金融商品会計の見直し案

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7/14(火)に国際会計基準の金融商品会計(IAS39)の
見直し案が発表されました。
G20から「わかりやすく見直しを」と求められていたものです。

日本は現在、国際会計基準(IFRS)を採用しているわけではありません。
ただ、ここ数年、IFRSに沿った会計の見直しを進めてきました。
さらに、2012年にはIFRS採用の是非を決断することになっています。

現在の基準では、価格変動の影響が次のように示されます。
 「満期保有」→ 取得原価で評価。B/S、P/Lは基本的に動かない
 「売買可能」→ 時価評価。B/Sに資本直入(P/Lは減損のみ反映)
 「トレーディング」→ 時価評価。P/Lが変動

日本の財務会計は、おおむねIFRSと同じです。
「売買可能」は日本では「その他有価証券」区分です
(もっとも、保険会社だけが使える「責任準備金対応債券」という
 日本独自の区分もありますね…)。

見直し案では区分を2つに集約するようです。
 「取得原価」= 債券は基本的にこちら。B/S、P/Lは基本的に動かない
 「時価評価」= 株式は基本的にこちら。P/Lが変動
          (正確にはP/Lまたは「包括利益」に計上)

これまで株式は「売買可能(=P/Lは減損のみ)」が認められていました。
しかし、見直し案ではそもそもこの区分がなくなります。
戦略株式のための区分も別途設けられるようですが、こちらでは
時価変動だけではなく、配当も売買損益も反映しないそうです。

新聞や雑誌には「持ち合い株式を抱える日本企業に大きな影響」
「株式売却で利益を捻出できなくなる」などとありますが、
保険会社の経営にどの程度の影響があるのかはよくわかりません。
ただ、株式含み益に依存した経営が一段と難しくなるのは確実ですし、
株式を持ちにくくなるような感じもします。

重要なのは、日本をはじめ従来の会計が「繰延アプローチ」
つまり期間損益を重視しているのに対し、
IFRSは「資産・負債アプローチ」を採用している点です。

 資産の増減 - 負債の増減 = サープラスの増減 = 期間損益

という考え方で、B/Sの変化が期間損益、というものです。
株価の変動はそのまま期間損益につながりますし、
減損や益出しといった発想はありません。

従来の会計基準とIFRSでは、そもそもの考え方が根本的に違うということと、
日本も無関係ではないということだけでも押さえておいたほうがいいと思います。

ご参考までに、今週の週刊ダイヤモンドはIFRS特集です。
まだ読んでないので中身はわかりません…m(_ _)m

※写真は台湾の市場です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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