中央経済社から「経済価値ベースのERM」が出ました。
今週から書店に並んでいるようです。
これで、損保総研による「保険ERM経営の理論と実践」、
保険毎日新聞社の「保険ERM戦略」に続き、私が関わった
保険ERM関連の書籍としては3冊目となりました。
アマゾンの内容紹介を見ると、
「保険会社の保険金支払い能力は、資産や負債を変動リスクも
含めて市場価値で評価するよう世界的に見直されている。
本書はその背景や理由、今後のERMの進展について論じた」
としか書かれていないので、もう少し情報をご提供しましょう。
本書は武蔵大学ERM研究会での成果を取りまとめたものです。
研究会では毎回メンバーまたはゲストスピーカーが発表を行い、
それを受けたディスカッションを実施しました。
目次と執筆者は次の通りです。
序章は武蔵大学の茶野努さんが執筆
第1章 経済価値に基づくソルベンシー・マージン規制の必要性
(執筆は早稲田大学の大塚忠義さん)
第2章 ソルベンシー規制の国際動向
(執筆は住友生命の増井正幸さん)
第3章 ファイナンス理論の保険負債評価への応用
(執筆は横浜国立大学の鈴木雅貴さん)
第4章 破綻距離(DD)を用いた1990年代生保破綻の分析
(執筆は茶野さん、大塚さん)
第5章 リスク計測・管理手法の変遷と課題
(執筆は住友生命の浅見潤一さん、千葉商科大学の西山昇さん)
第6章 生命保険会社のERM-銀行との比較を通じて-
(執筆は住友生命の浅見さん)
第7章 損害保険会社のERM-自然災害リスク管理を中心に-
(執筆はガイカーペンターの浜崎浩一さん)
第8章 保険会社によるERM関連情報の開示
(執筆は私です)
第9章 リスク情報開示の現状と課題ーERMの観点からー
(執筆は一橋大学の安田行宏さん)
第10章 金融危機時における金融機関のCDS
-流動性逼迫の影響とシステミック・リスク-
(執筆は武蔵大学の大野早苗さん)
第11章 損害保険会社はシステミックな存在になり得るか?
-損害再保険ネットワークの分析-
(執筆は神奈川大学の菅野正泰さん)
私は保険会社のERM関連情報とその開示をめぐる状況を
整理したうえで、開示により期待できる効果を考察しました。
ガバナンスコードにも非財務情報の開示が盛り込まれるなかで、
上場保険会社が任意に行っているERM情報の開示状況は
もっと注目されてもいいかもしれません。
また、第9章では安田先生が銀行の公表する「事業等のリスク」
(こちらは強制開示)を使った実証分析を行っていますので、
比べてご覧になると面白そうです。
※こんな感じで切り取ると、大倉山もなかなか素敵です。
12月下旬とは思えない景色ですが…