確認は大事ですね

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週末に奈良を1時間ほど散歩する機会がありました。
シーズンオフで人が少なく、すごく静かでした。

新薬師寺には今回初めて行きました。
ここには奈良時代の本堂と十二神将があります。
1200年以上も前のものが残っているなんて、言葉もありません。

その本堂の壁にステンドガラスがあったので、
正倉院の連想(当時のガラスがあります)から
これも当時のものかと聞いてみると、
「ああ、あれは数年前に作ったものですよ。
 国宝なので作るときにいろいろ話をしたみたいですが」
とのことでした。

このシーズン限定の「鹿寄せ」も初めて観ました。
愛護会の人がホルンを吹くと、たくさんの鹿が走ってきます
(エサのドングリをもらえるのです)。

冬だけの行事なので、エサが少ない時期だからかと思いきや、
「この時期は観光客が少ないので、奈良市に頼まれているのです」
「シカは草を食べるので、冬でもエサは大丈夫ですよ」
とのお話。個人でもお願いすればやってもらえるそうです(2万円)。

いやいや、自分の思い込みだけで判断してはダメなんですね^^

 

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世界の保険監督官の会合

保険の勉強会で大阪に来ています。
とりあえず私のスピーチは終わったのですが、どうだったでしょうか?

今週は国際的な保険監督官の会合(IAISの関係です)に
オブザーバー参加する機会がありました。

テーマは保険会社がグローバルに展開するなかで、
保険会社の健全性をどう確保するかというもの。
保険監督は基本的にローカルベースなので、今回の金融危機で、
国境を越えて活動する保険企業への対応が課題として浮上したためです。

個人的に興味深かったのがバミューダです。
税制メリットから保険会社はたくさんあるのですが、
規模の大きい監督組織があるとは知りませんでした。
何でもアクチュアリーが100人以上いるとのこと。
主に損保のリスクを見ている感じでした。

米国の影が薄いのも保険監督者の集まりならではかもしれません。
米国は州規制なので、全体を代表する組織としてNAICがあるものの、
日本の金融庁などとは性格が全く違います。
それに州の監督官にグローバルな規制を求めるというのも
かなり無理があるように感じました。

※写真は奈良公園です。ホルンを吹くと鹿さんがたくさん走ってきます。

 

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日経CNBCに登場しました

本日(3日)昼の番組「昼エクスプレス」にゲスト出演しました。
テーマは損保3社の統合についてです。

この番組は主に個人投資家をコア視聴者としているそうで、
本来ならば株式アナリストが登場すべきと思うのですが、
なぜか私に声がかかりました。

日経CNBC・昼エクスプレス

普通のテレビ(地上波・BS)ではないので、
お話しした内容を簡単にご紹介しますと…

どういう方針で統合を進めるのか?
→ 三井住友海上HD の傘下に、あいおいとニッセイ同和の合併会社が入る。
   持ち株会社に二つの大手損保がぶら下がる変わったスキーム。

統合の効果で企業価値は向上するか?
→ ①コスト削減が早期に進むかどうか、
   ②例えば日本生命の顧客を三井住友海上が開拓するといった
    グループシナジーが働くかどうか、
   ③今後の海外事業、などに注目している。

今回の3社統合に刺激され、再び損保再編がおこるか?
→ 経営者が決めることだが、可能性はないとは言えない。
   生保でもAIGの事業売却がある。
   ただ、再編で業界が抱えている課題が解決できるとは考えにくい。

今回の統合で業界の活性化が進むか?
→ 規制緩和が進んだ今も、損保業界は古いビジネスモデルを引きずっている。
   規模が小さい代理店を多く抱えていることからくる効率性の低さ、
   多額の政策保有株式の存在などである。
   再編とともに、新しい時代に合ったビジネスモデルの再構築が必要だ。

全部で10分ほどあったのでゆっくり話をしたところ、
ふと時計を見ると、残り12秒となっていて、最後はあわてました。
やはりテレビは難しいです。

 

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有価証券評価損

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12月期決算発表を前に、富士火災、損保ジャパン、あいおい、日本興亜と、
上場損保各社の有価証券評価損の発表が続いています。
金額の大きさから、市況悪化の影響の大きさが伺えます。

ただ、気をつけなければいけないのは、評価損の大きさ、イコール
市況悪化が経営に与えた影響ではないということです。
それなりに連動しますが、かなり異なることもあります。

例えば、上場損保では、保有する有価証券の時価が
取得価額を3割以上下回った場合に評価損を計上しています。
このため、評価損が大きくなる一方、含み損として残る部分は限られます。

他方、多くの会社では原則適用、つまり5割以上で評価損を計上し、
3~5割の部分は会社の判断で決めるという方法です。
上場損保がこの方式だったとしたら、評価損がここまで膨らむことはなく、
損益計算書への影響はもっと軽かったはずです。
その一方で、有価証券含み損が膨らむことになります。

いずれの方式を採用したとしても、市況悪化が会社価値に与える影響は
原則同じです(税効果はやや微妙ですが)。

したがって、有価証券評価損の大きさだけではなく、
純資産や含み損益、ソルベンシー・マージンなどがどうなったのかを
合わせて判断する必要があるというわけです。

※写真は東京国際フォーラムです

 

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「保険会社破綻」セミナー

先週末になりますが、保険会社の破綻をテーマにした
保険代理店向けセミナーの講師を務めました。

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前半が私で、アナリストの視点から保険会社のリスク構造や
経営の現状についてスピーチしました。

後半の岡武さんは、大成火災の破綻時にどうなったのか、
実際に何をしたのか、という貴重な体験談。
これは非常に興味深い内容でした。

同じ保険でも生保と損保では、破綻による影響や
破綻時にしなければならないことが、かなり違うのだと
私も改めて認識することができました。

 

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週刊ダイヤモンドに寄稿しました

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今週発売の週刊ダイヤモンド(1/31号)に記事が載りました。
「AIGショックに揺れる米国生保 不安視される日本の生保事業の行方」
というタイトルで、米国生保の経営内容について書いたものです。

日本で存在感の大きいプルデンシャル、アフラック、ハートフォード
を取り上げ、厳しいのは確か(特に株価感応度の高いビジネス)だが、
株価や信用スプレッドが示すほど実体は悪くない、と分析しています。

ポイントは膨れ上がった有価証券の含み損をどう見るかです。
なかでもALM目的で保有する高格付け社債の価値が
市場が示す通り、何割も毀損してしまうのかどうか。
高格付け債券が次々にデフォルトするとは考えにくいのですが。

もっとも、「安定性が高い」と書いたアフラックの株価が足元で急落。
欧州の銀行向けエクスポージャーの大きさが懸念されているようです。
2月の決算発表ではっきりしますが、不安定な相場が続いています。

このようなレポートはあまり見ないので、ご参考にしていただければ幸いです。

なお、記事中の図表のうち、ハートフォードの総収入、事業利益のデータに
誤りがありましたので、ご注意下さい。訂正を出してもらうことになっていますが、
ご迷惑をおかけして申しわけありません。反省です。

 

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損保3社が統合計画を発表

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ついに、というか報道の通り、本日発表となりました。
2010年4月にIOIとNDが合併し、同時にMSとの経営統合を目指して
「協議を進めることについて合意に達し」たとのことです。
今回は報道が非常に正確だったので感心しました。

本日のニュースリリースはこちら

単体ベースの正味収入保険料はMSの1.3兆円に対し、
IOIが0.9兆円、NDが0.3兆円なので、IOI&NDの規模は
MSとそれほど変わりません。

しかし、時価総額でみると、IOI&NDはMSの半分です。
PBRが軒並み1倍を割り込んでいるとはいえ、
会社の価値という点ではこちらのほうが近いのでしょう。
連結純資産やソルベンシー・マージンを比べても、
だいたいそんな感じです。

今日は「統合を協議することで合意」という発表だけで、
グループ全体の収入規模が大きいということ以外に、

・どのような保険グループを目指すのか、
・コスト削減はどの程度見込めるのか、
・どのようなグループシナジーが見込めるのか

といった話はほとんどありませんでした。
これから協議する部分が大きいのだと思いますが、
会社価値をどのように高めていこうとするのか、今後に注目です。

※写真は大阪です

 

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保険業界紙のインタビュー

相次いで業界紙にインタビュー記事が掲載されました。
恥ずかしながら写真つきです。
インタビューはいずれも年末に行われました。

保険毎日新聞(1/19)では、「金融危機 保険業界への処方せん」
という特集のトップバッターとして登場しました。

主な内容は、
・10月以降の株価下落が大手生損保の体力を圧迫
・金融危機が実体経済に波及する第2ステージに突入
・(生保は)新規契約をどう獲得するかという経営改革の歩みも
 緩めることはできない。(中略)中長期的に見た持続可能な
 ビジネスモデルをどう再構築していくのか
・損保が多額の株式を保有するのが望ましいことなのだろうか
などなど。

インタビューは私を含めて5人だそうです。
他のかたの記事が気になるところですね。

保険銀行日報(1/16)は生損保の中間決算がテーマでした。
なぜこのタイミングなのかは、私も知りません。

見出しを挙げると、こんな感じです。
・生保の信用力に警戒感
・低下する新規獲得能力
・悪くない実質的逆ザヤ
・外資系で含み損が拡大
・変額年金も曲がり角に
・相対的に高い損保体力
・通期収支さらに厳しさ
・新たなリスク管理課題

詳しくは両紙をご覧下さい。結構大きな記事になっています。

 

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終身医療保険

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ある会社が販売する終身医療保険のうち、売り上げの3割以上が
かつて同じグループが販売した医療保険(終身医療保険を含む)
からの乗り換えという話を耳にしました。解約&新規です。

終身医療保険は依然として第三分野商品の中心的な存在です。
アフラックの「EVER」やオリックスの「CURE」をはじめ、
無配当かつ解約返戻金のないものが大半を占めているようです。

解約返戻金がない商品の場合、基礎率に「解約率」が含まれています。
つまり、一定の解約を前提におき、保険料を安くしているのです。
前提を上回る解約が発生すると保険会社が儲かることになります。
しかも解約返戻金も配当もないので、差益が還元されることはありません。

既契約者向けに新たな特約を提供するというのであればいいのですが、
解約&新規と聞いてちょっと心配になりました。

 

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経営者のリスク意識

大手電機メーカーの幹部候補生の方々と話をする機会がありました。
テーマは企業のリスク管理や危機対応についてです。

保険会社は本来、企業のリスクマネジメントのツールとして保険を提供しています。
ただ、日本の企業は「工場」「倉庫」「社有車」とパーツごとに保険に入るだけで、
自分がどのようなリスクを抱えているか、そのリスクにどう対応するか
(リスクを避ける、軽減する、もしくは保険でカバーする)という発想で
保険に入っている会社は、残念ながら依然として少数派のようです。

電機メーカーでも同じような話がありました。
例えば、どこかで発生した震災をきっかけに社内で「危機対応が必要」となり、
相談を受けたメーカーが、全社的な危機対応を考えたソリューションを提供します。
ところが、その後1度も使わない状態が続くなかで、当初の熱が冷めると、
「このシステムだけが最低限動けばいい」といった話になり、
安い単品に切り替わってしまうのだそうです。

共通しているのは、日本の企業、特に経営者のリスク意識が低いということです。
あくまで一般論ですが、日本では自然災害や人災などのイベントによる損失は
「仕方がない」(=経営者のせいではない)という感覚なのでしょう。
過去の失敗に学ぶのではなく、「水に流す」という文化もあるようです。

でも、倒産リスクを減らすためには「仕方がない」ではすまないと思います。
事故や不祥事で会社が傾いた事例は結構ありますよね。
まじめに考えれば、経営者のリスク意識はもっと高くてもいいはずなのですが。

というわけで、なかなか面白いミーティングでした。

 

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