西暦1000年の3大都市

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ライフネット生命創業者で、先日NHKで共演(?)
させていただいた出口治明さんの「歴史」講演を
聞く機会がありました。

そのなかで、西暦1000年の3大都市はどこか
(人口面で)という話があり、目からウロコでした。

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「開封」「コルドバ」「コンスタンティノープル」が
その答えです。

開封は中国(北宋)の首都です。
黄河と大運河の交わる商業都市として栄え、
数十万人の人口を擁していたそうです。
北宋には弱々しいイメージがありますが、
経済的に相当発展した時代だったようです。

コルドバは今ではスペインの地方都市ですが、
当時はイスラム王朝(後ウマイヤ朝)の勢力下。
国際都市として繁栄していました。
ムスリムだけでなく、多くのキリスト教徒や
ユダヤ教徒が暮らしていたとか。

コンスタンティノープル(今のイスタンブール)
というのも、高校世界史の知識からすると
意外に感じるかもしれません。

ビザンティン帝国(東ローマ帝国)というと
6世紀のユスティニアヌス帝の時代をピークに
衰退していったというイメージがあります。
しかし、8世紀あたりから勢力を盛り返し、
西暦1000年頃のコンスタンティノープルは
繁栄の頂点を迎えていたそうです。

私たちはどうしてもヨーロッパ中心史観の
影響を受けているので、こうして正しい知識や
歴史の大局的な流れを聴くのはいいですね。

出口さんの講演にはありませんでしたが、
(出口さんはあえて言及しなかったのかも)
現在の3大都市はどこだかわかりますか?

「東京(圏)」「デリー」「上海」だそうです。
欧米勢でベスト10入りはニューヨークだけ
というのも興味深いです
(西暦1900年はほぼ欧米勢だけでした)。

※写真は横浜の洋館です。

 

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自然災害による支払保険金

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台風18号は九州・沖縄から北海道まで
広い地域で被害をもたらした模様です。
以前に比べ、北海道でも台風の被害が
目立つように思います。

この機会に日本および世界の自然災害による
保険金支払いの上位を確認してみましょう。

日本損害保険協会の調査によると、
日本の上位は次のとおりです。

1.東日本大震災(2011/3)  1兆3113億円
2.平成3年台風19号(1991/9)  5680億円
3.平成16年台風18号(2004/9) 3874億円
4.平成28年熊本地震(2016/4) 3753億円
5.平成26年2月雪害(2014/2)  3224億円

世界の上位は、スイス再保険が毎年刊行する
SIGMA」のデータを見てみましょう
(1970年以降。金額は2016年価格に換算)。

1.ハリケーン・カトリーナ(2005/8、米国)
  807億米ドル
2.東日本大震災(2011/3、日本)
  373億米ドル
3.ハリケーン・サンディ(2012/10、米国など)
  301億米ドル
4.ハリケーン・アンドリュー(1992/8、米国など)
  274億米ドル
5.同時多発テロ(2011/9、米国) 255億米ドル

東日本大震災の支払額が損保協会のデータより
大きいですが、損保協会のデータは家計向けの
地震保険が対象なので、企業向け地震保険や
JA共済の支払額(JA共済は9361億円の支払)
などを含めると、このような数値になるのでしょう。

ちなみにSIGMA調査では、1991年の台風19号は
100億米ドルとなっていて、損保協会との違いは、
JA共済の1488億円とインフレ調整で概ね説明
できそうです。

SIGMA調査の10位は2011年タイの洪水です。
160億米ドルのかなりの部分を日本の保険会社が
支払ったと見られますので、日本の支払額2位は
実質的にはこちらになりそうです。

8月末に米国に上陸したハリケーン・ハービーの
支払見込額は、AIR Worldwideで100億米ドル超、
RMSで250~350億米ドルだそうです。
最近のイルマのほうは、AIRで320~500億米ドル
とのことなので(RMSは未公表)、2つ合わせると
かなり大きな金額となりそうです。

※写真は父が趣味で描いている絵です。

 

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GPIFによるESG指数採用

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日本価値創造ERM学会の研究発表大会
およびセミナーに参加し、主にESGに関する
話を聞きました。

招待講演「GPIFによるESG投資への取組みと
今後の展望」では、GPIFが委託先の運用機関
に対し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮
した投資を求めるとともに、国内株式が対象の
「ESG指数」を選定し、これに基づく運用を始める
というものでした。
(参考)GPIFのサイトへ

また、野村証券の張替一彰氏による講演では、
GPIFが採用した2つのESG指数を比較分析した
結果が示されました。

投資先の企業価値を図る材料として、定量的な
財務情報に加え、ESGを含む非財務情報をより
活用すべきだと思いますし、「ESGの要素に配慮
した投資は長期的にリスク調整後のリターンを
改善する効果があると期待できる」(GPIFによる)
というのも、まだまだ証拠不十分とは思いつつ、
理解できなくはありません。

ただ、GPIFのような運用資産が149兆円にもなる
大規模な長期投資家の影響力は大きいので、
今回のESG指数運用の開始により、非財務情報
(特にESG情報)の積極的な開示を促す効果が
期待できる一方、上場企業のESG対応の主眼が
ESGスコアを高めることに向いてしまわないかと
心配になりました。

いろいろ考えると、同じく「非財務情報の活用」
ではあっても、

・中長期的な企業価値を評価するには、財務情報
 とともに非財務情報を活用する必要がある
 (=投資家として非財務情報の充実を求める)

という話と、

・中長期的に企業価値を高めるには、ESGなど
 持続可能な経営環境が必要である
 (=投資家としてESGへの取組みと情報開示を
   求める)

という話は、共通する部分が多いとはいえ、
整理して考えたほうがいいのかもしれません。

※写真は御茶ノ水です。

 

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講演のご案内です

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今回は損保総研セミナーのご案内です。
9月になったらご案内しようと思っていたところ、
いろいろあって、もう6日になってしまいました。

連休明けの9月19日(火)に損保総研の講座で
講師を務める予定です。18:00から。

演題は「今だからこそ問われる保険会社のERM」。

今回は「ERMのガバナンス」「リスクアペタイト」
「ERMカルチャー」など、ソフト面に焦点を当てて
お話しする予定です。

会社のERMの取り組みを、自分とは直接関係ない、
本社の特定部門がやっている「他人事」の世界だと
(心の中で)考えている方にぜひ聞いていただきたい
と思います。

詳しくはこちらをご覧ください。

※電車2題。都電荒川線と箱根登山鉄道です。

 

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少短保険の有識者会議

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9月1日に金融庁で「少額短期保険業者の
経過措置に関する有識者会議」が開かれ、
オブザーバー参加してきました
(NHKクロ現+でもコメントしましたので…)。
金融庁のサイトへ

後日に資料等が公表されるようですが、
経過措置に関する会議ということなので、
そもそもこの制度をどうしていくのかといった
議論ではなさそうですね。

少額短期保険業という制度ができたのは
根拠法のない共済への対応としてでした。
その際、すでにある共済から少額短期への
円滑な移行のために経過措置が設けられ、
引受可能な保険金額の上限を本則の5倍
(医療保険は3倍)としました。

経過措置ということだけを考えると、
制度が始まってからすでに12年にもなり、
「なぜ再延長?」となるのですが、この業態を
今後どうしていくかにもよるのだと思います。

もしこの業態をInsurTechのような、新しい
ビジネスの実験場として捉えるのであれば、
本則の見直しを議論する機会があっても
いいのではないかと思います。

また、認可特定保険業という制度との関係も
気になるところですね。

なお、「引受水準が上がるとリスクが高まる」
「セーフティネットがないのが問題となる」
といった話について一言。

今回は引受上限を上げるという話ではないし、
そもそも「少額・短期」の掛け捨てですから、
加入していた会社が破綻した場合に起こる
契約者の不利益は、速やかに別の補償に
入らなければならないという手間だけです
(極端に言えば)。

無保険期間をできるだけ短くすることで
対応できるので、高額・長期の保険と違い、
今の時点であまり目くじらを立てなくても
いいのではないかと思います。

他方、NHKクロ現+でも言及しましたが、
ディスクロージャー資料を自社のサイトに
載せていない会社が多いという現状は、
何とかしたほうがいいと思います。

※写真は小田原城です。
 展示スペースがきれいになっていました。

 

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RINGの会20周年

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保険代理店の情報交流組織である
RINGの会が設立して20周年を迎え、
横浜で記念セレモニーを行いました。

会場には来賓として、保険流通業界の
交流組織として知られる新旧3団体の
トップが顔をあわせました。

 ・日本損害保険代理業協会
 ・保険健全化推進機構 結心会
 ・保険乗合代理店協会

先日のRINGオープンセミナーでもヒツジや
カモメとラスカル、パンダが一堂に会する
(業界的には)珍しい光景が見られましたが、
RINGの会が組織として色がついていない
ということの表れではないかと思います。

資料を確認すると、私がRINGの会に関わる
ことになってから、ほぼ10年になるようです。
2007年のオープンセミナーへのゲスト出演
(ライフネット創業者の出口さんなどと共演)を
皮切りに、セミナーには5回登壇しています。

オープンセミナーで有名なRINGの会ですが、
ネットでの情報交流だったり、メンバー限りの
「オフ会」も盛んです。
この10年、私もほぼ毎回オフ会に顔を出し、
販売現場の生の声を聞いてきました。

設立後の20年間はちょうど保険自由化の
進展した時期で、保険流通を取り巻く環境が
大きく変わりました。
代理店数の減少傾向も続いています。

そのようななかで、代理店経営者が独自の
情報を持つ重要性は、これからも一段と
高まっていくと思います。
情熱あるメンバーによる情報交流が引き続き
盛んに行われるといいですね。

 

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がん医療の”今”を知ろう

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「がん医療の“今”を知ろう!」という
ある大学の高校生向け講義を聞きました。

まず、国立がん研究センターが集計した
5年生存率(相対と実測)データ等が示され、
治療が難しい部位もあるとはいえ、総じて
がんは不治の病ではなく、「慢性疾患」と
考えましょうという話がありました。

すなわち、現在のがん医療は5年生存率を
高めることを重視しているわけではなく、
「かんと共に生きる」「サバイバーシップ」
という考えが基礎となっているのだそうです。

医療は患者がその人らしく生きぬくのを
サポートするということなのですね。

 ご参考(講義資料ではありません)↓
 国立がん研究センター「最新がん統計」
 (より最新の統計はこちらに)

そうだとすると、がん罹患後の経済状態が
重要になりますが、講義ではがん罹患後に
約3割が退職というショッキングなデータも
示されていました。

帰宅後に調べてみると、厚労省サイトにある
がん患者のおかれている状況と就労支援の
現状について」という資料の8ページ以降に

 ・勤務者の34%が依願退職、解雇されている
 ・自営業者等の者の17%が廃業している

という調査結果が出ていましたし、8月1日に
ライフネット生命が公表したアンケート調査でも

 ・(罹患後の)収入減少の理由は、「休職」
  「業務量のセーブ」「退職」がTOP3

とありました。

患者の状況により「退職」の深刻度合いは
様々だとは思うので、「だから保険が必要」
と言うのはちょっと短絡的かもしれませんが、
仕事と治療を両立できる環境が求められて
いるということがよくわかりました。

こういう現実的な話を高校生にするのは
大変いいことだと思います。
同席していたわが家の受験生がこの講義を
どう受け止めたのか定かではありませんが…

※海賊船に乗り、大涌谷で黒たまごという
 典型的な箱根観光をしてきました^^

 

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標準生命表の見直し

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生保標準生命表の改定が正式に決まり、
2018年4月以降に締結する保険契約から
標準責任準備金の計算基礎となる死亡率が
見直されることになりました。
金融庁のサイトへ

この死亡率は保険料率を決めるためのもの
ではなく、あくまで責任準備金の基礎率であり、
保険料率そのものは各社が独自に決めます。
この点は4月に下がった標準利率と同じでして、
生保各社が設定した4月からの予定利率は
標準利率とは異なるケースが多いようです。

ただし、責任準備金の基礎率から大きく離れ、
低い保険料率にしてしまうと、責任準備金の
積み増し負担が会計利益を圧迫してしまうので
無理な料率の設定ができないという仕組みです
(あくまで会計利益の話ですが)。

死亡保険用の標準生命表を確認すると、前回
(1996 ⇒ 2007)に比べ、今回(2007 ⇒ 2018)
のほうが死亡率の改善程度が大きいようで、
特に男性の改善が目立ちます。
標準生命表2018の作成概要
標準生命表2007の作成概要

この見直しを保険会社経営(あるいは株主)の
目線で考えてみると、保険料率の引き下げは
新契約が生み出す利益の減少に直結します。

新契約の利益確保には、「販売件数を増やす」
「販売コストを減らす」「付加保険料を引き上げる」
(付加保険料は金融庁の認可が不要です)
「解約失効を減らす」といった手を打つ、あるいは、
「生命表改定の影響を受けにくい商品戦略採用」
などが考えられます。

しかし、多少料率が下がるとしても、今の環境で
死亡保障の販売件数を大きく増やすのは難しい
でしょうし、付加保険料の引き上げというのも
あまり現実的ではありません。

また、料率が下がれば販売コスト(変動部分)も
下がるので、併せて販売コストをどこまで削減
できるかどうか。失解率もすでに低いですし。

商品戦略の見直しというのも、ビジネスモデルに
関わるうえ、それが顧客本位なのかという点も
十分検討が必要でしょう
(第三分野シフトは一段と強まりそうですが)。

このように考えると、競争が激しいとはいえ、
今回は同じく生命表が見直された第三分野の
料率を引き上げる(保障見直しを含む)会社が
出てくるのかもしれません。

それにしても、金融庁サイトのパブコメには
苦笑してしまいました。

 

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生保の4-6月期決算から

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生保の4-6月期決算が概ね出そろいました。
今回のinswatchでは大手4社と損保系生保の
業績動向をレポートしましたが、こちらでは
別の視点をご紹介しましょう。

標準利率引き下げに伴う料率見直しもあり、
保険料収入がどこまで落ち込むか注目して
いたのですが、国内系生保に関して言えば、
意外に減らなかったという印象です。

国内系生保9社の保険料収入の推移は
以下のとおりでした。

 <2015年度>
  4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-3月期
  4.5兆円  4.6兆円  4.2兆円  5.0兆円

 <2016年度>
  4-6月期 7-9月期 10-12月期 1-3月期
  4.1兆円  4.0兆円  4.0兆円  3.8兆円

 <2017年度>
  4-6月期
  3.6兆円

つまり、2016年度の収入の落ち込みに比べ、
減収はそれほどでもなかったとも言えます
(それなりに減ってはいますが…)。

おそらく、銀行チャネルの一時払終身保険の
販売がすでに収束していたため、4-6月期の
生保マネーは前期比ではあまり減らなかった
のでしょう
(ちなみに平準払の個人年金は激減した模様)。

その生保マネーがどこに行ったかといえば、
引き続き外貨建資産に向かったとみられます。
ヘッジ状況を公表している会社にかぎれば、
前期末に比べ、為替リスクをやや高めている
模様です。

他方、金利リスクや非金利の資産運用リスク
に関しては、大規模な変化はないにしても、
会社により考え方が多少は異なるようでして、
よく見ると興味深い結果となっています。

※左の写真は佐世保の防空壕を活用した商店街。
 右は佐世保バーガーです。

 

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「国際都市」平戸へ

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かねてから訪れたいと思っていた平戸に
ようやく足を運ぶことができました(7/30)。

平戸は16世紀から17世紀の約100年間、
国際貿易港として栄えた歴史を持っています。
特にオランダ商館が置かれた1609年からは
「西の都」と呼ばれるほどの賑わいだったとか。

しかし、島原の乱(1637~38年)を経験した
江戸幕府は鎖国政策を強めます。
1641年に平戸のオランダ商館が閉鎖され
(長崎の出島に移転)、平戸は国際港としての
役割を終えました。

猛暑のなか、当時の痕跡を探して歩いてみると、
復元されたオランダ商館近くに、当時造られた
塀が残っていました。

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また、一休みした休憩所でいただいた地元銘菓
「カスドース」はカステラを加工した南蛮菓子で、
ポルトガルから伝わったものだとか。

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他にも、オランダの石造技術を用いた石橋や、
海中から引き揚げられたオランダ船の錨(いかり)、
日本伝来の井戸とは形の違う「六角井戸」など、
あちこちに当時の痕跡を見つけました。

 

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