大手損保の2011年度決算

 

「損保の本業 最悪の赤字」「タイ洪水など打撃」(日経)
「損保 赤字膨らむ」(朝日) 「タイ洪水で5000億円支払い」(NHK)

大手損保の2011年度決算は、2011年4-12月期決算よりも
株価が上昇した分だけよくなったという印象です。
ただ、自然災害に伴う保険金支払額が大きかったためか、
例年よりメディアの扱いも大きかったようです
(もっとも、読売の記事は見当たりませんでしたが...→ 見つけました)

タイ洪水の話は以前書いていますね。2/18のブログへ
自然災害に伴う発生保険金としては過去最大級だと思いますし、
過去に日本の損保が経験したことのないタイプのものでした。

2011年度はタイに加え、国内でも台風など自然災害が多発し、
発生保険金額は、東日本大震災のあった2010年度の2倍以上
(家計地震保険を除く)となりました。
単体合算ベースで約6000億円といったところでしょうか。

損益上は異常危険準備金の取り崩しで緩和され、主に未払保険金
(≒支払備金に繰り入れた部分)だけが損益を圧迫するのですが、
財務上のインパクトとしてはやはり約6000億円と見るべきでしょう。

かなり大きな金額のようにも見えますが、
大手損保の純資産はやや減ったとはいえ4兆円近くあります。
異常危険準備金も約2兆円です。

別の視点から見てみましょう。
大手損保が保有する株式の時価は約5.5兆円です(単体合算)。
株価が1割下落しただけで5000億円以上も目減りしてしまいます。

2012/3末のTOPIXは854、5/18は725なので、▲15%です。
損保の保有株がTOPIXとどの程度連動しているかにもよりますが、
財務上のインパクトは2011年度の自然災害に匹敵しそうですね。

逆に言えば、過去最大級の自然災害に伴う発生保険金といっても、
その程度のインパクトということです。

なお、グローバルな損保市場では、多額の支払いが発生すると、
日本のように「損保は自然災害で大変だ」と騒ぐだけではなく、
「市場がハード化(=料率上昇)し、収益力が改善するのでは」
という見方も浮上するようです。
料率引き上げが日本市場よりも実現しやすいのでしょうね。

※写真は善福寺公園と東京女子大です

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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