
福岡大学植村ゼミは今年度もRIS(全国学生保険学ゼミナール)に参加し、12月6日から7日にかけて東京の東洋大学白山キャンパスで、何とか以下の報告を行うことができました。
1班「早期離職について~飲食業の事例から~」
2班「山火事のリスクについて」
3班「インフルエンサー起用に潜む企業のリスクと保険の対策案」
いずれも自分の専門分野からはやや遠いので、知らなかったことが多々あったのですが、なかでも「山火事のリスク」は考えていた以上に深刻なものだとわかりました。
2025年は熊による被害のほか、大規模な山火事も目立ちましたよね。
2月に発生した岩手県大船渡市での山林火災は焼失面積が3000ヘクタールを超え、大船渡市によると被害総額が102億円に達したそうです。大規模な山火事は岡山県岡山市(3月)、愛媛県今治市(3月)でも発生し、最近でも群馬県の妙義山や神奈川県の日向山で、自衛隊に出動を要請するような山林火災が起きています。
実のところ、山火事の発生件数は中長期的には減少傾向にあります。こちらのサイト(東京海上ホールディングス)にもあるように、かつては年に数千件もの山火事が発生していましたが、今は年1000件程度です。山火事の原因はたき火や火入れなど人為的なものが大半を占めるので、林業の衰退や都市部への流出などから、かつてに比べると山に人が入らなくなったことが大きいと考えられます。
ところが、発生件数は減っている一方、発生すると大規模化してしまうリスクは非常に高まっているようなのです。
キャンプで薪(まき)に火をつけるのはなかなか大変ですよね。山林も同じで、火種があっても樹木はすぐには燃えません。しかし、もともとは人工林だったのに長い間放置されている森林には、燃えやすい下草や枯れ枝などがたくさんあって、これがいわば「燃料」となって樹木にも火がついてしまうのです。しかも、間伐が行われていないので木々が密集し、燃え広がりやすくなっています。
先ほどのサイトでは気候変動の影響を挙げていましたが、私のゼミ生たちはそれ以外の要因として「林業の衰退などで山林が荒廃」「現場の関係者にはリスク意識が希薄」といったことに気づき、大規模な山火事の発生を防ぐには、火事が起きてから消防などに委ねるだけではなく、米国のようにリスクを事前に小さくする取り組みが不可欠であるという結論に至りました。
熊による被害でもそうですが、森林に関するリスクを小さくするには、もはや対処療法や補助金を出すだけの行政では限界なのでしょう。
※大濠公園の日本庭園でイベントをやっていました。
