02. 保険会社の経営分析

上場生保の4-9月期決算

 

上場生保の4-9月期決算の発表がありました
(他の生保の決算発表はもう少し先です)。

ここでいう「上場生保」は、第一生命、T&Dグループ、
ソニー生命、ライフネット生命、かんぽ生命です。

第一生命は伝統的な営業職員チャネルに加え、
銀行窓販、海外保険事業などを展開しています。

T&Dの太陽生命は女性・家庭市場が事業基盤、
大同生命は中小企業市場、TDFは銀行窓販です。

ソニー生命は生産性の高いライフプランナーと
生保代理店によるコンサルティングセールス。

ライフネット生命はダイレクト販売の会社で、
かんぽ生命は郵便局ネットワークが強みです。

こうして見ると、上場生保は個別性が強いですね。

さて、4-9月期は外部要因として、内外株価の下落と
超低金利の継続がありました。

特にこの金利水準は、見かけ上の「順ざや」で
喜んでいるわけにはいかない状況でしょう。

各社のEV(速報値を含む)の動きを見ると、
第一生命とT&Dグループが3月末比で減少する一方、
ソニー、かんぽ、ライフネットはEVを増やしました。

第一生命は上場生保のなかでは株式保有が大きく、
太陽生命、大同生命はいずれも一般勘定の6%程度。
ソニー生命は株式をほとんど保有しておらず、
かんぽ生命の株式ウエートも1%台にとどまります。
4-9月期はこの差がEVの増減に影響したようです。

T&Dは減少ですが、自社株取得の影響を除けば
実質的に横ばいでした
(ライフネット生命は増資と前提見直しが大きい)。

報道を見ると、相変わらず保険料収入と純利益が
増えた、減ったというものが中心ですが、

「純利益8%減 一時払い保険の販売減響く」

というのは、さすがに首をかしげてしまいました。

※東海道線の根府川駅です(先週の写真です)。
 お土産にレモンを買いました。

 

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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国内系生保の資産運用

 

遅まきながら生保の第1四半期報告から
直近の資産運用の動向を確認してみました。

結論としては、引き続き「ポートフォリオ・リバランス」
と言うほどの動きはありませんが、昨年度に続き、
外国公社債の残高を増やした会社が目立ちます
(ヘッジの状況は不明)。

ただし、大手4社を比べると、明治安田生命は
外国公社債の積み増しを抑えたように見えます。

同社は2015年度の資産運用計画の説明で、
「ヘッジ付外債は国内債券と比べて妙味が乏しい」
とコメントしているようなので、足元の投資行動と
関係があるかもしれません。

他方、中堅生保では、責任準備金対象債券区分の
公社債を減らし、外債投資を増やしている会社が
いくつか見られます。

経営体力の回復を受けて、リスクテイク方針を
やや見直したというのなら理解できるのですが、
異次元緩和のなかで利息配当金収入の確保を
ねらったものかもしれず、考え方が知りたいところ。

足元の株安・円高の影響も注視していきましょう。

 

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損保のディスクロ誌

 

隔月で連載している「inswatch」で、昨年に続き、
今月は損保のディスクロージャー誌を取り上げました。

昨年は、「inswatchではマニアックすぎる」として
取り上げるのを見送った「損害見積り額の推移表」を
今回はさらっと紹介してしまいました(汗)。

今回、字数の関係で取り上げなかったデータが
海外投融資(特に外国公社債)の推移です。

生保は外債投資のウエートが年々高まっていますが、
損保は会社によりバラつきが大きくなっています。

例えば、東京海上の外国公社債(外貨建)は
総資産の2、3%程度で推移しています。
三井住友海上も3%程度ですが、高まる傾向です。

他方、近年の損保ジャパン日本興亜では10%強、
あいおいニッセイ同和では15%程度を占めています。

これらが全てオープン外債ということではありませんし、
3メガ損保ともに海外で保険事業を展開しているので、
そちらでも為替リスクを取っているようなのですが、
こうして比べてみると、戦略の違いが明らかになりますね。

とりわけ、同じグループでもMSIとADIの運用戦略が
大きく異なるのはなかなか興味深いです。

※道東シリーズ。今回はハマナスの花とオホーツク海です。

 

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生保資金はどう動いたか

 

日銀の異次元緩和(2013年4月)から2年。
生保の資産構成はどう変化したのでしょうか。

まず、大手生保4社の一般勘定資産に占める
国内株式のウエートは、この2年で2ポイントほど
上昇しました。

しかし、その大半は時価上昇によるものです。
株式を実質的に減らしたかどうかは微妙ですが、
生保資金が株式に向かったようには見えません。

他方、外貨建資産のウエートは年々高まり、
一般勘定資産の2割前後に達しました。
もっとも、異次元緩和を受けたものというよりは、
その数年前からの動きです。

同時に、為替ヘッジのないオープン部分も
徐々に増えているようです。
住友を除く3社の為替エクスポージャーは
一般勘定資産の1割強となりました
(2年前は3社とも8%程度でした)。

国債など国内公社債はどうなったかというと、
一部に残高を減らした会社が見られるとはいえ、
責任準備金対応債券を増やす動きが続いており、
かつ、第一と住友は残存期間を伸ばした模様です。

その他有価証券区分の国内公社債が多かった
第一と明治安田は責準対応債券への移行を進め、
その他有価証券区分の公社債が全体の2割程度
となりました(4年前には5割前後でした)。

ということで、2014年度決算をざっと見るかぎりでは、
異次元緩和後の生保資金は外貨建資産への投資が
やや目立つものの、大きな変化は見られないようです。

※今年も慶大で講師を務めました。

 

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生保の業績推移

 

生保の2014年度決算が公表されました(28日など)。

相変わらずの「保険料等収入は売上高に相当」
には抵抗があるのですが、特に今回は日本生命と
第一生命(連結ベース)の逆転があったので、
報道では保険料収入に関するものが目立ちました。

そこで保険料収入をはじめ、大手4社の業績を示す
いくつかの指標を10年前と比べてみました。

まず、主力の個人保険分野の保険料収入を見ると、
10年前(2005年3月期)を100とした場合、直近時点
(2015年3月期)は127となりました。

これは、10年前には4社合計で5000億円程度だった
銀行を通じた貯蓄性商品(大半は一時払)の販売が、
ここ数年は3兆円規模まで拡大しているためです。
銀行窓販を除くと、保険料収入は微減となります。

他方、個人分野の保有契約高は激減しています。
10年前を100とすると、直近時点は62です。
死亡保障市場の縮小には歯止めがかかっていません。

最後に個人分野の保有契約年換算保険料を見ると、
102という水準です。
死亡保障市場の縮小を銀行窓販による貯蓄性商品と
第三分野で補う構図が読み取れます。

第三分野シフトが進んだとはいえ、大手4社の場合、
年換算保険料の2割にとどまっています。
10年前とそれほど変わっていないのは意外でした。

 

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損保決算など

 

3メガ損保の2014年度決算が発表されました。
ざっと眺めた段階ですが、2点ほどご紹介しましょう。

主力の自動車保険は収支改善となりました。
ただ、おやっと思ったのは収入面です。

3メガ損保(主要4社)とも増収ではあるものの、
単価上昇が主因で、契約台数は伸び悩みが顕著です。
東京海上は前期比1.4%増(ノンフリート)ですが、
あとの会社は横ばいから微減といったところ。

2014年度は自動車保険の収支改善のほか、
久しぶりに大きな自然災害がなかったので
(2011、2012、2013と自然災害が続きました)、
国内損保事業が完全復活したかに見えます。

でも、自動車保険の台数が増えないとなると、
あまり安心はできません。

株高、円安の恩恵を大きく受けたのが、ある意味
今回の損保決算の特徴と言えるでしょう。

各社は来期の会計利益を1600~2400億円と
見込んでいるのですが、保有する有価証券は
2014年度にその数倍も増えているのですから。

損保の会社価値にとって、最も大きな要素は
保有する株式の時価動向という構図は
あまり変わっていないようです
(=すなわちリスクが大きいということ)。

そこで、政策保有株式の売却について見ると、
2014年度は3メガ損保で動きがやや異なりました。

東京海上は簿価ベースで300億円程度の売却を
2014年度も続けた模様です。
SOMPOは前年度ほどではないものの、売却を継続。
他方、MA&ADは数字を見るかぎり、売却は足踏みです。

コーポレートガバナンス・コードも策定されたことですし、
損保の政策保有株式に対するスタンスがどうなるか。
今後の動向に注目したいと思います。

ところで、最後に少しだけ宣伝です。

2014年度の生損保決算発表やIR説明会が一巡した
6月9日に外部セミナーの講師を務めることになりました。

「保険会社ERM経営の現状と今後の方向性」という題で、
日本版ORSAをはじめ、保険ERM経営に関する話をします。
合わせて決算絡みの話もするつもりです。

ご関心のあるかたは、ぜひお越し下さい。
セミナーインフォのサイトへ

 

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生保の第3四半期決算

 

出張中に生保の第3四半期決算が出たので、
ざっと眺めてみました。

世間では保険料収入が気になるのかもしれませんが、
昨年10-12月期で大きかったのは金利水準の低下です。
国債利回りが10年で0.3%、30年で1.3%まで下がるなかで、
各社はどのような行動をとったのでしょうか。

資産構成を見ると、国内株式を増やした会社は少なく、
引き続き外貨建資産を積み増したことがうかがえます。
(ヘッジの状況は不明)。
日本、太陽、富国では、一般勘定に占める外貨建資産の
ウエートが25%前後に達しています。

公社債は、明治安田や朝日で残高が減っています。
時価上昇を踏まえると、実質的に残高が減っている
会社が他にもいくつかあるようです。

金利水準が下がり、公社債の含み益も拡大しています。
例えば、第一生命の有価証券含み益5.3兆円のうち、
公社債が2.4兆円を占めていました。

しかし、毎度のことですが、公社債の時価上昇よりも、
保険負債の増加が大きいので、株高・円安がなかったら、
各社とも結構厳しかったのではないかと思います。

保険料収入の増収と基礎利益の増益を見て、
「今回は好決算」と評価するのは間違いですし、
公社債含み益を経営体力と見るべきではありません。

実際、EV(試算値を含む)を公表している会社をみると、
第一生命とT&DのEVは9月末比で小幅増加にとどまり、
ソニー生命は減少となりました。

※韓国にもバレンタインデーがあり、かなり盛んなようです。
 もらえなかった人が慰め合う「ブラックデー」もあります
 (4月14日です)。

 

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外貨建資産が増加

 

出張で台北に来ています。
上着がいらないほど暖かいのに、厚着の人が多いです。
こちらに住んでいると、きっと寒く感じるのでしょう。

さて、前回に続き、主要生保の4-9月期決算から。

歴史の長い国内系生保の資産構成を見ると、
一般勘定に占める外貨建資産の比率が高まっており、
2014年9月末には9社合計で20%に達しました。

過去の推移をみると、比率の上昇が顕著となったのは
2012年度以降のことです。
特にこの上半期は外貨建資産が4.8兆円増えており、
増加資産(5.6兆円)の9割近くに達しました。

日銀の異次元緩和(と金利低下)・アベノミクスを受け、
国内長期債への投資にややブレーキがかかる一方、
生保資金は外貨建資産に向かっているようです。

外貨建資産への投資といっても、為替リスクを取った
資産運用には総じて慎重な姿勢を維持している模様。
(=ヘッジ付きが多いということ)。
国内債券の代替という意味合いがあるのでしょうか。

ただし、両者は同じ「円金利資産」とはいえ、
「負債を意識」という点では異なっていると思います。
ヘッジ外債は負債の金利リスクを減らそうとする
資産運用ではないからです。

それに、為替リスクを取っていないとしても、
現物と為替ヘッジの期間ミスマッチがあるとすれば、
イールドカーブの変化で勝ち負けがあるはず
(もちろん、ヘッジコストも変動します)。

ヘッジ外債にとって状況が悪くなりそうになった際、
果たして、ここまで積みあがった外債のポジションを
大きく減らすことができるかどうか。

市場流動性を心配しているのではありません。
外債のポジションが急減すると、おそらく各社の
利息配当金収入が大きく減ってしまうはずだからです。
まあ、そこまで考えてリスクテイクしているとは思いますが…

 

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保険料収入は売上高か?

 

主要生保の2014年4-9月期決算が出そろいました。
今回は保険料等収入で第一生命(連結ベース)が
日本生命を上回ったことに注目が集まっています。

ただ、生保の保険料収入を売上高とみなし、
競争を煽るような報道は、百害あって一利なしだと
私は考えています。

以前のブログで、「売上高」は非常に曖昧な概念であり、
保険料収入は生保の経営陣が最重要と考える指標ではない
と書きました。
保険会社の売上高

今回は別の切り口で見てみましょう。

保険料収入は、初年度保険料と次年度以降の保険料に
大別できます(ディスクロージャー誌に開示あり)。
次年度以降の保険料とは、保険料が月払いや年払いの
保有契約、つまり過去にとった契約から発生する保険料です。

第一生命の保険料等収入(単体)は約2.9兆円でした。
このうち、初年度保険料は0.6兆円で、あとは次年度以降の
保険料収入となっています(データは2013年度です)。

日本生命でも、2013年度の保険料等収入4.8兆円のうち、
3.7兆円が次年度以降の保険料です。

売上高というと、当期の営業活動によるイメージですが、
この保険料収入は売上高のイメージに合うでしょうか?

ディスクロ誌には、支払方法別の保険料明細も載っています
(個人保険、個人年金保険)。

第一生命の場合、2013年度の個人保険・個人年金保険の
保険料収入は約1.9兆円。このうち一時払は0.4兆円でした。

他方、本体で銀行窓販向けの一時払商品を提供している
明治安田生命の場合、個人分野の保険料収入2.4兆円のうち、
一時払いが1.2兆円を占めています。

2011年度はもっとすごくて、同分野の収入4.1兆円のうち、
一時払いが2.9兆円でした。
このように、保険料収入は一時払商品の販売により
大きく左右されてしまいます。

生保が一時払商品しか扱っていないのであればともかく、
主力は分割払いなので、やはりこれを売上高と呼ぶのは
無理がありそうです。

売上高のイメージにうまく合う指標が見当たらない
(あえて言えば新契約年換算保険料でしょうか?)
のも確かですが、報道が保険料収入に偏ってしまうと、
収益やリスクを軽視し、収入規模を追いかける会社が
出てきてしまうのではないかと、心配になります。

別件ですが、今週の週刊金融財政事情に、5月に紹介した
「世界の経営学者はいま何を考えているのか」
の書評が掲載されました。機会がありましたらご高覧下さい。

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※写真は南房総・館山の海岸です。遠くに富士山が見えました。

 

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3メガ損保が業績上方修正

 

19日に大手損保グループの中間決算発表があり、
3グループとも業績予想を上方修正しています。

<東京海上>
・グループ修正利益を2910億円⇒3220億円へ
・上方修正(+310億円)の内訳
  国内損保+ 20億円 *円安によるマイナス効果あり
  国内生保+140億円 *合併の影響あり
  海外保険+150億円 *円安効果は+60億円

<MS&AD>
・グループコア利益を1000億円⇒1200億円
・上方修正(+200億円)の内訳
  国内損保+150億円 *運用収支の改善が大きい
  国内生保+ 10億円 *EV増加額は+220億円
  海外保険+ 30億円

<損保ジャパン日本興亜(SJNK)>
・修正利益を1460億円⇒1569億円
・上方修正(+109億円)の内訳
  国内損保+132億円 *保険収支の改善など
  国内生保▲ 40億円 *金利低下の影響?
  海外保険+ 12億円

同じ上方修正でも、東京海上は海外保険の上振れ、
MS&ADとSJNKは国内損保が大半を占めるなど、
中身は結構違うものですね。

そもそも構成比が大きく異なる点も示しておきましょう
(国内損保+国内生保+海外保険≒合計)。

 東京海上:1080+890+1200 ≒ 3220億円
 MS&AD : 760+ 140+ 250 ≒ 1200億円
 SJNK  : 609+ 800+ 142 ≒ 1569億円

ただし、お示ししている数値は会計損益ではないので、
グループにより計算方法が異なります。

例えば、国内生保は東京海上がTEV、MS&ADが会計損益、
損保ジャパン日本興亜がMCEVをベースとしています。
MS&ADのEV増加額は650億円の予想ですので、
会計損益よりもかなり大きくなっています。

こうして見ると、各社とも国内損保が回復してきたとはいえ、
国内生保や海外保険によるグループ利益への貢献が
引き続き大きいことがわかりますね。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※写真は汐留のクリスマス・イルミネーションです。
 早くも先週から始まりました。

 

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