横浜外国人墓地

 

山手の横浜外国人墓地のなかに初めて入りました。
考えてみれば墓地が観光名所になっている町は、
あまり多くないかもしれませんね。
横浜外国人墓地の公式HPへ

開国交渉にやってきたペリー艦隊の乗組員が亡くなり、
埋葬場所を提供したのが外国人墓地の始まりなのだそうです。

ここには生麦事件の犠牲者である英国人リチャードソンや、
日本の鉄道の父・モレル、ビールの父・コープランドなど、
文明開化の功労者も数多く眠っています。

ところで、私が訪れた際に、たまたま霊柩車がやってきて、
白い棺を車から運び出し、埋葬しようとしていました。
すぐには気がつかなかったのですが、棺のままということは、
火葬ではないということです。

ボランティアのかたに確認してみると、やはりそうでした。
ここは土葬が認められている墓地なのですね。
「かなり深くまで掘るので大変なんですよ」とのこと。
いやいや、びっくりしました。

 

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生保の4-12月期決算から

 

少し時間が経ってしまいましたが、今回はこのテーマで。

以前にも書いたとおり、日本の四半期決算は累積表示なので、
四半期ごとに分解すると、見えてくるものがあったりします。
まずは、保険料など業績面をチェックすることをお勧めします。

ここでは別のデータを見ることにしましょう。
長期金利の水準がじわじわと下がるなかでも、
大手生保は国内債券の残高を増やしているのですが、
細かく見ると、大手生保の動きは一律ではありません。

各社とも「責任準備金対応債券」を増やしているなかで、
・日本生命は主に4-6月と10-12月に増加
・第一生命は7-9月を中心に継続的に増加
・住友生命は4-6月と7-9月(特に後者)で増加
といった感じです。

これだけではその背景まではわかりませんが、
各社のALMについての考え方を知るうえで
なかなか興味深いデータです。

明治安田生命は「責任準備金対応債券」がなく、
「満期保有目的の債券」の残高を徐々に減らす一方、
「その他有価証券」の公社債をどんどん増やしています。

好調な保険料収入は銀行窓販によるもののようですから
それと関係があるのかもしれません。

もうひとつ、今年度に入ってからは、株安や円高など、
金融市場は総じて不安定でした。
また、保険料が急増した、第三分野が低調だった、など
収入面でもそこそこの変動がありました。

それにもかかわらず、各社の四半期純利益(純剰余)は
かなり安定した推移となっているのですね
(比較のために第一生命は契約者配当準備金繰入を考慮)。

毎度のことですが、生保の当期純利益は何を示しているのか。
少なくともその期間の損益動向をうまく表現したものでは
なさそうです。

※写真は地元の大倉山公園です。
 今年は梅の開花が遅れているようですね。
 

 

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運用資産消失事件

 

AIJ投資顧問の運用資産消失事件には驚きました。
年金資産は信託銀行が分別管理しているので安心、
というのは私の単なる思い込みだったようです。
おそらく運用会社の監督強化が求められるのでしょう。

ただ、今回の問題の本質は果たしてそこなのでしょうか。

生保とは違い、企業年金の収益源は運用リターンだけ。
予定利率を下回る運用では積立不足が発生してしまいます。
積立不足を解消するには母体企業に穴埋めしてもらうか、
制度を変える(=掛け金を上げる/支給額を減らす)、
あるいは解散するしかありません。

もし予定利率が国債利回りと連動しているのであれば、
リスクを取った運用をしなくても制度は回るでしょう。
しかし、予定利率を2.5%未満としている企業年金は
わずか1割強しかないそうです。
みずほ総合研究所の資料
企業年金のうち、中小企業が多い厚生年金基金には、
未だ予定利率が5.5%のところが500以上もあるとのこと。

これはすなわち、リスクを取らない運用をしていたら、
確実に積立不足に陥るというわけですね。

リスクを取った運用がうまくいかずに積立不足になるばかりでなく、
リスクを取らなくても積立不足に陥ってしまう。
今回の事件の根底には、このような現状があるように思います。

※写真は横浜ベイシェラトンです。

 

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損保の自然災害リスク

3メガ損保の2011年4-12月期決算発表があり、
自然災害の影響により3グループとも赤字となりました。

タイ洪水に伴う支払見込額は正味で約4500億円です。
東日本大震災の支払見込額(家計向け地震保険を除く)が
約2000億円ですので、これを大幅に上回ります。

ロイズが保険業界全体の支払見込額を150~200億ドル
と試算しています(2/14)。3メガ損保の支払見込額が、
報道の通り9000億円(元受ベース)だとすると、
全体の5~7割を日本勢が占めることになりますね。

3メガ損保は統合リスク管理の現状を公表しており、
リスクに対する資本の余裕度を示しています。
例えばMS&ADは5500億円超、NKSJは5000億円程度
(いずれもタイ洪水の影響を反映)とのことですから、
グループ全体の経営が揺らぐことはなさそうです。

ただ、リスク管理という観点から考えてみると、
今回の多額損失の発生は、従来の自然災害による損失とは
かなり異なっているように見えます。

過去に多額の保険金支払いが発生した自然災害は、
主に台風などによる国内の風水災です。
それなりに信頼性のあるリスク計測モデルがあり、
保険会社にとってある程度「知っている」リスクでした。

もちろん、過去に経験したことのない巨大台風により
支払いが予想外に膨らんだケースもありましたが、
どの規模の災害が発生すれば、どの程度の損失となるか、
その前提として、自社のエクスポージャーはどの程度なのか、
保険会社はこれらを十分把握していると思います(期待を込めて)。

しかし、今回のタイ洪水でここまで保険損失が拡大するとは、
誰もわからなかったのではないでしょうか。

①大雨が降る → ②洪水が発生 → ③保険の対象に被害が発生

50年ぶりの記録的な大雨に加え、
・熱帯雨林の減少による森林の保水能力が低下していた
・ダムの放水が遅れ、複数のダムで同時放水となった
・デルタ地帯なので、洪水が起きるとなかなか排水されない
などが被害を大きくしたと言われています。

あるいは、ムーディーズのニュースリリース(2/6)によると、
再保険業界はタイの洪水災害に関するリスクモデルを
持っていないとのことですから、保険業界がタイ洪水のリスクを
過小評価していた可能性もあります。

これら①や②の話に加え、③についても気になります。
例えば、保険会社はどのような引き受けかたをしていたのか、
グループとしてエクスポージャーの全体像を把握していたのか、
といった点です。

いずれにしても、「予想外の自然災害なので仕方がなかった」
で終わらせてはいけないのでしょうね。
あくまで個人的なコメントですが...

 

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生保の資産運用

 

生保の4-12月期決算発表がもうすぐピークを迎えます。

手掛かりとして生命保険協会が公表している
月次統計(11月)を見ると、総資産が増えないなかで、
生保が国債投資を増やしているのが目立ちます。

投資家別売買高を確認しても、生保・損保が一貫して
国債を買い越しているのがわかります。
その多くは超長期債です。

では、生保はどの資産から国債にシフトしているのでしょうか。
昨年3月末は現預金が膨らんでおり(震災の影響?)、
まずはここからのシフトが考えられます。

貸付金や外国証券の残高も減っています。
貸付金は資金需要の弱さ、外国証券は円高のほか、
海外金利の低下でヘッジ外債が減っているのかもしれません。
外国証券の減少は昨年度とは異なる動きですね。

なお、国内株式も減っているのですが、株価の推移を考えると
売却よりも時価下落の影響が大きいかもしれません。

決算発表前でもこんな分析ができますよ、というお話でした。

※写真は横浜・中華街です。週末はいつ行っても混んでますね。

 

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システムリスク

 

保険会社の抱えるリスクには、リターンを得るために
能動的に取るリスクと、できるだけ避けたいリスクとがあります。
システムリスクは後者の代表的な例です。

2日に東京証券取引所でシステム障害が発生しました。
海外取引所との競争にさらされている東証にとって、
システム障害はかなりのダメージです。

9日の朝日新聞によると、東証の担当者が2日の午前1時半ごろ、
システム(サーバー)の故障に気づき、富士通に連絡したところ、
富士通から「予備のサーバーに自動的に切り替わる」と言われました。

しかし、その5時間後、東証は予備サーバーに切り替わって
いないことに気づきます(証券会社からの苦情でわかったようです)。
その後、手動で予備サーバーに切り替えたものの、
動作確認などを行う必要があり、取引開始に間に合わず、
241銘柄が売買停止となってしまいました。

「どうして予備システムに自動的に切り替わらなかったのか」

というのが直接の問題ですが、この記事が本当だとすると、

「どうして予備システムに切り替わっていないことに
 5時間も気がつかなかったのか」

という話になりますね。

なお、金融庁が1月20日に公表した、
「金融機関におけるシステムリスクの総点検の結果について」
を見ても、点検項目のうち、「システムリスクに対する認識等」
「障害発生時等のリスク管理態勢のあり方」などは、
更なる改善が必要な状況とのこと。保険会社はどうでしょうか。
金融庁のHPへ

※写真は横浜の風景です。

 

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中学受験

 

インフルエンザ騒動の次は中学受験でした。
私自身は未経験なのですが、高校受験や大学受験とは
ずいぶん違うものなのですね。

まず、一部の難関校を除き、入試は複数回あります。
A中学は1日と2日と4日、B中学は1日と3日と4日、という具合です。
いくつかの中学を受けるのが一般的なのだと思いますが、
「絶対A中学に行きたい!」という人は、A中学を3回受けられます。

ちなみにわが家では、1日=A中学、2日=A中学、3日=B中学、
4日=A中学、という予定を組んでいました。

多くの学校で、入試結果が当日発表されるというのも
中学入試の特徴なのでしょうね。
しかも、掲示だけではなく、ネットで公表されるのです。

午前中に試験を受け、その日のうちに結果を確認し、
翌日以降の作戦を立て直す、というのがスタンダードのようです。

「なかなかネットにつながらない」という声もよく耳にしたので、
発表5分前にテストのつもりでつないでみたら、もう結果が出ていて、
半信半疑のまま、あっけなくわかってしまいました。
便利ですが、感動は薄いような気がします。

あと、これは地域によると思いますが、地元の小学校は
入試本番の日は欠席扱いになりません。
かつてはそうではなかったと思うので、それだけ中学受験が
特別なものではなくなった、大衆化したということかもしれません。

※写真は湯島天神です。

 

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法人税率引下げで減益

 

恥ずかしながらインフルエンザにかかってしまい、
ブログを更新できないまま、2月になってしまいました。
ようやく通常の生活に戻れます。

法人税率の引き下げが決まり、業績予想の下方修正が
保険会社でも数社で発表されていますね。
税率が下がった分だけ繰延税金資産を取り崩すため、
当期純利益が一時的に減る要因となります。

31日の日経によると、大手生保の「損失額」は
次の通りだそうです。

 日本生命 = 1800億円程度、
 第一生命 = 700~900億円
 住友生命 = 約450億円
 明治安田 = 約900億円

このこと自体は極めてテクニカルな話で、
減益だからどうということはないと思います。

ただ、そもそもこのようなことが起こるのは、
バランスシートに繰延税金資産が計上されているからですよね。
すなわち、繰延税金資産の分だけ純資産が大きくなっている
とも言えます(それが税効果会計と言われればそれまでですが)。

保険会社の繰延税金資産は各種準備金の有税繰り入れ
によるものが多く、銀行とは異なります。
ただ、銀行の自己資本規制では、繰延税金資産の算入に
かなり制約があることは、知っておいたほうがいいのかもしれません。

※写真は高知の面白い駅名、「ごめん」と「和食」です。

 

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地震保険の契約が増加

 

地震保険の都道府県別契約件数(新規と保有)を
損害保険料率算出機構が毎月公表しています。
算出機構のHPへ

新契約件数の推移をみると、東日本大震災後の
2011年4月に前年同月比で10%増となり、
6月まで2けた増が続きました。
その後は徐々に伸びが鈍化し、10月は3%の増加です。

ただ、岩手、宮城、福島の3県では、今でも契約が
ハイペースで伸びています。10月は岩手県が21%増、
宮城県が36%増、福島県が47%増となっています。

他方、西日本では新契約の前年割れが目立つなかで、
沖縄県だけは17%の増加となりました。
よく見ると、2けた増は大震災の発生前からです。

沖縄県では大地震は発生しないと考えられていたためか、
地震保険加入率は10%と全国で最も低い水準です。
ところが、2010年2月にマグニチュード7.0の地震が発生し、
沖縄でも大きな地震が起こることが実感されました。
地震保険の伸びはその影響かもしれません。

リスクが顕在化した後には、やはりニーズが高まるのですね。

※写真は高知県・安芸の町並みです。

 

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保険会社の利益の源泉

 

近年のコンバインドレシオを見てもわかるとおり、
損保は保険収支の低迷に悩まされています。
他方、生保の危険差益は安定して推移しています。

保険会社の利益の源泉について、少し考えてみましょう
(資産運用力については今回は触れないことにします)。

利益の中核をなす「危険差益」は、想定した発生率
(=保険料の基となる発生率)を実際の発生率が下回ると
生じるという説明が一般的です。

ただ、これだと料率を高めに設定すれば利益が出ることになり、
「不完全競争だから利益が出る」となってしまいます。
生保の危険差益は不完全競争によるところが大きいのかは?ですが、
完全競争においても保険会社は儲けることができるのでしょうか。

まず「大量の自社データを活用したプライシング」はどうでしょう。
不十分なデータでは大数の法則が働きにくく、
安定して事業を行うことができません。
プライシングの巧拙が利益の源泉というのは言えそうです。

「分散効果」も考えられますね。
地域分散や事業分散により全体としての引受リスクが下がれば
リスク対比のリターンを高めることができるでしょう。
使う資本が少なくてすめば、他に回すことができます。

「選択効果」はどうでしょうか。
健康診断などにより、生保では契約後しばらくは選択効果があり、
危険差益が出やすいことが知られています。
ただ、経済価値ベースで考えた場合、利益の源泉と言えるかどうか。

「選択効果」とは違いますが、不完全競争の市場を選ぶことで
利益をしばらく上げることはできるかもしれませんが...

現状はともかく、市場が全体として完全競争に向かうのであれば、
「大量の自社データを活用したプライシング」「分散効果」、
この2つを意識した戦略が重要ということになりますね。

それでは小規模な保険会社は生き残れないのか。
いつか別の機会に考えてみたいと思います。

※写真は三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎の生家です。
 安芸という町の中心からかなり離れたところにありました。

 

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