コロナ感染の保険金支払い急増

8月12日の日経フィナンシャルに「国内損保、加入が増えない理由 2つの仮説」を寄稿しました。有料媒体なので、購読されていらっしゃる方はぜひご覧ください。

さて、ネットで「コロナ感染の保険金支払い急増」というニュースを見て、念のため各社の発表を確認してみました。ニュース(読売新聞)はこちらです。

住友生命は4-6月期のデータを公表していなかったので、3社合計(日本生命、第一生命、明治安田生命)の新型コロナ関連の死亡保険金・入院給付金を出してみました。グループ傘下の国内生保合算です。

 2020年4-6月  24.2億円(2.9億円)
     7-9月  23.7億円(4.1億円)
    10-12月  27.6億円(7.4億円)
 2021年1-3月 128.8億円(27.5億円)
     4-6月 140.8億円(37.0億円)

 *( )は入院給付金のみ

生命保険会社の保険金支払いが急増したのは4-6月ではなく、1-3月からだとわかります。
足元で新規の感染者が急増しているので、私たちはつい「デルタ株で感染者が増えて、保険金支払いも増加した」と受け止めてしまいがちです。しかし、感染者が増えてから死亡者が増えるまでに時間差があるので、1-3月の保険金支払いは主に年末年始の第3波によるもの、4-6月は主にGW前後の第4波によるものです。
5月や6月に比べると7月以降の死亡者は今のところ少ないので、足元で死亡保険金が急増しているということはありえません。とはいえ、記事に「保険金の支払いも急ピッチで増えている」とあるのは、入院給付金が増えているのでしょう。

4-6月期の保険金等支払金(うち保険金)は3社合計で5,464億円ですので、依然として、保険金支払いによる財務面の影響を心配するような水準では全くありません。ただ、足元の第5波に伴い、どの程度死亡者が増えるのか。高齢者のワクチン接種は概ね一巡したので、死亡率は抑えられると期待していますが、果たしてどうなるでしょうか。

※福岡・南蔵院の涅槃仏です。日本では珍しいのではないでしょうか。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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