが、
2016/6末は95%(終局金利採用ベース)となりました。

上場していない生保は手掛かりをあまり出していません。
とはいえ、国内系生保の商品戦略や資産運用・ALM戦略に
大きな違いは見られないため、上場生保で起きていることは、
非上場生保でも同じように発生しているとみるのが妥当でしょう。

したがって、「時価評価で見た自己資本比率が半減」というのは、
半減かどうかはともかく、一部の例外的な話ではなく、
業界全体で健全性が圧迫されていると考えるべきでしょう。

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※写真は函館・倉庫街近くで見つけた和洋折衷住宅。
 1階が和風、2階が洋風という函館特有の建物です。

 

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函館五稜郭

 

夏休みに函館に行き、夜景や町歩きを楽しみました。

横浜と同様に、開港により大きく発展した函館ですが、
北洋漁業や造船業が厳しくなった1980年代あたりから
衰退がはじまり、近年では人口流出が著しいようです。

写真は五稜郭と、その中にある旧函館(箱館)奉行所です。

城好きではなくても、この不思議な形をした城郭を
ご存じのかたは多いと思います。

五稜郭は開港した箱館の要として置かれた箱館奉行所を
取り囲む城郭(土塁)として1864年に完成しました。
日本で初めての西洋式城郭です。

どうして幕末にこのような形の城ができたかというと、
設計を担当した蘭学者の武田斐三郎が、フランス軍艦から
伝わったヨーロッパ式の築城術を参考にしたためだそうです。

武田斐三郎は佐久間象山の西洋兵学塾で砲術や築城術を
学んだ人物ですから、従来の日本式の築城ではだめだと
考えたのかもしれません。

五稜郭には、大砲や小銃による銃撃戦を想定した工夫が
随所にみられます。

先端部を鋭角にすることで死角をなくし、侵入した敵には
十字砲火を浴びせることができました。

城郭の内部には大砲の標的になる高い建物を置かず、
大砲の衝撃を吸収できるように、石垣(土塁)は低く、
厚みがあります。

立地面でも工夫がみられます。
当時の大砲の射程距離を意識し、港から3km離れた内陸に
建てられました。近くを流れる亀田川の水も活用できます。

このような五稜郭ですが、その後戊辰戦争(箱館戦争)の
舞台となり、落城してしまいます。

新政府軍の軍艦の大砲は最新型だったので、
内陸に作った五稜郭にも砲弾が届いてしまいました。

しかも、「大砲の標的になりそうな高い建物を置かない」
と書きましたが、右の写真のように、箱舘奉行所の上部に
太鼓楼があり、これが艦砲射撃の標的となったようです。

最新型の城だったのか、時代遅れだったのか。
そんなことを考えつつタワーから城を眺めました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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