生命保険文化センターが「生命保険に関する全国実態調査」の最新版を公表しました(9月22日)。
最も注目される「世帯加入率」は89.8%と、前回調査(2018年)の88.7%から大きな変化はなく、簡保・かんぽ生命の加入率低下をかんぽ生命以外の民保と県民共済・生協等の上昇でカバーした形です。
かんぽ生命以外の民保では、配偶者の加入率上昇が目立ちます。ただし、配偶者の医療保険・医療特約の加入率(かんぽ生命を除く民保ベース)は下がっているので、なかなか解釈が難しいです。
直近加入契約の加入年次(民保)を見ると、調査年度およびその前年という回答が計14.9%と、前回調査の15.2%から大きく変わっていないので、ここにはコロナ禍の影響は見られません。
その一方で、2016年以降の加入契約の加入チャネルを聞いたところ、営業職員と地域金融機関、インターネットの割合が上昇し、保険代理店が下がるという結果でした。前回調査に比べると、保険ショップの勢いがやや落ちたのと、コロナ禍でも伝統的な対面チャネルが健闘しているということかもしれません。もっとも、今後の加入意向のあるチャネルのほうを見ると、郵便局の急落を踏まえれば、営業職員も保険代理店も実質的に横ばいと見るべきかもしれません。
コロナ禍の影響を強く感じたのは、加入意向のあるチャネルでインターネットという回答割合が高まったことのほか、「今後増やしたい生活保障準備項目(複数回答)」が軒並み上がっていることです。「特にない」という回答の割合は横ばいなので、もともと保障を増やしたいと考えている層が、より幅広く保障を増やしたいと回答しているようで、将来への不安心理が強いことがうかがえます。
中小企業のリスク意識
ところで、9月16日に日本損害保険協会が「中小企業のリスク意識・対策実態調査2021」を公表していますので、こちらもご紹介します。
企業が直面する深刻なリスクとして「取引先の廃業等による売上の減少」を挙げ、被害を受けた経験を持つ会社もそこそこいるにもかかわらず、5割以上の会社は「特に対策をしていない」のだそうです。企業向け損害保険の加入状況も、火災保険を除けば総じて低いですね。