生保の乗合代理店

今週のInswatch Vol.1106(2021.10.11)に掲載されたものです。
生保代理店関連のデータがもう少し出てくるといいのですが(特に取り扱い保険料関連)。
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乗合代理店の業務品質評価

先週の本誌(10月4日号)で編集人の中崎さんが、生命保険協会が公表した乗合代理店の業務品質に関する検証について紹介していました。生命保険協会のサイトでスタディーグループの「業務品質評価運営(案)」(*第16回資料3)を確認すると、実態調査にかかるコスト(30万円超を想定)は評価を受ける代理店が負担し、年間150~200店を評価できるようにするそうです。

ただし、一般への公表は「評価付けを獲得した代理店」のみ行うとのことで、「評価付けなし」となった代理店名の公表はなく、「業務品質評価運営に同意いただいた●●●社を対象としており、そのうち、一定項目の充足が確認できた代理店は●社」という情報開示になる模様です。消費者には(あくまでこの基準において)評価が低い代理店と、そもそも評価を受けていない代理店の違いはわかりませんが、消費者が一定水準の評価となった代理店を選ぶことができるという仕組みです。

保険業界による自主的な取り組みとして、業界を挙げて乗合代理店の品質向上を図ること自体は高く評価できると思います。しかし、いざ始まってみたら、基準策定に関わった代理店ばかりが公表されていた、なんて結果になってしまうと、評価制度そのものの信頼性が揺らいでしまいます。評価が高い代理店をできるだけ早期に増やすとともに、マッチポンプと思われないような評価制度の運営体制を築く必要がありそうです。

大型乗合代理店への集中

ところで、同じ資料に「(ご参考)代理店数について」という記載があり、2020年12月時点の代理店数などが載っていました。

 生保の全代理店   82,165店
 うち乗合代理店   21,939店
 うち募集人50名以上  1,132店

上記の通り、生保の全代理店に占める乗合代理店の割合は27%と、損保代理店の23%(2020年度末)とそれほど大きな違いはありません。募集人数とあわせて見ると、損保では募集人のうち73%が乗合代理店に所属しているのに対し、生保代理店では募集人の90%が乗合代理店に属していることが示されています。専属の募集人の多くは営業職員として保険会社に採用されていると考えられます。

他方で、乗合代理店の募集人の約9割が、全部で1千店程度しか存在しない、募集人50名以上の代理店に所属していることもわかりました。金融機関のように、稼働率の低い募集人を多く擁する乗合代理店もあるでしょうから、募集人の数がそのまま契約に直結するわけではないにせよ、おそらく代理店チャネルにより獲得した生命保険契約のうち、これら大型の乗合代理店による割合はかなり大きいと考えるのが自然です。

市場シェアの大きい(と思われる)大規模な乗合代理店をターゲットに業務品質の向上を図り、対応できない中小規模の代理店には市場からの退出を促すのか。そうではなく、規模とは関係なく、代理店全体の業務品質の底上げを目指すのか。メーカーとしての生命保険会社はどちらを意図しているのでしょうか。
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※写真は福岡城址からの景色です。

 

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生命保険の年齢別・男女別統計表

代理店統計を確認しようとインシュアランス生命保険統計号を見ると、巻末に「年齢階層別・男女別統計表」が載っているのに気が付きました(2016年から載っていたようです ^^;)。元データは生命保険協会の統計みたいですね。
生命保険の加入者は、どちらかと言えば男性のほうが多いというイメージですが、過去5年の個人保険・新契約件数の男女比は概ね半々でした。

  年度  男性の割合
 2015年度  49.6%
 2016年度  49.8% 
 2017年度  49.9%
 2018年度  50.8%
 2019年度  51.9%

生命保険協会の統計を20年前までさかのぼると、2008年度までは新契約件数の53~56%を男性が占めていました。その後女性の割合が高まったのは、統計にかんぽ生命が加わったことのほか、銀行窓販の終身保険や、医療・がん保険の販売が影響していると考えられます。足元で男性の割合が高まっているのは、かんぽ生命の営業自粛が効いているのかもしれません。

統計表には新契約高(保険金額ベース)も載っていて、こちらは男性が67.2%を占めています(2019年度)。新契約高は死亡保障を中心とした指標なので、主に20代から40代の男性が遺族のために保障を買っているという構図は今でも続いているとうかがえます。

年齢階層別データを合わせて見ると、女性は60代以降の層が生命保険を最も購入しているようです(件数ベース)。先に挙げた「かんぽ生命」「銀行窓販の終身保険」「医療・がん保険」のいずれも、販売の中心は高齢女性となっているのでしょう。

※来週から賑やかなキャンパスが戻ってきます。

 

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IT関連2題

やや強引ですが、ITに関連した2つのテーマを取り上げます。

インシュアテックの未来

「わりかん保険」「コロナ助け合い保険」などで知られるジャストインケースの畑加寿也代表が9月29日に、インシュアテックのホワイトペーパーを公表しました。
ITを中心とした保険の発展の方向性を示したロードマップということで、今後10年間で保険市場がどう変わり、既存の事業者はどう対応したらいいかを述べています。

ペーパーでは、(日本の)保険会社は「他のディスラプトされてきつつある業界と比べると金銭的にも時間的にも猶予が残されている」としたうえで、「多くの保険会社は従来の運用モデルとレガシーシステムから離脱できず、新ビジネスの導入や規模の拡大が遅れたり、急速な市場の変化に追いつくことができないでいる」と指摘。今後ITインフラをどのように進化させるべきか、いくつかの選択肢を示しています。

「システムを作らせる技術」

先のペーパーによる、「IT予算の多くは既存のレガシーシステムの維持管理に使われている」「IT人材が不足するなか、レガシーシステムの維持・運用にIT人材が割かれている」「既存のレガシーシステムの全容を理解している人材がいない」といった指摘は保険会社の経営者にとって耳が痛いものだと思います。
しかし、システム変革の選択肢を示され、「パッケージソフトウェアの購入とクラウドベースとしたSaaS(Software as a Service)の利用のどちらにしますか」「サービスの接続方法はAPIですか、アダプターですか」などと言われても、困ってしまうのではないでしょうか(おまえと一緒にするなという声も聞こえてきそうですが…)。

たまたま最近手に取ったのが、白川克さん、濱本佳史さんによる「システムを作らせる技術~エンジニアではないあなたへ」です。著者のお2人はケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというITに強みを持つコンサルティング会社のメンバーですが、コンサルの書いた薄っぺらいハウツー本ではありません(確かにページ数も多いのですが、そういう意味ではありません)。
あるようでなかった、システムを作ってもらう人が身につけるべき技術、知っておくべきことを学ぶための本で、極めて実用的に書かれているばかりでなく、その根拠も記されています。

コラムの1つに「ITベンダーは品質など気にしていない!」というものがあり、私にはストンと落ちました。「品質」と「精度」は別の概念なのですね。

※羽田空港で楽しい自販機を見つけました。

 

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生命保険の加入状況

生命保険文化センターが「生命保険に関する全国実態調査」の最新版を公表しました(9月22日)。
最も注目される「世帯加入率」は89.8%と、前回調査(2018年)の88.7%から大きな変化はなく、簡保・かんぽ生命の加入率低下をかんぽ生命以外の民保と県民共済・生協等の上昇でカバーした形です。
かんぽ生命以外の民保では、配偶者の加入率上昇が目立ちます。ただし、配偶者の医療保険・医療特約の加入率(かんぽ生命を除く民保ベース)は下がっているので、なかなか解釈が難しいです。

直近加入契約の加入年次(民保)を見ると、調査年度およびその前年という回答が計14.9%と、前回調査の15.2%から大きく変わっていないので、ここにはコロナ禍の影響は見られません。
その一方で、2016年以降の加入契約の加入チャネルを聞いたところ、営業職員と地域金融機関、インターネットの割合が上昇し、保険代理店が下がるという結果でした。前回調査に比べると、保険ショップの勢いがやや落ちたのと、コロナ禍でも伝統的な対面チャネルが健闘しているということかもしれません。もっとも、今後の加入意向のあるチャネルのほうを見ると、郵便局の急落を踏まえれば、営業職員も保険代理店も実質的に横ばいと見るべきかもしれません。

コロナ禍の影響を強く感じたのは、加入意向のあるチャネルでインターネットという回答割合が高まったことのほか、「今後増やしたい生活保障準備項目(複数回答)」が軒並み上がっていることです。「特にない」という回答の割合は横ばいなので、もともと保障を増やしたいと考えている層が、より幅広く保障を増やしたいと回答しているようで、将来への不安心理が強いことがうかがえます。

中小企業のリスク意識

ところで、9月16日に日本損害保険協会が「中小企業のリスク意識・対策実態調査2021」を公表していますので、こちらもご紹介します。
企業が直面する深刻なリスクとして「取引先の廃業等による売上の減少」を挙げ、被害を受けた経験を持つ会社もそこそこいるにもかかわらず、5割以上の会社は「特に対策をしていない」のだそうです。企業向け損害保険の加入状況も、火災保険を除けば総じて低いですね。

 

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「一人一冊」の振り返り

週刊金融財政事情 2021年9月21日号の書評「一人一冊」に投稿した記事が載りました。
せっかくなので、直近のものだけではなく、2020年以降の投稿を振り返ってみることにしましょう(敬称略)。

小城武彦『衰退の法則』東洋経済新報社(2017年5月)

こちらが直近号で紹介した書籍です。
事業環境の変化にうまく対応できずに衰退を続け、ついには破綻してしまった日本企業に共通した特徴があることを、学術的に示しています。とりわけ目を引いたのは、破綻企業と優良企業には意外にも共通点が多いという分析結果でした。

戸田山和久『「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス』NHK出版新書(2011年11月)

2021年4月20日号の掲載です。
「科学的に考えるとはどういうことか」「問題の解決を科学・技術の専門家だけに任せていいのか」を述べています。以前にも触れましたが、学生ばかりでなく、社会人にもおすすめです。

夏目英男『清華大生が見た最先端社会、中国のリアル』クロスメディア・パブリッシング(2020年3月)

2020年12月14日号の掲載です。
本書はアジアトップレベルの清華大学で学び、かつ、世界最先端と言われる中国のデジタル革命による生活の劇的な変化を自ら体感した著者によるものなので、若い目線で見たリアルな中国の姿を知ることができます。

吉田滋『深宇宙ニュートリノの発見』光文社新書(2020年4月)

2020年7月27日号の掲載です。
私と同世代の宇宙物理学者による日々の悪戦苦闘を生々しく記したもので、読めば読むほどうまくいかないことの連続で、華々しい発見の裏には数多くの困難があったことがよくわかります。

沢渡あまね『仕事ごっこ その“あたりまえ”、いまどき必要ですか?』技術評論社(2019年7月)

2020年4月20日号の掲載です。
形骸化した仕事や慣習、仕事のための仕事といった「仕事ごっこ」をなくしましょうというメッセージを、童話を使って非常にわかりやすく訴えています。
そういえば沢渡さん、財務局からの講演依頼でひどい目にあったそうで、その顛末を記したnoteが話題になっていました。

天野馨南子『データで読み解く「生涯独身」社会』宝島社新書(2019年7月)

2020年1月13日号の掲載です。
「50歳になっても一度も結婚歴のない男女が急増している」という日本のリアルな姿について、様々なデータを用いて説明しています。「長期子どもポジション・キープ」が未婚化に影響しているかもしれないという考察は、私にはショッキングでした。

もう少しさかのぼると、こんな感じです。

2019年9月30日号:平山賢一『戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット』日本経済新聞出版社(2019年4月)

2019年7月1日号:円谷昭一『コーポレート・ガバナンス「本当にそうなのか?」─大量データからみる真実─』同文舘出版(2017年12月)

2019年3月11日号:後藤康浩『アジア都市の成長戦略 「国の経済発展」の概念を変えるダイナミズム』慶應義塾大学出版会(2018年6月)

2018年11月12日号:高槻泰郎『大坂堂島米市場』講談社現代新書(2018年7月)

2018年8月20日号:八代尚宏『脱ポピュリズム国家』日本経済新聞出版社(2018年5月)

2018年4月9日号:大門正克『語る歴史、聞く歴史 オーラル・ヒストリーの現場から』岩波新書(2017年12月)

2017年12月4日号:小坂井敏晶『社会心理学講義<閉ざされた社会>と<開かれた社会>』筑摩書房(2013年7月)

2017年7月17日号:田邉裕『新版 もういちど読む山川地理』山川出版社(2017年4月)

2017年3月13日号:加藤陽子『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』朝日出版社(2016年8月)

2016年11月14日号:藤井健司『日本の金融リスク管理を変えた10大事件』金融財政事情研究会(2016年9月)

2016年6月13日号:ラウル・アリキヴィ/前田陽二『未来型国家エストニアの挑戦』インプレスR&D(2016年2月)

2016年3月21日号:城山三郎『男子の本懐』新潮文庫(1983年11月)

2015年12月7日号:ティモシー・F・ガイトナー『ガイトナー回顧録 金融危機の真相』日本経済新聞出版社(2015年8月)

2015年9月21日号:松本茂『海外企業買収 失敗の本質 戦略的アプローチ』東洋経済新報社(2014年11月)

2015年6月29日号:花崎正晴『コーポレート・ガバナンス』岩波新書(2014年11月)

2015年3月16日号:倉都康行『12大事件でよむ 現代金融入門』ダイヤモンド社(2014年10月)

2014年12月1日号:入山章栄『世界の経営学者はいま何を考えているのか』英治出版(2012年11月)

この書評「一人一冊」は自分で書籍を選ぶという恐ろしい企画でして、何が恐ろしいかというと、選んだ書籍と書いたコメントを通じて自分がさらけ出されてしまうのですね。ご覧になった皆さん、いかがでしょうか。

 

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ディスクロージャー誌の公表(活用編)

今週のInswatch Vol.1102(2021.9.13)に掲載されたものです。生命保険協会のサイトは何とかしていただきたいですね。ご参考まで。
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前回(8月9日号)に続いてディスクロージャー誌に関する話です。
私は以前から、生保決算報道の定番となっている「保険料等収入」という指標は、事業会社の売上高にあたるものではないし、生保の経営情報を必要とする消費者(現在および将来の契約者)に伝えるべき情報として適当ではないと主張してきました。今回はその理由を、公表されたディスクロージャー誌を使って説明してみましょう。

保険料収入の多くは既契約によるもの

一部の会社を除いて、保険料収入の多くを占めているのは次年度以降保険料、つまり、当年度よりも前に獲得した契約から得られた保険料です。
論より証拠。ディスクロージャー誌に掲載されている日本生命と第一生命の数字を見てみましょう
(2020年度の個人保険・個人年金保険の合計。単体ベース)。

<日本生命> 
初年度保険料   0.5兆円
次年度以降保険料 2.5兆円
合計       3.0兆円

<第一生命> 
初年度保険料   0.1兆円
次年度以降保険料 1.4兆円
合計       1.5兆円

こうした数値は決算発表時点では入手できません。保険料収入は当年度に保険料として入ってきたお金というだけなので、業績や販売力を示すものではないことがよくわかります。各社のその年度の業績を知りたいのであれば、保険料収入ではなく、新契約年換算保険料のほうがより適切だと言えます。

預かり資産の受け入れは売上高なのか

こちらの数字もご覧ください。20年度における大手4社(日本、第一、住友、明治安田)合計の保険料収入の内訳です。この数字も各社のディスクロージャー誌で入手しました。カッコ内は19年度との差額です。

保険料収入  11.1兆円(▲0.6兆円)
 個人分野   7.9兆円(▲0.4兆円)
 うち一時払  0.8兆円(▲0.4兆円)
 団体年金   2.2兆円(▲0.2兆円)

ディスクロージャー誌で確認すれば、20年度に保険料収入が減少したのは個人分野(個人保険、個人年金)の一時払保険料が減ったことと、団体年金保険の保険料が減ったことだと説明できます。
一時払の生命保険は貯蓄性の極めて強い商品ですし、団体年金は企業年金向けの資産運用商品です。したがって、20年度に保険料収入が減ったのはコロナ禍で販売が制約されたからというよりは、低金利などの影響で受け入れた額(≒貯蓄保険料)が減ったためだとわかります。
銀行の決算発表で、預金の残高を示すことはあっても、当年度の預金受け入れ額を示し、前年度と比べて増えた、減ったと一喜一憂するようなことはありません。同じように生保の決算でも、保険料収入は貯蓄保険料の増減で数値が大きく変わってしまうので、顧客基盤の大きさの手掛かりにも、成長性を表すことにもなりません。預かり資産の規模が重要というのであれば、総資産を見るべきです。

誰が保険料収入にこだわっているのか

調査したところ、全国紙では15年以上もの間、生保決算の主要指標として「保険料等収入」を掲載しています。これだけ続くということは、大手をはじめとした生保業界がこの状況を許容しているのでしょう。実のところ、金融庁も半期ごとに公表している決算概要のなかで「保険料等収入」を掲載し、動向を説明しています。

もしかしたら、会計(損益計算書)の一項目だから数値が信頼できる、比較可能性があると皆さん考えているのでしょうか。
しかし、いくら「数値が信頼できる」「比較可能性がある」といっても、その数値が表している内容に意味がなければ指標として不適切です。ディスクロージャー誌を活用することで「保険料等収入」がどのような指標なのかご理解いただけたと思います(ちなみに「等」は再保険収入です)。会計上の「保険料等収入」を重要指標としてそのまま使い続けるのは、そろそろ終わりにしたほうがいいのではないでしょうか。

なお、ディスクロージャー誌(名称は「○○生命の現状」「アニュアルレポート」「統合報告書」など)は各社のサイトのほか、生命保険協会のサイトにも一括掲載されています。後者は大変便利なのですが、執筆にあたり確認したところ、なぜか肝心のデータ編が掲載されていない会社もあるようなので、その際には個社サイトへのアクセスが必要です。
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※佐賀県小城市は「羊羹王国」なのだそうです。

 

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保険モニタリングレポート

金融庁は10日、「2021年 保険モニタリングレポート」を公表しました。
8月31日に公表した「2021事務年度 金融行政方針」の補足資料と重複するところもありますが、金融庁が保険行政において何を課題と考え、どのような対応をしているのか(あるいは、しようとしているのか)を知る手掛かりとなりますので、こうした取り組みは大歓迎です。

せっかくなので、2つほど紹介しましょう。

自然災害の多発・激甚化への対応

金融庁はここ数年、大規模自然災害を踏まえた損害保険会社の対応状況について毎年対話を行ってきたそうで、本事務年度も「損害保険会社において、経営レベルでの論議に基づきどのようなリスク管理を行っているか引き続き注視する」とのことです。
やや引っかかるのは、「資本・リスク・リターンのバランスを踏まえ、再保険によるリスク移転の最適化等を行う統合的リスク管理態勢(ERM)を高度化する」のが重要と考えているにもかかわらず、資本(支払余力)全体ではなく、その一部にすぎない異常危険準備金の残高に強い関心を持っているように見えることです。税金関係を除けば、異常危険準備金は会計損益のスムージングに効果を発揮するというだけで、多額の支払いが発生してしまえば、準備金の取り崩しがあってもなくても実質的な損益は同じはず。ERMの高度化を進める保険会社と当局の間にすれ違いがないといいのですが。

基礎利益の見直し

見直しを行うという話は出ていましたが、新たな計算方式の概要が初めて一般に公表されました。

・為替に係るヘッジコストを含める
・投資信託の解約損益を除外
・有価証券償還損益のうち為替変動部分を除外
・既契約の出再に伴う損益を除外
・基礎利益以外の損益と対応する再保険に関する損益を除外

2022事業年度より反映とのことで、おそらく早期に公表する会社が出てくるものと予想(期待)しています。
もっとも、「ERM視点に基づき、経営レベルで資本・リスク・リターンのバランスを図る」には、新しい基礎利益でも役に立たないのは同じです。基礎利益には資産運用リスクをとった結果のうち、利息配当金収入の部分しか反映されないですし、危険差益はほぼ既契約によるもの。営業活動の成果はプラスには反映されず、保険が売れるほど基礎利益は悪化します。
ただし、本事務年度には「経済価値ベースのリスク管理との整合性や財務会計に関する見直しの動向等も踏まえ、様々な監督会計のあり方について検討を行う」(37ページ)とありますので、ずっとこのままということはないのかもしれません(期待を込めて)。

※写真は唐津城からの眺めです。城内には入れませんでした。

 

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ファンドの保険会社買収

7月3日に初のオンライン開催となったRINGの会オープンセミナー。19日までの期間限定でダイジェスト版の動画(YouTube)が公開されています。

・第1部は「実践代理店!DX~デジタルシフトする進化系代理店に学ぶ~」
・第2部は「事業者の進化~DXの時代に生きる経営者に必要なもの~」
・第3部は「zoom展示会」※動画なし

保険流通の最新動向に関心のあるかた(あるいはRINGの会に関心のあるかた)は、どうぞご覧ください。

ファンドによる保険会社の買収

2日の日経「バフェット流経営に軸足(有料会員限定)」によると、米大手投資ファンドによる保険会社の買収が相次いでいるそうです。例えばブラックストーンは2021年に入り、オールステートやAIGの生保事業への投資を行っています。

投資ファンドにとって保険会社は長期資金の安定的な供給源に見えるのかもしれません。顧客からの預かり資産ではなく、保険金を支払うまで超長期にわたり返さなくてもいい資金だからです。
ただ、特に生保事業(変額ではなく、定額の保障)となると、過去の様々な失敗事例が頭をよぎります。例えばということで、韓国・大韓生命の事例を紹介しましょう。

韓国の大手生保であるハンファ生命は、20世紀末に経営危機に陥り、政府が救済した大韓生命を前身としています。大韓生命が経営危機に陥ったのは、韓国経済がアジア通貨危機という強いショックを受けたこともありますが、それ以上にガバナンス面の問題が大きく影響しました。要は財閥の会長が傘下の大韓生命をグループのために「活用」したのですね。

・海外に貿易会社を作り、大韓生命から資金を拠出
・返済見込みのないグループ会社を大韓生命が支援
・過大な本社ビル(大韓生命63ビル)への投資を実行
・大韓生命の資金で教会をいくつも建設
 (会長は熱心なクリスチャンだった)

ここまでひどい事例はなかなかないとは思いつつ、通常の事業とは違い、保険事業は先にお金(保険料)が入ってくるので、魅力的に見えてしまいがちです。投資ファンドの保険事業が、運用者にとって都合のいい貯金箱のようにならないといいですね。

※オリ・パラの記念切手を入手しました。

 

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メディアの信頼度

「平日のインターネットの利用時間が全年代(10~60代の平均値)で初めてテレビの利用時間を上回った」というニュースをご覧になったでしょうか。これは総務省情報通信政策研究所が2012年から行っている調査の結果でして、年代別に見ても、テレビ(リアルタイム)の視聴時間がネットの利用時間を上回ったのは50代と60代だけでした。
新型コロナ感染症の流行下で行われた調査だったため、動画配信などネットの利用が通常よりも増えた可能性もありますが、これまでの傾向からすれば、逆転は時間の問題だったのでしょう。ちなみに休日はまだ平均値でテレビがネットを上回っていて、ネットがテレビを上回っているのは10代と20代だけでした。

それにしても、休日の10代、20代のネット利用時間は290分(=4時間50分)、60代のテレビ視聴時間(リアルタイム&録画)は370分(=6時間10分)という結果には驚きました。休日なので8時間睡眠とすると、10代、20代は起きている時間の約3割をネットとともに過ごし、60代は起きている時間の4割弱でテレビがついていたということになりますね。

この調査ではメディアの信頼度についても調べていて、全世代平均で最も信頼度が高かったのは新聞でした。年代別に見ると、30~60代はいずれも新聞の信頼度が最も高く、20代でも新聞とテレビが同じ信頼度となっていました。
多くの人は「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ためにはネット(10~40代)またはテレビ(50代と60代)を利用し、「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」手段として新聞と答えた人は15%程度であるにもかかわらず、メディアとしての信頼度は新聞が一番というのは興味深い結果です。あまり利用していないけど、社会としては重要な存在という認識なのでしょうか。

※ご当地ヒーローに遭遇しました!

 

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経営者の「逃走」を止める

日経新聞の朝刊に「やさしい経済学」というコラムがあるのをご存じでしょうか(経済教室と同じ面です)。経済に関するテーマを研究者が何回かに分けてわかりやすく解説するというもので、執筆者によっては「やさしくない経済学」だったりもします(個人の感想です^^)。

8月17日からは東京都立大学の松田千恵子さんによる「新時代の企業統治」が始まりました。松田先生はかつて格付会社ムーディーズでアナリストだったかたで、2011年から現在の大学(当時は首都大学東京)を拠点に活躍されています。
1回あたり800字程度しかないコラムでコーポレートガバナンスの解説を行うのは、自分だったら途方に暮れてしまいそうですが、各回とも充実した内容で、かつ、大変わかりやすくて参考になります。

19日のコラム(3回目)では近年の日本のガバナンス改革について触れ、

 守りのガバナンス:経営者の「暴走」を止める
 攻めのガバナンス:経営者の「逃走」を止める

とありました。「逃走」という表現はこれまで思いつかなかったので、社外取締役の経験も豊富な松田先生ならではの表現なのかもしれません。そういえば松田先生は以前、別のコラムで「社外取締役」という言葉のおかしさについても書いていました。

「それ(=社外取締役という言葉)が意味を持つのは、終身雇用の下で『ウチの論理』が通用する身内を大事にしてきた企業だけだ」(2018年12月25日の日経夕刊コラム「十字路」より引用)

今回の連載はこれまでのところ、(1)経営者の暴走を防ぐ仕組み、(2)従業員を律する内部統制、(3)「攻め」の経営で成長促す、(4)未分化だった「監督」と「執行」、と続いてきました。おそらく全10回ですので、後半のコラムも楽しみにしたいと思います。

※今シーズンも各種かき氷を美味しくいただきました♪

 

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