01. 保険経営全般

ECBが量的緩和を決定

 

22日に欧州中央銀行(ECB)が量的緩和の導入に
踏み切ることを決めました。
3月からEU各国の国債などを買い入れるようです。

日本でもこのところ長期金利の低下が目立ちますが、
ドイツでも長期金利が下がっています。
国債利回りは10年で0.3%程度。30年も1.0%程度です。
ECBの量的緩和によって、日本のように当面は
金利水準が低く抑えられるのではないでしょうか。

日本の大手生保は元々保有する株式リスクのほか、
為替リスク、あるいは海外の金利リスクをとることで
超低金利に対応しようとしているように見えます。

これに対し、欧州の保険会社は「為替」「金利」といった
マーケットリスクではなく、引き続きクレジットリスクを
主な収益源と考えているようです。

ネットで見つけた欧州保険アナリストのコメントによると、
保険会社が不動産やオルタナティブ、インフラ投資など
流動性の低い資産に投資する動きがあるとのこと。

もっとも、これらは高い専門性を求められるうえ、
保険会社の投資ニーズを満たすほどの案件はなく
そう簡単には増やせない模様です。

米国の長期債や新興国の高クレジット債への投資が
増えるという見方もありました。

ただし、為替や金利のリスクを避け、あくまで信用リスクで
リターンを上げようというもの。
日本の「ヘッジ外債」とはちょっと違うみたいです。

同じ欧州でも、国によって保険市場の中身はそれぞれです。
「超長期に予定利率が固定」「資産・負債のミスマッチ」という
日本の視点からすると、やはりドイツの今後が気になります。

※横浜中華街にかつての船員宿を見つけました。

 

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第一生命のM&A

 

5/23のIR説明会で渡邉社長が米国市場の魅力を
やけに強調していたので、あれっと思っていたら、
さっそく大型買収のニュースがありました。

今回の米プロテクティブ買収により、第一生命の
連結修正純利益に対する海外事業の利益貢献度は
30%を超える見込みとのことです
(EVベースではどの程度なのでしょうね)。

買収金額の約5800億円は、時価総額に約35%の
プレミアムを加えた金額です。
買収コストを上回るシナジー効果をえるには
更なる利益成長を達成しなければなりません。

プロテクティブ社がなぜ第一生命の傘下に入ったのか。
S&P格付はAA-ですから、信用補完ということではなさそうです。

同社の発表資料によると、
「Dai-ichi Life’s financial resources and global presence
 will position Protective positively for the future.」
とあります。

同社は買収による事業規模の拡大を特徴としており、
これまではリテール事業の保有契約と既存の買収事業から
創出した資本を新規買収に投下するという事業サイクルでした。

第一生命のサポートを受け、これまで以上に買収事業に
力を入れるということなのでしょう。

第一生命も同社を「北米の成長プラットフォーム」と位置付け、
今の経営陣に引き続き現地の事業運営を委ね、
買収事業の取組規模の拡大を推進する方針です。

シナジー効果をえるには、PMI(買収後の経営統合プロセス)
がカギになるのだと思います。

保険事業はローカル色が強いとはいえ、グループの経営理念や
戦略、ERM態勢などを買収先にも浸透させる必要がありますし、
現地に委ねるだけではなく、言うべき時には言うという姿勢が
求められるのでしょう。

経営の執行はしないけど、統治を行う。
これって、欧米型ガバナンス(?)における取締役会の役割
(=経営の執行機関ではなく、監督機関)に通じるところがありますね。

とはいえ、東京海上に続き、グローバル保険グループへと
本格的に舵を切った第一生命に、注目したいと思います。

※写真は...どこでしょう?

RINGの会 オープンセミナー
 ↑申込締切日は6/9(月)だそうです。お早めに!

 

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損保関連ニュース2題

 

まず、2月の大雪に伴う保険金の支払見込額のニュースから。

発表によると、東京海上が550億円程度(3/18時点の速報値)、
MS&ADが750億円規模(3/20時点)の支払いを予想しているそうです。
NKSJも、公表した事故受付件数などからすると、数百億円規模でしょう。
損保による自然災害の支払額としては、おそらくワースト5に入るのでは。

各社とも火災保険が支払見込額の大半を占めているようですが、
モノ保険だけではなく、物流が止まったことによる損害などもあり、
台風による風水災とは請求の特徴が異なるかもしれません。

この時期なので保険金の支払いが次年度にずれ込み、
支払備金の繰入が会計上の損益を圧迫することになりそうです
(支払いがなければ異常危険準備金が取り崩されないため)。
東日本大震災のときもそうでしたね。時期の問題だけなのですが。

他方、24日の日経に「再保険コスト下げ局面」という、
比較的大きめの記事が掲載されました。

日米欧などで金融緩和が長引き、再保険市場に年金基金などの
資金が流入しているため、来年度の国内損保の再保険コストが
約15年ぶりに減少する見込みというものです。

「緩和マネーの流入が、損保の採算改善にもつながってきた」
「海外の再保険会社は日本の再保険引き受けを敬遠していた」
かはともかく、確かにこの分野への資金流入は見られるようです。

一つは記事にあるような、大災害債券(キャットボンド)など、
保険リスクを対象とした証券への投資があります。
もう一つはバミューダ勢など再保険会社への出資です。

このような資金流入もあり、近年の再保険市場では
キャパシティの拡大が続き、多少の自然災害が発生しても、
そう簡単には市場がハード化しない構造となっているとか。

記事には次のような気になる記述もありました。

「(損保各社は)リスクに見合った保険料を徴収できていない」
「企業向けの火災保険や地震保険が実質的に赤字の損保も多い」

事実であれば「逆ざや」が恒常化しているということですが、
真相はどうなのでしょう。

※井の頭公園の池に水が戻っていました。
 桜は三分咲きといったところでしょうか。

 

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日本の保険教育

 

12月の「保険学雑誌 第623号」(日本保険学会)のなかに
次のような記述がありました。以下に引用します
(滋賀大学・久保英也先生の論文です)。

「日本は世界の保険市場シェアにおいて生命保険分野で20%、
 損害保険分野で10%を占める保険大国であるが、
 学会はその産業基盤を十分生かしきれていない」

「本来保険の知識基盤となるべき大学において、保険についての
 基礎教育や実務にも適用する高度専門教育、そして、実務に
 資する実証的研究はほぼ放棄されているように見える」

「基礎教育は両業界の協会や生命保険文化センター、
 損害保険事業総合研究所などの団体が細々とこれを担い、
 高度専門能力はアクチュアリー会等が、そして、実務に資する
 研究は保険会社の調査部や付属研究所がこの役割を担ってきた」

「この状況は、保険業界の日本保険学会の活動への信頼感や
 各大学における保険学、とりわけ、保険経済分野における
 ステータスを減じ、大学における保険学の人事ポストの減少を
 誘因する一因となっている」

「欧米や中国等アジア諸国でも保険・リスクマネジメントは
 専門の学部さえ存在する。国際的には大学における重要分野である
 はずだが、日本だけが保険経済分野の地盤沈下が激しい状況にある」

本論文のテーマは中国の保険教育なのですが、
日本の現状をここまで明確に記したものを初めて目にしました
(「ほぼ放棄されているように見える」なんて、すごい表現ですね)。

私も関わっている、損保総研のERM経営研究会では、
テーマの一つに産学協働を挙げ、業界メンバーのほか、
保険経済分野の先生がたに参加いただいています。

実際に動きはじめてみると、そう簡単ではないことがわかります。
それでも何かできないかと模索しているところです。
構造的な面も大きそうですが、現状のままではもったいないと思います。

※香川のお雑煮は、白味噌にあんこ餅という組み合わせ。
 一度食べてみたかったのですが、念願がかないました。
 新橋の「せとうち旬彩館」で15日まで食べられますよ!

 

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ERM情報開示の動き

 

上場生損保の投資家向け説明会の資料を見ると、
ERMに関する資料が回を追うごとに充実しています。
どちらかと言えば、目立つのは生保でしょうか。

「ERM構築の旗振りをしているので、そう見えるんでしょう」
という突っ込みが聞こえてきそうですが、論より証拠。
いくつかご紹介しましょう。

T&Dホールディングスの「グループ経営方針説明会」資料には、
ERM推進について実に6ページにわたり説明がありました。
T&DホールディングスのHPへ

ERMのこれまでの取り組みや考え方のほか、
経済価値ベースの純資産とリスク量の推移が示され、
資本効率性(収益性)の目標水準も設定しています。

第一生命が5/22に開催した決算・経営説明会の資料でも、
「成長を支えるERM推進」という説明があります。
第一生命のHPへ

第一生命は2013年度からの中期経営計画「Action D」で
4つの基本戦略の2つめに「ERMの推進」を掲げており、

「グローバル大手生保に伍する資本水準を確保するための
 施策を継続し、資本再配賦を通じて資本効率と企業価値の
 向上を目指し、さらには株主還元の拡充をはかる」

としています。

ソニー生命(ソニーフィナンシャルホールディングス)も
6/3の経営方針説明会で「経済価値ベースのリスク量」を示し、
初めてリスク量の内訳を開示しました。
ソニーフィナンシャルホールディングスのHPへ

これらは今のところ上場会社に限られた動きですが、
説明会ではこの点に関する質問も結構ありました。
外部の関心は決して低くはありません。

開示の動きが他の生保にも広がるといいですね。

※写真は森鴎外、太宰治のお墓です。
 同じ寺の斜め向かいにありました。

 

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生保の2013年度運用計画

 

生保の運用計画については13日のブログでも書きましたが、
「主要生保の2013年度運用計画が出そろった」ようなので、
13日とは別の視点から3点ほどコメントします。

1.発表している「運用計画」とはそもそも何なのか?

BloombergのHPには、大手生保4社の記事があります。
 日本生命
 第一生命
 住友生命
 明治安田生命

また、ロイターのHPには主要生保9社の計画が
一覧表で掲載されています。ロイターのHPへ

一覧表を見ると、国内株式や債券、外国株式や債券の残高を
どう動かす計画なのかを示しているようです。

ところが記事を見ると、
「増加資金の半分弱を外国債券の積み増しに充てる」とか、
「増加資金1兆円程度のうち、約7000億円を円金利資産に振り向ける」
といった記述もあって、頭が混乱します。

今回注目されていた「外債へのシフト」を知りたいのであれば、
増加資金に加え、ポートフォリオの変更についての情報も必要ですが、
ここで言う「運用計画」とは何を指すのでしょうね。

2.「運用計画」をHPで公表してほしい

それでは元の資料などを確認したいと思って探しても、
残念ながら各社のHPには何も掲載されていません。
Bloombergの記事を見ると「公表資料」があるようなのですが...

たまたま今回は生保の運用計画に注目が集まり、
報道が多かったものの、いつも掲載されるとは限りませんし、
今回を含め、不完全な情報として出ることも多いです
(特にデータに関する部分)。

同じような対応をしている「決算記者会見資料」
(こちらは上場会社のみHPに掲載しています)とともに、
貴重な情報ですので、記者クラブだけに発表するのではなく、
ぜひ一般への公表もお願いしたいです。

3.「外債シフト」と書く根拠は何か?

「生命保険会社が海外投資を本格的に増やす時期を探っている」
「外債の積み増し額は9社合計で1兆円規模となる見通し」
と書いた新聞がありました。

しかし、一覧表を見た限りでは総じて慎重な感じですし、
Bloombergの各社の記事を見ても、外債シフトが起きそうな
雰囲気は感じられません。

ちなみに、2012年度の実績はどうなっているかというと、
期首に比べ、12月末時点の外貨建資産の残高は、
なんと4社合計で3.7兆円も増えています。

このうち時価上昇による部分が1兆円以上ありそうですが、
それでも9ヶ月間で2兆円以上になります。

今年度の計画が現時点では「9社で1兆円規模」ならば、
昨年度の実績に比べるとかなり慎重な姿勢に見えますね。
だとすると、「本格的に増やす時期を探っている」の根拠は
別のところにあるのでしょう。それを知りたいです。

 

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生保マネーの行方

日銀の量的・質的金融緩和から1週間。
円安、株高が進む一方、前々回のブログで心配したとおり、
債券市場では値動きが荒い展開が続いています。

他方、異次元緩和を受けた生保マネーの動向にも
注目が集まっているようです。

例えば10日の日経には、「生保マネー、円安後押し」
という大きめの記事が掲載されました。
生保が外債投資にシフトし、円安を後押しするというものです。

確かに日銀は、超長期ゾーンを含むイールドカーブを潰すことで、
投資家が債券から他の金融商品にシフトすることを
期待している節があります。

また、「ソルベンシーマージン比率が厳しくなったから、
生保は株式投資を積極化できない(=だから外債に向かう)」
という見方も相変わらずあるようです。

しかし、これらには欠けている視点があるように思います。

量的・質的金融緩和でイールドカーブが潰れる、
つまり、長期金利の低下は、生保にどんな影響があるでしょうか。

超長期の負債を抱え、資産と負債のミスマッチ状態にある
生保にとって、長期金利が下がると逆ざや問題の悪化、
すなわち、経営体力の低下につながるのですね。
ここがポイントです。

経営体力が低下するなかで、わざわざ新たなリスクを取って
株式や外国債券に投資するのが合理的な行動でしょうか。
負債の金利リスク軽減のために保有する超長期債を売却し、
さらにリスクを高める行動をとるでしょうか。
これでは単なる博打になってしまします。

体力が低下したら、支払余力を充実させる、あるいは、
保有するリスクを削減するのが自然です。
どうもこの点が理解されていないように感じます。

生保は機関投資家である以前に、超長期の保障を
まっとうするのが使命だということを忘れてはなりません。

「規制が厳しくなったから株式投資ができない」
というのもおかしな話です。
日本のソルベンシー規制はそれほど厳しいものではありません。

リスクに対して体力があるのであれば、株式を買おうが、
外貨建資産を買おうが、経営判断だと思います。
体力面で制約があると判断するのであれば、為替リスクをヘッジし、
海外の信用リスクをとる戦略もあるでしょう。

制約となるのはソルベンシー規制ではなく、
あくまでリスクと経営体力の関係です。

いずれにしても、目先の期待リターンだけではなく、
リスクベースで物事を考える姿勢がもっと浸透してほしいものですね。

※いつもの通り、個人的なコメントということでお願いします

※再びRINGセミナーのご案内です。今ならまだ席に余裕があるようです↓

 

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4月からの保険料率

 

4月に標準利率が引き下げられるのに伴い、
生保各社は保険料率を引き上げると考えられていました。

しかし、各社が公表した4月以降の保険料率を見ると、
主力商品を反対に値下げする動きもあったりして、
なかなか興味深いです。

<主な生保の関連ニュースリリース(PDFファイル)>
 日本生命(1/21)
 アフラック(1/28)
 住友生命(2/12)
 メットライフアリコ(2/15)
 ソニー生命(2/19)
 明治安田生命(2/22)
 第一生命(2/25)
 富国生命(2/26)
 かんぽ生命(3/1)※
  ※保険料率については記載なし(=改定しないということ?)

今回は、最大手が早々に主力商品の改定見送りを打ち出し、
各社はこれを踏まえつつ、自社の戦略を示す流れとなりました。

この結果、主力商品の料率改定を当面行わない会社
(日本、メットライフアリコ、ソニーなど)と、
予定利率は下げるものの、他の基礎率を見直すことで
主力商品の保険料率をほぼ横ばい(明治安田)、
あるいは引き下げる会社(住友、第一など)に分かれました。

もっとも12年前に比べると、大手生保の主力商品の
「定期化」は一段と進んでいます。

アカウント型保険では、アカウント部分を極めて小さくできます。
日本生命は主力商品を単品の組み合わせとしています。
第一生命の主力商品は定期付終身保険ですが、
4月からは、終身部分30万円からの設計が可能です。

新契約の平均保険金が1000万円を下回る会社もあるなかで、
終身部分がそこそこ大きい契約は少なくなっているでしょう。
実のところ主力商品に関しては、標準利率が下がる影響は
それほど大きくないのかもしれません。
あるいは、今回の件で定期化がさらに進むのでしょうか。

他方、銀行窓販で主力となっている一時払終身保険は
各社とも予定利率を引き下げる予定です。
貯蓄性が強く、利率変更の影響を強く受けるためです。

メットライフアリコは外貨建商品の利率も引き下げるとのこと。
引き下げ幅が大きいので、影響も大きくなっています。

なお、気になるのは保険料率改定のプロセスです。
プライシングとERMの関係はどうなっているでしょうか?

※写真は地元の大倉山公園です。梅がきれいでした。

 

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機能別再編

 

「最適な損害保険事業の在り方」を検討していた
MS&ADグループが、中核損保2社を存続しつつ、
機能別再編を行うと発表しました(1/31)。
ニュースリリース(PDF)

「事業再編の踏み込み度合いは大きいとは言いがたい」
(東洋経済オンライン)という見方もあるようですが、
私が興味深く感じた点は、第三分野の長期契約を
三井住友海上あいおい生命に移行するという話です。

国際競争力の向上や事業再編の促進に資するため、
昨年の保険業法改正で、保険契約の移転に係る規制が
見直されているのをご存じでしょうか
(現在、施行に係る内閣府令案をパブコメ中)。

今回発表されたMS&ADグループの機能別再編は
まさにこの規制見直しを踏まえたものなのですが、
私は勝手に、「生保どうし」「損保どうし」の再編を
イメージしていました。

第三分野の場合には、損保から生保(あるいはその逆)
といった移転もあるのですね。

今回の再編の結果、三井住友海上あいおい生命には
生保として獲得した長期の第三分野契約と、
損保として獲得した長期の第三分野契約が
併存することになります。

損保系生保はいわば損保の別動隊的存在なので、
細かい点はともかく、同じ長期第三分野の集約は
アナリスト目線からすると確かに合理的に感じますが、
この再編手法は盲点でした。

※写真は御茶ノ水です。

 

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保険学の位置付けとは

 

先日ある会合で日本保険学会の理事長にお会いした際、
「保険学会に初めて女性の理事が誕生したんですよ!」
(明治大学の中林真理子先生です)というお話を伺っていたところ、
保険毎日新聞にその中林先生のインタビュー記事が載っていました。

このインタビューのなかに次のような話がありました。

「保険会社は学生たちの就職先人気ランキングの
 上位に入っているにもかかわらず、積極的に
 保険学を勉強したいと考える学生は少ない」

大手保険会社は昔から就職ランキング上位の常連ですね。
就職ランキングとは、そこで働いたことのない人たちによる
人気投票なので、あまり深い意味はないかもしれません。

まあ、「知名度が高い」「イメージがいい」くらいはありそうですが、
「知名度が高い」「イメージがいい」のはあくまで保険会社であって、
保険学ではない、という状況をどう考えればいいのでしょうか。

インタビューには、

「保険学は、金融・経済はもちろん、マーケティングや文化、
 法律など、多くの分野にまたがっており、その気になれば
 多くのことを学ぶことができる」

とあります。確かにそうです。

しかし、「保険経済学」「保険法学」「保険経営学」を示された学生は、
それだったら「経済学」「法学」「経営学」を勉強したほうがいいと
考えてしまうのかもしれません。

インタビューにもあるように、「保険学の位置付けが難しいものに
なってきている」ということなのでしょう。

1年ほど前にブログで取り上げた、一橋大学・米山高生先生の整理が
私には参考になるように感じます。

 「伝統的な保険論」は供給者の視点に立っており、
 収支相等の原則からはじまる保険論。
 予定調和的な世界を前提にしており、
 価格は保険数理による決定論的な世界で決まる。

 これに対し、「リスクマネジメント&保険」は需要側から
 マーケット(=自由競争)を前提に考えるもの。
 予定調和ではなく不確実な世界であり、
 価格は確率論的な世界で決まる。

 今後の保険教育は伝統的な保険論(保険数理を含む)に加え
 リスクマネジメント&保険、金融工学、コーポレートファイナンス
 の4領域が主軸になる。

いずれにしても、新しい理事には大いに期待したいです。

※遅ればせながら先日の大雪の写真です。
 ちょうど生協の配達日だったので、大変そうでした。

 

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