不良債権問題

「政府は11日、国内銀行の不良債権処理を加速する
 総合対策を決めた。不動産への融資債権について
 国内銀行に新たに約3兆円の引当金を積むよう求めるほか、
 不良債権化した不動産資産をバランスシートから切り離して
 管理する構想を盛り込んだ。大手銀への資本注入も正式に決定。
 市場から不安視される銀行部門の健全化を進める方針だ」

「国内銀の不良債権は約18兆円とされるが、市場では
 『実際はもっと多いのではないか』との疑念も強い」

「市場の見方は厳しい。総合対策発表後、株価指数は
 一時前日比3%下落。(中略)市場には『計画が実現できるのか』
 との懐疑的な見方から、先行きを不安視する声はなお多い。」

この記事、かつての不良債権問題に苦しむ日本のようですが、
実は本日(12日)の日経からの引用です。
「政府」「国内銀」「株価指数」の前に「スペイン」が入ります
(金額もユーロです)。

日本の話だと思ってもう一度読むと、不良債権処理の強化に
公的資金の活用、バッドバンク構想、大手銀行の公的管理など、
1990年代後半の状況、すなわち、いくら処理を進めても、
不良債権が減るどころか、むしろ膨れ上がっていた時期のことを
思い出します。

日本の公示地価は1987年から91年に約2倍に上昇し、
その後15年くらい下げ続け、もとの水準に戻りました。
地価が下がると建設・不動産業の経営悪化が進むうえ、
担保としている不動産の価値も減ってしまいます。

スペインでは、住宅価格の上昇は2倍どころではありません。
ピーク時(2007年)からの下げも、まだ2割強なのですね。
しかも、2011年3月時点の建設・不動産向け貸出は、
商業銀行で37%、貯蓄銀行で53%に達するとのことです。
内閣府のHPへ

日本では当時、海外の金融市場からの資金調達には
「ジャパン・プレミアム」が発生したものの、国債利回りは下がり、
銀行が国債保有を増やしても問題にはなりませんでした。

しかし、スペインの10年国債利回りは6%に上がるなど、
市場から不安視されています。

ECBが供給する資金等で国債を買えば大きな利ザヤがとれる
(実際にスペインの銀行はそのようにしているようです)とはいえ、
ギリシャのPSI(民間による自発的な債務削減)を考えると、
スペイン国債は銀行経営者として安心して買える対象なのか
非常に悩ましいでしょうね。

日本で不良債権が目に見えて減ったのは2004年度以降です。
不良債権処理スキームだけではなく、借り手サイドへの対応
(企業再生スキームなど)に加え、経済状況の好転がありました。

スペインは今後どのような経緯をたどるのでしょうか。

※写真は自宅マンションのツツジです。
 一昨日にひょうが降り、いまはボロボロになってしまいました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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