監督・検査は変わったか?

前々回に告知させていただいたTRMAセミナー(2/18)には、
100人を超える皆さまにお越しいただき、ありがとうございました。
当時の同僚も出席していたなかで、私としてはそれなりに
踏み込んでお話ししたつもりです。いかがでしたでしょうか。

講演やセミナーに出席すると、せっかくの質疑応答の時間に
ほとんど質問が出ないということも多いようです。
でも、TRMAセミナーではいつも質問がたくさん出るので、
出席者としては、スピーチよりも面白かったりします。

今回も、面白かったかどうかはともかく、質問が途切れず、
冷や汗をかきながら(?)お答えしました。

大きく分けると、ERMやリスク管理の中身に関する質問と、
保険ERMに対する金融庁の取り組みに関する質問が
半々といったところでしょうか。

「あなたの著書『経営なき破綻』で、当時の当局の監督・検査が
 十分機能しなかったとあるが、実際勤務してみて今はどうなのか」

という質問にはちょっとドキッとしました。

自分で書いていてドキッとするもなにもないですが、
あとから拙著を読み返すと、確かにいろいろ書いてあります(笑)。

個別事例の検証のところでは、

「負債の問題についてどこまで把握していたのかは疑問」
(東邦生命)

「監督官庁の影は薄い」(千代田生命)

「経営指導・チェックのようなものはほとんどなく(後略)」
(協栄生命)

などなど。そして終章では、

「大蔵省による立ち入り検査は銀行検査の延長線上で行われ、
 資産運用リスク(とくに信用リスク)と業務運営の確認が中心」

「行政が生保固有の収益やリスク構造を重視していなかった」

と書いてあります。
こう書いた私が、その後保険行政の現場に行ったわけですね。
質問したくなるのもわかります。

会場でお答えしたとおり、今の保険行政が過去の経験を
生かそうとしているのは確かです。

なかなかコメントが難しいですが、例えば私の在任中に、
金融庁は「保険財務基準・リスク分析室」を立ち上げ、
ソルベンシー規制の検討とモニタリングの態勢を強化しました。
また、保険会社の検査班も今は6チームに増えています
(少し前は4チームでした)。

ただ、慣れたころに担当者が代わってしまうという現状もあります。
ここはもう少し何とかならないものかと思います。
銀行や証券に比べると、保険は外部人材も少ないようです。

なお、しばらくすると、TRMAのHPに質疑応答がアップされるので
(ただし会員専用メニュー)、詳細はこちらをご覧下さい。
会員登録はこちらへ

※写真はライトアップされた歌舞伎座です。

 

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生保の第3四半期報告

 

主要生保の平成24年度第3四半期報告
(≒2012年4-12月期決算)が出そろいました。

現行会計の下で、3ヶ月ごとに基礎利益や
保険業績の傾向が大きく変わることはまずない
(累計ということもありますしね)ため、
自ずと金融市場変動による影響に目が行きます。

ということで、ソルベンシー・マージン総額や
有価証券含み損益の動向をみると、
前期末に比べて概ね増加していました。

「株価回復のため」と言いたいところですが、
12月の時点では、株式含み益が前期末の
水準を上回るところまで回復した会社は少なく、
それよりも円安等による外国証券の時価上昇が
効いているようです。

ソルベンシー・マージン比率も前期末に比べ、
各社とも軒並み上昇しています。
分母のリスク相当額の動きよりも、
分子のソルベンシー・マージン総額の増加が
影響したようです。

資産含み益の回復に加え、基金や劣後債務など
外部調達を実施した会社で上昇が目立ちます。

もう少し時間があれば、四半期ごとの業績動向なども
確認したいところですが、取り急ぎ今回はこんなところで。

※週末は保険流通の勉強会に出席。
 現場の生の声を伺うことができました。

 

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TRMAセミナーでスピーチ

 

前回とは違い、今回は事前のご報告です。

東京リスクマネジャー懇談会(TRMA)のセミナー
「保険ERMの現状と課題」で講師を務めます。

日時は2/18(月)18:30から。
場所は六本木ヒルズ11FのSAS社だったと思いますが、
まだTRMAのHPにアップされていないようですね。
とりあえず申し込み画面はこちらです。

→ アップされていました^^ TRMAのHPへ

副題をつけるとするならば、
「金融庁での保険行政経験を踏まえて」でしょうか。

せっかくの機会ですので、
霞が関で勤務していた約2年半に何があって、
どのようなことをしてきたのかなどについて、
可能な範囲でお伝えしたいと考えています。

本当は私のような感じで行ったり来たりする人が
もっと増えたほうがいいのでしょうね。

ということで、ご関心のあるかたはぜひお越し下さい。

※写真左は東横線の渋谷駅です。
 あと1ヵ月でこの風景も見納めですね。

 

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RMSセミナーでスピーチ

 

都合により事後報告ですみません。
リスクモデリング会社のRMS Japanが開催したセミナーで
スピーチをしました(7日)。

RMSのモデルはこのブログでも何回か取り上げています。
同社はAIR、EQECATとともに自然災害リスクのモデルを
提供する世界有数のモデリング会社です。

セミナーには創業者の一人である Hemant Shahさん
(President and CEO)も登場しました。

Hemantさんたちは1988年に米スタンフォード大学でRMSを設立。
最初はわずか5人でスタートしたそうです。
今や1000人以上の専門家を抱え、400以上の保険会社等が
RMSのモデルを活用しているとか。すごいですね。

Hemantさんには初めてお会いしましたが、
気さくでいい感じのかたでした。

私のスピーチですが、

「日本の損害保険業界におけるERMの現状と
 モデル活用状況、行政当局の動向」

というタイトルではあるものの、持ち時間(30分)を考えて、

・保険会社ERMの現状
・保険行政の動向
・自然災害リスクと保険業界

に絞って話をしました。それでも「30分は短いですね」
と数名のかたから言われてしまいました…^^;
もっとテーマを絞ったほうがよかったのかもしれません。

ご参考までに、スピーチで紹介した金融庁委託調査の
報告書はこちらです(2012年7月に公表)。

この報告書は先に挙げた3大モデリング会社の提供する
モデル構造の分析が中心となっています。
実際にモデルを使った分析を行い、モデルごとの特色を
つかもうという試みも行っています。

同じくスピーカーを務めた三井住友海上の伊東さん
(執行役員・商品本部火災新種保険部長)もご指摘のとおり、
近年はモデルの利用範囲が拡大する一方で、
モデルがブラックボックスではだめで、利用者がモデルの
構造を理解することが求められるようになっています。

金融庁が自然災害モデルの委託調査を行ったのも、
まさに同じ流れにあると言えるでしょう。

プレーヤーの皆さんにはこの報告書の情報は
もしかしたら当然のことなのかもしれませんが、
私には大変参考になりました。

ただし、あくまで委託調査であり、再保険ブローカー
(エーオン ベンフィールド ジャパン)による分析という点には
留意が必要ですね。

※写真は横浜です。日揮の本社はこちらにあります。

 

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機能別再編

 

「最適な損害保険事業の在り方」を検討していた
MS&ADグループが、中核損保2社を存続しつつ、
機能別再編を行うと発表しました(1/31)。
ニュースリリース(PDF)

「事業再編の踏み込み度合いは大きいとは言いがたい」
(東洋経済オンライン)という見方もあるようですが、
私が興味深く感じた点は、第三分野の長期契約を
三井住友海上あいおい生命に移行するという話です。

国際競争力の向上や事業再編の促進に資するため、
昨年の保険業法改正で、保険契約の移転に係る規制が
見直されているのをご存じでしょうか
(現在、施行に係る内閣府令案をパブコメ中)。

今回発表されたMS&ADグループの機能別再編は
まさにこの規制見直しを踏まえたものなのですが、
私は勝手に、「生保どうし」「損保どうし」の再編を
イメージしていました。

第三分野の場合には、損保から生保(あるいはその逆)
といった移転もあるのですね。

今回の再編の結果、三井住友海上あいおい生命には
生保として獲得した長期の第三分野契約と、
損保として獲得した長期の第三分野契約が
併存することになります。

損保系生保はいわば損保の別動隊的存在なので、
細かい点はともかく、同じ長期第三分野の集約は
アナリスト目線からすると確かに合理的に感じますが、
この再編手法は盲点でした。

※写真は御茶ノ水です。

 

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国債発行額が税収を下回る

 

2013年度政府予算案について、麻生副総理兼財務相は
「4年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復」
と、国債発行額の抑制についてアピールしているようです。

税収43.1兆円に対し、新たな国債発行額は42.8兆円とか。

でも、これは2013年度に予定していた事業の一部を
2012年度補正予算に前倒ししたことが大きそうです。

2013年度予算案に限ってみても、新たな国債発行額を
42.8兆円と言うのは無理があるように思います。

2013年度の国債発行計画を確認してみましょう。
財務省HPへ

この42.8兆円には、基礎年金の国庫負担分の財源をまかなうための
年金特例公債2.6兆円が含まれていません。
将来の消費税率引き上げを財源とする「つなぎ国債」なので、
新たな国債発行額から除外したようです。
これを加えただけで、税収を上回ってしまいますね。

さらに「復興債」があります(1.9兆円)。
一般会計ではありませんが、震災復興予算は0.6兆円増えており、
とりあえず復興債を増発して対応し、日本郵政株式の売却などを
あてるとか。

これで「財政規律にも配慮した」と言えるのでしょうか。

それにしても、政府のアピールをそのまま受けて、
「財政配慮、国債を抑制」「税収が4年ぶり逆転」
(29日の日経夕刊)
と大きな見出しをつけていますが、どうしちゃったんでしょう。

 

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リタイアメント準備度調査

 

先日、オランダに本社があるエイゴングループ
(日本ではソニー生命との合弁会社が営業)が、
「リタイアメント準備度調査」をまとめていて、
興味深い結果が出ていました。
調査レポート(PDFファイル)へ

この調査は日本、米国と欧州8カ国の1万人を対象に、
退職後の生活に対する意識と、退職後の生活資金の
準備状況に関する実態を調べたものです。

調査レポートのなかに、現役世代が退職に向けて
どの程度の準備が進んでいるのかを指数化した
「エイゴン・リタイアメント準備度指数」というものがあり、
日本が10カ国中最下位となっていました
(トップはドイツ、2位は米国です)。

準備度調査は次の6つの質問に対する回答から
算出されているようです。

<退職に向けた取り組み>
・退職後に十分な収入を確保するために自助努力は
 必要だと思うか?
・退職後に向けた資金計画を立てる必要性は認識
 しているか?
・退職後の生活や年金に関する金融知識はどの程度か?

<実態調査>
・退職に向けた計画はどの程度進んでいるか?
・資金準備のための貯蓄は進んでいるか?
・希望する生活を送るのに必要な収入の確保に向けた
 取り組みはどの程度進んでいるか

日本は、「自助努力の必要性を強く感じる」という回答が
87%に達し(ちなみ全体では71%、米国84%、ドイツ76%)、
「資金計画の必要性を強く認識している」という回答が
75%ありました(全体では62%、米国77%、ドイツ81%)。

別のアンケートでは、公的年金の給付が削減されるだろうと
考えている人が多いことも示されています。

ところが、「退職後の資金準備が進んでいる」という回答は
わずか11%(全体では25%、米国32%、ドイツ43%)、
「準備ができていない」という回答が64%もありました
(全体では46%、米国40%、ドイツ27%)。

公的年金は減ると思っているけど、依存度は大きい。
自助努力が必要と考えているけど、実践はできていない。
この結果をどう考えたらいいのでしょうか?

※週末の横浜中華街は賑やかですね。
 焼き小籠包の店に行列ができていました。

 

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内部統制とERM

 

日本価値創造ERM学会の研究発表大会・特別講演会に
出席しました(18日)。

こうした大会では何かと「気づき」を得られるものです。
今回は「内部統制」が私のなかでのキーワードとなりました
(大会プログラムはこちら → 学会HPへ)。

COSOをご存じでしょうか。元々はトレッドウェイ委員会
(=1987年に不正な財務報告に関する報告書をまとめた)
を財政的に支援する団体だったようですが、報告書を受けて、
COSOが1992/1994年に公表した内部統制フレームワークは、
内部統制のグローバルスタンダードのようなものとなっています

ちなみに18日の学会では、このCOSO内部統制フレームワークの
改訂案について箱田順哉会計士の特別講演がありました。
COSOのHPへ

ところで、COSOの内部統制(英語ではInternal Control)と
ERM、ガバナンスの関係を示すと、次のようになります。

 ガバナンス > ERM > Internal Control

つまり、Internal Control よりも ERM のほうが広い概念
ということになりますね。
確かに、同じCOSOが公表しているERMフレームワークと比べると、
目的に「戦略」が入っているのはERMのほうだけです。

他方、日本の会社法では大会社に対し、内部統制の基本方針を
定めるよう求めています。

会社法が求める内部統制とは、主に次の通りです。

 ・取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に
  関する体制(=コンプライアンス体制です)

 ・損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  (=これはリスク管理体制ですね)

 ・取締役の職務の執行が効率的に行われることを
  確保するための体制

 ・使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを
  確保するための体制(=これもコンプライアンス体制です)

 ・当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る
  企業集団における業務の適正を確保するための体制

すなわち、会社法の内部統制には「リスク管理体制の構築」が
含まれていることがわかります。

例えば保険会社のディスクロージャー誌を見ると、
会社法を踏まえ、まず内部統制の基本方針を定めたうえで、
その下でリスク管理体制を構築し、規程を整備しているようです。

しかし、単なるリスク管理ではなくERMとなると、どうなるか。
ERMが内部統制よりも上位の概念ということは、
内部統制の下にあるリスク管理体制を整備するだけでは、
ERM態勢を構築したことにはならないのです。

「リスクを計量化して資本と対比することがERMではない」
などと時々話すのですが、この概念整理からもわかりますね。

今回はちょっと硬派な話になってしまいました。

※いつもの通り個人的なコメントということでお願いします。

※センター試験ということで、写真は湯島天神です。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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保険学の位置付けとは

 

先日ある会合で日本保険学会の理事長にお会いした際、
「保険学会に初めて女性の理事が誕生したんですよ!」
(明治大学の中林真理子先生です)というお話を伺っていたところ、
保険毎日新聞にその中林先生のインタビュー記事が載っていました。

このインタビューのなかに次のような話がありました。

「保険会社は学生たちの就職先人気ランキングの
 上位に入っているにもかかわらず、積極的に
 保険学を勉強したいと考える学生は少ない」

大手保険会社は昔から就職ランキング上位の常連ですね。
就職ランキングとは、そこで働いたことのない人たちによる
人気投票なので、あまり深い意味はないかもしれません。

まあ、「知名度が高い」「イメージがいい」くらいはありそうですが、
「知名度が高い」「イメージがいい」のはあくまで保険会社であって、
保険学ではない、という状況をどう考えればいいのでしょうか。

インタビューには、

「保険学は、金融・経済はもちろん、マーケティングや文化、
 法律など、多くの分野にまたがっており、その気になれば
 多くのことを学ぶことができる」

とあります。確かにそうです。

しかし、「保険経済学」「保険法学」「保険経営学」を示された学生は、
それだったら「経済学」「法学」「経営学」を勉強したほうがいいと
考えてしまうのかもしれません。

インタビューにもあるように、「保険学の位置付けが難しいものに
なってきている」ということなのでしょう。

1年ほど前にブログで取り上げた、一橋大学・米山高生先生の整理が
私には参考になるように感じます。

 「伝統的な保険論」は供給者の視点に立っており、
 収支相等の原則からはじまる保険論。
 予定調和的な世界を前提にしており、
 価格は保険数理による決定論的な世界で決まる。

 これに対し、「リスクマネジメント&保険」は需要側から
 マーケット(=自由競争)を前提に考えるもの。
 予定調和ではなく不確実な世界であり、
 価格は確率論的な世界で決まる。

 今後の保険教育は伝統的な保険論(保険数理を含む)に加え
 リスクマネジメント&保険、金融工学、コーポレートファイナンス
 の4領域が主軸になる。

いずれにしても、新しい理事には大いに期待したいです。

※遅ればせながら先日の大雪の写真です。
 ちょうど生協の配達日だったので、大変そうでした。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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国債市場関係者の見方

 

安倍政権の緊急経済対策が決まり、国債が増発されます。
市場は順調に消化できるのでしょうか。

これに関して、10日に財務省が「国債市場特別参加者会合」と
「国債投資家懇談会」を開催し、議事要旨を公表しています。
市場関係者の見方を知るうえで参考となりそうです。
国債市場特別参加者会合の議事要旨へ
国債投資家懇談会の議事要旨へ

ちなみに「国債市場特別参加者」とは、

「国債市場(発行市場及び流通市場)において重要な役割を果たし、
 国債管理政策の策定及び遂行に協力する者であって、
 国債市場に関する特別な責任及び資格を有する者」

として財務大臣が指定したプライマリーディーラーで、
メガバンクや大手・外資系証券など24社です(1/4現在)。

国債投資家懇談会のほうは投資家と学者・研究者がメンバー。
投資家メンバーは金融機関や大手投資家など15社で、
現在の保険会社メンバーはかんぽ生命、東京海上、日本生命
となっています。

超長期債について両会合の議事要旨を比べてみました。
プライマリーディーラーは総じて超長期債の発行増額には慎重、
投資家懇談会では「特定の投資家層の需要」をどう見るか、
といったところでしょうか。

下に抜粋しましたが、HPをご覧いただくと、なかなか興味深いです。

<国債市場特別参加者会合>
 ・超長期債の需給環境は良くないが、発行年限の長期化のために
  増額する場合、消去法的に30年債になる。

 ・現在の金融緩和環境を踏まえれば、5年債、10年債を中心に増額し、
  次に2年債、超長期債を増額すべきと考える。(中略)
  30年債は月1,000億円程度の増額は可能とみている。

 ・20年債、30年債については、これまでの入札結果が芳しくないことや
  世界的な金利環境を鑑みると増発負荷の許容度はやや低いと思われる。

 ・超長期債の増発はあくまでも5年債、10年債、2年債を増発した上で、
  それでも不足する場合に検討を行うべきである。

 ・平均償還年限の長期化を引き続き継続していくという全体の構図に
  若干違和感を覚えている。銀行主体の消化にならざるを得ないという
  構図であることや、満期が到来する年限を考慮すると、中長期債中心の
  増額になるのではないかと考えている。

<国債投資家懇談会>
 ・30年債がALMの中心であり、30年債で足りない部分を一部20年債で
  代替している状況である。国債の増発については、30年債について、
  一回当たりの発行額を1,000億円減額したとしても毎月発行を希望する。

 ・潜在的な長期化需要が、超長期ゾーンの価格形成に過度に影響を
  与えないためにも、市場の厚みを増すという観点から超長期債供給の
  拡大を継続的に行っていただきたい。具体的には、生命保険会社等の
  投資が拡大していることもあるため、30年債の増額を優先していただきたい。

 ・超長期債は、イールドカーブがスティープ化しており、増発は控えるべき。

 ・20年債については(中略)超長期の負債を保有する生保や年金に加え、
  銀行等も参入してきており、多少増額しても消化に不安はない。
  30年債については、引き続き超長期の負債を保有する生保を中心に
  潜在的なニーズがあると考えている。

 ・国内サイドの需給がよいのは分かるが、海外が平時になり金利上昇した
  場合には、影響を受けざるを得ないため、超長期ゾーンの増額は慎重に
  なる方がよいのではないか。

 ・超長期債は流動性が低いため、増発は慎重にすべきで、発行頻度は
  現状維持として頂きたい。

 ・超長期債については、特定の投資家層の需要はあるため、需給を
  壊さない範囲で増額は可能と考える。

 

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