上場生保グループの2021年度決算の発表がありました。
ちらっと眺めただけですが、中核子会社のEV(エンベディッド・バリュー)があまり増えていない(あるいは減った)のが意外と言えば意外でした。
金融市場の環境はざっと以下の通りでした。
(2021年3月末 ⇒ 2022年3月末)。
<国内金利>
10年国債利回り 0.10% ⇒ 0.22%
30年国債利回り 0.67% ⇒ 0.91%
<米国金利>
10年国債利回り 1.74% ⇒ 2.34%
<国内株式>
日経平均株価 29179円 ⇒ 27821円
<為替>
円ドルレート 110.70円 ⇒ 121.69円
そして各社の単体EVはこちらです。
第一生命 51274億円 ⇒ 49766億円(▲3%)
太陽生命 11146億円 ⇒ 11345億円(+2%)
大同生命 20588億円 ⇒ 21481億円(+4%)
かんぽ生命 40262億円 ⇒ 36189億円(▲10%)
かんぽ生命は自己株式の取得(3588億円)と、新契約価値がマイナスという特殊要因があるものの、他社は新契約価値の上乗せがあるうえ、国内金利が上昇し、円安が進んだにもかかわらず、EVは増えませんでした。個別には他の要因もありますが、海外金利の上昇がかなり効いた模様です。
国内金利が上昇するとEVはかなり増えるのですが、海外金利が上昇すると逆にEVが減ってしまうということが、T&Dとかんぽ生命のIR資料(EVの感応度分析)で示されていました。
もっとも、過去にEVの感応度分析で国内と海外に分けた開示があったのはT&Dだけ(グループベースのみ)だったので、ここまで海外金利の影響が大きいとはわかりませんでした。外貨建債券の保有残高が増えたので、内外を分けた金利の感応度分析の情報が不可欠なのだとわかりました
(加えて為替の感応度も必要ですね)。
※大学のバラが見ごろを迎えています