変額年金事業はどうなる?

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ハートフォード生命に続き、今度は住友生命が年金原資保証タイプの
変額年金(一時払い)の販売休止を発表しました。

もともと住友生命は変額年金事業でも大手でしたが、
昨年のAIGショックやハートフォードショック(=運用停止)、
三井生命の撤退といった競合他社の動きを受け、
市場シェアが数%から4、5割まで急激に高まってしまったとのこと。

他方で過去に販売した変額年金の最低保証対応として、
住友生命は2008年度決算で1638億円もの責任準備金を
積み増すわけですから、今回の決断は理解できる話です。

主に預金代替商品として急成長してきた日本の変額年金事業が
曲がり角にあるのは間違いありません。

「高い代理店手数料」と「最低保証」「値上がり期待」の両立は
もともと無理があったようにも思えます。
しかし保険会社の新規参入が相次ぐなかで、市場は銀行主導で動いてきました。
今回の金融危機は製販の関係を正常化するいいチャンスかもしれません。

私は、銀行が個人のライフサイクルに合わせたリテールビジネスを
確立するうえで、保険・年金商品は不可欠な存在だと考えています。
しばらくは悪い話ばかりが目立つと思いますが、
数年タームで見ていく必要がありそうです。

 

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RINGの会オープンセミナー

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意識の高い保険代理店の集まりであるRINGの会が
今年も横浜でオープンセミナーを開きます。7/11(土)です。

RINGの会オープンセミナーHPへ

HPをご覧いただければわかるとおり、今回は業界再編をテーマに
3つのパネルディスカッションを行います。
この日は朝から晩(懇親会)まで保険漬けです。

このうち私は第一部「金融危機と保険大再編」で登場する予定です。
第二部は消費者にとって、第三部は代理店にとっての再編がテーマです。

土曜日の横浜にもかかわらず、前々回、前回ともに
1000人入る会場が満員になりました。
こうした保険会社経由ではない情報収集の機会は
おそらく貴重なのでしょうね。

※写真は神田紺屋町のおみこしです。
 この週末は神田祭の見物に行きました。

 

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「巨大銀行の消滅」

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GW中に読んだ本です。
副題は「長銀『最後の頭取』10年目の証言」。

本書は日本長期信用銀行(長銀)がなぜ破綻に至ったのか、
その原因や経緯についての当事者からの報告です。
いろいろ感想はあるかと思いますが、当事者による証言は
やはり貴重なものです。

私が最も印象に残ったのは、次のところです。
「結果論だが、長銀にとっては、このとき(1980年代半ば)が、
 『名誉ある合併』の好機だったのだろう。
 しかし、長銀の自尊心はその発想すら奪っていた。」

1980年代半ばといえば、長信銀制度の存立意義が失われ、
収益も低迷していた時期です。
その後長銀は不動産関連融資で資産規模を拡大し、
バブル崩壊による不良債権問題に苦しむことになります。

筆者はSBCとの「不平等条約」締結について、
「視点を変えて問題提起するという取締役の役割を果たし得なかった」
「担当セクションの判断を尊重する縦割りの思考に、私自身、
 どっぷりと浸かっていたことが悔やまれる」
と述べています。
これは当時の長銀だけではなく、今日的な教訓だと思います。

それにしても、長銀破綻で行政(大蔵省)の果たした役割は
中堅生保の破綻事例以上に大きかったように感じました。

 

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ハートフォード生命が新規取り扱いを休止

「変額年金大手のハートフォード生命が、すべての保険商品の
 販売を6月から休止」という発表には驚きました。

三井生命も変額年金から撤退しましたが、主力は営業職員チャネルによる
保障性商品の販売です。
ハートフォード生命の場合、金融機関チャネルの専門会社なので、
今回の決定は日本市場からの撤退に近いでしょう。

親会社のハートフォードグループの2009年1-3月期決算(4/30発表)は、
変額年金関連の損失がかさみ、3四半期連続の赤字となりました。
最低保証の負担よりも、過去に計上した繰延新契約費の償却負担と、
保有債券価格の下落による影響が大きいようです。

日本法人の売り上げも落ち込んでいます。
2008年7-9月期までは1000億円以上だった収入保険料は
10-12月期が322億円、2009年1-3月期は208億円です。
主力商品3WINが運用停止になったことによる混乱に加え、
グループの信用力低下もあり、金融機関が販売を避けているのでしょう。

ただ、銀行はこのところ保険・年金商品をリテール戦略の基軸に据え、
体制整備を進めています。今回の件がどう影響するか注目です。

なお、Bloombergに私のコメントが載ったので、ご紹介します。
「(植村アナリストは)『昨秋の金融危機以降、変額年金事業の環境は激変した』
 と指摘。運用低迷や、元本を保証する商品などのコスト上昇、米保険最大手
 AIGの公的管理を受けた保険会社の信用不安などが背景にあるという」

 

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「ビッグスリー凋落の理由」

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米ビッグスリーの一角を占めるクライスラーが、ついに法的破綻です。
GMはどうなるのでしょうか。

ところで、4/29(水)の日経マーケット面のコラム・大機小機
「ビッグスリー凋落の理由」を読んで、ちょっと違和感を覚えました。

記事の内容は、次のようなものです。
・米企業の経営者には、車を「どれくらい売るか」ほどの執念を
 「どうつくるか」には感じられなかった。
・ビッグスリーが日独の有力メーカーに後れを取ったのは
 経営者が現場を見ずに利を追った側面が大きい。
・GMのトップは4人中3人が財務部門の出身。
 ホンダは歴代社長全員が技術研究所のトップ経験者だ。
・GMとクライスラーの再生には現場に精通したトップの起用が不可欠だ。

このような論調は日本人(特に財界)にとって耳触りがいいようです。
それではなぜ「技術の日産」は10年前に経営危機に陥り、
「世界のトヨタ」は足元で大赤字になり、「大政奉還」に追い込まれたのでしょうか。

保険会社にも、「現場(=営業)を知らないと出世できない」
という文化が非常に色濃く残っています。
でも、営業出身でなければ経営ができないなんてことはあるのでしょうか。
営業出身の社長が専門家を排除した結果、会社が傾いたというケースも
結構あります(→拙著「経営なき破綻」をご参照下さい)。

米ビッグスリーの経営が傾いたのは、財務部門出身のトップが続いたから、
あるいは、研究開発部門や生産現場の経験のないトップが続いたから、
と言い切るのは、あまり論理的・科学的ではないですよね。

※写真は三ツ沢陸上競技場です。部活の応援に行きました。

 

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Googleブック検索訴訟

新聞等でも報道されているとおり(4/25の日経など)、
私のところにも「Google(グーグル)ブック検索」和解に関する案内が
各出版社から来ました。

Googleブック検索和解契約へ

米グーグルは数年前から書籍のデータベース化を進めてきましたが、
著作権者の許諾を得ずに行ってきたため、米出版界と訴訟になりました。
ところが、その訴訟が和解にいたった結果、国際条約の関係で、
日本の著者や出版社も当事者になってしまい、困惑しているというわけです。

送られてきた案内によると、私の選択肢は次の5つだそうです。

・和解に参加する(自動)
・和解への参加を拒否する(グーグル社に通知)
・米国裁判所に異議を申し立てる
・和解に参加したあと、使用制限を求める
・和解に参加したあと、データベースからの削除を求める

5/5(火)が期限とのことでしたが、9/4(金)に延びたようです。

私は書籍のデータベース化そのものについて異論はないのですが、
カラオケのように、二次利用の際には著作権者にもそれなりの
収入が入ってくる仕組みを確立してほしいものです。

ネットの時代になって、このブログのように情報発信が簡単になる一方で、
それなりの情報が無料で手に入るため、新聞・出版のビジネスモデルが
崩れつつあります。テレビは「安かろう悪かろう」の悪循環です。

でも、本当はコストをかけなければ、まともな情報発信などできません。
どのようなビジネスモデルを構築できるのか、悩ましい限りです。

 

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主要生保の資産運用計画

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4/26(日)の日経ヴェリタスにコメントが載りました。

株式保有にジレンマという記事の中で、
「(保険契約者に保険金を確実に支払うという視点から、)
 経営体力以上に価格変動リスクが高い株式を保有するのは疑問」
というものです。

当たり前ではないかというお叱りを受けそうですが、
次のようなコメントを要約したものとしてご覧下さい。

・生保は予定利率を保証しており、このような固定金利の負債には
 固定金利の資産を持つのが基本。株式では負債の金利リスクに対応できない。
・生保は資産と負債の金利変動リスクと株式保有リスクを抱えている。
 経営体力とのバランスを考えると、二つのリスクを今のまま抱え続けるのは困難。
・自己資本運用のうち一部(全部ではない)を株式で運用するのは理解できる。

記事の言う「ジレンマ」とは、株式を持つと価格下落リスクがある一方、
持たなければ運用競争で負ける恐れがあるというもの。
私は、運用競争よりも健全性の確保が先だと思うのですが…

 

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社会保障の勉強会

FPの内藤眞弓さんのお誘いで、日本の社会保障についての
勉強会に出席しました。

内藤さんは、フリーライターの早川幸子さんとともに
「日本の医療を守る市民の会」を主催しており、私は初出席でした
日本の医療を守る市民の会HPへ

今回の講師は都留文科大学の後藤道夫さん。
貧困の急増、労働市場の激変などが詳細なデータで示され、
福祉国家型の大きな政府にしなければどうにもならない、
というお話でした。

結論部分にはいろいろと議論の余地がありそうです。ただ、
この10年間に社会構造の大きな変化が起きたのは間違いなさそうです。

例えば、派遣・契約社員の数が増えたのはよく知られた話ですが、
若年層を中心に年収の低い正規労働者がかなり増えているのですね
(コンビニやファーストフードの店長などが典型的な例です)。

そして、終身雇用が崩壊する一方、日本の社会保障は
年金や医療保障に比べて失業時の生活保障が弱いうえ、
教育費や住宅費といった社会サービスのコストが高いため、
収入が減ると、ただちに貧困状態に陥りやすいのだそうです。
確かに言われてみればその通りかもしれません。

かつての終身雇用・年功序列には魅力を感じませんし、
そもそも前提が変わったため、戻ることはできないでしょう。
しかし、全体の2割が貧困世帯(貧困の定義にもよりますが)というのは、
やはり健全な社会ではないですよね。

いろいろ考えさせられる勉強会でした。

 

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監督指針の改正案

先日のブログでも触れましたが、金融庁は本日(4/23)、
「保険会社向けの総合的な監督指針」の改正案を公表しました。

金融庁のHPへ

改正案は金融安定化フォーラム報告書やG20行動計画を踏まえているため、
金融危機の反省に立った項目が目立ちます。例えば、

・(出再先の)財務状況について、できる限り詳細に把握する
 必要があること
・(支店形態の場合)当該支店を対象としたストレステストの実施を
 行っているか
・統計的なリスク計測手法には限界があることを踏まえ、
 多様なリスク計測手法を活用(後略)
・(金融保証保険やCDS取引などに関して)担保の提供を想定した
 流動性の管理を行っているか

といった具合です。

リスク管理のところでは「統合リスク管理」が新設されています。
このなかで、取締役会等が報告を受けるべきものとして、
「経済価値評価に基づく保険会社独自の必要資本の充足状況」
とあり、目を引きました。

ストレステストについては、ヒストリカルシナリオだけでは不十分で、
仮想のストレスシナリオによる分析も求めています。さらに、
「相関関係が崩れるような事態も含めて検討」
「保有する資産の市場流動性が低下する状況を勘案」
などとあります。

ただ、ストレステストの結果をどう活用すべきなのかは
「具体的な判断に活用される態勢が整備されているか」
としか書いてありません。
ストレステストのうち、最悪の結果になるような事態に備えた
バッファーを持つべきということなのでしょうか。

 

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キッチンのリフォーム

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ふとしたことから自宅キッチンのリフォームをすることになり、
結果的に3つの業者さんから話を聞きました。

最初にたまたまコンタクトのあったA社は、今考えるとすごかった。
「今月末までの発注だったら、本体が3割引になりますよ」
「ショールームは行っても行かなくても同じ。大丈夫ですよ」
「それでは○○万円だったらいかがですか」
という調子で、メモ書き程度の見積もりをもとに、契約を急かします。

さすがにここはまずいと思い、B社、C社に声をかけました。
A社はこの時点で脱落です。

あとでわかったことですが、安さをアピールしていたはずなのに、
A社の工事費はB社、C社よりも高かったようです。
つまり、廉価版のキッチンを高い工事費で売ろうとしていたわけで、
比べて検討しないと、とんでもないことになりますね。

さて、B社はリフォーム専業、C社は設備メーカーの工事部門です。
B社は知り合いの紹介(といっても名前を教えてもらっただけです)、
C社は近所に店を構えています。

B社もC社も「ショールームには絶対行くべき」と言うので
週末にショールームに行って具体的なプランニングをまとめ、
きちんとした見積もりを出してもらいました(ほぼ同じ金額でした)。
自分たちで比較表を作り、二人で悩んだ結果、最終的にC社にしました。

リフォーム専業のB社にも心が動いたのですが、
それでも選ばなかった理由は「担当者の印象が悪かったから」です。
お願いしたことをすぐに忘れてしまったり、ショールームの見学中に
別の商談を始めてしまったり、細かいところでいろいろあったようです。

担当者が工事をするわけではありません。
それでも何かあったときには担当者を通じて話をするのですし、
信頼関係が築けない担当者のB社はやっぱり避けたほうがいいだろう、
ということになりました。

今回は保険ネタではありませんが、どこか関連するような話ですよね。

※写真は安売りで有名な松原商店街です。旧東海道にあります。

 

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