RINGの会20周年

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保険代理店の情報交流組織である
RINGの会が設立して20周年を迎え、
横浜で記念セレモニーを行いました。

会場には来賓として、保険流通業界の
交流組織として知られる新旧3団体の
トップが顔をあわせました。

 ・日本損害保険代理業協会
 ・保険健全化推進機構 結心会
 ・保険乗合代理店協会

先日のRINGオープンセミナーでもヒツジや
カモメとラスカル、パンダが一堂に会する
(業界的には)珍しい光景が見られましたが、
RINGの会が組織として色がついていない
ということの表れではないかと思います。

資料を確認すると、私がRINGの会に関わる
ことになってから、ほぼ10年になるようです。
2007年のオープンセミナーへのゲスト出演
(ライフネット創業者の出口さんなどと共演)を
皮切りに、セミナーには5回登壇しています。

オープンセミナーで有名なRINGの会ですが、
ネットでの情報交流だったり、メンバー限りの
「オフ会」も盛んです。
この10年、私もほぼ毎回オフ会に顔を出し、
販売現場の生の声を聞いてきました。

設立後の20年間はちょうど保険自由化の
進展した時期で、保険流通を取り巻く環境が
大きく変わりました。
代理店数の減少傾向も続いています。

そのようななかで、代理店経営者が独自の
情報を持つ重要性は、これからも一段と
高まっていくと思います。
情熱あるメンバーによる情報交流が引き続き
盛んに行われるといいですね。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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がん医療の”今”を知ろう

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「がん医療の“今”を知ろう!」という
ある大学の高校生向け講義を聞きました。

まず、国立がん研究センターが集計した
5年生存率(相対と実測)データ等が示され、
治療が難しい部位もあるとはいえ、総じて
がんは不治の病ではなく、「慢性疾患」と
考えましょうという話がありました。

すなわち、現在のがん医療は5年生存率を
高めることを重視しているわけではなく、
「かんと共に生きる」「サバイバーシップ」
という考えが基礎となっているのだそうです。

医療は患者がその人らしく生きぬくのを
サポートするということなのですね。

 ご参考(講義資料ではありません)↓
 国立がん研究センター「最新がん統計」
 (より最新の統計はこちらに)

そうだとすると、がん罹患後の経済状態が
重要になりますが、講義ではがん罹患後に
約3割が退職というショッキングなデータも
示されていました。

帰宅後に調べてみると、厚労省サイトにある
がん患者のおかれている状況と就労支援の
現状について」という資料の8ページ以降に

 ・勤務者の34%が依願退職、解雇されている
 ・自営業者等の者の17%が廃業している

という調査結果が出ていましたし、8月1日に
ライフネット生命が公表したアンケート調査でも

 ・(罹患後の)収入減少の理由は、「休職」
  「業務量のセーブ」「退職」がTOP3

とありました。

患者の状況により「退職」の深刻度合いは
様々だとは思うので、「だから保険が必要」
と言うのはちょっと短絡的かもしれませんが、
仕事と治療を両立できる環境が求められて
いるということがよくわかりました。

こういう現実的な話を高校生にするのは
大変いいことだと思います。
同席していたわが家の受験生がこの講義を
どう受け止めたのか定かではありませんが…

※海賊船に乗り、大涌谷で黒たまごという
 典型的な箱根観光をしてきました^^

 

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標準生命表の見直し

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生保標準生命表の改定が正式に決まり、
2018年4月以降に締結する保険契約から
標準責任準備金の計算基礎となる死亡率が
見直されることになりました。
金融庁のサイトへ

この死亡率は保険料率を決めるためのもの
ではなく、あくまで責任準備金の基礎率であり、
保険料率そのものは各社が独自に決めます。
この点は4月に下がった標準利率と同じでして、
生保各社が設定した4月からの予定利率は
標準利率とは異なるケースが多いようです。

ただし、責任準備金の基礎率から大きく離れ、
低い保険料率にしてしまうと、責任準備金の
積み増し負担が会計利益を圧迫してしまうので
無理な料率の設定ができないという仕組みです
(あくまで会計利益の話ですが)。

死亡保険用の標準生命表を確認すると、前回
(1996 ⇒ 2007)に比べ、今回(2007 ⇒ 2018)
のほうが死亡率の改善程度が大きいようで、
特に男性の改善が目立ちます。
標準生命表2018の作成概要
標準生命表2007の作成概要

この見直しを保険会社経営(あるいは株主)の
目線で考えてみると、保険料率の引き下げは
新契約が生み出す利益の減少に直結します。

新契約の利益確保には、「販売件数を増やす」
「販売コストを減らす」「付加保険料を引き上げる」
(付加保険料は金融庁の認可が不要です)
「解約失効を減らす」といった手を打つ、あるいは、
「生命表改定の影響を受けにくい商品戦略採用」
などが考えられます。

しかし、多少料率が下がるとしても、今の環境で
死亡保障の販売件数を大きく増やすのは難しい
でしょうし、付加保険料の引き上げというのも
あまり現実的ではありません。

また、料率が下がれば販売コスト(変動部分)も
下がるので、併せて販売コストをどこまで削減
できるかどうか。失解率もすでに低いですし。

商品戦略の見直しというのも、ビジネスモデルに
関わるうえ、それが顧客本位なのかという点も
十分検討が必要でしょう
(第三分野シフトは一段と強まりそうですが)。

このように考えると、競争が激しいとはいえ、
今回は同じく生命表が見直された第三分野の
料率を引き上げる(保障見直しを含む)会社が
出てくるのかもしれません。

それにしても、金融庁サイトのパブコメには
苦笑してしまいました。

 

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生保の4-6月期決算から

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生保の4-6月期決算が概ね出そろいました。
今回のinswatchでは大手4社と損保系生保の
業績動向をレポートしましたが、こちらでは
別の視点をご紹介しましょう。

標準利率引き下げに伴う料率見直しもあり、
保険料収入がどこまで落ち込むか注目して
いたのですが、国内系生保に関して言えば、
意外に減らなかったという印象です。

国内系生保9社の保険料収入の推移は
以下のとおりでした。

 <2015年度>
  4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-3月期
  4.5兆円  4.6兆円  4.2兆円  5.0兆円

 <2016年度>
  4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-3月期
  4.1兆円  4.0兆円  4.0兆円  3.8兆円

 <2017年度>
  4-6月期
  3.6兆円

つまり、2016年度の収入の落ち込みに比べ、
減収はそれほどでもなかったとも言えます
(それなりに減ってはいますが…)。

おそらく、銀行チャネルの一時払終身保険の
販売がすでに収束していたため、4-6月期の
生保マネーは前期比ではあまり減らなかった
のでしょう
(ちなみに平準払の個人年金は激減した模様)。

その生保マネーがどこに行ったかといえば、
引き続き外貨建資産に向かったとみられます。
ヘッジ状況を公表している会社にかぎれば、
前期末に比べ、為替リスクをやや高めている
模様です。

他方、金利リスクや非金利の資産運用リスク
に関しては、大規模な変化はないにしても、
会社により考え方が多少は異なるようでして、
よく見ると興味深い結果となっています。

※左の写真は佐世保の防空壕を活用した商店街。
 右は佐世保バーガーです。

 

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「国際都市」平戸へ

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かねてから訪れたいと思っていた平戸に
ようやく足を運ぶことができました(7/30)。

平戸は16世紀から17世紀の約100年間、
国際貿易港として栄えた歴史を持っています。
特にオランダ商館が置かれた1609年からは
「西の都」と呼ばれるほどの賑わいだったとか。

しかし、島原の乱(1637~38年)を経験した
江戸幕府は鎖国政策を強めます。
1641年に平戸のオランダ商館が閉鎖され
(長崎の出島に移転)、平戸は国際港としての
役割を終えました。

猛暑のなか、当時の痕跡を探して歩いてみると、
復元されたオランダ商館近くに、当時造られた
塀が残っていました。

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また、一休みした休憩所でいただいた地元銘菓
「カスドース」はカステラを加工した南蛮菓子で、
ポルトガルから伝わったものだとか。

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他にも、オランダの石造技術を用いた石橋や、
海中から引き揚げられたオランダ船の錨(いかり)、
日本伝来の井戸とは形の違う「六角井戸」など、
あちこちに当時の痕跡を見つけました。

 

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九州でスピーチ

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先週の土曜日(7/29)のことになりますが、
福岡大学で開催された日本保険学会の
九州部会で発表する機会がありました。

テーマは「近年の日本の保険行政における
健全性規制の動向とその考察」ということで、
2000年前後に発生した生損保の経営破綻を
結果として防げなかった日本の保険行政が、
その後、健全性規制の見直しをどのように
進めてきたのか(進めようとしているのか)を、
私なりに整理して伝えました。

学会発表なので質疑の時間が30分もあって
(ちなみに発表そのものは1時間でした)、
会場の皆さんから多くの質問やコメントを
いただきました。

予想通りとはいえ、行政当局によるERM活用
に関しては、

・「自己規律の活用」とは矛盾した概念では?
・行政が「自己規律」を活用する背景は何か
・国際的な規制を受け入れたのか

といったやり取りになりました。

私からは、「過去の経験もあって、健全性を
確保するには資本要件だけを定めても不十分
と今の行政は考えている」といった説明をして
いるのですが、「保険会社にルールを守らせる」
「違反を取り締まる」といった従来型の行政とは
一線を画した手法に対しては、もしかしたら
心理的な抵抗が強いのかもしれません。

なお、行政による一連の保険ERMの活用は、

「ベスト・プラクティスの追求に向けた対話」
「持続的な健全性を確保するための動的な監督」
「形式・過去・部分から実質・未来・全体へ」

という、今の金融庁が進めようとする方向性を
ある意味先取りした取り組みとして見ることも
できそうです
(当日はそのような話もしました)。

 

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監査事務所のレポート

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公認会計士・監査審査会が昨年に続き、
監査事務所の状況等をまとめたレポートを
公表しました。
「平成29年版モニタリングレポート」

前回に比べると、分量の多さに圧倒されます
(前回:全28ページ ⇒ 今回:全83ページ)。

ざっと読むと、大手監査法人とそれ以外では
単に規模だけでなく、顧客基盤も事業構造も
全く異なると言っていいほど違うのですね。

例えば、グループ全体の業務収入のうち、
準大手では監査証明業務の収入が大半を
占めるのに対し、大手では非監査証明業務の
収入が5割を超えています。

今回のレポートでも、監査人が変わると報酬が
減る傾向が示されています(69ページ)。
監査報酬は大半がタイムチャージ方式ですが、
次のような事例紹介もありました。

「大手監査法人同士の異動のうち、初年度監査
 や会計基準の変更に伴い監査時間が増加する
 ことを反映しないで監査報酬を見積り提案して
 いる事例があった」

「当該事例では、前任監査人と比較して監査報酬
 が減少しており、その後の実際の監査時間は
 見積時間を大幅に超過していた」

高い品質を求められる一方、4社の寡占市場にも
かかわらず、報酬引き下げ圧力にさらされ続け、
非監査証明業務への依存度を強めているという
大手の姿が浮き彫りになっています。

※写真は静岡鉄道です。
 駿府城の近くにターミナル駅がありました。

 

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新設保険会社の健全性指標

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とある会合で、保険会社の健全性指標
(ソルベンシー・マージン比率などですね)
について議論をする機会があり、そのなかで

「新しい会社のソルベンシー・マージン比率は
 総じて高いけど、健全性を把握する指標として
 役に立つのか」

という話になりました。

私の結論は、「単年度の比率だけを見ても、
あまり健全性の手掛かりにはならない」です。

当然ながら、事業を始めたばかりの会社は
保有契約が少ないため、保険引受リスクや
資産運用リスクが自己資本に比べて小さく、
ソルベンシー・マージン比率(以下SMR)は
高くなります
(1年後に大きく下がることはありますが…)。

しかし、考えてみれば、そもそも新設会社は
ビジネスモデルが確立できていないため、
事業そのもののリスクが非常に大きいはず。
ただ、このリスクを数値で表すのは困難です。

ですので、SMRでは新しい会社の健全性は
うまく示されていないと考えるべきでしょう。

では、基礎利益や当期損益はどうかといえば、
これらも残念ながらあまり役に立ちません。

特に生保事業では、新しい会社のように
保有契約に対して新契約のウエートが大きい
会社の場合、基礎利益や当期損益が小さく
出る傾向があります。
これは、新契約を獲得する際、販売経費など
コストがかさむため、売れば売るほど利益が
圧迫されてしまうためです。

それでは何を見たらいいのかという話ですが、
そもそも新設会社の経営リスクは大きいという
認識をお持ちいただいたうえで、「良質な契約を
順調に獲得しているか」なのでしょう。

契約数が少なければ初期投資の回収が遅れる
ばかりでなく、死亡率や発生率が安定せず、
収支の振れが大きくなってしまいます。

とはいえ、単に契約を増やせばいいのではなく、
良質な契約でなければ、数年後の収支が著しく
悪化することもありえます。
保有契約の動向とともに、新契約EVや発生率
など、契約の質の手掛かりとなる指標を探し、
ウォッチしていくことのが現実的でしょう。

なお、歴史の浅い会社では初期投資がかさみ、
歴史の長い会社とは資金繰りの構造が異なる点
にも注意が必要です(油断できないという意味)。
再保険を積極的に活用しているのであれば、
再保険活用の目的や出再先の信用リスクなども
注目事項です。公表資料だけでは難しいですが…

※写真は東海道・薩?(さった)峠です。

 

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最近の読書から

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今回の週刊金融財政事情(2017.7.17号)に
書評「一人一冊」が掲載されたこともありまして、
久しぶりに最近読んだ本をいくつか紹介します。

1.「新版 もう一度読む山川地理」

この本を「一人一冊」で紹介しました。

「地理の基礎的な常識がないと、複雑な世界を
 理解することはできないし、間違った情報を
 信じやすくなり、独りよがりにもなりやすい」

そのようなことを書きました。

もちろん、本書だけで地理の基礎的な常識を
学べると言うには無理がありますし、とりわけ
後半の「世界をみわたす」での諸分野の紹介は
広く浅くになっています。

それでも地理と歴史の知識があると、旅行に
行っても、ニュースを見ても、見えてくるものが
違ってくるのではないでしょうか。

もし機会がありましたら、きんざいの私の記事も
ぜひご覧ください。
ちなみに本号の特集は「本格化するESG投資」で、
フィッチ森永さんの損保決算の記事もあります。
きんざいのサイトへ

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2.「誰も語らなかったアジアの見えないリスク」

編著者の越純一郎さんは日本興業銀行出身。
2000年に独立し、企業再生の実務専門家として
活躍しているほか、タイの政府系銀行のシニア・
アドバイザーを務めた経験もある多才なかたです。

本書は日刊工業新聞の連載(2012年3-5月)を
まとめたものなので、金融政策のくだりなど、
やや古くなってしまった記述も見られますが、
「痛い目に遭う前に読む本」という副題の通り、
実務書としてかなり参考になると思います。

豊富な事例(大半が失敗事例)が紹介されて
いるのもさることながら、なぜそのようなことが
起きたのか、どうやってリスクを小さくするか、
といったことも書かれているのがいいですね。

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3.「実践ガバナンス経営」

パルコの内部監査を構築した海永修司さんが
「攻めの経営監査」である「価値創造監査」の
導入とその実践について解説したものです。

まず、セゾングループが解体に向かうなかで
グループの一員だったパルコのコーポレート・
ガバナンスがどのように構築されたのかという
いわばケーススタディが描かれています。

本書の肝の部分は、取り組みが難しいとされる
「経営者に対するガバナンス監査」についての
記述だと思います。「攻めのリスクマネジメント」
に関しても記述があります。

構築した制度にいかに魂を入れるかに腐心する
会社には、考えるヒントになりそうです。

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4.「変わり続ける保険事業」

先日RINGの会オープンセミナーで共演した
栗山泰史さんの最新刊です。
副題は「保険業界の明日を考える」。

本書には、大手損保や損保協会の幹部として
栗山さんが経験された業界に関する様々な
事象がぎっしり詰まっていて、自由化後の
損保市場や業界の動きがよくわかります。

たまに、「損保業界について勉強するのに
何かいい本はありませんか?」と聞かれると、
さすがに15年以上も前に書いた自分の本を
勧めることもできず、返答に窮していましたが、
これからは、損保協会のファクトブックを手元に
置きながら本書を読むよう勧めようと思います。

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※都市対抗野球の応援に行ってきました。
 すごい熱気ですね。

 

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金融庁が提起した主な論点

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今年から金融庁のサイトで、「業界団体との
意見交換会において金融庁が提起した論点
を公表するようになり、生命保険協会および
日本損害保険協会のものが出ています
(保険は2月以来の公表です)。

事務年度の終盤に行われた会合なので、
行政の取り組みの一端がうかがえます。

例えば[生命保険協会]を見ると、
「持続可能な収益構造等に関するモニタリング」
として、各社のコスト構造や保有契約の収益構造
について、次のような分析結果を示しています。

・全体の事業費に占める固定的な経費(ランニング
 コスト)の割合が多くの社で70%前後となっている
 など、販売が伸び悩んだ場合におけるコスト構造
 の弾力性は高くないと考えられる。

・いずれの社も保有契約全体で見れば、経済的
 ショックが起こらないという前提のもとでは
 今後も健全性を確保できる見込みであった。

・内部留保が更に蓄積されていった場合、資産
 運用高度化等を通じて利益を確保し、逆ザヤ
 契約からの損失をカバーすることや、内部留保
 の蓄積により健全性を維持することに加えて、
 利益や内部留保の一部を配当などによって保険
 契約者へ還元することをより意識すべき局面が
 いずれ訪れることとなる。

市場が縮小してもビジネスモデルが成り立つかを
見るには、新契約で利益を確保し続けることが
できるかも大事だと思うのですが、そこについては
特段言及はなかったようです。

「全体の事業費」も気になりますね。ここで言う
事業費とはどのような数字なのでしょうか。

まあ、さすがに損益計算書の事業費そのものでは
ないですよね。そうだとすると、保有契約に対する
新契約が多い会社は固定的な経費の割合が低く、
「コスト構造の弾力性が高い」となってしまうので。

「保有契約全体で見れば・・・今後も健全性を確保」
という記述も気になります。ストレスシナリオ下でも
現行会計ベースの利益を持続的に確保できる
という意味でしょうか。

文中に「逆ザヤ契約からの損失をカバー」とあり、
あくまで現行会計ベースの利益や内部留保の話を
しているようですが、他方で両協会の[共通事項]
の「統合的リスク管理の高度化」を見ると、

・(前略)持続的な成長性や収益性に資する態勢が
 整備・運用されているかという観点から、統合的
 リスク管理に係るモニタリングを実施した。

・リスク対比リターン指標であるROR(リターンオン
 リスク)の管理等を通じ、全社ベースでリスクと
 リターンのバランスを取る取組みが徐々に浸透し
 てきているが、セグメント別や商品別等の詳細な
 区分での取組みは今後の課題。

とあり、こちらの「リターン」は現行会計ベースとは
考えにくいです(リスクと対比するものなので)。

片や「持続可能な収益構造」、こちらは「持続的な
成長性や収益性」ということなのですが、果たして
両者の関係はどうなっているのか、話を聞いた
生命保険会社の首脳は混乱したかもしれません。

いずれにしても、おそらく詳細は「金融レポート」に
掲載されるのではないかと予想されますので、
楽しみに待ちましょう。

※写真は「宮城の小京都」村田の町並みです。

 

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