ナチスの手口と緊急事態条項

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「ナチスの手口と緊急事態条項」という本を出張中に読みました。
この本では、憲法学者の長谷部恭男さん、ドイツ近現代史が専門の石田勇治さんが対談を通じて、ヒトラーがどのようにしてワイマール憲法を無効化し、独裁体制を
築いていったのかを解き明かしています。

本書によると、立憲主義的な民主体制を壊さないように備えた仕掛けだったはずの大統領緊急措置権(=緊急事態条項)が、体制そのものを壊す道具として利用されたというのが歴史的事実のようです。

1930年頃のドイツでは、世界恐慌の影響で社会不安が高まるなか、政党間の対立が激しくなり、国会での合意を形成するのが難しくなっていきます。
そこで政府は規定にあった大統領緊急令に頼るようになります。国会は形骸化し、既存政党に対する国民の信認が低下する一方、ナチス(と共産党)が台頭することになりました。

「ヒトラーは民主主義で大衆に選ばれた」
「ヒトラーは合法的に独裁体制を樹立した」

というのも、しばしば耳にする言説ですが、これらもナチのプロパガンダ(情報宣伝)を引きずったもののようです。

本書はワイマール共和国の経験だけでなく、各国(ドイツ、フランス、米国)に現存している緊急事態条項の内容や設置の経緯なども紹介しています。
選挙の結果次第ではありますが、少なくとも公示前の時点では、なんと8割超が改憲に前向きな勢力となっていますので、本書で事実を確認しておくのは有意義かと思います。

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※化野念仏寺の近くに素敵な町並みがありました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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