保険代理店向けメールマガジンInswatch Vol.1248(2024.9.9)に寄稿した記事を当ブログでもご紹介いたします。まずは保険業界や自動車業界の都合に縛られずに考えたうえで、実現可能な方向に近づけていくというアプローチが望ましいのではないでしょうか。
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250万件の情報漏えい
保険金不正請求事件に続き、大型の兼業乗合代理店に関連した大規模な顧客情報漏えいが発覚しました。4社の発表によると、情報漏えい250万件のうち226万件は、自動車ディーラー代理店等が契約者情報を保険会社4社と「共有」していたというものです。
こうなってくると、次に何が出てくるかと待ち構えてしまいますが、一連の損保問題であきらかになった「いびつな取引慣行」「トップラインやシェアの確保を最優先する企業文化」を変えるには、まずはこの機会に過去の膿を出し切るべきでしょう。例えば、代理店への「過度な便宜供与」の実態を公にしたらいかがでしょうか。
兼業乗合代理店の構造的な弱さ
もちろん、専属や専業の代理店に問題がないとは言えません。しかし、代理店の「乗合」「兼業」が、それぞれ契約者保護のうえで構造的な弱さを抱えているのは確かでしょう。
乗合代理店は複数の保険会社と代理店委託契約を結んでいるがゆえに、個々の保険会社が代理店をコントロールできない状況になりやすいという構造にあります。突き詰めると、顧客の代理ではなく、あくまで保険会社の代理である代理店が、果たして複数の保険会社の代理をしてもいいのかという話です。
他方で、兼業代理店は自動車販売などの本業がほかにあり、代理店としての役割がおろそかになりやすいという構造にあります。実態を踏まえると、リスクや保険の専門性がない組織が代理店を営んでもいいのかという話です。
ディーラー代理店は「乗合」「兼業」なので、両者の弱さをあわせ持っています。
現在の代理店に「乗合」「兼業」が認められているのは過去からの経緯が大きいと理解していますが、こうした構造的な弱さを上回る顧客メリットがあると考えられてきたからでもあるのでしょう。
顧客メリットはあるのか
顧客にとっての乗合代理店のメリットは、複数の保険会社の商品を比較検討できることや、専属代理店よりも多様な商品ラインナップを享受できることです。また、兼業代理店のメリットは、自動車購入など本業利用のついで
に保険に加入できる利便性にあります。
しかし、旧ビックモーターのテリトリー制に象徴されるように、ディーラー代理店は顧客メリットよりも自社または保険会社の都合を優先する場合も多いことが明らかになりましたし、「ついで加入」は確かに便利かもしれませんが、ディーラー代理店、顧客の双方に関心があるのは自動車のことなので、保険は「とりあえず何か入っていればいい」となりがちですし、ネット普及に伴い、ディーラー以外での保険加入のハードルも下がっています。
そう考えると、「乗合」「兼業」には、構造的な弱さを上回る顧客メリットがあるというのも怪しくなってきます。保険会社との利益相反を招きやすい点を含め、もはやディーラーが代理店であり続けることの是非が問われているのではないでしょうか。
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※写真はドイツのバッハラハというライン川沿いの小さな町です。
※いつものように個人的なコメントということでお願いします。
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