卒論はコスパが悪い?

大学の教員になって早くも5年になります。年度末にかけて自分のところでちょっとがっかりすることがあったのですが、どうやら自分だけではなく、全国的な現象ではないかと思える記事がこちら(卒論はコスパが悪い)に出ていました。

大学生(特に文系)にとって、必修かそうでないかにかかわらず、卒論を書くことはある種の特権だと考えています。たくさんの調べ学習をしたうえで、自分で問いを立てて(これが一番難しい)、またまた調べ学習をしたうえでデータ(できればオリジナルのもの)を集め、他人が納得するような答えを見つけだす(見つからないかもしれません)という経験は、単に知識を詰め込むよりもはるかに社会に出てから役に立ちます。それを「就活のため」「資格取得のため」、あるいは、単位がそろったので、もう取る必要がないといった理由で放棄してしまうのは実にもったいない話です。
でも、目先に就職を控えた学生には、そのことがわからないのでしょうね。弁護士や会計士のように資格がないとその仕事に就けないというのであれば別ですが、まとまった時間が取れる学生時代にどのような頭の使い方をするかは、将来を左右すると思うのですが。

とはいえ、教員としてできるのは機会を提供することと、一緒になって考えることくらいしかなく、やりたくないという学生を無理やり引き留めても仕方がないとは思っています。
他方で新卒採用する会社には、せめて採用活動後には、内定者を研修と称して平日に何度も呼び出したり、XX検定などの資格取得を在学中に求めたりしないでほしいです。

(今回はこの問題について社会としてどうすべきかどうかは論じていません)

※源光庵・悟りの窓です。悟りには程遠いですが。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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