生保の資産運用方針

10月下旬に主要生保(国内系)の資産運用方針に関する報道がありました
(半年ごとの恒例行事となっているようです)。
元データの公表がないので、ロイターとBloombergの記事を確認すると、下期の大手5社の資産運用方針として例えば次の記述がありました。

<日本>
・海外の社債などクレジット資産を中心に投資する計画(ロイター記事より引用)

<第一>
・円建て債券やオルタナティブ資産の残高を積み増す方針(Bloomberg記事より引用)

<住友>
・為替リスクをヘッジしないオープン外債を数千億円規模で積み増すほか、外部委託での海外クレジット投資にも力を入れる方針(ロイター記事より引用)

<明治安田>
・円建て債券や為替リスクをヘッジして投資する海外のクレジット物の残高を積み増す計画(Bloomberg記事より引用)

<かんぽ>
・国内株式やオルタナティブ資産を積み増す計画(ロイター記事より引用)

総じて「海外クレジットもの」「オルタナティブ資産(ヘッジファンドやプライベートエクイティなど)」を増やす動きが見てとれます。
10月27日の日経電子版でも、生保9社が米欧中心に社債を6200億円程度積み増すと報じていました。

どうして決算発表前のこの時期に、しかも報道機関(の一部)だけに資産運用方針を説明するのか、という疑問はさておき、半年たって、生保各社が「海外クレジットもの」「オルタナティブ資産」を増やしたかどうか確認したくても、多くの場合、確認できないということを、資産運用方針を報じたメディアは知っているのでしょうか。

「海外クレジットもの」の中心は外国社債だと思います。ところが、決算発表資料やディスクロージャー誌には「外国公社債」という開示しかなく、各社がこのところ力を入れているとされるクレジットものに関する手掛かりはほとんどありません
(第一生命は投資家向け決算説明資料のなかで、外貨建て債券に占める社債の割合や信用格付別の割合を示しています)。

「オルタナティブ資産」についても極めて情報が限られています。外国籍のものが多いでしょうから、「外国株式等」という項目に含まれていることはわかっても、それ以上の手掛かりがありません
(上記5社ではありませんが、T&Dは内訳を継続して開示しています)。

業界共通の開示様式が久しく見直されていないうえ、特に相互会社形態の生保には、自らの資産構成の変化に応じて情報開示を見直そうという意識に乏しいのではないでしょうか。

※久しぶりの新横浜散策でした。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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